対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
まっすぐ生えた親知らずは抜かなくていいのか。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の方から、健診で「これは残せますね」と言われた歯についてご質問をいただきます。まっすぐ生えていること自体は良い条件ですが、それだけで残せると決まるわけではありません。上下が噛み合っているか、歯ブラシが実際に届いているかまで満たしてはじめて、残す選択が現実的になります。このページでは残せる条件を四つに分け、日々の手入れの方法まで説明します。
このページでわかること
- 残せる親知らずの条件は「向き」「噛み合わせ」「清掃性」「歯ぐきの状態」の四つ
- まっすぐでも上下のどちらかが欠けていると、伸びてきて別の問題を起こす
- いちばん見落とされるのは「歯ブラシが届いているつもり」で届いていないこと
- 残す判断をしたら、三か月から半年ごとに同じ場所を確認する
- 将来ブリッジの支えや移植のもと歯として使える可能性がある
抜くかどうかの全体の考え方は
親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準にまとめています。ここでは「まっすぐ生えている」と言われた方に向けて、残す前提での確認事項を扱います。
四つの条件を、確認の方法とあわせて整理します。
| 条件 | 満たしている状態 | 確認の方法 |
| 向き | 手前の歯と平行に、まっすぐ立っている | レントゲンで根の傾きを見る |
| 噛み合わせ | 上下の親知らずが噛み合っている | 噛んだとき当たる感覚があるか |
| 清掃性 | 歯ブラシの毛先が奥の面まで届く | 染め出しで磨き残しを見る |
| 歯ぐき | かぶさりがなく、出血しない | 検診でポケットの深さを測る |
※四つすべてを満たしていれば、他の奥歯と同じように扱えます。
条件その一:向きがまっすぐであること
まっすぐという言葉は、見た目の印象ではなく根の向きを指します。
歯冠(しかん:歯ぐきから出ている部分)が正面から見てまっすぐでも、根が手前に傾いていることがあります。この場合、手前の歯との間に狭いくさび状の隙間ができ、そこに食べかすがたまります。
見分けるにはレントゲンが必要です。手前の第二大臼歯の根と、親知らずの根が平行に並んでいれば、まっすぐと判断できます。角度がついている場合は、たとえ表から見て問題がなくても、隙間に汚れがたまる構造になっています。
傾いた歯の場合にどうなるかは
親知らずを抜かないとどうなる?放置で起きる変化と受診を決める目安で説明しています。上下での違いは
上の親知らずと下の親知らずの違い|抜歯の難易度・腫れ・痛みをご覧ください。
条件その二:上下が噛み合っていること
親知らずは、上下がそろってはじめて機能します。
片方だけが残っている状態では、噛み合う相手がありません。歯は相手がいないと少しずつ伸びてきます。上の親知らずが下がってくると、下の歯ぐきや頬の粘膜に当たり、傷や口内炎の原因になります。
伸びた歯が下あごの歯ぐきに深く当たると、その部分に潰瘍ができて治りにくくなります。頬に当たる場合の対処は
親知らずが頬や舌に当たって痛い|口内炎を繰り返すときの対処に整理しています。
そのため「まっすぐ生えているが、噛み合う相手がいない」という歯は、残す条件を満たしていません。この場合は伸びる前に方針を決めておくほうが選択肢が広くなります。
条件その三:歯ブラシが実際に届いていること
四つの条件のなかで、最も見落とされるのがこれです。
親知らずは歯列のいちばん奥にあり、口を大きく開けるほど頬の筋肉が張って器具が入りにくくなります。届いているつもりでも、奥の面には毛先が触れていないことがよくあります。
確かめる方法は二つあります。ひとつは、歯垢を染める染色液を使って磨いた直後に鏡で見ることです。もうひとつは、検診時に歯科衛生士に磨き残しの位置を指摘してもらうことです。自分の感覚ではなく、色と指摘で確認してください。
奥の面まで届かせるには、口を大きく開けすぎないことがコツです。半分ほど閉じると頬がゆるみ、歯ブラシの角度をつけやすくなります。タフトブラシ(毛束がひとつの小さな歯ブラシ)を使うと、奥の面に直接当てられます。使い方は
タフトブラシの使い方|奥歯・親知らず・矯正装置まわりの磨き残しを減らすにまとめています。
条件その四:歯ぐきがかぶさっていないこと
歯冠の一部に歯ぐきがかぶさっていると、その下は洗い流せない空間になります。
かぶさりが少しでも残っていれば、細菌はそこで増えます。体調が落ちたときに腫れ、治まってもまた同じことが起こります。繰り返す場合の考え方は
智歯周囲炎を繰り返す|親知らずの炎症がぶり返す理由と抜歯を決める目安をご覧ください。
生えかけの時期であれば、あと数か月で完全に出てくることもあります。年齢と生えきる見込みについては
親知らずが生えてくるときの痛み|何歳で生える・いつまで続くかで扱っています。
残すと決めたあとの手入れ
条件を満たして残すことにした場合、日々の手入れの内容は次のとおりです。
歯ブラシは、奥の面に毛先を当てることを意識してください。歯列に対して直角ではなく、やや斜め後ろから入れると当たります。口を半分閉じ、頬をゆるめてから動かします。
フロスは、親知らずと手前の歯の間に通します。通しにくい場合は、糸巻きのフロスよりホルダー付きのY字型のほうが奥まで届きます。
タフトブラシは、親知らずの奥の面と、歯ぐきとの境目に使います。強い力は必要ありません。毛先が届いていれば、軽く動かすだけで汚れは落ちます。歯間ケア全般については
デンタルフロスと歯間ブラシの使い分け|サイズ・順番・頻度が参考になります。
定期検診では、その部分のポケットの深さと出血の有無を毎回記録してもらってください。数値が少しずつ深くなっている場合は、清掃が届いていない証拠です。
残した親知らずが将来役に立つ場面
条件を満たした親知らずは、単に「抜かずに済んだ歯」ではありません。
ひとつは、移植のもと歯としての使い道です。奥歯を失ったときに、自分の親知らずをその場所へ移すという方法があります。条件は限られますが、選択肢のひとつになります。詳しくは
親知らずの移植(歯牙移植)とは|条件・成功率・費用をご覧ください。
もうひとつは、ブリッジの支えとしての使い道です。手前の歯を失った場合に、親知らずが支台歯(しだいし:橋渡しを支える歯)になれることがあります。歯を失ったときの選択肢は
歯を失ったときの選択肢|入れ歯・ブリッジ・インプラントの比較で扱っています。
名古屋で確認するときの伝え方
名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で受診される際は、「親知らずを残す方針で、その部分の清掃状態を見てほしい」と伝えてください。目的が明確だと、必要な確認が受けやすくなります。
前回のレントゲンの時期も伝えておくと、比較の材料になります。抜く場合の流れを知っておきたい方は
親知らず抜歯の流れと術後の痛み・腫れの経過もあわせてご覧ください。
上と下では条件の満たしやすさが違う
同じ「まっすぐ生えている」でも、上の親知らずと下の親知らずでは事情が異なります。
上の親知らずは、まっすぐ生えることが多い歯です。骨がやわらかく、生えてくる余地が確保されやすいためです。一方で、位置が高く外側に傾いていることがあり、頬の内側に当たって傷をつくる場合があります。
下の親知らずは、まっすぐ生えていても清掃が難しくなりやすい歯です。あごの角度の関係で、歯ブラシを奥まで入れる角度が取りにくく、舌も邪魔になります。上より意識してケアする必要があります。
また、上下のうち片方だけがまっすぐ生えている場合、噛み合う相手がいないという条件に引っかかります。上だけがある場合は下がってきて下の歯ぐきに当たり、下だけがある場合は伸びて上の歯ぐきに当たります。
このため「まっすぐ生えている」という指摘を受けたときは、上下がそろっているかどうかもあわせて確認してください。それぞれの特徴は
上の親知らずと下の親知らずの違い|抜歯の難易度・腫れ・痛みで扱っています。
定期検診で見てもらう三つの数値
残す判断をした親知らずは、記録をとりながら経過を見ます。見てもらうのは次の三点です。
第一に、歯周ポケットの深さです。親知らずのまわりを数か所測り、前回と比べます。少しずつ深くなっている場合は、清掃が届いていないか、清掃の方法が合っていないというサインです。数値の意味は
歯周病検査の数値の見方|プロービング・動揺度・出血率が示すものにまとめています。
第二に、測ったときの出血の有無です。出血する部位は炎症が起きています。深さが変わっていなくても、出血が続いているなら手入れを見直す必要があります。
第三に、手前の第二大臼歯との境目の状態です。ここに食べものが詰まるようになった、フロスが引っかかるようになったという変化は、親知らずの位置が動いた可能性を示します。
これらを毎回同じ項目で記録してもらえば、変化に早く気づけます。「特に問題ありません」で終わらせず、数値として残してもらってください。
残す判断が変わることもある
いったん残すと決めた歯でも、条件が変わることがあります。
歯ぐきが下がって歯の根の面が露出すると、そこは虫歯になりやすい部分です。奥の面に露出が起きると、清掃も治療も難しくなります。
また、噛み合っていた相手の親知らずを何らかの理由で抜くことになった場合、残った側は噛み合う相手を失います。この時点で条件がひとつ欠けるため、方針の見直しが必要です。
年齢とともに口の開きが小さくなると、清掃も治療も難しくなります。将来の負担を考えて、動ける時期に方針を決め直すという選択もあります。年齢との関係は
親知らずを抜くなら何歳までがよい?年齢で変わる難易度と回復をご覧ください。
条件が変わったときは、残すか抜くかをもう一度考えます。一度決めたら変えられないものではありません。虫歯が見つかった場合の判断は
親知らずが虫歯になった|治して残すか抜くかの判断にまとめています。
名古屋で通う医院を選ぶときの視点
残す方針の親知らずは、長く同じ医院で見てもらうことが前提になります。医院選びの視点をいくつか挙げます。
まず、記録を残してくれるかどうかです。歯周ポケットの深さや出血の有無を毎回同じ項目で測り、前回と比べて説明してもらえる医院であれば、変化に早く気づけます。「特に問題ありません」だけで終わる場合は、数値を教えてほしいと伝えてください。
次に、清掃の指導があるかどうかです。親知らずのまわりは、自己流では届かない部位です。歯科衛生士に磨き方を見てもらい、届いていない面を指摘してもらえる環境が役に立ちます。
そして、通い続けられる場所にあるかどうかです。三か月から半年ごとの受診を何年も続けることになります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で通院される方は、勤務先や自宅からの動線上にある医院を選ぶと途切れにくくなります。
久しぶりの受診をためらっている方は
何年も歯医者に行っていない|久しぶりの受診で何をするか・費用の目安を、検診の内容は
歯の定期検診では何をする?内容・費用・所要時間をご覧ください。
残すことのメリットを過大に見ないために
親知らずを残せると聞くと、それだけで良いことのように感じられます。ただし、残すという判断には手間が伴います。
日々の清掃で、他の歯より意識を向ける部位がひとつ増えます。定期検診の頻度も、症状のない方が年に一度で済ませていたところを、三か月から半年ごとに保つことになります。
また、その部分に問題が起きた場合、治療の難易度は他の奥歯より高くなります。器具が入りにくく、防湿もしにくい位置だからです。結果として、治療してもまた同じ場所から進むことがあります。
これらを踏まえたうえで、噛む機能を担っている歯であれば残す価値があります。逆に、噛み合う相手がなく機能していない歯を、手間をかけて維持する意味は乏しくなります。
残す・抜くのどちらが正しいというものではありません。条件を確認し、続けられる手入れの範囲で判断してください。虫歯になった場合の考え方は
親知らずが虫歯になった|治して残すか抜くかの判断にまとめています。
なお、残すと決めたあとで方針を変えても構いません。条件が変われば判断も変わります。大切なのは、その時点の状態を把握したうえで選んでいることです。何年も確認しないまま「残している」状態になっていないかを、ときどき見直してください。
判断に迷ったときは、いま抜く理由があるかどうかで考えてください。理由が見当たらなければ、経過を見る選択で構いません。
その判断は、検診のたびに見直せます。
よくある質問
まっすぐ生えた親知らずは抜かなくてよいですか
多くの場合は抜かずに残せます。ただし条件があります。根の向きがまっすぐで、上下の親知らずが噛み合い、歯ブラシが奥の面まで届き、歯ぐきがかぶさっていないという四つです。見た目がまっすぐでも根が傾いていることがあるため、レントゲンで確認したうえで判断してください。
まっすぐでも抜いたほうがよい場合はありますか
あります。噛み合う相手の親知らずがない場合です。相手がいないと歯は少しずつ伸び、対する歯ぐきや頬に当たって傷をつくります。また、歯ぐきが一部かぶさったままで腫れを繰り返している場合や、手前の歯との間に食べものが詰まる場合も、残す条件を満たしていません。いずれも、残す四つの条件のうち一つ以上が欠けている状態です。
親知らずまで歯ブラシが届いているか自分でわかりますか
感覚では判断できません。確かめる方法は二つあります。歯垢を染める染色液を磨いた直後に使い、鏡で奥の面を見ること。もう一つは検診で歯科衛生士に磨き残しの位置を指摘してもらうことです。届いていないことに気づいていない方が多い部位なので、一度は確認してください。いずれも三か月ごとの検診の場で頼めば確認してもらえます。
親知らずを磨くコツはありますか
口を大きく開けすぎないことです。大きく開けると頬の筋肉が張り、歯ブラシが奥に入りません。半分ほど閉じて頬をゆるめ、やや斜め後ろから毛先を入れてください。毛束がひとつのタフトブラシを使うと、奥の面と歯ぐきの境目に直接当てられます。歯ブラシとあわせてホルダー付きのフロスも使ってください。
残した親知らずはどのくらいの頻度で見てもらえばよいですか
三か月から半年ごとが目安です。確認するのは、その部分の歯周ポケットの深さ、出血の有無、手前の歯との境目の状態の三点です。数値が少しずつ深くなっていく場合は清掃が届いていないサインなので、磨き方を見直すか、方針を相談し直してください。毎回同じ項目で記録してもらうと、変化に早く気づけます。
生えかけの親知らずは残せますか
現時点では判断できません。歯ぐきが一部かぶさっている状態は、その下を洗えないため炎症が起こりやすい構造です。ただし生えきる途中であれば、数か月で条件が変わることがあります。痛みがなければ経過を見て、完全に出た時点で改めて四つの条件を確認してください。生えかけの段階で腫れを繰り返している場合は、待たずに相談してください。
親知らずを残しておくと将来役に立ちますか
役に立つ場面があります。奥歯を失ったときに、親知らずをその場所へ移す歯牙移植のもと歯として使える可能性があります。また、手前の歯を失った場合にブリッジの支えになることもあります。どちらも条件は限られますが、健全な親知らずがあることは選択肢を残すことになります。
上の親知らずだけまっすぐ生えている場合はどうしますか
噛み合う下の歯があるかどうかで変わります。下がない場合、上の歯は少しずつ下がってきます。頬や下の歯ぐきに当たるようになると、口内炎や傷を繰り返します。伸びきってからでは処置の負担が増えるため、伸びはじめの段階で方針を決めておくほうが選択肢が広くなります。伸びはじめたかどうかは、検診で写真を撮って比べると分かります。
まとめ
まっすぐ生えた親知らずは抜かなくてよいことが多い一方で、まっすぐという条件だけでは足りません。残せると判断するには四つの条件がそろう必要があります。第一に、根の向きがまっすぐであること。見た目ではなくレントゲンで、手前の第二大臼歯の根と平行かを確認します。第二に、上下の親知らずが噛み合っていること。相手がいない歯は伸びてきて、対する歯ぐきや頬に当たり傷をつくります。第三に、歯ブラシが奥の面まで実際に届いていること。これが最も見落とされる条件で、届いているつもりで届いていない方が多い部位です。染め出しか、検診での指摘で確認してください。第四に、歯ぐきがかぶさっていないこと。少しでもかぶさりが残ると、その下は洗い流せず炎症の原因になります。残すと決めたあとは、口を半分閉じて頬をゆるめ、やや斜め後ろから毛先を入れる磨き方に切り替えてください。タフトブラシとホルダー付きフロスを併用すると届きやすくなります。そして三か月から半年ごとに、その部分のポケットの深さと出血を記録してもらってください。数値が深くなっていくなら、清掃が届いていない証拠です。残した親知らずは、将来の歯牙移植のもと歯やブリッジの支えとして選択肢を広げます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の方は、「残す方針で清掃状態を見てほしい」と伝えて受診してください。基準の全体像は
親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準、親知らず全般は
親知らずの抜歯|抜くべき基準・流れ・費用を解説にまとめています。
参考・出典