対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
総入れ歯の予備を作っておきたい。落として割ったら、旅行先で失くしたらどうするのか。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも、一度こわれて困った経験のある方から必ずと言ってよいほど伺うご相談です。結論から申し上げると、保険では原則として同じ装置を2組作ることはできません。ただし、現実的な備えの方法はあります。このページでは、制度の考え方と、費用をかけずにできる備えを整理します。

先に押さえておきたい点
- 保険では、同じ装置を予備として2組作ることは原則できない
- 作り直しにも期間のきまりがあり、短い間隔では保険が使えない
- 自費であれば、同時に2組作ることは可能
- 最も現実的なのは「作り替えた際、前の装置を残しておく」方法
- 古い装置をそのまま使えるとは限らない。事前に確認が要る
- 災害と旅行への備えとしては、予備そのものより連絡先と保管方法が効く
| 備えたい場面 | 予備が役立つか | 現実的な手段 |
|---|---|---|
| 落として割った | 役立つ。修理の数日をしのげる | 前の装置を保管しておく |
| 旅行先で紛失 | 役立つが持参が前提 | 予備を持ち歩く・現地の歯科を調べる |
| 災害で持ち出せない | 限定的。自宅にあると意味が薄い | 非常持ち出し袋に入れておく |
| 修理・作り直しの期間 | 役立つ | 前の装置か、仮の装置を用意 |
| 施設や入院で紛失 | 役立つ | 名前を入れる・保管容器を決める |
保険では同じ装置を2組作れません
まず、制度の話からお伝えします。 公的医療保険は、病気やけがに対して必要な治療を給付する仕組みです。装置についても、その方に必要な一組が対象になります。同じ内容の装置をもう一組、備えとして作ることは、この考え方の外に出ます。 そのため、「壊れたときのために、保険でもう一つ」というご希望には応えられません。 さらに、作り直しにも期間のきまりがあります。前に作ってから一定の期間が経過していない場合、原則として保険では新しく作れません。この扱いは保険の入れ歯は6か月たたないと作り直せない?ルールと例外の考え方で詳しく説明しています。 ただし、壊れた場合の修理は別の扱いになります。割れた床をつなぐ、外れた人工歯を付け直す、といった処置は保険で行えます。修理の流れは入れ歯が割れた・欠けたときの対処|市販の接着剤がNGな理由と修理の流れをご覧ください。 つまり制度としては、「予備を持つ」のではなく「壊れたら直す」という設計になっています。自費なら2組作ることはできます
自費で作る場合、この制限はありません。同じ設計の装置を同時に2組作ることも可能です。 同時に作る利点は、型取りと噛み合わせの記録を共有できることです。工程の一部をまとめられるため、2組目の費用は1組目と同額にはならないことが多くあります。実際の金額は医院と設計によって幅があるため、見積もりの段階でご確認ください。 一方で、注意点もあります。装置は作った時点の顎の形に合わせて作られます。保管しているあいだも顎の骨は変化するため、数年後に取り出したときに合わないことがあります。「作っておけば安心」とは言い切れません。 そのため、予備を作るなら、定期的に装着して確認することが前提になります。年に一度は口に入れてみて、大きく合わなくなっていないかを見ておきます。 自費の装置についての保証の扱いは自費の入れ歯に保証はある?保証期間・再製作の扱いと契約前の確認点にまとめています。保証の内容によっては、破損時の再製作が含まれることもあり、予備を作るより現実的な備えになる場合があります。
いちばん現実的なのは「前の装置を残す」方法
費用をかけずにできる備えがあります。 装置を作り替えたとき、前の装置を処分せずに保管しておくことです。多くの方は、新しいものができた時点で古いほうを捨ててしまいます。 しかし、前の装置は、少し前まで実際に使えていたものです。新しい装置が壊れて修理に出す数日間、これがあるかないかで生活が変わります。 保管の際は、乾燥させないことが大切です。樹脂は乾くと変形します。水を入れた容器に入れ、水は定期的に替えます。長期の保管では、義歯用の洗浄剤を時々使って清潔を保ちます。清掃の方法は入れ歯のお手入れ・洗浄方法|NGな洗い方と保管のコツをご覧ください。 また、保管場所を家族に伝えておいてください。ご本人が体調を崩されたときに、どこにあるかわからないという事態を防げます。古い装置を使うときの注意
保管していた装置を実際に使う場面では、いくつか確認が必要です。 まず、合うかどうかです。顎の骨は年月とともにやせます。2年前の装置が今の顎に合うとは限りません。緩い、痛い、外れるといったことが起こります。 次に、清潔さです。長く水に入れたままだった装置には、細菌やカビが増えていることがあります。使う前に洗浄剤で処理してください。上あごが赤くなる、ヒリヒリするといった症状が出たら、使用を中止してご相談ください。 三つ目に、噛み合わせです。古い装置と新しい装置では、高さが違うことがあります。急に低い装置を使うと、顎が疲れたり、頬を噛んだりします。 四つ目に、変形です。乾燥した状態で長く置かれた装置は、反っていることがあります。無理に押し込むと粘膜を傷めます。 こうした理由から、古い装置は「応急的にしのぐためのもの」と位置づけるのが適切です。何日も続けて使うなら、一度見せていただくほうが安全です。 長く使っていなかった装置を再開する際の判断は入れ歯を使わなくなった・しまい込んでいる|また使える条件と作り直しの判断にまとめています。
旅行や外泊のときの備え
装置を紛失する場面として多いのが、外出先です。 多いのは、外して紙に包み、そのまま捨ててしまうというものです。食事の席、宿泊先の洗面所、機内。いずれも実際に起きています。 対策は単純で、専用の容器を持ち歩くことです。外したら必ず容器に入れる、という習慣にします。紙ナプキンに包むことをやめるだけで、紛失は大きく減ります。 旅行先では、洗浄剤も持参してください。夜に外した後、水だけでは汚れが落ちません。 もうひとつ、旅先で急に痛みが出たり、装置が壊れたりすることもあります。滞在先の近くで歯科を探せるよう、あらかじめ調べておくと安心です。名古屋周辺で休日や夜間に困ったときの窓口は名古屋で休日に歯が痛いとき|北・南歯科保健医療センターの使い方と受診の判断にまとめています。 長期の旅行や出張の前には、装置の状態を確認しておくことをおすすめします。ひびが入りかけている装置は、旅先で割れます。災害への備えとしての考え方
災害時に装置を失って食事に困った、という報告は各地の被災地から上がっています。 このとき問題になるのは、予備があるかどうかより、持ち出せたかどうかです。就寝中に発災すれば、外して置いた装置は探せません。 現実的な備えは三つあります。一つ目は、非常持ち出し袋に容器と洗浄剤を入れておくこと。二つ目は、就寝時の置き場所を決めておくこと。枕元の決まった位置にあれば、暗い中でも持ち出せます。三つ目は、装置に名前を入れておくことです。 名前を入れる処置は、装置の内側に小さく記入するもので、避難所での取り違えや紛失時に役立ちます。ご希望があれば対応できる医院があります。特に、施設への入所や入院の予定がある方には、あらかじめお勧めしています。 高齢のご家族の口の管理についてはオーラルフレイルとは|高齢の親の口の衰えチェックと予防、通院が難しい場合の相談先は訪問歯科診療とは|通院できない家族が自宅で受けられる治療と費用をご覧ください。修理・作り直しとの比べ方
「予備を作る費用」と「壊れたときの対応」を並べて考えると、判断しやすくなります。 保険の装置が割れた場合、修理は保険で対応でき、多くは数日で戻ります。当日中に対応できることもあります。この場合、予備のために新たな費用をかける意味は大きくありません。 一方、自費で作った装置では、修理の扱いが医院ごとに異なります。保証の範囲かどうかを、作る段階で確認しておいてください。 作り直しが必要な状態であれば、予備を作るより、今の装置を合わせ直すほうが優先です。緩みが出ている装置は、内面に材料を足すことで改善します。判断の目安は入れ歯の寿命と作り直しのタイミング|リベース・修理の知識をご覧ください。 なお、金属を使った床の装置は、樹脂だけの装置より割れにくい傾向があります。落として壊した経験が複数回ある方は、この点も検討材料になります。金属床義歯とは|レジン床との違い・費用・向いている人をご覧ください。 保険と自費の考え方の整理は保険の入れ歯と自費の入れ歯の違い|後悔しない選び方にまとめています。 費用の面から整理すると、予備のために新しく一組を用意する支出と、修理で対応する支出では、桁が変わります。保険の範囲で修理できる破損であれば、負担は数千円の範囲に収まることが多くあります。これに対し、自費で二組目を作る場合は、設計にもよりますが十万円を超えることも珍しくありません。備えとしての費用対効果を考えると、多くの方には「前の装置を残して、壊れたら修理する」という組み合わせが現実的です。予備を新たに作るのは、破損を繰り返している方、遠方への長期滞在が多い方、装置がないと仕事に支障が出る方など、事情がはっきりしている場合に絞られます。紛失したときにまずすること
備えの話とあわせて、実際に失くしたときの動き方もお伝えしておきます。 最初に、心当たりのある場所を確認します。紙に包んで置いた場合、洗面所、食卓、寝具のあいだ、ごみ箱の順で見つかることが多くあります。飲食店や宿泊先であれば、その日のうちに連絡してください。時間がたつほど処分されている可能性が高くなります。 見つからない場合は、歯科に連絡します。前の装置が保管してあれば、それを使えるか確認します。ない場合は、新しく作る手続きに入ります。 このとき、「前に作った時期」がわかると話が早く進みます。保険での作製には期間のきまりがあり、紛失の場合の扱いを確認する必要があるためです。診察券や明細書が残っていれば持参してください。明細書の読み方は歯科の診療明細書の見方|点数のしくみと会計が高く感じる理由にまとめています。 装置ができるまでのあいだは、食事の内容を調整します。やわらかく、まとまりやすいものを選びます。この期間の食べ方は入れ歯で食べにくい・話しにくい|原因と改善のステップを参考にしてください。 装置なしの期間が長く続くと、噛み合わせの位置関係が変わり、次の装置の調整が難しくなります。できるだけ空けずに進めることをおすすめします。入院や施設入所が決まったとき
環境が変わる場面は、紛失が最も起こりやすいタイミングです。 食事のたびに介助の方が扱うこと、洗面所を共有すること、他の方の装置と並ぶこと。いずれも取り違えの機会になります。 事前にできることは、名前を入れること、保管容器を決めること、そして持ち物リストに装置を明記することです。ご家族が付き添う場合は、この三点を確認してください。 また、入所前に装置の状態を整えておくと、その後の負担が減ります。緩んでいる装置は、環境が変わって食事の形態も変わる中で、さらに合わなくなります。入所してから通院するのは簡単ではありません。 通院が難しくなった後でも、訪問での調整という選択肢があります。装置が合わずに食事が進まない状態を、年齢のせいと片づけないでください。使い分けという発想
予備を「壊れたときのため」だけに考えなくてもよい場面があります。 たとえば、外出用と自宅用を分ける考え方です。人前で使う装置と、自宅でくつろぐときの装置を別にする方がいらっしゃいます。見た目を重視した設計と、扱いやすさを重視した設計を使い分けます。 また、就寝時に装着する必要がある方では、日中用と夜間用を分けることがあります。ただしこれは条件によるため、自己判断ではなく指示に従ってください。判断は担当の歯科医師が行います。 いずれも自費での対応になりますが、「2組あること」に別の価値を見出せる場合があるという例です。 一方で、2組を交互に使うと、それぞれの慣れが分散します。多くの方には、1組を良い状態に保つほうが結果は安定します。使い分けを検討する際は、この点も含めて相談してください。相談しておきたいタイミング
次のような場合は、壊れる前にご相談ください。 装置にひびが見える、または一度割れて修理した箇所がある。同じ場所は再び割れやすくなっています。 装置が緩んできた。落としやすくなり、破損の機会が増えます。 入院や施設入所の予定がある。名前を入れる、保管の方法を決めるなど、事前にできることがあります。 長期の旅行や出張を控えている。状態の確認と、必要なら小さな修理を先に済ませておけます。 前の装置を持っているが、使えるかわからない。一度装着して確認しておけば、いざというときに慌てずに済みます。よくある質問
総入れ歯の予備は保険で作れますか
原則として作れません。公的医療保険は必要な装置を一組給付する仕組みで、備えとして同じものをもう一組作ることは対象外です。また作り直しにも期間のきまりがあり、短い間隔では保険が使えません。ただし壊れた場合の修理は保険で対応できるため、多くの場面はそちらで足ります。自費なら2組同時に作れますか
作れます。型取りと噛み合わせの記録を共有できるため、2組目の費用が1組目と同額になるとは限りません。ただし顎の骨は保管中も変化するため、数年後に取り出したときに合わない可能性があります。作るなら年に一度は装着して確認することを前提にしてください。見積もりの段階で2組目の金額を確認してください。古い入れ歯は予備として使えますか
数日をしのぐ用途であれば役立ちます。ただし顎の形が変わっていて緩い、噛み合わせの高さが違う、乾燥して変形しているといったことが起こります。長期に使うものではありません。保管前に洗浄し、使う前にも洗浄剤で処理してください。何日も続けて使うなら受診をおすすめします。保管はどうすればよいですか
乾燥させないことが最も大切です。樹脂は乾くと変形するため、水を入れた蓋つきの容器に入れ、水は定期的に替えてください。長期の保管では義歯用の洗浄剤を時々使います。熱湯は変形の原因になるため使わないでください。保管場所はご家族にも伝えておくと、体調を崩された際に探す手間がなくなります。旅行に持っていったほうがよいですか
前の装置があるなら、長期の旅行や出張では持参する価値があります。あわせて専用の容器と洗浄剤も用意してください。紛失の多くは、外して紙に包み捨ててしまう場面で起きています。外したら必ず容器に入れる習慣にすると、紛失は大きく減ります。出発前に装置のひびの有無も確認しておいてください。災害に備えて何をしておけばよいですか
非常持ち出し袋に容器と洗浄剤を入れておくこと、就寝時の置き場所を決めておくこと、装置に名前を入れておくことの三つが現実的です。発災時に持ち出せなければ予備が自宅にあっても意味がありません。枕元の決まった位置に置く習慣が、いちばん確実な備えになります。断水時に備え、拭き取り用の紙も入れておくと安心です。入れ歯に名前を入れられますか
対応している医院があります。装置の内側に小さく記入する方法で、見た目にはほとんど影響しません。避難所や施設、入院先での取り違えと紛失に役立ちます。入所や入院の予定がある方には特にお勧めしています。作製時でも、すでに使っている装置でも対応できる場合があります。ご希望があれば早めにお伝えください。割れやすい入れ歯を丈夫にできますか
設計と材料で変わります。金属を使った床は樹脂だけの装置より薄くて丈夫で、割れにくい傾向があります。ただし自費扱いになります。また、噛み合わせの偏りや内面の隙間があると、同じ場所に力が集中して割れます。破損を繰り返す方は、装置を強くする前に破損の原因を確認してください。同じ場所が割れるなら理由があります。まとめ
総入れ歯の予備については、まず制度の前提を知っておいてください。公的医療保険は必要な装置を一組給付する仕組みで、備えとして同じものをもう一組作ることはできません。作り直しにも期間のきまりがあります。一方、壊れた場合の修理は保険で対応でき、多くは数日、内容によっては当日で戻ります。自費であれば同時に2組作ることは可能ですが、保管中も顎の骨は変化するため「作っておけば安心」とは言い切れず、年に一度の確認が前提になります。費用をかけずにできる最も現実的な備えは、作り替えたときに前の装置を残しておくことです。乾燥させないよう水を入れた容器で保管し、場所をご家族にも伝えておきます。ただし古い装置は緩さや噛み合わせの違いがあるため、数日をしのぐためのものと位置づけてください。旅行では専用の容器を持ち歩き、外したら必ず容器に入れる習慣にすると紛失は大きく減ります。災害への備えとしては、予備そのものより、非常持ち出し袋に容器を入れておくこと、就寝時の置き場所を決めておくこと、装置に名前を入れておくことが効きます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で備えを考えている方は、総入れ歯の種類と費用|よく噛める入れ歯の条件もあわせてご覧いただき、今の装置の状態確認から始めてみてください。参考・出典
- 厚生労働省「歯科診療報酬点数表」
- 日本補綴歯科学会「有床義歯の診療指針」
- 日本老年歯科医学会「災害時の口腔健康管理に関する指針」
- 日本歯科医師会「災害時の歯科保健医療対応」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」