対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
親知らずが生えてこない、あるいは元々ないと言われた。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の方から、30代を過ぎても生えないが問題ないかというご質問をいただきます。生えていないことには二つの意味があります。本当に歯そのものが存在しない場合と、骨の中に埋まったまま出てきていない場合です。この二つは見た目では区別できず、レントゲンでしか分かりません。このページでは、その違いと確認しておく意味を説明します。
このページの要点
- 「生えていない」には、存在しない場合と埋まっている場合の二つがある
- 区別できるのはレントゲンのみ。見た目や指で触れて判断はできない
- 4本すべてがない人も珍しくない。異常ではない
- 埋まったままの歯は、多くは無症状で経過する
- ただし袋状の病変ができることがあり、一度は画像で確認しておく価値がある
- 20歳前後で一度撮っておけば、その後の判断が楽になる
抜くかどうかの基準そのものは
親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準にまとめています。ここでは「そもそも生えてきていない」方に向けた内容を扱います。
二つの状態を比べます。
| 状態 | どういうことか | その後どうするか |
| 先天的にない | 歯のもとになる組織が作られなかった | 特に何もしなくてよい |
| 完全に埋まっている | 骨の中にあるが出てこない | 数年ごとに画像で確認 |
| 一部だけ出ている | 歯ぐきが半分かぶさっている | 腫れやすく方針の相談を |
| 遅れて生えている | 25歳を過ぎてから出てくることも | 経過を見て条件を確認 |
※4本のうち何本あるかは人によって異なり、片側だけある方もいます。
親知らずがない人はどのくらいいるのか
親知らずが4本そろっていない方は、決して例外ではありません。
歯の本数は生まれつき決まっており、親知らずは最も欠けやすい歯とされています。1本もない方、片側だけ2本ある方、上だけある方など、組み合わせはさまざまです。
これは体の異常ではなく、個人差の範囲です。歯の本数が少ないことで、噛む力や食事に支障が出ることもありません。親知らずは第二大臼歯までがそろっていれば、機能の面で欠かせない歯ではないためです。
なお、親知らず以外の歯が生まれつき少ない場合は、噛み合わせの計画に関わります。この場合は矯正や補綴(ほてつ:失った部分を補う治療)の観点から検討が必要です。
「ない」と「埋まっている」は見分けられない
ここが最も重要な点です。
歯ぐきの上に何も出ていない状態は、歯が存在しない場合と、骨の中に完全に埋まっている場合の両方でまったく同じに見えます。指で触っても、鏡で見ても、区別はできません。
区別できるのはレントゲンだけです。パノラマ撮影(あご全体を1枚に写す撮影)で、上下左右の奥に歯の影があるかどうかを見ます。埋まっている場合は、骨の中にはっきりと歯の形が写ります。

「生えてこないから、ないのだろう」と自己判断されている方が少なくありません。実際には埋まったままだったという例は珍しくないため、一度は確認しておくことをお勧めします。
埋まったままでも問題ないのか
完全に骨の中に埋まっていて、周囲に変化がない歯は、多くの場合そのまま経過します。
出てくる余地がないため、歯ぐきの炎症も起こりません。清掃の必要もありません。この状態であれば、無理に抜く理由はないというのが一般的な考え方です。
ただし、例外があります。埋まった歯を包んでいた袋が液体をためて大きくなることがあり、これを含歯性嚢胞(がんしせいのうほう:埋まった歯の周囲にできる袋状の病変)と呼びます。頻度は高くありませんが、無症状のまま進むという性質があります。
大きくなると周囲の骨を押しのけ、あごの骨が薄くなります。手前の歯の根を吸収してしまうこともあります。放置による変化全般は
親知らずを抜かないとどうなる?放置で起きる変化と受診を決める目安にまとめています。
一度は撮っておく意味
症状がないのに撮影する意味は、次の三点です。
第一に、存在の有無をはっきりさせておくためです。「ない」と確認できれば、以後この件で悩む必要がなくなります。今後どこで受診しても、その情報を伝えられます。
第二に、埋まっている場合に基準となる画像を残しておくためです。数年後にもう一度撮ったとき、比較する対象があれば変化に気づけます。比較できる画像がないと、そこに何かがあると分かっても、以前からなのか新しく起きたのかが判断できません。
第三に、手前の第二大臼歯との位置関係を知っておくためです。埋まった歯が手前の歯の根に接している場合、将来その歯の治療をするときに影響します。
パノラマ撮影の費用は保険の範囲で数百円から千円台です。検査費用の内訳は
親知らず抜歯前のCT・レントゲン費用|検査代の内訳と必要になるケースを参考にしてください。
いつ撮るのがよいか
一つの目安は20歳前後です。
この時期には親知らずの根がおおむね完成しており、生えてくる歯であれば出てきています。この時点で埋まったままであれば、その後自然に出てくる可能性は下がります。
すでに30代・40代で一度も撮ったことがない場合も、遅すぎるということはありません。他の目的で歯科を受診した際に、あわせて撮影をお願いすれば済みます。
なお、遅れて生えてくることもあります。25歳を過ぎてから頭が出てきたという方もいます。生えてくるときの症状は
親知らずが生えてくるときの痛み|何歳で生える・いつまで続くかで扱っています。
一部だけ出ている場合は話が別
完全に埋まっている歯と、一部だけ頭を出している歯では、扱いがまったく異なります。
歯ぐきが半分かぶさった状態は、その下を洗い流せない構造です。細菌がたまり、体調が落ちたときに腫れます。治まってもまた同じことが起こります。繰り返す場合は
智歯周囲炎を繰り返す|親知らずの炎症がぶり返す理由と抜歯を決める目安をご覧ください。
この状態は「生えていない」ではなく「生えかけ」です。方針を決める段階にあります。まっすぐ生えきる見込みがあるかどうかは
まっすぐ生えた親知らずは抜かなくていい?残せる条件と手入れの仕方が参考になります。
深く埋まった歯を抜く場合の流れは
横向き・埋まっている親知らず(埋伏智歯)の抜歯|難易度と流れに、必要に応じた紹介の流れは
親知らず抜歯で大学病院・口腔外科を紹介されるのはどんなとき?にまとめています。
名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で確認される場合は、定期検診の機会にあわせて相談されるのが現実的です。年齢による判断の違いは
親知らずを抜くなら何歳までがよい?年齢で変わる難易度と回復もご覧ください。
親知らずがないことと歯並びの関係
「親知らずがないから歯並びが崩れない」と聞くことがありますが、この関係は単純ではありません。
前歯が重なってくる変化は、親知らずが押すことだけが原因ではありません。加齢による歯ぐきと骨の変化、噛む力の向き、舌や唇の癖など、複数の要因が関わります。親知らずがない方でも前歯が重なってくることはあります。
そのため、親知らずがないことを歯並びの保証と考える必要はありません。逆に、親知らずがあることを歯並びが崩れる原因と決めつける必要もありません。
この論点は
親知らずは歯並びを悪くする?前歯が動く説の真偽で詳しく扱っています。
矯正治療を受けたあとに後戻りを防ぐ目的で親知らずを抜くかどうかは、矯正を担当する歯科医師の方針によります。画像で位置を確認したうえで判断されます。
1本だけある、片側だけあるという場合
4本そろっていないという状態には、いくつものパターンがあります。
上だけ2本ある、下だけ2本ある、右側だけ2本ある、1本だけあるなど、組み合わせはさまざまです。いずれも個人差の範囲で、異常ではありません。
ただし、噛み合う相手がいない親知らずは扱いが変わります。相手がないまま残ると、その歯は少しずつ伸びてきます。上の歯が下がってくると下の歯ぐきや頬に当たり、下の歯が伸びると上の歯ぐきに当たります。
このため「1本だけある」場合は、その歯に噛み合う相手があるかどうかを確認してください。相手がなく、すでに伸びはじめている場合は、伸びきる前に方針を決めておくほうが選択肢が広くなります。
残せる条件の詳細は
まっすぐ生えた親知らずは抜かなくていい?残せる条件と手入れの仕方にまとめています。頬に当たる場合の対処は
親知らずが頬や舌に当たって痛い|口内炎を繰り返すときの対処をご覧ください。
画像を撮ったときに見てもらう三点
レントゲンを撮った際、次の三点を確認してもらってください。
第一に、親知らずが何本あるか、それぞれどの位置にあるかです。上下左右それぞれについて、存在するかどうかを教えてもらいます。
第二に、埋まっている歯がある場合、その向きです。まっすぐ埋まっているのか、横向きなのか、手前の歯のほうを向いているのかによって、その後の見方が変わります。
第三に、周囲の骨に変化がないかです。歯を包む袋が広がっている像がないか、手前の歯の根が吸収されていないかを見てもらいます。
この三点を聞いておけば、その後どこの医院にかかっても情報を伝えられます。撮影した画像のデータをもらえるか尋ねておくのもよい方法です。
なお、症状のない埋まった歯について、すぐに抜くよう勧められることは多くありません。経過を見るという判断が一般的です。抜くとしたらどのような場合かは
抜くべきかどうかの判断基準を参考にしてください。抜歯にかかる時間の目安は
親知らず抜歯にかかる時間|難易度別の目安と予約の取り方にまとめています。
子どもの時期に分かること
親知らずの有無は、実は10代前半の段階でおおよそ分かります。
歯のもとになる組織は、生えてくるずっと前から骨の中に作られています。矯正相談などでパノラマ撮影をすると、まだ生えていない親知らずの芽が写ります。
この段階で「4本ある」「上だけ2本ある」といったことが確認できます。将来どう扱うかを決める必要はありませんが、存在の有無を知っておくと、その後の判断が楽になります。
矯正治療を予定している場合は、この情報が計画に関わります。歯を並べるスペースの確保や、治療後の後戻りをどう考えるかに影響するためです。ただし、親知らずが前歯の重なりを引き起こすかどうかについては、単純な因果関係があるわけではありません。詳しくは
親知らずは歯並びを悪くする?前歯が動く説の真偽をご覧ください。
学校の歯科健診では親知らずまで確認されないことが一般的です。気になる場合は、健診とは別に歯科医院で相談してください。健診後の動き方は
名古屋市の学校歯科健診|結果の紙が届いてからの受診先の選び方と費用にまとめています。
「ない」と言われた記憶があいまいなとき
以前どこかで「親知らずはありませんね」と言われた記憶はあるものの、いつ・どの医院でだったか思い出せないという方がいます。
この場合、もう一度確認しておくことをお勧めします。理由は二つあります。
ひとつは、その時点で埋まっていた歯が、後から出てきている可能性があるためです。25歳を過ぎてから頭を出す例もあります。
もうひとつは、当時の説明が4本すべてについてだったのか、一部についてだったのかが不明なためです。「上はありません」という話を、4本ないと記憶していることがあります。
確認そのものは、パノラマ撮影1枚で済みます。他の目的で歯科を受診する機会にあわせて依頼すれば、追加の通院も要りません。
その際、上下左右それぞれについて有無を教えてもらい、メモしておいてください。次にどこの医院にかかっても、そのまま伝えられます。埋まっている歯が見つかった場合の扱いは
抜歯をすすめられるのはどんな歯かを参考にしてください。
なお、確認の結果として本当に1本もなかったという場合も珍しくありません。その場合は、以後この件について考える必要がなくなります。はっきりさせておくこと自体に意味があります。気になったまま何年も過ごすより、一度確認しておくほうが気が楽です。
撮影の際は、上下左右それぞれについて有無を教えてもらい、控えておいてください。次にどこの医院にかかっても、その情報をそのまま伝えられます。
撮影は保険の範囲で受けられ、費用も大きくありません。
よくある質問
親知らずが生えてこないのは異常ですか
異常ではありません。親知らずは生まれつき欠けやすい歯で、4本そろっていない方は珍しくありません。1本もない方、片側だけある方、上だけある方などさまざまです。噛む力や食事に支障が出ることもないため、ないこと自体を心配する必要はありません。歯の本数は生まれつき決まっており、親知らずは最も欠けやすい歯とされています。
親知らずがないのか埋まっているのか、自分でわかりますか
見分けられません。歯ぐきの上に何も出ていない状態は、歯が存在しない場合と骨の中に完全に埋まっている場合で見た目がまったく同じです。指で触っても区別できません。判断できるのはレントゲンだけで、あご全体を写すパノラマ撮影で確認します。埋まっている場合は、骨の中にはっきりと歯の形が写ります。
埋まったままの親知らずは抜いたほうがよいですか
完全に埋まっていて周囲に変化がなければ、多くの場合そのまま経過を見ます。出てくる余地がないため炎症も起こりにくく、無理に抜く理由はありません。ただし袋状の病変ができることがあるため、数年ごとに画像で変化がないかを確認しておくと安心です。出てくる余地がないため、歯ぐきの炎症も起こりにくい状態です。
いつレントゲンを撮っておけばよいですか
20歳前後が一つの目安です。この時期には親知らずの根がほぼ完成し、生えてくる歯であれば出てきています。すでに30代・40代で撮ったことがない場合も遅くはありません。他の目的で歯科を受診した際に、あわせて撮影をお願いすれば済みます。この時期に埋まったままであれば、その後自然に出てくる可能性は下がります。
症状がないのに撮る意味はありますか
三つあります。存在の有無をはっきりさせて以後悩まずに済むこと。埋まっている場合に、数年後と比較できる基準の画像を残せること。手前の奥歯との位置関係を知っておけること。とくに比較対象がないと、後で何かが写っても以前からなのか新しい変化かを判断できません。撮影した画像のデータをもらえるか尋ねておくのもよい方法です。
30歳を過ぎてから親知らずが生えてくることはありますか
あります。25歳を過ぎてから頭が出てきたという方もいます。ただし本数は多くありません。生えはじめの時期には歯ぐきが押される鈍い痛みが出ることがあります。一部だけ出ている状態は腫れやすいため、その段階で一度確認してもらってください。生えはじめの時期には、歯ぐきが押される鈍い痛みが出ることがあります。
歯ぐきが少しだけ出ている状態はどう扱いますか
完全に埋まっている歯とは扱いが異なります。歯ぐきが半分かぶさった状態は、その下を洗い流せず細菌がたまります。体調が落ちたときに腫れ、治まってもまた繰り返します。生えていないのではなく生えかけであり、方針を決める段階にあると考えてください。体調が落ちたときに腫れ、治まってもまた同じことが繰り返されます。
親知らずがないと将来困ることはありますか
日常生活で困ることはありません。噛む機能は第二大臼歯までで十分に足ります。しいて言えば、奥歯を失ったときに自分の親知らずを移す歯牙移植という選択肢が使えない、ブリッジの支えとして使えない、という点です。いずれも代わりの方法があります。いずれも代わりの方法があるため、実際に困る場面はほとんどありません。
まとめ
親知らずが生えてこないという状態には、二つのまったく異なる意味があります。ひとつは、歯のもとになる組織が生まれつき作られなかった場合です。親知らずは最も欠けやすい歯で、4本そろっていない方は珍しくありません。これは異常ではなく個人差であり、噛む機能に支障もありません。もうひとつは、歯は存在するが骨の中に埋まったまま出てきていない場合です。この二つは見た目ではまったく区別がつかず、指で触っても分かりません。判断できるのは、あご全体を写すパノラマ撮影だけです。「生えてこないから、ないのだろう」と自己判断されている方が少なくありませんが、実際には埋まったままだったという例は珍しくありません。完全に埋まっていて周囲に変化がない歯は、多くの場合そのまま経過します。ただし埋まった歯を包む袋が大きくなる含歯性嚢胞という変化が起こることがあり、これは無症状のまま進むという性質があります。そのため、一度は画像で確認しておく価値があります。撮っておく意味は三点です。存在の有無をはっきりさせて以後悩まずに済むこと、数年後に比較できる基準の画像を残せること、手前の第二大臼歯との位置関係を知っておけることです。時期の目安は20歳前後ですが、30代・40代からでも遅くはありません。なお、歯ぐきが一部だけかぶさっている状態は「生えていない」ではなく「生えかけ」であり、腫れを繰り返しやすいため方針を決める段階です。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の方は、定期検診の機会にあわせて相談されるとよいでしょう。親知らず全般は
親知らずの抜歯|抜くべき基準・流れ・費用を解説、抜歯の流れは
親知らず抜歯の流れと術後の痛み・腫れの経過にまとめています。
参考・出典
- 日本口腔外科学会「智歯の抜歯に関する診療ガイドライン」
- 日本歯科放射線学会「歯科エックス線検査の適正実施に関する指針」
- 日本口腔科学会「顎骨嚢胞の診断と治療」
- 厚生労働省「歯科疾患実態調査」