データで見る名古屋市の学校歯科健診|小中学生のむし歯率は全国より約7ポイント低い、未処置歯と30年の推移

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年11月1日監修:村井亮介(DDS, MSD(米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)/日本補綴歯科学会 会員)

名古屋市の学校歯科健診で、2025年度にむし歯があった子どもは小学校24.1%、中学校18.5%でした。全国平均(小学校30.83%、中学校25.23%)より約7ポイント低い数字です。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)で子どもの歯の健診結果を受け取った方に向けて、市が公開している統計をそのまま読み解きます。

この数字の出どころは、名古屋市教育委員会が毎年公開している「学校保健調査」です。市立の幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の全校を対象にした調査で、Excel・CSV形式のオープンデータとして誰でも集計できます。小学校だけで98,201人分という規模があり、抽出調査の全国統計より揺れが小さいという特徴があります。このページでは、学校種別のむし歯率、未処置歯のある子の割合が学校種で逆転する理由、30年の推移、そしてこの統計で分かることと分からないことを順に整理します。市全体の歯科保健データの俯瞰はデータで見る名古屋16区の歯の健康|3歳児のむし歯率・妊婦歯科診査・歯周疾患検診にまとめています。
名古屋市の学校歯科健診の統計データを学校種別に読み解く様子を表したフラットイラスト

先に結論

  • 2025年度にむし歯があった子は幼稚園17.1%・小学校24.1%・中学校18.5%・高等学校23.6%(処置完了者と未処置歯のある者の合計)
  • 全国平均は幼稚園19.44%・小学校30.83%・中学校25.23%・高等学校32.77%。名古屋市立はいずれも下回る
  • 小学校の受検者は98,201人、中学校は45,268人。市立の全校を数えた全数調査
  • むし歯のある子のうち未処置歯がある割合は、幼稚園62%・小学校44%・中学校34%・高等学校28%。幼いほど「治していない」比率が高い
  • 小学校男子のむし歯は平成7年度の82.7%から令和7年度の25.3%へ、30年で約3分の1になった
  • 中学校(18.5%)より高等学校(23.6%)のほうが高い。学年が上がるほど下がるわけではない
  • 幼稚園では「その他の歯の疾病・異常」が18.3%で、むし歯より多い
まず、どの調査の数字なのかを確認しておきます。

名古屋市の学校保健調査とはどんな統計か

名古屋市の学校歯科健診の集計は、名古屋市教育委員会 学校保健課が実施する「学校保健調査(体位の発育状況と健康状態)」として公開されています。対象は名古屋市立の幼稚園・小学校・中学校・高等学校および特別支援学校で、2025年度(令和7年度)分は2026年3月に公表されました。 数値はExcelとCSVの2形式で市のウェブサイトに置かれており、学校種別の被患者数と被患率、男女別の被患率、そして平成7年度からの推移が同じページから取れます。歯の項目は「う歯(処置完了者/未処置歯のある者)」「その他の歯疾」「口腔の疾病異常」に分かれています。 ここで押さえておきたいのは、集計の前提が全国統計と違うという点です。文部科学省の学校保健統計調査は全国から抽出した一部の学校を対象にしますが、名古屋市の調査は市立の全校を数えています。2025年度の受検者数は、幼稚園1,042人、小学校98,201人、中学校45,268人、高等学校12,545人、特別支援学校834人でした。小学校・中学校は市内の同年齢のほぼ全体をカバーしますが、幼稚園と高等学校は市立の園・校に通う子だけなので、人数が少なく代表性も限られます。 歯科健診の結果の紙が届いてからの受診先の選び方や費用は名古屋市の学校歯科健診|結果の紙が届いてからの受診先の選び方と費用で説明しています。

学校種別のむし歯の状況

学校種処置完了未処置ありむし歯あり計全国平均
幼稚園6.43%10.65%17.08%19.44%
小学校13.54%10.53%24.07%30.83%
中学校12.20%6.28%18.48%25.23%
高等学校17.11%6.50%23.61%32.77%
「処置完了」はむし歯がすべて治療済みの子、「未処置あり」は治していないむし歯が1本以上ある子を指します。この2つは重ならない区分なので、足した値が「むし歯になったことがある子」の割合になります。全国平均は文部科学省が2026年2月13日に公表した令和7年度学校保健統計の数値で、こちらも同じ定義です。 名古屋市立の数字は4つの学校種すべてで全国平均を下回りました。差が大きいのは高等学校で9.2ポイント、小学校と中学校はいずれも約6.8ポイント低い水準です。ただし抽出調査と全数調査の違い、市立高校に通う生徒の構成など、母集団の性質が異なる点は差し引いて読む必要があります。

未処置歯のある子の割合は学校種で逆転する

この統計でいちばん示唆があるのは、むし歯の多さではなく「治しているかどうか」の比率です。むし歯のある子を分母にして未処置歯のある子の割合を出すと、幼稚園62%、小学校44%、中学校34%、高等学校28%になります。年齢が上がるほど、見つかったむし歯が治療につながっています。 逆に言えば、幼稚園児はむし歯のある子の6割以上が治していない状態でした。乳歯のむし歯は「生え替わるから様子を見る」と判断されやすいのですが、乳歯の段階で進んだむし歯を放置すると、下に控えている永久歯の形や生える位置に影響が出ることがあります。乳歯のむし歯をどう考えるかは乳歯の虫歯は放置NG?永久歯への影響と治療の考え方、1歳6か月児健診・3歳児健診で「要精密検査」と言われたときの意味は1歳6か月児健診・3歳児健診の歯科健診でわかることで扱っています。 小学校でも、むし歯のある児童のうち10.53ポイント分(44%)が未処置です。学校から紙が届いても歯科医院につながっていない層が、学年を問わず一定数いるということになります。子どもの歯科治療にかかる費用は子ども医療費助成は歯医者でも使える?無料になる範囲と自己負担が出るケースで確認できます。
名古屋市立小中学校のむし歯のある子の割合と未処置歯の比率を比べた図

30年でむし歯は3分の1から4分の1になった

年度小学校男子小学校女子中学校男子中学校女子
平成7年度82.65%82.44%78.46%83.51%
平成17年度59.91%56.60%47.80%51.53%
平成27年度41.34%37.54%27.53%29.61%
令和2年度32.58%29.40%19.61%21.85%
令和7年度25.29%22.77%17.62%19.37%
表の値は処置完了者と未処置歯のある者を足した「むし歯のある子」の割合です。平成7年度には小学生の8割以上、中学生の8割前後にむし歯がありました。それが令和7年度には小学校で約4分の1、中学校で約5分の1まで下がっています。小学校男子で3.3分の1、中学校男子で4.5分の1という減り方です。 とくに大きく減ったのは未処置歯のある子です。小学校男子では平成7年度の37.59%から令和7年度の10.96%へ、中学校男子では29.62%から6.08%へ下がりました。フッ素入り歯みがき剤の普及、学校での歯みがき指導、保護者の受診行動の変化が重なった結果と考えられます。フッ素の働きと使い方はフッ素は本当に安全?効果と濃度・使い方を歯科医が解説、仕上げ磨きの進め方は仕上げ磨きのやり方といつまで続ける?年齢別のコツにまとめています。 一方で、令和2年度から令和7年度の5年間の減り幅は、それ以前の5年刻みより小さくなっています。減少が止まったとまでは言えませんが、下がり方はゆるやかになってきました。 男女の差も同じ方向で縮んできました。平成7年度は中学校で女子83.51%・男子78.46%と女子のほうが5ポイント高かったのですが、令和7年度は女子19.37%・男子17.62%で差は1.8ポイントです。小学校では令和7年度に男子25.29%・女子22.77%と男子のほうが高く、順位が入れ替わっています。差の幅そのものが小さくなっているため、性別で対策を分ける段階ではなくなったと読めます。 もう一つ、推移の表からは「治療済みの子」と「未処置の子」の比率が変わってきたことも見えます。平成7年度の小学校男子は処置完了45.06%・未処置37.59%でほぼ同数でしたが、令和7年度は14.33%対10.96%。全体が減ったぶん、未処置の子の実数は大きく減りました。それでも未処置の比率は4割台で残っており、ここが次の課題になります。日々のケアの精度を上げる方法は大人の正しい歯磨き|磨き残しが多い場所と改善のコツも参考になります。

中学校より高等学校のほうが高い

むし歯のある子の割合は、中学校18.48%から高等学校23.61%へ、5ポイント上がります。学年が上がるほど口の中が良くなるわけではない、ということです。 理由は推測を含みますが、構造としては2つ考えられます。1つは、むし歯は一度なると記録に残る蓄積型の指標だという点です。高校生までの年数が長いぶん、どこかでむし歯を経験した子の割合は増えます。実際、高等学校で増えているのは処置完了者(17.11%)であり、未処置歯のある者は6.50%で中学校とほぼ同じ水準です。 もう1つは、生活の管理が本人任せになる時期だという点です。保護者の仕上げ磨きも学校の集団指導も届かなくなり、間食や飲料の自由度が上がります。高校生になってから新しくむし歯ができる子は、ここで止めておきたい層です。永久歯が生えそろう時期の注意点は乳歯から永久歯への生え替わり|時期・注意点・トラブル別の対処で説明しています。

むし歯以外の所見にも目を向ける

歯の項目には「その他の歯疾」という区分があります。歯並び・かみ合わせ、歯肉の状態、歯垢の付着などが入る枠で、2025年度は幼稚園18.33%、小学校13.70%、中学校10.99%、高等学校5.84%でした。 注目したいのは、幼稚園ではこの「その他の歯疾」(18.33%)がむし歯(17.08%)を上回っていることです。小さいうちの健診では、むし歯以外の所見のほうが多く指摘されている計算になります。「口腔の疾病異常」も幼稚園で9.40%あり、小学校の0.54%と比べて際立って高い数字です。この差は判定の基準や記録の運用の違いも含むため、園児で何かが急増していると読むのは行き過ぎですが、健診の紙に書かれているのがむし歯だけではないことは知っておいてよい点です。 特別支援学校では、むし歯のある子の割合が小学部14.96%、中学部13.40%、高等部13.89%でした。普通校より低い数値ですが、受検者数が小学部107人、中学部194人、高等部533人と少なく、年による振れが大きい点に注意が必要です。通院が難しい方の相談先は名古屋市の障害者歯科・訪問歯科の相談窓口|どこに聞けばよいかにまとめています。
学校歯科健診の結果の紙が届いてから歯科医院を受診するまでの流れをまとめた図

この統計で分かること・分からないこと

分かるのは、名古屋市立の学校に通う子どもたちの「健診時点の記録」の分布です。学校種ごとの比較、男女差、30年の推移、むし歯以外の所見の多さまでたどれます。 分からないことは3つあります。1つめは、区ごとの差です。この調査は学校種別・男女別までで、区別の集計は公開されていません。区ごとの歯科事情は名古屋市の区ごとの歯科事情|中区・中村区・千種区などエリア別の通いやすさと選び方で別途まとめています。 2つめは、健診後に治療まで進んだかどうかです。「未処置歯のある者」は健診の日の状態なので、その後に歯科医院へ行った子も含まれます。健診の紙が受診につながった割合は、この統計からは出せません。 3つめは、市立以外に通う子の状況です。幼稚園は市立園に通う1,042人分、高等学校は市立高校の12,545人分で、私立や国立に通う子は入っていません。幼稚園と高校の数字をもって「名古屋の同年齢全体」と読むことはできません。 大人の歯の状態についてはデータで見る名古屋市の歯周疾患検診|20歳から80歳までの要精密検査率と喪失歯・現在歯数、通院が難しくなった方の訪問歯科診査についてはデータで見る名古屋市の在宅ねたきり者訪問歯科診査|1,728人の診査結果と区ごとの利用状況に、それぞれ市の公開データをまとめています。名古屋市の歯科制度の全体像は名古屋市の歯科制度ガイド|無料の歯周疾患検診・妊産婦歯科診査・休日の応急処置で確認できます。

よくある質問

名古屋市の小学生でむし歯がある子はどのくらいいますか

2025年度の名古屋市学校保健調査では、市立小学校の受検者98,201人のうち24.07%にむし歯の記録がありました。内訳は治療が済んでいる子が13.54%、治していないむし歯が1本以上ある子が10.53%です。全国平均の30.83%より約6.8ポイント低い水準で、30年前の平成7年度(男子82.65%)と比べると約3分の1まで下がっています。

名古屋の子どものむし歯は全国と比べて多いのですか

全国平均より少ない結果でした。2025年度は幼稚園17.08%対19.44%、小学校24.07%対30.83%、中学校18.48%対25.23%、高等学校23.61%対32.77%で、4つの学校種すべてで名古屋市立が下回っています。ただし全国統計は抽出調査、名古屋市は市立全校の全数調査なので、母集団の違いを差し引いて読む必要があります。

未処置歯のある者とはどういう意味ですか

健診の日に、治療していないむし歯が1本以上あった子を指します。すべて治療済みの子は「処置完了者」として別に数えるため、両方を足した値がむし歯を経験した子の割合になります。2025年度の名古屋市立では小学校10.53%、中学校6.28%が未処置歯のある者でした。健診後に受診した子も含まれる点に注意してください。

幼稚園児のむし歯で未処置が多いのはなぜですか

名古屋市立幼稚園では、むし歯のある子17.08%のうち10.65ポイント分、つまり6割以上が未処置でした。乳歯は生え替わるため様子を見る判断がされやすいことが背景にあると考えられます。ただし進んだむし歯を放置すると、下に控える永久歯の形や生える位置に影響が出る場合があるため、健診で指摘されたら一度相談してください。

中学生より高校生のほうがむし歯が多いのですか

2025年度は中学校18.48%、高等学校23.61%で、高等学校のほうが5ポイント高い結果でした。増えているのは治療済みの子(17.11%)で、未処置歯のある者は6.50%と中学校並みです。むし歯は一度なると記録に残る指標なので、年数が長い高校生で経験者の割合が上がること自体は自然な動きといえます。

名古屋市の学校歯科健診のデータはどこで見られますか

名古屋市教育委員会 学校保健課の「学校保健調査(体位の発育状況と健康状態)」のページで、ExcelとCSVの両形式で公開されています。学校種別の被患者数と被患率、男女別の被患率、平成7年度からの推移が同じページにまとまっています。2025年度分は2026年3月に公表されました。

健診の紙に「むし歯」と書かれていたらすぐ受診すべきですか

できるだけ早めの受診をおすすめします。学校健診は短時間の視診なので、深さや神経までの距離まではその場で判断できません。見つかった時点で浅ければ削る量も少なく済みます。名古屋市では中学校卒業前までの子ども医療費助成が使える場合があり、保険診療の窓口負担が軽くなる仕組みも整っています。

学校の健診でむし歯なしでも歯科医院に行く意味はありますか

あります。学校健診はライトとミラーによる視診が中心で、歯と歯の間や詰め物の下の変化はレントゲンがないと分かりません。また名古屋市立の統計では「その他の歯疾」が小学校で13.70%、幼稚園で18.33%あり、歯並びや歯肉の所見も一定数指摘されています。年に1〜2回の検診で経過を見ておくと変化に気づきやすくなります。

まとめ

名古屋市の学校歯科健診の公開データからは、3つのことが読み取れます。 1つめは、名古屋市立の子どものむし歯が全国平均を下回り、30年で3分の1から4分の1まで減ったことです。小学校では平成7年度の8割超から令和7年度の24.07%へ、中学校では18.48%へ下がりました。学校での指導とフッ素の普及が積み上がった結果といえます。 2つめは、残っている課題が「数」より「治していないこと」に移っている点です。むし歯のある子のうち未処置の比率は、幼稚園62%、小学校44%、中学校34%、高等学校28%。幼いほど高く、健診で見つかっても歯科医院につながっていない層が残っています。 3つめは、中学校より高等学校のほうがむし歯のある子が多いことです。学年が上がれば自然に良くなるわけではなく、本人の管理に移る時期にもう一度支えが要る、と読めます。 名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいの方は、健診の紙が届いたら、むし歯の記載がなくても一度かかりつけの歯科で確認する使い方をしてください。市全体の歯科保健データはデータで見る名古屋16区の歯の健康、健診結果が届いたあとの動き方は名古屋市の学校歯科健診|結果の紙が届いてからの受診先の選び方と費用で確認できます。 学校に上がる前の世代については、名古屋市の3歳児健診のむし歯データで区別に見ることができます。

参考・出典

  • 名古屋市教育委員会 学校保健課「令和7年度 学校保健調査(体位の発育状況と健康状態)」(学校種別疾病異常の被患者数および被患率・疾病異常の被患率の推移・Excel/CSV) https://www.city.nagoya.jp/shisei/keikaku/1008883/1008887.html
  • 文部科学省「学校保健統計調査」(令和7年度 学校保健統計 2026年2月13日公表) https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/1268826.htm
  • 文部科学省「令和7年度学校保健統計(学校保健統計調査の結果)について公表します」 https://www.mext.go.jp/content/20260213-mxt_chousa01-000046876_1.pdf
  • 名古屋市「歯と口の健康づくり」 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/kenkoinfo/1009487/index.html
  • 名古屋市「協力歯科医療機関」 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/kenkoinfo/1009487/1009489.html
  • 愛知県「歯科保健データ集」 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenkotaisaku/0000013762.html
  • 日本歯科医師会「テーマパーク8020」 https://www.jda.or.jp/park/

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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