対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
同じ場所にばかり口内炎ができる。奥のほうがいつもヒリヒリする。こうした症状の原因が、親知らずの当たりにあることがあります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の方から「口内炎の薬を塗っても、治ってはまた同じところにできる」というご相談をいただきます。傷が同じ場所を繰り返すとき、原因は体調ではなく、当たっている歯のほうにあります。このページでは、当たりが起こる仕組み、応急的にできる対処、そして受診してできることを整理します。
先に結論
- 同じ場所に繰り返す傷は、体調ではなく当たりが原因のことが多い
- 上の親知らずが外側に傾いて、頬の内側に当たるのが典型
- 舌に当たる場合は、下の親知らずが内側に傾いていることが多い
- 薬で傷は治せるが、当たりが残るかぎり同じ場所にまたできる
- 歯の角を丸めるだけで解決することもある
- 2週間以上治らない傷、硬いしこりを伴う傷は別の理由で受診が必要
親知らずの痛み全般については
親知らずが痛い・腫れたときの原因と対処法にまとめています。ここでは粘膜への当たりに絞って扱います。
当たり方によって、対処が変わります。
| 当たる場所 | よくある原因 | とられることの多い対処 |
| 頬の内側 | 上の親知らずが外向きに傾いている | 歯の角を丸める、または抜歯 |
| 舌のふち | 下の親知らずが内向きに傾いている | 歯の角を丸める、または抜歯 |
| 歯ぐきの上 | 上の歯がかぶさった歯ぐきを噛む | 歯ぐきの処置、または抜歯 |
| 広い範囲 | 腫れて粘膜が歯に触れやすい | まず炎症を抑える |
※実際の対処は、歯の向き、隣の歯の状態、噛み合わせによって変わります。
なぜ親知らずは粘膜に当たりやすいのか
親知らずは、あごの最も奥に生えてきます。この位置には、二つの事情があります。
一つは、生えるための場所が足りないことです。現代人のあごは、親知らずが並ぶだけの長さを持たないことが多く、そのため親知らずはまっすぐ立てず、傾いた向きで生えてきます。
もう一つは、周囲の粘膜との距離が近いことです。上の親知らずのすぐ外側には頬の内側の粘膜、下の親知らずのすぐ内側には舌があります。数ミリの向きの違いで、粘膜に触れるかどうかが変わります。
上の親知らずは、外側に傾いて生えることが多くあります。この場合、歯の先端やとがった部分が頬の内側をこすります。
下の親知らずは、内側に傾くと舌のふちに当たります。舌は常に動いているため、当たりの回数が多くなります。
また、上の親知らずが下向きに伸びすぎて、下の歯ぐきに直接当たることもあります。下の親知らずが生えてこず、上だけが伸びた場合に起こります。
繰り返す口内炎との関係
口内炎は、原因によって性質が異なります。
疲れや体調の変化で起こるものは、できる場所が毎回違います。前回は唇の裏、今回は舌の裏、といった具合です。
一方、当たりが原因の傷は、いつも同じ場所にできます。そして、治りかけたころにまた同じ場所を刺激されるため、完全に治りきらないまま続くこともあります。
見分けるには、傷の場所を確認してください。鏡で見て、傷のちょうど向かい側に歯があるなら、当たりが原因の可能性が高くなります。
塗り薬は、傷そのものを保護し、痛みを和らげます。ただし、当たりという条件は変えられません。薬を使いながら、同時に当たりを取り除く方向で考える必要があります。
口内炎全般の見分け方は
口内炎が治らない原因と受診の目安|種類別の見分け方をご覧ください。頬を噛む癖については
頬の内側をよく噛む原因|たまたま?それとも歯並び・疲れのサイン?で扱っています。
自分でできる応急的な対処
受診までのあいだ、痛みを和らげる方法があります。
刺激の強い食べ物を避けてください。辛いもの、酸味の強いもの、熱いもの、塩気の強いものは、傷にしみます。
粘膜を保護する市販の口内炎用の塗り薬や貼るタイプの薬は、当たりの刺激を軽くします。特に貼るタイプは、物理的な覆いとしても働きます。
歯科用のワックスを使う方法もあります。矯正装置の当たりに使うもので、薬局で手に入ります。歯のとがった部分に小さく丸めて付けると、当たりが和らぎます。ただし食事のたびに外れるため、応急的な使い方になります。
やわらかい歯ブラシで、当たっている歯の周囲もていねいに磨いてください。傷があると避けたくなりますが、汚れが残ると治りが遅くなります。
自分で歯を削ろうとしないでください。やすりなどで削ると、表面が粗くなってかえって当たりが強くなります。また、削った面から知覚過敏やむし歯が起こることがあります。
歯科でできること
受診すると、いくつかの選択肢があります。
一つは、歯の角を丸める処置です。当たりの原因が、歯のとがった一点にあることは珍しくありません。この場合、その部分をわずかに調整するだけで当たりがなくなります。処置は短時間で、麻酔も通常は不要です。
もう一つは、上の親知らずの抜歯です。上の親知らずが下向きに伸びて粘膜を噛む場合、多くはこの歯自体が噛み合わせに参加していません。上の親知らずは、下と比べて抜歯が短時間で済み、腫れも軽いことが多くあります。上下の違いは
上の親知らずと下の親知らずの違い|抜歯の難易度・腫れ・痛みにまとめています。
下の親知らずが舌に当たる場合は、歯の向きによって判断が変わります。角を丸めて済む場合もあれば、抜歯が現実的な場合もあります。抜くかどうかの基準は
親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準をご覧ください。
歯ぐきがかぶさっていて、その歯ぐきを噛んでいる場合は、まず炎症を落ち着かせます。腫れている状態では、当たりも強まります。腫れについては
親知らず周りの歯茎が腫れて痛い原因と対処で扱っています。
見逃してはいけない傷
粘膜の傷のほとんどは、当たりや体調によるもので、数日から2週間で治ります。ただし、次の特徴がある場合は、原因が異なる可能性があります。
2週間以上治らない傷。当たりを取り除いた後も治らない場合は、特に注意が必要です。
傷の縁が硬く盛り上がっている、しこりのように触れる場合。
出血しやすい、表面が白や赤にまだらに変化している場合。
痛みが乏しいのに、見た目の変化が大きい場合。
しびれを伴う場合。
これらは、粘膜の別の病変を考える必要があります。歯科口腔外科での診察が必要になることがあり、必要に応じて専門の医療機関を紹介します。扱う範囲は
歯科口腔外科で扱う症状|親知らず・膿・できもの・外傷をご覧ください。
不安になりすぎる必要はありませんが、「当たりを取り除いたのに治らない」という状況は、そのままにしないでください。
当院では、繰り返す口内炎で来られた方に、まず傷の位置と向かい側の歯の関係を確認します。傷の真向かいにとがった歯があれば、原因はほぼそこにあります。実際、角を丸める処置だけで症状が止まる方は少なくありません。抜歯が必要かどうかの判断は、その後で落ち着いて考えられます。逆に、位置がずれている場合や、当たりを取り除いても続く場合は、別の理由を探します。
腫れているときの当たりは別に考える
当たりが強くなる時期があります。歯ぐきが腫れているときです。
親知らずの周囲に炎症が起きると、歯ぐきがふくらみます。ふくらんだ歯ぐきは、上の歯に噛まれやすくなります。噛まれるとさらに腫れ、また噛まれるという悪循環になります。
この状態では、歯の角を丸めても解決しません。原因は歯の形ではなく、腫れているという状態のほうにあるためです。
対処の順番としては、まず炎症を抑えます。洗浄と、必要なら抗菌薬で腫れが引くと、当たりも自然になくなります。そのうえで、それでも残る当たりがあるかを確認します。
見分け方は簡単です。痛む場所の歯ぐきが赤く腫れているか、押すと痛むか、においがあるかを確認してください。あてはまるなら、単純な当たりではなく炎症が加わっています。
炎症を伴う場合の対応は
親知らず周りの歯茎が腫れて痛い原因と対処と
智歯周囲炎を繰り返す|親知らずの炎症がぶり返す理由と抜歯を決める目安にまとめています。
食いしばりがあると当たりは強まる
同じ歯の向きでも、当たりの強さには差があります。噛む力が関係しているためです。
日中に無意識で歯を接触させている方、睡眠中に食いしばる方では、粘膜が歯に押しつけられる時間が長くなります。その結果、同じ傾きの歯でも傷ができやすくなります。
見分ける手がかりがあります。朝起きたときに頬の内側にすじ状の跡がある、舌のふちに歯型がついている、あごがだるいといった所見です。これらは、睡眠中に強い力がかかっていることを示します。
この場合、歯の調整だけでは十分でないことがあります。噛む力そのものへの対処、たとえば就寝時のマウスピースが検討されることがあります。詳しくは
歯ぎしり・食いしばりの原因と治療|マウスピース・ボトックスは効く?をご覧ください。
また、疲れているときやストレスの多い時期に、頬を噛む回数が増える方もいます。傷ができる時期に偏りがあるなら、この要素を疑ってください。
傷が治るまでの目安
当たりを取り除いたあと、傷はどのくらいで治るのかを整理します。
浅い傷であれば、3〜5日で痛みが引き、1週間ほどで見た目も戻ります。
深い傷や、長く繰り返していた場所では、2週間近くかかることがあります。慢性的に刺激されていた粘膜は、いったん厚く硬くなっていることがあり、元に戻るまで時間がかかります。
治る途中では、傷の表面が白っぽく見えます。これは治りの過程で、膿ではありません。周囲の赤みが引いていれば、順調な経過です。
目安として、当たりを取り除いてから2週間たっても変化がない場合は、もう一度診てもらってください。当たりが完全には取れていないか、別の原因がある可能性があります。
この期間は、刺激の強い食べ物を避け、その部分もやさしく磨いてください。汚れが残ると治りが遅れます。
痛みが強い数日は、食事の温度もぬるめにしてください。熱いものは傷にしみるだけでなく、粘膜の回復を妨げます。
受診の際に伝えるとよいこと
診察を早く進めるために、次の情報が役立ちます。
いつから、どのくらいの頻度でできているか。月に1回なのか、常にあるのか。
同じ場所かどうか。鏡で確認して、位置を伝えてください。
治るまでにどのくらいかかるか。数日で治るのか、2週間以上続くのか。
薬を使ったか、効いたか。
そして、思い当たるきっかけです。歯の治療の後から始まった、疲れているときに増える、といった情報が手がかりになります。
味やにおいが変わることもある
当たりが続くと、粘膜の状態が変わり、味の感じ方に影響することがあります。傷のある部分では、味を感じにくくなったり、金属のような味を感じたりします。
多くは傷が治れば戻ります。ただし、味の変化が広い範囲に及ぶ、両側で起こる、傷と関係なく続くという場合は、別の原因を考えます。
味覚がおかしい・味がしない原因|歯科で相談できるケースをご覧ください。
においが気になる場合は、当たりよりも、親知らずの周囲にたまった汚れが原因であることが多くなります。
親知らずが臭い原因と清掃・受診の目安|においの仕組みと対処で扱っています。
口の端が切れる症状は、また別の原因によるものです。
口角炎(口の端が切れる)が治らない|原因と対処・受診先をご覧ください。
放置した場合に起こること
当たりそのものは、命に関わる症状ではありません。ただし、続くことで起こる変化があります。
まず、傷が慢性的になります。治りかけては刺激され、常にヒリヒリする状態が続きます。食事のたびに痛むため、食べるものが偏ることもあります。
次に、傷を避けようとして噛み方が変わります。片側だけで噛む習慣がつくと、あごの関節や筋肉に負担が偏ります。
そして、当たっている親知らずの周囲は清掃がしにくいことが多く、炎症や虫歯の温床にもなります。手前の歯にも影響が及ぶことがあります。この点は
奥歯の痛みは親知らず?虫歯との見分け方で扱っています。
親知らずが歯並びに与える影響については、
親知らずは歯並びを悪くする?前歯が動く説の真偽で整理しています。
繰り返す当たりは、放置しても自然に解決しません。歯の向きは変わらないためです。数分で終わる調整で済むことも多いので、早めに相談してください。
よくある質問
親知らずが頬に当たって口内炎ができるのはなぜですか
上の親知らずが外向きに傾いて生えると、歯の先端やとがった部分が頬の内側をこすります。あごの長さが足りず、親知らずがまっすぐ立てないことが背景にあります。この場合、傷はいつも同じ場所にでき、治りかけたころにまた刺激されるため、完全に治りきらないまま続くことがあります。
いつも同じ場所に口内炎ができるのは当たりが原因ですか
その可能性が高いです。疲れや体調で起こる口内炎はできる場所が毎回変わりますが、当たりが原因の傷は同じ場所を繰り返します。鏡で傷の位置を確認し、ちょうど向かい側にとがった歯があるなら、当たりを疑ってください。塗り薬では傷は治せても当たりは変えられないため、同じことが繰り返されます。
薬を塗れば治りますか
塗り薬は傷を保護して痛みを和らげますが、当たりという条件は変わらないため、同じ場所にまたできます。貼るタイプの薬は物理的な覆いにもなるため、当たりが強い場合に役立ちます。根本的には、歯の角を丸める処置か抜歯で当たりそのものを取り除く必要があり、薬はその間の対処になります。
自分で歯を削ってもよいですか
削らないでください。やすりなどで削ると表面が粗くなり、かえって当たりが強くなります。また、削った面から知覚過敏やむし歯が起こることがあります。歯科での調整は短時間で済み、通常は麻酔も不要です。応急的には、薬局で買える歯科用ワックスを歯のとがった部分に付ける方法があります。
抜歯しないと解決しませんか
必ずしもそうではありません。当たりの原因が歯のとがった一点にある場合は、その部分をわずかに調整するだけで解決することがあります。処置は短時間で麻酔も通常は不要です。ただし、上の親知らずが下向きに伸びて歯ぐきを噛んでいる場合など、抜歯が現実的な状況もあり、歯の向きによって判断が変わります。
舌に当たる場合も同じ対処ですか
原因の場所が違います。舌のふちに当たるのは、下の親知らずが内向きに傾いている場合が多くなります。舌は常に動いているため当たりの回数が多く、症状が続きやすい傾向があります。歯の向きによって、角を丸めて済む場合と抜歯が現実的な場合に分かれるため、まず画像で確認します。
治らない口内炎で気をつけるべきものはありますか
2週間以上治らない、傷の縁が硬く盛り上がっている、しこりのように触れる、出血しやすい、表面が白や赤にまだらに変化している、痛みが乏しいのに見た目の変化が大きい、しびれを伴うといった場合です。当たりを取り除いても治らない傷は、そのままにせず歯科口腔外科で診てもらってください。
放置するとどうなりますか
傷が慢性的になり、常にヒリヒリする状態が続きます。食事のたびに痛むため食べるものが偏り、傷を避けようとして片側だけで噛む習慣がつくと、あごの関節や筋肉にも負担が偏ります。当たっている親知らずの周囲は清掃もしにくいため、炎症や虫歯の温床になり、手前の歯にも影響が及ぶことがあります。
まとめ
同じ場所に繰り返す口内炎は、体調ではなく当たりが原因であることが多くあります。親知らずはあごの最も奥に生え、場所が足りないために傾いて出てくることが多い歯です。上の親知らずが外向きに傾けば頬の内側に、下の親知らずが内向きに傾けば舌のふちに当たります。上の歯だけが伸びて下の歯ぐきを噛む形もあります。見分けは簡単で、鏡で傷の位置を見て、ちょうど向かい側にとがった歯があるかを確かめてください。塗り薬は傷を保護し痛みを和らげますが、当たりという条件は変わらないため、同じ場所にまた傷ができます。応急的には、刺激物を避ける、貼るタイプの薬を使う、薬局の歯科用ワックスをとがった部分に付けるといった方法があります。自分で歯を削るのは避けてください。表面が粗くなって当たりが強まり、削った面から別の問題が起こります。歯科では、歯の角を丸める短時間の調整で済むことが多く、麻酔も通常は不要です。上の親知らずが噛み合わせに参加していない場合は、抜歯が現実的な選択になることもあります。注意が必要なのは、2週間以上治らない傷、縁が硬く盛り上がる傷、しこりを伴う傷、しびれを伴う傷です。当たりを取り除いても治らない場合は、そのままにしないでください。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の方で繰り返す傷にお困りなら、まず
親知らずが痛い・腫れたときの原因と対処法とあわせて、傷の位置を確認するところから始めてください。
参考・出典
- 日本口腔外科学会「口腔粘膜疾患」「智歯(親知らず)」
- 日本口腔粘膜学会「口腔粘膜疾患の診断の手引き」
- 厚生労働省「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」
- 日本歯科医学会「口腔がん検診に関する基本的考え方」