データで見る名古屋16区の歯の健康|3歳児のむし歯率・妊婦歯科診査・歯周疾患検診を市の公開統計から読み解く

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年10月23日監修:村井亮介(DDS, MSD(米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)/日本補綴歯科学会 会員)

名古屋市の子どもや大人の歯は、実際のところどのくらい健康なのでしょうか。名古屋市は毎年、3歳児健診や妊婦の歯科診査、20歳から80歳までの歯周疾患検診の結果を区ごとに集計し、「健康福祉年報」としてオープンデータで公開しています。このページでは、その公開統計(2019〜2025年度・16区別)を歯科医師が整理し、名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)をはじめ市内のどの区にお住まいの方でも、ご自身やお子さんの歯の状態を市全体の傾向と照らし合わせて考えられるようにまとめました。数値はすべて名古屋市の一次データをそのまま集計したもので、特定の区や医院を評価するものではありません。

名古屋市16区の3歳児健診におけるむし歯有病者率を区ごとに並べた横棒グラフ(2025年度)

先に結論

  • 名古屋市の3歳児のむし歯有病者率は、2019年度の6.2%から2025年度は3.5%へ下がった。6年間で4割以上減っている
  • ただし区による差は大きく、2025年度は中区6.5%、港区6.2%に対し、東区は1.9%。最大で約3.5倍の開きがある
  • 妊婦の歯科診査では、受診者の65%が「要精密検査」と判定されている。妊娠中は歯ぐきの炎症が起きやすく、放置しやすい
  • 歯周疾患検診では、20歳ですでに53%が要精密検査。失った歯がある人の割合は40歳で1割、60歳で4割、75歳で7割に達する
  • 保育園・幼稚園でのフッ化物洗口は市内212園・7,663人で実施されており、区によって取り組みの厚みが違う

この統計の読み方と、先に知っておきたい注意点

年報に載っている数字は、市の健診や検診を「受けた人」の結果です。3歳児健診はほぼ全員が受けるため実態に近い数値といえますが、妊婦の歯科診査や歯周疾患検診は、受診票を使って自分から受けに行った人の集計です。歯に不安がある人ほど受けやすいという偏りが入るため、「名古屋市民の◯%が歯周病」と読み替えることはできません。 また、区ごとの差をそのまま「その区の歯科医療の質」と結びつけるのも正確ではありません。3歳児のむし歯は、保護者の生活時間や間食の習慣、保育の環境、フッ化物の利用状況など、医療機関の外側にある要因の影響が大きいことが多くの研究で示されています。区の数字は「地域として、どこに支援を厚くするか」を考える材料であって、個々のご家庭やお子さんを判断するものではありません。 このページで使った数値の出典は、名古屋市が公開する「名古屋市健康福祉年報〈事業編〉」の第6章「歯科保健」です(令和7年版。令和6年版までは第7章に収録されていました)。名古屋市オープンデータカタログにて CC BY 4.0 ライセンスで公開されており、どなたでも同じ表を確認できます。ページ末尾の参考・出典に、データセットへのリンクを載せています。

3歳児健診のむし歯|16区別の有病者率と7年間の変化

3歳児健診は、名古屋市内の3歳のお子さんのほぼ全員が受ける健診です。歯科の項目では、むし歯(う蝕:細菌の出す酸で歯が溶ける病気)の有無と本数、噛み合わせの状態が記録されます。2025年度は市全体で15,664人が受診し、そのうち547人にむし歯があり、有病者率は3.5%でした。 区別に並べると、以下のようになります。有病者率の高い順に並べ、2019年度との比較を添えました。
区2025年度 有病者率2019年度 有病者率変化2025年度 受診児数
中区6.5%9.6%-3.1pt505人
港区6.2%11.2%-4.9pt770人
北区5.4%7.1%-1.6pt1,010人
昭和区4.5%3.6%+0.9pt807人
中川区4.2%7.7%-3.5pt1,376人
中村区3.2%5.3%-2.1pt810人
緑区3.2%5.1%-1.9pt1,998人
南区3.1%8.4%-5.2pt795人
守山区3.0%6.0%-3.0pt1,389人
天白区2.9%5.6%-2.7pt1,096人
千種区2.9%7.0%-4.1pt1,001人
熱田区2.9%3.4%-0.5pt383人
西区2.7%4.8%-2.1pt1,046人
名東区2.7%5.7%-3.0pt1,243人
瑞穂区2.0%3.9%-1.9pt792人
東区1.9%5.3%-3.5pt643人
市全体3.5%6.2%-2.7pt15,664人
もっとも高い中区(6.5%)と、もっとも低い東区(1.9%)の差は約3.5倍です。この開きは2019年度にもあり、当時は港区11.2%に対して熱田区3.4%と、やはり3倍以上の差がありました。市全体が改善しても、区のあいだの差そのものは残り続けています。 ただし、区ごとの数字は年によって大きく動きます。1つの区の受診児数はおよそ380〜2,000人で、むし歯のある子どもは数十人しかいないためです。たとえば中区は2024年度の4.6%(459人中21人)から2025年度は6.5%(505人中33人)へ上がりましたが、人数にすると12人の差です。単年の上下だけで「その区が悪くなった」と読むのは適切ではなく、複数年の傾向で見る必要があります。2019年度からの6年間で見れば、中区は9.6%から6.5%へ、中川区は7.7%から4.2%へ、南区は8.4%から3.1%へと、いずれも下がっています。 むし歯の「重さ」も見ておく必要があります。年報には「4本以上のむし歯がある子どもの割合」も記録されており、2025年度は市全体で1.2%、中区で3.6%、熱田区で0.3%でした。有病者率の高い区では、むし歯のある子どもが多いだけでなく、1人あたりのむし歯の本数も多い傾向があります。中区の1人あたりむし歯本数は0.31本で、市全体(0.12本)の約2.6倍です。
名古屋市の3歳児健診と1歳6か月児健診のむし歯有病者率の2019年度から2025年度までの推移を示す折れ線グラフ
市全体の推移を見ると、3歳児のむし歯有病者率は2019年度6.2%、2020年度6.3%、2021年度5.8%、2022年度4.4%、2023年度3.9%、2024年度4.0%、2025年度3.5%と、2022年度に大きく下がったあとも緩やかな低下が続いています。1歳6か月児健診では有病者率が0.3〜1.1%と低く、むし歯はおおむね1歳半から3歳の間に始まることがこの2つの健診の差からわかります。
年度3歳児健診 受診児数3歳児 むし歯有病者率1人あたりむし歯本数1歳6か月児 有病者率
2019年度17,190人6.2%0.20本0.6%
2020年度15,473人6.3%0.18本1.1%
2021年度21,591人5.8%0.18本0.6%
2022年度17,338人4.4%0.13本0.4%
2023年度16,508人3.9%0.12本0.4%
2024年度16,281人4.0%0.13本0.4%
2025年度15,664人3.5%0.12本0.3%
全国の数値と比べてみます。厚生労働省の地域保健・健康増進事業報告によると、3歳児でむし歯のある子どもの割合は、2024年度の全国平均が7.3%、愛知県が5.1%でした(全国も2014年度の17.7%から下がり続けています)。名古屋市の同じ2024年度の数値は4.0%で、全国平均を3.3ポイント、愛知県平均を1.1ポイント下回ります。2025年度の全国・愛知県の集計はまだ公表されていないため、比較は2024年度どうしで行っています。名古屋市は乳幼児期のフッ化物塗布(1歳6か月児健診・3歳児健診・むし歯予防教室などで2025年度に11,505件)や、保育園でのフッ化物洗口を長く続けており、その積み重ねが数字に表れていると考えられます。 お子さんのむし歯の進み方や、初期のむし歯を削らずに管理する考え方については、子どもの虫歯治療と乳歯の虫歯のサインで解説しています。3歳児健診で「要治療」と言われたときの受診先や費用の考え方は、名古屋市の子ども医療費助成で歯科はどこまで無料になるかにまとめました。

妊婦の歯科診査|受診者の3人に2人が「要精密検査」

名古屋市では、妊娠中と産後1年以内の方が無料で歯科診査を受けられます。2025年度は妊婦7,748人が受診し、そのうち64.8%にあたる5,021人が「要精密検査」、16.2%が「要指導」と判定され、「異状なし」は19.0%にとどまりました。
区受診者数要精密検査要指導異状なし
南区365人72.1%16.7%11.2%
中川区641人71.9%10.3%17.8%
港区225人71.1%14.2%14.7%
名東区492人70.5%16.9%12.6%
守山区521人69.7%15.0%15.4%
中村区477人69.2%11.3%19.5%
熱田区257人66.5%14.8%18.7%
千種区471人66.2%14.2%19.5%
天白区516人65.1%19.8%15.1%
東区382人64.4%14.9%20.7%
緑区1,059人63.8%16.0%20.2%
中区409人63.6%14.4%22.0%
北区507人61.3%17.6%21.1%
西区588人57.1%21.3%21.6%
昭和区396人56.3%17.9%25.8%
瑞穂区442人51.1%23.1%25.8%
市全体7,748人64.8%16.2%19.0%
「要精密検査」が6割を超えるのは驚かれるかもしれませんが、これは診査の基準が厳しめに設定されているためです。歯ぐきから出血がある、歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)が深い箇所が1か所でもある、といった所見があれば、精密検査をすすめる仕組みになっています。妊娠中は女性ホルモンの影響で歯ぐきの炎症が起きやすく、つわりで歯みがきが難しくなることも重なるため、この時期に一度専門的な確認を受ける意味は大きいといえます。 区別では南区72.1%、中川区71.9%が高く、瑞穂区51.1%、昭和区56.3%が低い結果でした。3歳児のむし歯有病者率と重なる区もあり、港区・中川区は両方で高いほう、瑞穂区は両方で低いほうに入っています。ただし完全に一致するわけではありません。母親の口の中の状態とお子さんのむし歯には関連があることが知られており、妊娠期の歯科受診を厚くすることが、その後の乳幼児のむし歯予防にもつながる可能性があります。 妊産婦歯科診査の受け方や受診票の使い方、産後の期限については名古屋市の妊産婦歯科健康診査|無料で2回受けられる対象・受診票・時期で詳しく解説しています。妊娠中の歯ぐきの腫れや出血そのものについては、歯周病治療の解説もあわせてご覧ください。

歯周疾患検診|20歳で半数が要精密検査、失った歯は40歳から急に増える

名古屋市の歯周疾患検診は、20歳から80歳まで5歳刻みの節目年齢の市民が無料で受けられる検診です。2025年度は全年齢で31,349人が受診しました。年齢別の結果を並べると、歯の失われ方と歯周病の進み方が数字として見えてきます。
名古屋市の歯周疾患検診で要精密検査と判定された人と失った歯がある人の割合を年齢別に示した折れ線グラフ(2025年度)
年齢受診者数失った歯がある人要精密検査異常なし
20歳1,357人1.3%52.5%9.1%
25歳1,559人2.1%60.5%7.6%
30歳1,943人3.7%63.2%6.5%
35歳2,016人6.5%62.6%6.0%
40歳2,080人9.3%60.2%7.1%
45歳2,194人13.0%63.0%6.0%
50歳3,051人17.8%64.1%5.3%
55歳3,093人25.9%67.2%5.6%
60歳3,304人37.3%69.7%5.6%
65歳3,082人48.7%70.8%5.8%
70歳2,761人59.4%73.6%6.2%
75歳3,119人68.6%75.3%5.6%
80歳1,790人77.4%76.1%5.9%
見ていただきたいのは3つの点です。 1つ目は、20歳の時点で52.5%が要精密検査と判定されていることです。歯周病は中高年の病気と思われがちですが、歯ぐきの出血や浅い歯周ポケットは20代から珍しくありません。この段階なら歯みがきの改善と歯石除去で元に戻せることが多く、早く気づく価値が最も大きい年代です。 2つ目は、失った歯がある人の割合が、40歳9.3%から45歳13.0%、50歳17.8%、55歳25.9%、60歳37.3%と、40代以降ほぼ5年ごとに4〜11ポイントずつ増えていくことです。歯を失う主な原因は歯周病とむし歯の再発(二次う蝕)で、どちらも定期的な管理で進行を遅らせることができます。 3つ目は、「異常なし」と判定される人がどの年齢でも5〜9%しかいないことです。検診を受けに来る人には何らかの不安がある人が多いという偏りを差し引いても、成人の大半は歯ぐきか歯に何らかの所見を持っているということです。 区別に全年齢を合計すると、要精密検査の割合は港区75.7%、中川区75.6%、熱田区73.6%が高く、昭和区54.1%、西区60.8%、瑞穂区61.9%が低い結果でした。
区受診者数(全年齢)要精密検査の割合
港区1,413人75.7%
中川区2,593人75.6%
熱田区1,210人73.6%
南区1,559人72.4%
名東区2,269人69.3%
守山区2,410人69.1%
東区1,109人68.4%
千種区2,351人67.0%
中村区1,802人66.1%
緑区4,224人65.8%
中区1,258人65.6%
天白区2,155人64.9%
北区1,695人64.7%
瑞穂区1,641人61.9%
西区2,117人60.8%
昭和区1,543人54.1%
歯周疾患検診の対象年齢、予約から当日までの流れ、結果が出た後にどうするかは名古屋市の歯周疾患検診は無料|対象年齢・受け方・当日の流れにまとめています。70歳以降の無料検診とオーラルフレイル(口の機能の衰え)の相談窓口は名古屋市の高齢者向け歯科健診とオーラルフレイル対策をご覧ください。歯周病そのものの症状と治療の流れは歯周病治療、失った歯をどう補うかは歯を失ったときの選択肢|入れ歯・ブリッジ・インプラント比較で解説しています。

保育園・幼稚園でのフッ化物洗口|区による取り組みの差

名古屋市は4歳児・5歳児を対象に、保育園や幼稚園でのフッ化物洗口(フッ素入りの液で1分ほどうがいをする予防法)を推進しています。2025年度は市内212園・7,663人が実施しており、歯科医師や歯科衛生士による健康教育は518園で行われました。
区フッ化物洗口 実施園数実施人員歯科の健康教育 実施園数
緑区35園1,155人62園
守山区32園1,526人52園
港区21園991人35園
名東区16園484人45園
西区15園303人37園
中村区14園596人24園
南区13園525人48園
北区11園333人32園
天白区10園270人28園
千種区9園266人25園
瑞穂区9園312人11園
中川区8園365人45園
中区6園124人18園
昭和区5園104人20園
東区4園179人23園
熱田区4園130人13園
市全体212園7,663人518園
実施園数は緑区35園、守山区32園、港区21園が多く、熱田区4園、東区4園、昭和区5園が少ない結果でした。園の数そのものが区によって違うため単純比較はできませんが、3歳児のむし歯有病者率が高い港区で実施が厚いことは、市が重点的に支援している表れと読めます。一方、中区は3歳児のむし歯有病者率が6.5%と市内でもっとも高い一方、フッ化物洗口の実施は6園にとどまっています。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)で保育園を選ぶ保護者の方は、園でのフッ化物洗口の有無を確認項目の一つにしてもよいでしょう。 フッ化物洗口の効果と安全性、家庭でできるフッ素の使い方についてはフッ素塗布とシーラントで解説しています。

歯科医師としての読み解き|この数字から言えること、言えないこと

ここまでの数字を診療の立場から整理すると、名古屋市の歯科保健は「乳幼児は全国水準よりかなり良い、成人は全国と同様に課題が大きい」という姿になります。3歳児のむし歯有病者率3.5%は、市の健診体制とフッ化物の利用が長年続いてきた成果として素直に評価できる数字です。 その一方で、区のあいだの差が残り続けていることは、医療機関の努力だけでは埋まらない要因があることを示しています。港区・中川区は市内でも外国籍の住民の割合が高い地域で、生活時間の違いや情報の届きにくさが背景の一つにあると考えられます。こうした地域では、健診で「むし歯がある」と分かった後に治療へつながる導線を太くすることが、有病者率を下げる近道になります。なお2025年度にもっとも高かったのは中区ですが、受診児数が505人と市内で2番目に少なく、単年の数字の振れが大きい点は差し引いて読む必要があります。 成人については、20歳で半数が要精密検査という結果を重く受け止める必要があります。20代・30代の歯周病は自覚症状がほとんどなく、検診で指摘されて初めて気づく人が大半です。節目年齢の無料検診は5年に1度しか回ってきませんが、その間も年1〜2回の定期検診を続けることが、40代以降の歯の喪失を防ぐ最も確実な方法です。 言えないこともあります。この統計から「どの区の歯科医院が良いか」は分かりません。区の数字は住民の生活環境を反映したものであり、医院の技術を反映したものではないからです。医院を選ぶ際は、この統計ではなく、ご自身の症状に合った診療内容と通いやすさで判断してください。 在宅でねたきりの状態にある方への訪問歯科診査の結果は、別ページで詳しく読み解いています。1,728人分の所見と区ごとの利用状況はデータで見る名古屋市の在宅ねたきり者訪問歯科診査|1,728人の診査結果と区ごとの利用状況にまとめました。

よくある質問

名古屋市の3歳児のむし歯の割合はどのくらいですか

2025年度の3歳児健診では、受診した15,664人のうち3.5%にむし歯がありました。2019年度は6.2%だったため、6年間で4割以上減っています。全国平均は2024年度で7.3%、愛知県平均は5.1%、名古屋市の同じ2024年度は4.0%で、いずれも下回っています。区によって1.9%から6.5%まで差があります。

区によってむし歯の割合が違うのはなぜですか

区の差は、医療機関の数や質ではなく、保護者の生活時間、間食や飲み物の習慣、保育の環境、フッ化物の利用状況といった生活要因の違いを反映していると考えられます。ただし1つの区でむし歯のある子どもは数十人のため、単年の数字は上下しやすく、複数年の傾向で見る必要があります。地域として支援を厚くする材料として読むのが適切です。

名古屋市の妊婦歯科診査で「要精密検査」と言われました。深刻ですか

2025年度は受診した妊婦の64.8%が要精密検査と判定されており、あなただけが特別というわけではありません。歯ぐきからの出血や歯周ポケットが1か所でもあれば精密検査をすすめる基準のため、多くは初期の歯肉炎です。妊娠中は炎症が起きやすい時期なので、産科の許可を得たうえで早めに歯科で確認を受けることをおすすめします。

歯周疾患検診を20歳で受ける意味はありますか

あります。2025年度の名古屋市の検診では、20歳の受診者の52.5%が要精密検査と判定されました。この年代の所見は歯ぐきの出血や浅い歯周ポケットが中心で、歯みがきの改善と歯石除去で元に戻せることがほとんどです。40歳以降に歯を失う人が急に増えることを考えると、20歳での確認は最も費用対効果の高い受診といえます。

歯を失う人はどの年齢から増えますか

名古屋市の歯周疾患検診の結果では、失った歯がある人の割合は35歳で6.5%、40歳で9.3%、50歳で17.8%、60歳で37.3%、70歳で59.4%、80歳で77.4%です。40代から5年ごとに4〜11ポイントずつ増えていく形で、この時期に歯周病とむし歯の再発を管理できるかどうかが、その後の歯の本数を左右します。

保育園でのフッ化物洗口は受けたほうがよいですか

フッ化物洗口は、日本口腔衛生学会や厚生労働省のガイドラインで4歳以降に推奨されている予防法で、名古屋市では2025年度に212園・7,663人が実施しています。むし歯の予防効果は複数の研究で示されており、家庭でのフッ素入り歯みがき剤と併用しても安全とされています。園で実施していない場合は、歯科医院でのフッ素塗布で補うことができます。

このデータはどこで確認できますか

名古屋市オープンデータカタログで公開されている「名古屋市健康福祉年報〈事業編〉」(令和7年版)の第6章「歯科保健」がもとになっています。CC BY 4.0 ライセンスのため、出典を明記すれば誰でも利用できます。このページの数値はその表から集計したもので、区別の受診者数や判定区分の内訳も同じファイルで確認できます。

この統計から通う歯科医院を選べますか

選べません。区ごとの数字は住民の生活環境や受診行動を反映したもので、その区にある歯科医院の技術や設備を示すものではありません。医院を選ぶときは、ご自身の症状に対応した診療を行っているか、説明が納得できるか、継続して通える距離かで判断してください。市内の区ごとの通いやすさは別の記事で整理しています。

まとめ

名古屋市の公開統計からは、3歳児のむし歯有病者率が2019年度の6.2%から2025年度の3.5%へ下がった一方、区による約3.5倍の差が残っていること、妊婦の3人に2人・20歳の半数が歯周の所見で要精密検査となること、失った歯がある人が40代から急に増えることが読み取れます。乳幼児期の予防は市全体として成果が出ており、これからの課題は、支援が届きにくい地域の子どもと、自覚症状のない20〜40代の歯周病にどう早く気づいてもらうかにあります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいの方は、まず市の無料の健診・検診を使い、その結果を出発点にかかりつけの歯科で定期的な管理を続けてください。 名古屋市の歯科に関する公的な制度の全体像は名古屋市の歯科事情|無料の検診・休日診療・子ども医療費助成の使い方に、治療費が高いと感じたときに使える制度は名古屋で歯科治療費が高いと感じたときに使える制度の全体像にまとめています。区ごとの通いやすさは名古屋市の区ごとの歯科事情をご覧ください。 歯周疾患検診の結果は年齢別・区別にさらに細かく公開されています。20歳から80歳までの要精密検査率、失った歯がある人の割合、1人あたりの現在歯数、6年前との同年齢比較はデータで見る名古屋市の歯周疾患検診|20歳から80歳までの要精密検査率と喪失歯・現在歯数に分けてまとめました。 学校歯科健診の結果も、市立の全校分が学校種別に公開されています。小中学生のむし歯のある子の割合、未処置歯の比率、平成7年度からの30年の推移はデータで見る名古屋市の学校歯科健診|小中学生のむし歯率は全国より約7ポイント低い、未処置歯と30年の推移に分けてまとめました。 3歳児のむし歯は、16区を3年合算で比べた表や、むし歯のある子1人あたりの本数、未処置歯の割合をデータで見る名古屋市の3歳児のむし歯に分けてまとめました。

参考・出典

  • 名古屋市「名古屋市健康福祉年報〈事業編〉 第6章 歯科保健」(令和7年版)名古屋市オープンデータカタログ(CC BY 4.0) https://data.bodik.jp/dataset/231002_1300050000_01
  • 名古屋市「名古屋市におけるオープンデータの取り組み」 https://www.city.nagoya.jp/shisei/keikaku/1031739/1034964.html
  • 厚生労働省「地域保健・健康増進事業報告」(3歳児歯科健康診査の全国集計)
  • 厚生労働省「歯科疾患実態調査」
  • 日本口腔衛生学会「フッ化物応用の科学」
  • 厚生労働省「フッ化物洗口ガイドライン」
  • 日本歯周病学会「歯周病の検査・診断・治療計画の指針」

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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