データで見る名古屋市の歯周疾患検診|20歳から80歳までの要精密検査率と喪失歯・現在歯数

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年10月30日監修:村井亮介(DDS, MSD(米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)/日本補綴歯科学会 会員)

名古屋市の歯周疾患検診では、2025年度に31,349人が受診し、その67.1%が要精密検査と判定されました。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)で無料の検診を受けるかどうか迷っている方に向けて、市が公開している数値をそのまま読み解きます。

判定の内訳を見ると、「歯ぐきの病気が重いから」だけが理由ではありません。20歳でも52.5%が要精密検査になり、その多くは浅い歯周ポケットと歯石、未処置のむし歯です。一方で、失った歯がある人の割合は40歳の9.3%から80歳の77.4%へ急な坂を描きます。このページでは、年齢別の判定率、喪失歯と現在歯数、6年前との同年齢比較、区ごとの差、そしてこの統計で分かることと分からないことを順に整理します。市全体の歯科保健データの俯瞰はデータで見る名古屋16区の歯の健康|3歳児のむし歯率・妊婦歯科診査・歯周疾患検診にまとめています。
名古屋市の歯周疾患検診の年齢別データを読み解く様子を表したフラットイラスト

先に結論

  • 2025年度の受診者は31,349人。要精密検査67.1%、要指導26.7%、異常なし6.1%
  • 20歳でも52.5%が要精密検査。中身は浅い歯周ポケット(34.4%)・歯石(35.8%)・未処置のむし歯(26.8%)
  • 失った歯がある人は35歳6.5%→40歳9.3%→50歳17.8%→60歳37.3%→80歳77.4%
  • 1人あたりの現在歯数は20歳28.4本、60歳27.0本、80歳22.1本
  • 同じ年齢で2019年度と比べると、50歳の喪失歯保有率は24.4%→17.8%、70歳は69.6%→59.4%へ改善
  • 区ごとの要精密検査率は54.1%〜75.7%。医院の質ではなく受診者の年齢構成と受診行動の差を映す
  • この数字は「受診した人」の統計。受けていない人を含む市民全体の状態ではない
まず、どんな検診の数字なのかを確認しておきます。

名古屋市の歯周疾患検診はどんな検診か

名古屋市の歯周疾患検診は、市内に住んでいて、4月1日時点で20歳・25歳・30歳・35歳・40歳・45歳・50歳・55歳・60歳・65歳・70歳・75歳・80歳のいずれかに当たる方が対象です。自己負担はなく、受診間隔は5年度に1回です。現在歯周病で治療管理中の方は対象外になります。 検診の中身は、すべての歯の視診、特定の歯の歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)の測定、検診結果にもとづく保健指導です。75歳と80歳では、これに加えてオーラルフレイルチェック(口腔機能検査)として、舌や唇の運動機能、飲み込む力、かむ力の検査が行われます。受け方や当日の流れは名古屋市の歯周疾患検診は無料|対象年齢・受け方・当日の流れで説明しています。 判定は「異常なし」「要指導」「要精密検査」の3つです。ここが読み方の鍵になります。要精密検査は「重い歯周病が見つかった」という意味ではなく、「この場の視診とポケット測定の範囲を超えて、歯科医院で詳しく調べる必要がある所見があった」という区分です。浅い歯周ポケットが1か所でも、未処置のむし歯が1本でも、この区分に入ります。 数値の出どころは、名古屋市が名古屋市オープンデータカタログで公開している「名古屋市健康福祉年報〈事業編〉」第6章「歯科保健」の表6-3です。CC BY 4.0ライセンスのため、出典を示せば誰でも集計できます。以下の数字は、そのファイルの2025年度・総数行と区別行から集計したものです。

年齢別の判定と歯の状態

年齢受診者数(人)要精密検査喪失歯のある人現在歯(本)
20歳1,35752.5%1.3%28.4
25歳1,55960.5%2.1%28.4
30歳1,94363.2%3.7%28.3
35歳2,01662.6%6.5%28.1
40歳2,08060.2%9.3%28.1
45歳2,19463.0%13.0%28.0
50歳3,05164.1%17.8%27.8
55歳3,09367.2%25.9%27.4
60歳3,30469.7%37.3%27.0
65歳3,08270.8%48.7%26.1
70歳2,76173.6%59.4%25.1
75歳3,11975.3%68.6%23.6
80歳1,79076.1%77.4%22.1

20歳で半数が要精密検査になる理由

20歳の受診者1,357人のうち、異常なしと判定されたのは9.1%でした。要指導が38.4%、要精密検査が52.5%です。20歳で半数が引っかかる、と聞くと驚かれますが、内訳を見ると納得できる数字です。 20歳の要精密検査の理由で最も多いのは、歯周ポケットが4〜5mmの歯があること(34.4%)、次に歯石の付着(判定上は要指導の理由として35.8%)、未処置のむし歯があること(26.8%)です。6mm以上の深いポケットがある人は2.1%しかいません。つまりこの年代の所見は、ほとんどが歯肉炎と初期の歯周炎、それに治していないむし歯です。 この所見は、歯みがきの改善と歯石除去、むし歯の処置でほぼ元に戻せる範囲にあります。失った歯がある20歳は1.3%、1人あたりの現在歯は28.4本で、ほぼ全員が歯を保っています。「まだ若いから大丈夫」ではなく「まだ戻せるうちに見つかった」と受け取るのが正しい読み方です。歯ぐきの出血が気になる段階での見分け方は歯茎から血が出る原因と対処|歯周病のサイン、歯石が自分で取れない理由は歯石取りは痛い?頻度・費用・自分で取ってはいけない理由で扱っています。 年齢が上がると、所見の中身が入れ替わります。歯石の付着は20歳の35.8%から80歳の17.0%へ下がる一方、6mm以上の深いポケットがある人は20歳の2.1%から80歳の23.1%へ増えます。歯みがきの精度ではなく、歯を支える骨がどれだけ残っているかの問題に変わっていく、という流れが数字に出ています。

失った歯は40代から増え、60歳で3人に1人

喪失歯のある人の割合は、この表でもっとも動きの大きい指標です。20歳1.3%、30歳3.7%、35歳6.5%までは低く抑えられていますが、40歳で9.3%、45歳で13.0%、50歳で17.8%、55歳で25.9%、60歳で37.3%と、5年ごとに4〜11ポイントずつ増えます。65歳で48.7%、70歳で59.4%、75歳で68.6%、80歳で77.4%です。 坂の勾配が最も急なのは55歳から65歳の10年間で、25.9%から48.7%へほぼ倍になります。この年代に何が起きているかというと、同じ期間に6mm以上の深いポケットを持つ人が10.3ポイント増え(55歳13.7%→65歳16.5%)、補綴(ほてつ:かぶせ物や入れ歯で補うこと)が必要な歯を持つ人も急に増えます。長年の歯周病とむし歯の再発が、ここで結果として出ていると読めます。 現在歯数の推移も同じ方向を指します。1人あたり20歳28.4本、40歳28.1本、60歳27.0本と緩やかに減り、65歳26.1本、70歳25.1本、75歳23.6本、80歳22.1本と後半で落ちていきます。80歳で22.1本というのは、8020運動(80歳で20本以上の歯を残す目標)の水準を平均として上回っている数字です。ただしこれは受診した方の平均なので、市民全体の平均ではありません。 年代別にどんな理由で歯を失うのかは歯を失う原因で最も多いのは?年代別の抜歯理由と今からできる対策に整理しました。歯を失う前の段階である歯周病の進行と治療は歯周病治療とは|症状の進行と治療法を解説で確認できます。
名古屋市の歯周疾患検診で喪失歯のある人の割合が年齢とともに増える推移を示した図解

同じ年齢で6年前と比べると改善している

市全体の数字をそのまま並べると、要精密検査率は2019年度の73.1%から2025年度の67.1%へ下がり、喪失歯保有率は45.1%から31.8%へ下がったように見えます。ただしこの比較はそのままでは使えません。2021年度までの対象は40歳から80歳までの9区分で、20歳・25歳・30歳・35歳が加わったのは2022年度からです。若い年代が入ったことで平均が下がった分が混ざっています。 そこで、両方の年度に共通する40歳から80歳までの9区分だけを、同じ年齢どうしで比べます。
年齢喪失歯のある人要精密検査現在歯(本)
40歳11.2% → 9.3%65.3% → 60.2%28.1 → 28.1
45歳16.2% → 13.0%67.2% → 63.0%27.9 → 28.0
50歳24.4% → 17.8%70.8% → 64.1%27.6 → 27.8
55歳34.6% → 25.9%72.8% → 67.2%27.2 → 27.4
60歳47.6% → 37.3%73.0% → 69.7%26.3 → 27.0
65歳59.2% → 48.7%74.9% → 70.8%25.2 → 26.1
70歳69.6% → 59.4%77.8% → 73.6%23.7 → 25.1
75歳75.9% → 68.6%78.4% → 75.3%22.5 → 23.6
80歳76.6% → 77.4%78.9% → 76.1%21.1 → 22.1
左が2019年度、右が2025年度です。40歳から75歳までのすべての区分で、失った歯がある人の割合が下がり、1人あたりの現在歯数が増えています。改善幅が大きいのは60歳(10.3ポイント減)、65歳(10.5ポイント減)、70歳(10.2ポイント減)です。80歳だけは喪失歯保有率がほぼ横ばい(76.6%→77.4%)ですが、現在歯数は21.1本から22.1本へ1本増えています。失った人の割合は変わらないまま、残っている歯の本数が増えた形です。 この6年は、2019年度に65歳だった方が2025年度に71歳になる期間です。別の人を比べているので個人の経過を追った数字ではありませんが、同じ年齢の市民の口の状態が年々良くなっている傾向は読み取れます。定期的に歯科へ通う人が増えたこと、歯を抜かずに残す治療の選択肢が広がったことが背景にあると考えられます。定期検診に行かない場合との差は歯の定期検診に行かないとどうなる?3年後・5年後に起きる変化と費用の差で扱っています。 なお受診者数そのものは、2019年度の27,548人(9区分)から2025年度の31,349人(13区分)へ増えています。ただし40歳と45歳では3,243人→2,080人、3,226人→2,194人と減っており、働く年代の受診が細っている点は見逃せません。

要精密検査の理由は重複して数えられている

2025年度の要精密検査21,048人の理由を集計すると、歯周ポケット4〜5mmが13,480人(受診者の43.0%)、6mm以上が4,119人(13.1%)、未処置歯が7,944人(25.3%)、要補綴歯が2,255人(7.2%)、生活習慣等が264人(0.8%)、その他が610人(1.9%)です。 足し合わせると受診者の90%を超えますが、これは1人が複数の理由で数えられるためです。歯周ポケットが深く、かつ未処置のむし歯もある、という方は両方に計上されます。したがって「43%の人に4〜5mmのポケットがあった」という読み方は正しく、「理由の内訳の構成比」として足し算するのは誤りです。 歯の状態を本数で見ると、1人あたり現在歯26.7本のうち、健全歯が15.2本、処置歯(治療済みの歯)が10.8本、未処置歯が0.7本でした。受診者の歯の4割は、すでに何らかの治療を受けた歯ということになります。処置歯は再発の入り口になりやすく、詰め物やかぶせ物の下で進むむし歯は痛みが出にくいため、定期的な確認が効いてくる部分です。 歯ぐきが下がって見える変化や、歯と歯ぐきの境目の清掃は、この年代の所見と直結します。歯茎が下がる原因と治療|歯肉退縮のセルフケアと歯のクリーニング(PMTC)と歯石除去の効果も合わせてご覧ください。

区ごとの差は「医院の質」ではなく受診者の違い

区受診者数(人)要精密検査歯石の付着
千種2,35167.0%24.8%
東1,10968.4%23.1%
北1,69564.7%28.1%
西2,11760.8%31.1%
中村1,80266.1%26.1%
中1,25865.6%22.6%
昭和1,54354.1%37.9%
瑞穂1,64161.9%29.7%
熱田1,21073.6%17.4%
中川2,59375.6%18.5%
港1,41375.7%19.0%
南1,55972.4%21.3%
守山2,41069.1%26.3%
緑4,22465.8%25.5%
名東2,26969.3%21.2%
天白2,15564.9%21.3%
受診者数は緑区の4,224人が最も多く、東区の1,109人が最も少ないという開きがあります。これは区の人口規模と年齢構成の違いがそのまま出たものです。 要精密検査率は昭和区の54.1%から港区の75.7%まで、21.6ポイントの幅があります。ただしこの差を「どの区の歯科医院が優れているか」と読むことはできません。理由は2つあります。第一に、区ごとに受診した方の年齢の内訳が違います。高齢の受診者の比率が高い区は、それだけで要精密検査率が上がります。第二に、判定の境目にある所見を要指導と要精密検査のどちらに寄せるかには、幅があります。要精密検査率が低い昭和区は歯石付着の指摘が37.9%と最も高く、逆に要精密検査率が高い熱田区・中川区・港区は歯石付着の指摘が17〜19%と低い。同じ所見を要指導側で拾っているか、要精密検査側で拾っているかの違いが混ざっていると考えられます。 ですから、この表は「自分の区の数字が悪いから心配」という使い方をする表ではありません。使えるのは、市として支援を厚くする場所を考える材料としてです。通う歯科医院を選ぶときは、区の統計ではなく、自分の症状に対応しているか、説明が納得できるか、続けて通える距離かで判断してください。区ごとの通いやすさの考え方は名古屋市の区ごとの歯科事情|中区・中村区・千種区などエリア別の通いやすさと選び方にまとめています。
名古屋市16区の歯周疾患検診の受診者数と判定の差を比較した図解

このデータで分からないこと

公開統計を読むときは、何が分からないかを先に押さえたほうが安全です。この表には次の限界があります。 受診した人だけの統計です。歯科に関心があって足を運んだ方が多く含まれるため、市民全体の平均より良い方向に寄っている可能性があります。逆に、痛みや気になる症状があって受けた方も含まれるため、一方向にだけ偏っているとも言い切れません。いずれにせよ、受けていない人の状態は分かりません。 同じ人を追いかけた数字ではありません。2019年度の60歳と2025年度の60歳は別の人です。個人の歯が6年でどう変わるかを示すものではなく、同じ年齢の市民の状態がどう変わったかを示すものです。 区別の数字は、1つの区・1つの年齢で見ると数十人規模になります。単年では上下しやすいため、小さな差を読み取るのには向きません。複数年の傾向で見てください。 治療管理中の方が除かれています。歯周病で通院中の方は対象外のため、すでに治療に入っている重い方はこの統計に入っていません。市民全体の歯周病の重さを示す数字ではない、という点に注意が必要です。 高齢の受診者には、口腔機能の検査が別に行われます。75歳・80歳のオーラルフレイルチェックの内容と、かむ・飲み込む力の検査については名古屋市の高齢者向け歯科健診とオーラルフレイル対策|70・75・80歳の無料検診と相談窓口とオーラルフレイルとは|高齢の親の口の衰えチェックと予防で扱っています。検査の保険上の扱いは口腔機能低下症の検査とは|7項目で調べる内容と保険の扱いにまとめました。

データから言える受診のタイミング

数字を並べたうえで、受け方として言えることを整理します。 20歳・25歳・30歳の回は、戻せる所見を見つける回です。この年代の要精密検査は半数を超えますが、中身は歯肉炎・歯石・未処置のむし歯で、失った歯はほとんどありません。ここで歯石を取り、磨き方を直せば、以降の坂の角度が変わります。無料で受けられる機会が5年に1回しかないので、通知が来たら使ってください。 40歳・45歳・50歳の回は、最も取りこぼしが多い回です。受診者数が40歳2,080人、45歳2,194人と、50歳以上の3,000人台より明らかに少ない。にもかかわらず、失った歯がある人の割合がこの10年で9.3%から17.8%へ倍になります。仕事が忙しい時期と、歯を失い始める時期がちょうど重なっています。 55歳以降の回は、残った歯を守る回に性質が変わります。深いポケットを持つ人と補綴が必要な人が増えるため、検診はその後の治療計画の入り口になります。 受診にかかる自己負担はありませんが、検診の結果として歯石除去やむし歯の治療が必要になった場合、詳しい検査やレントゲン、治療費は医療保険扱いで別途かかります。費用面で迷うときに使える制度は名古屋で歯科治療費が高いと感じたら|高額療養費・医療費控除・助成制度の使い分け、名古屋市の歯科制度の全体像は名古屋市の歯科制度ガイド|無料の歯周疾患検診・妊産婦歯科診査・休日の応急処置で確認できます。通院が難しくなった方の訪問診査のデータはデータで見る名古屋市の在宅ねたきり者訪問歯科診査にまとめています。

よくある質問

名古屋市の歯周疾患検診で要精密検査と言われる人はどのくらいですか

2025年度は受診者31,349人のうち21,048人、67.1%が要精密検査でした。要指導が26.7%、異常なしは6.1%です。要精密検査は重い歯周病という意味ではなく、視診とポケット測定の範囲を超えて歯科医院で詳しく調べる必要がある所見があったという区分です。浅い歯周ポケットや未処置のむし歯が1か所でもあれば該当します。

20歳で要精密検査になりました。もう歯周病なのでしょうか

20歳の要精密検査は52.5%で、半数が該当します。ただし所見の中身は歯周ポケット4〜5mmが34.4%、歯石の付着が35.8%、未処置のむし歯が26.8%で、6mm以上の深いポケットは2.1%しかいません。歯みがきの改善と歯石除去、むし歯の処置で戻せる段階がほとんどです。失った歯がある20歳は1.3%です。

名古屋市のデータでは何歳から歯を失う人が増えますか

失った歯がある人の割合は35歳で6.5%、40歳で9.3%、45歳で13.0%、50歳で17.8%、55歳で25.9%、60歳で37.3%です。40代から5年ごとに4〜11ポイントずつ増え、55歳から65歳の10年でほぼ倍になります。この時期に歯周病とむし歯の再発を管理できるかが、その後の歯の本数を左右します。

名古屋市の80歳は歯が何本残っていますか

2025年度に歯周疾患検診を受けた80歳の方の現在歯数は、1人あたり平均22.1本でした。2019年度の21.1本から1本増えています。ただし受診した方の平均であり、市民全体の平均ではありません。失った歯がある人の割合は77.4%で、こちらは6年前の76.6%とほぼ変わっていません。

区によって要精密検査率が違うのは歯科医院の差ですか

違います。幅は昭和区の54.1%から港区の75.7%までありますが、区ごとに受診者の年齢構成が異なり、判定の境目にある所見を要指導と要精密検査のどちらで拾うかにも幅があります。要精密検査率が低い昭和区は歯石付着の指摘が37.9%と最も高く、同じ所見を別の区分で拾っていると考えられます。医院選びの材料にはなりません。

6年前と比べて名古屋市民の歯の状態は良くなっていますか

同じ年齢どうしで比べると改善しています。失った歯がある人の割合は50歳で24.4%から17.8%、60歳で47.6%から37.3%、70歳で69.6%から59.4%へ下がりました。現在歯数も70歳で23.7本から25.1本へ増えています。ただし別の人を比べた数字であり、個人の経過を追ったものではありません。

このデータは誰でも見られますか

見られます。名古屋市オープンデータカタログで公開されている「名古屋市健康福祉年報〈事業編〉」第6章「歯科保健」の表6-3が出どころです。CC BY 4.0ライセンスのため、出典を示せば集計や二次利用ができます。区別・年齢別・年度別の受診者数と判定の内訳が同じファイルに入っています。

歯周疾患検診は毎年受けられますか

受けられません。対象は4月1日時点で20歳から80歳までの5歳刻みの年齢に当たる方で、受診間隔は5年度に1回です。現在歯周病で治療管理中の方は対象外になります。間の年に歯ぐきの状態を見てもらいたい場合は、通常の保険診療での検査や定期的なクリーニングを利用してください。

まとめ

名古屋市の歯周疾患検診の公開データからは、3つのことが読み取れます。 1つめは、20歳でも半数が要精密検査になるものの、その中身は戻せる所見だということです。浅い歯周ポケット、歯石、未処置のむし歯で、失った歯があるのは1.3%にすぎません。5年に1回しかない無料の機会を、戻せるうちに使う価値があります。 2つめは、歯を失う坂が40代から始まり、55歳から65歳で最も急になることです。にもかかわらず40歳・45歳の受診者数は50歳以上より少ない。働く年代の取りこぼしが、そのまま喪失歯の増加と重なっています。 3つめは、同じ年齢で比べれば市民の口の状態が年々良くなっていることです。50歳の喪失歯保有率は6年で24.4%から17.8%へ、70歳の現在歯数は23.7本から25.1本へ。定期的な管理が結果を変えていることを示す数字です。 区ごとの差は、医院の質ではなく受診者の年齢構成と判定の運用の差を映したものです。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいの方は、通知が来たら受け、結果を出発点にかかりつけの歯科で続けて管理するという使い方をしてください。市全体の歯科保健データはデータで見る名古屋16区の歯の健康、検診の受け方は名古屋市の歯周疾患検診は無料|対象年齢・受け方・当日の流れで確認できます。 子どもの年代のデータは別に公開されています。市立の幼稚園・小中学校・高等学校でむし歯のある子の割合と、30年の推移はデータで見る名古屋市の学校歯科健診|小中学生のむし歯率と未処置歯にまとめています。

参考・出典

  • 名古屋市「名古屋市健康福祉年報〈事業編〉 第6章 歯科保健(表6-3 歯周疾患検診実施件数、区(保健センター)別)」名古屋市オープンデータカタログ(CC BY 4.0) https://data.bodik.jp/dataset/231002_1300050000_01
  • 名古屋市健診(検診)総合サイト「歯周疾患検診」(対象年齢・受診間隔・検診方法) https://758kenshin.city.nagoya.jp/periodontal/
  • 名古屋市「歯周疾患検診」 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/kenkoinfo/1009456/1009483.html
  • 名古屋市「名古屋市におけるオープンデータの取り組み」 https://www.city.nagoya.jp/shisei/keikaku/1031739/1034964.html
  • 名古屋市「歯と口の健康づくり」 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/kenkoinfo/1009487/index.html
  • 名古屋市「協力歯科医療機関」 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/kenkoinfo/1009487/1009489.html
  • 日本歯周病学会「刊行物」 https://www.perio.jp/publication/
  • 日本歯科医師会「テーマパーク8020」 https://www.jda.or.jp/park/

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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