対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
親知らずを抜くなら何歳までがよいのか。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の方から、40代・50代になってから抜けるかというご質問をよくいただきます。年齢の上限というものはなく、必要があれば何歳でも抜けます。ただし処置の負担と回復にかかる日数は年齢とともに変わり、10代後半から20代前半に比較的条件がそろいやすいのは事実です。このページでは、年齢で何が変わるのかを骨・根・治りの三点から説明します。
先に押さえておきたいこと
- 年齢の上限はない。必要があれば50代でも60代でも抜歯はできる
- 比較的条件がそろいやすいのは10代後半〜20代前半
- 変わるのは三点:骨の硬さ・根の完成度・組織の治りの速さ
- 年齢が上がると処置時間が延び、腫れと回復の日数が増える傾向
- 持病と服用中の薬の影響のほうが、年齢そのものより大きいこともある
- 「若いうちに」を理由に、症状のない歯まで抜く必要はない
抜くかどうかの基準は
親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準にまとめています。ここでは「抜くと決めた場合、時期をどう考えるか」を扱います。
年代ごとの傾向を整理します。
| 年代 | 体の側の条件 | 実際に多い状況 |
| 10代後半 | 骨がやわらかく、根が完成途中のことがある | 健診で指摘され計画的に抜く |
| 20代 | 根は完成、骨はまだ弾力がある | 腫れたことをきっかけに抜く |
| 30代 | 骨がやや硬くなり、処置時間が延びはじめる | 手前の歯の虫歯が見つかって抜く |
| 40代以降 | 骨が硬く緻密。持病や服薬の確認が増える | 症状が出てから相談されることが多い |
※個人差が大きく、年代だけで難易度は決まりません。生え方の影響のほうが大きい場合もあります。
変わる点その一:骨の硬さ
抜歯の難易度を左右する最大の要素のひとつが、歯を囲んでいる骨の性質です。
若い時期の骨は弾力があり、器具で少し力を加えると歯が動きます。年齢が上がると骨は緻密になり、同じ歯でも動きにくくなります。動かないぶん、周囲の骨を削る量が増えます。
削る量が増えれば処置の時間は延び、体への負担も大きくなります。骨を削った範囲が広いほど、術後の腫れも出やすくなります。
ただしこれは傾向であり、40代でも骨に弾力がある方はいます。逆に20代でもかなり硬い方がいます。実際の難しさは画像と処置中の所見で判断されます。難しい生え方の場合の流れは
横向き・埋まっている親知らず(埋伏智歯)の抜歯|難易度と流れをご覧ください。
変わる点その二:根の完成度
親知らずの根は、10代後半から20代前半にかけて完成します。
根が完成する前の歯は、根の先端がまだ短く丸い形をしています。この状態では、下あごの中を走る神経との距離に余裕があることが多く、しびれのリスクを見積もりやすくなります。
根が完成し、さらに年数が経つと、根の先が神経の管に近づいたり、絡むような形になったりすることがあります。この場合はCTで三次元的に位置を確認したうえで、処置の方法を選びます。
神経との関係については
親知らず抜歯と神経麻痺のリスク|下歯槽神経・CT検査の意味で詳しく説明しています。CTが必要になる場合の費用は
親知らず抜歯前のCT・レントゲン費用|検査代の内訳と必要になるケースをご覧ください。
なお、根が完成しきっていない時期に抜くと、歯が骨から外れやすい反面、歯が割れやすいという面もあります。早ければ早いほどよいという単純な話ではありません。
変わる点その三:組織の治りの速さ
抜いたあとの回復にも年齢差が出ます。
若い時期は、血のめぐりが豊かで組織の入れ替わりも速いため、腫れが引くまでの日数、口が開くようになるまでの日数がいずれも短くなる傾向があります。
年齢が上がると、同じ処置でも腫れが長引くことがあります。とくに骨を削る量が多かった場合、頬の腫れが最大になる時期が後ろにずれ、引くまでの日数も延びます。
穴がふさがるまでの期間も同様です。骨が埋まってくる速さには個人差がありますが、全体としてゆるやかになります。術後の経過は
親知らず抜歯後の腫れはいつまで続く?ピークの時期と引かないときの受診目安と
抜歯後の穴はいつふさがる?食べかすが詰まるときの正しいケアにまとめています。
年齢よりも影響が大きいこと
40代・50代の抜歯で実際に検討事項になるのは、年齢そのものより持病と服用中の薬です。
血液をさらさらにする薬を飲んでいる場合、止血の方法と処置後の観察が変わります。骨粗しょう症の治療薬を使っている場合は、抜歯後の骨の治りに関わるため、薬の種類と使用期間の確認が必要です。糖尿病がある場合は、血糖の管理状態によって感染の起こりやすさが変わります。
いずれも「抜けない」という意味ではありません。事前に情報がそろっていれば、処置の方法や時期を調整して進められます。伝えるべき内容は
抜歯前に伝えるべき薬と持病|抗血栓薬・骨粗しょう症治療薬の注意に整理しました。
歯科の麻酔と持病の関係については
持病や薬があっても歯科麻酔は受けられる?高血圧・糖尿病・抗血栓薬の注意点もあわせてご覧ください。
「若いうちに抜いておく」の正しい意味
健診で「若いうちに抜いておいたほうがいい」と言われることがあります。この言葉には前提があります。
前提は、その歯がいずれ問題を起こすと画像から読み取れる場合です。斜めに生えて手前の歯に食い込んでいる、歯ぐきが半分かぶさっている、といった歯がこれにあたります。
まっすぐ生えて上下が噛み合い、清掃も届いている歯は、年齢を理由に抜く必要はありません。残せる条件は
まっすぐ生えた親知らずは抜かなくていい?残せる条件と手入れの仕方にまとめています。
放置した場合に何が起きるかを知ったうえで判断したい方は
親知らずを抜かないとどうなる?放置で起きる変化と受診を決める目安をご覧ください。
時期を選ぶときの現実的な考え方
医学的な条件だけでなく、生活の予定も判断材料になります。
腫れても支障の少ない時期を選んでください。長期休暇の前後、繁忙期を避けた時期、大切な予定のない週が候補になります。学生の方は、試験期間や実習期間を外して計画すると負担が軽くなります。
妊娠を考えている場合は、その前に済ませておくと薬の選択肢が広がります。妊娠中の対応は
妊娠中・妊娠前の親知らず|生えてきた・痛いときの対処と抜歯のタイミングで扱っています。
4本ある場合の分け方は
親知らずを抜く順番と回数|4本まとめて・片側ずつの決め方を参考にしてください。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海では、通院しやすい時期に合わせて予約を分散させる方が多い印象です。
10代で指摘されたとき
学校の歯科健診や、矯正の相談の際に親知らずを指摘されることがあります。
この時期はまだ根が完成していないことが多く、画像で見ても親知らずの全体像がはっきりしないことがあります。そのため、すぐに抜くかどうかを決めるのではなく、生えてくる方向を見ながら判断するという進め方が一般的です。
矯正治療を予定している場合は、その計画のなかで扱いが決まります。歯を並べるためのスペースの確保に関わるため、矯正を担当する歯科医師の方針が優先されます。
学校健診で指摘を受けたときの動き方は
名古屋市の学校歯科健診|結果の紙が届いてからの受診先の選び方と費用にまとめています。高校生・大学生の費用と助成の扱いは
高校生・大学生の親知らず抜歯費用|医療費助成と保険証の扱いをご覧ください。
なお、この年代で急いで抜く必要があるのは、すでに腫れを繰り返している場合や、手前の歯に影響が出ている場合です。症状がなければ、生えそろうのを待って判断してかまいません。
20代・30代で決めるとき
抜歯を実際に受ける方が最も多いのがこの年代です。
20代は、根が完成し、骨にもまだ弾力がある時期です。処置と回復の条件がそろいやすく、まとまった休みを取りやすい学生の方も含まれます。
30代になると、骨がやや硬くなりはじめます。とはいえ大きな差ではなく、生え方が単純であれば短時間で終わります。この年代で相談が増えるのは、手前の歯に虫歯が見つかったことがきっかけという場合です。
仕事や育児で時間が取りにくい年代でもあります。抜歯は一度で終わらず、検査と説明、抜歯当日、抜糸という三回の通院が必要です。この時間を確保できる時期を選んでください。所要時間は
親知らず抜歯にかかる時間|難易度別の目安と予約の取り方にまとめています。
女性で妊娠を考えている方は、その前に済ませておくと選択肢が広がります。妊娠中は使える薬が限られ、レントゲン撮影にも配慮が必要になるためです。
40代以降で抜くことになったとき
この年代で抜歯を勧められる場合、多くは症状が出たか、手前の歯に影響が及んだことがきっかけです。
処置そのものは、生え方が単純であれば年代を問わず短時間で終わります。骨が硬いぶん時間が延びることはありますが、抜けなくなるわけではありません。
この年代で実際に確認事項が増えるのは、持病と服用中の薬です。血液をさらさらにする薬、骨粗しょう症の治療薬、糖尿病の管理状態が処置の方法に関わります。詳しくは
抜歯前に伝えるべき薬と持病|抗血栓薬・骨粗しょう症治療薬の注意をご覧ください。
回復には若い時期より日数がかかることを見込んでおいてください。腫れが最大になる時期がやや後ろにずれ、引くまでの期間も長くなる傾向があります。前日と当日の準備は
親知らず抜歯の前日・当日の準備|食事・睡眠・服装・持ち物にまとめました。
なお、埋まったままで症状のない歯を、年齢を理由に予防的に抜く必要はありません。埋まっている歯の扱いは
親知らずが生えてこない・元々ない|レントゲンで確かめる意味で扱っています。
担当医に確認しておきたいこと
年齢にかかわらず、抜歯の時期を相談するときに聞いておくとよい点があります。
第一に、その歯を抜く理由です。すでに手前の歯に影響が出ているのか、将来を見越した判断なのかで、急ぐ度合いが変わります。画像を見ながら説明してもらってください。
第二に、いま抜く場合と数年後に抜く場合で、何がどう変わるのかです。処置時間、腫れ、回復にかかる日数の見通しを聞いておけば、先送りするかどうかを自分で判断できます。
第三に、下の親知らずであれば、根の先端とあごの神経との距離です。近い場合はCTでの確認が必要になり、処置の方法も変わります。
第四に、複数本ある場合の分け方です。何回に分けるのか、間隔はどのくらいかを最初に決めておけば、生活の予定に合わせて組めます。
いずれも、その場で決めなければならないものではありません。画像だけ撮って方針を持ち帰り、時期を選ぶという進め方もできます。抜くと決めた場合の当日の流れは
親知らず抜歯の流れと術後の痛み・腫れの経過にまとめています。
年齢を理由に先送りしないために
「まだ若いから急がなくてよい」「もう年だから今さら抜けない」。どちらも、判断を止める理由になりやすい言葉です。
前者については、症状のない歯であれば実際に急ぐ必要はありません。ただし、画像で手前の歯への影響が読み取れる場合は話が別です。その場合、待っているあいだに進むのは親知らずではなく手前の歯です。
後者については、年齢が抜けない理由になることはありません。処置の負担と回復の日数は増えますが、必要があれば対応できます。実際に確認事項が増えるのは、持病と服用中の薬のほうです。
どちらの言葉も、判断の材料ではなく先送りの理由として使われがちです。決め手になるのは年齢ではなく、その歯の生え方と、手前の歯の状態です。
迷っている段階でも、画像を撮って現状を記録しておくことはできます。数年後にもう一度撮ったとき、比べる対象があれば判断が早くなります。放置した場合の変化は
親知らずを抜かないとどうなる?放置で起きる変化と受診を決める目安をご覧ください。
また、抜くかどうかとは別に、その歯のまわりを清潔に保つことは今日から始められます。清掃が届いていれば、問題が起きるまでの時間は延びます。届いているかどうかは検診で確認してもらってください。年齢にかかわらず、これは有効な手立てです。
抜くかどうかを決める前に、まず現状を画像で確認しておいてください。生え方と手前の歯の状態が分かれば、いつ抜くのが無理がないかも自然に見えてきます。判断の材料がないまま年数だけが過ぎるのが、最も避けたい進み方です。
年齢は判断のひとつの要素にすぎません。
よくある質問
親知らずは何歳までなら抜けますか
年齢の上限はありません。必要があれば50代でも60代でも抜けます。変わるのは難易度と回復の日数です。骨が硬くなるぶん処置時間が延び、腫れが引くまでの期間も長くなる傾向があります。年齢よりも、持病や服用中の薬の確認のほうが実際の検討事項になります。抜けるかどうかではなく、いつ抜くのが無理がないかで考えてください。
親知らずを抜くのに適した年齢はいつごろですか
体の条件がそろいやすいのは10代後半から20代前半です。骨に弾力があり、根が完成する前後で神経との距離に余裕があることが多く、治りも早い時期です。ただしこれは傾向であり、症状のない歯まで年齢を理由に抜く必要はありません。生え方を画像で確認してから判断してください。
40代で親知らずを抜くと大変ですか
20代と比べると処置時間が延び、腫れが出やすい傾向はあります。骨が緻密になり、歯を動かすために削る量が増えるためです。ただし個人差が大きく、40代でも骨に弾力がある方はいます。生え方がまっすぐであれば、年代にかかわらず短時間で終わることもあります。回復に必要な日数を少し多めに見込んでおけば、日常への支障は抑えられます。
年齢が上がると神経のリスクは変わりますか
根の先端と下あごの神経の位置関係が変わることがあります。年数が経つと根が神経の管に近づいたり、絡むような形になったりする場合があります。この位置関係はレントゲンだけでは判断できないため、必要に応じてCTで三次元的に確認したうえで処置の方法を選びます。CTを撮るかどうかは、パノラマ画像での見え方から判断されます。
高齢でも親知らずを抜いたほうがよいですか
症状があるか、手前の歯に不利が及んでいる場合は抜歯を検討します。一方、症状がなく清掃も届いている歯であれば、年齢を理由に抜く必要はありません。持病や服薬がある場合は、内科の主治医と情報を共有したうえで、時期と方法を調整して進めます。年齢そのものが抜けない理由になることはありません。
若いうちに抜いておいたほうがよいと言われましたが本当ですか
その歯がいずれ問題を起こすと画像から読み取れる場合の助言です。斜めに生えて手前の歯に食い込んでいる、歯ぐきが半分かぶさっているといった歯が該当します。まっすぐ生えて噛み合い、清掃も届いている歯であれば当てはまりません。どこがどう問題なのかを画像で説明してもらってください。
抜く時期を選べるなら、いつがよいですか
腫れても支障の少ない時期を選んでください。長期休暇の前後や、繁忙期を外した週が候補になります。学生の方は試験や実習の期間を避けてください。妊娠を考えている場合は、その前に済ませておくと使える薬の選択肢が広がります。抜歯は検査・抜歯当日・抜糸の三回の通院が必要な点も見込んでおいてください。
年齢が上がると回復にどのくらいかかりますか
一律の日数はありません。骨を削った量と生え方によって変わります。傾向としては、腫れが最大になる時期が後ろにずれ、引くまでの日数も長くなります。まっすぐな歯を短時間で抜いた場合は、年代にかかわらず数日で落ち着くことが多い処置です。抜いた歯の生え方と、削った骨の量を目安として聞いておくと見通しが立ちます。
まとめ
親知らずを抜くのに年齢の上限はありません。必要があれば何歳でも抜けます。年齢によって変わるのは三点です。第一に骨の硬さです。若い時期の骨は弾力があり歯が動きますが、年齢が上がると緻密になり、歯を動かすために周囲の骨を削る量が増えます。削る量が増えれば処置時間は延び、腫れも出やすくなります。第二に根の完成度です。根は10代後半から20代前半にかけて完成します。完成前は下あごの神経との距離に余裕があることが多い一方、歯が割れやすいという面もあり、早ければ早いほどよいという単純な話ではありません。年数が経つと根が神経の管に近づくことがあり、その場合はCTで位置を確認します。第三に組織の治りの速さです。若い時期は腫れが引くまで、口が開くようになるまでの日数がいずれも短く、年齢が上がるとゆるやかになります。ただし実際の検討事項として大きいのは、年齢そのものより持病と服用中の薬です。血液をさらさらにする薬、骨粗しょう症の治療薬、糖尿病の管理状態は、処置の方法と時期に関わります。いずれも事前に情報がそろっていれば調整して進められます。そして「若いうちに」という助言は、その歯がいずれ問題を起こすと画像から読み取れる場合の話です。まっすぐ生えて噛み合い、清掃も届いている歯を年齢だけを理由に抜く必要はありません。時期を選べるのであれば、腫れても支障の少ない週を選んでください。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の方は、通院しやすい時期に合わせて計画を立てるとよいでしょう。全体像は
親知らずの抜歯|抜くべき基準・流れ・費用を解説と
親知らず抜歯の流れと術後の痛み・腫れの経過にまとめています。
参考・出典
- 日本口腔外科学会「智歯の抜歯に関する診療ガイドライン」
- 日本歯科放射線学会「歯科用コーンビームCTの臨床応用指針」
- 日本骨代謝学会ほか「骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理」
- 厚生労働省「歯科疾患実態調査」