金属床義歯とは|レジン床との違い・費用・向いている人

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年7月4日監修者

「自費の入れ歯を勧められたけれど、金属床って何が違うの?」「20万円以上の価値はあるの?」「金属アレルギーでも大丈夫?」――金属床義歯(きんぞくしょうぎし)を検討するとき、多くの方が抱く疑問です。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海エリアの歯科医院でも、保険の入れ歯の厚みや違和感に悩んだ方が、次の選択肢として相談されることの多いテーマです。

金属床義歯とはのイメージイラスト
金属床義歯とは、床(しょう=歯ぐきや上あごに乗る土台部分。お椀のように粘膜を覆う部分)に薄い金属を使った入れ歯です。保険のレジン床(歯科用プラスチックの床)に比べて薄く作れ、食べ物の温度を感じやすく、たわみにくいのが特徴で、自費の入れ歯の代表的な選択肢とされています。このページでは、レジン床との違い、金属の種類(コバルトクロム・チタン・金)、費用の目安、向いている人・向かない人を整理します。入れ歯全体の種類や保険・自費の枠組みは 入れ歯(義歯)の種類と費用|保険と自費の違い でくわしく解説しています。

先に結論:金属床は「薄さ・温度感・丈夫さ」を求める人の選択肢です

金属床義歯について、要点を先にまとめます。
  • 床を薄く作れるため(レジン床の約3分の1程度の厚みとされます)、違和感が少なく、発音もしやすい傾向があります
  • 金属は熱を伝えやすいため、食べ物や飲み物の温度を感じやすく、食事の楽しみを保ちやすいとされます
  • 強度が高くたわみにくいため、割れにくく、残っている歯やあごへの負担を設計でコントロールしやすくなります
  • 費用はおおむね20万〜100万円程度(自費)と幅があり、金属の種類と設計で変わります。修理や作り直しに手間がかかる点、金属アレルギーへの配慮が必要な点が主な注意点です
臨床の現場では、金属床は「見た目のグレードアップ」ではなく、薄さ・熱伝導・剛性という機能面の改善を目的に選ばれる入れ歯と位置づけられています。

【早見表】レジン床と金属床の違い

保険のレジン床と自費の金属床の違いを、早見表で確認してください。
比較項目レジン床(保険)金属床(自費)
床の厚み強度確保のため厚め(2〜3mm程度)薄い(0.5mm前後〜)。違和感が少ない
温度の伝わり熱を伝えにくく、温度を感じにくい熱を伝えやすく、食事の温度を感じやすい
強度・たわみたわみやすく、割れることがあるたわみにくく、破折に強い
費用の目安3割負担で片あご5,000〜15,000円前後20万〜100万円程度(金属の種類・設計による)
作製・修理全国どの歯科でも作製・修理しやすい設計・作製に技術を要し、修理に手間がかかることがある
リライン(裏打ち直し)比較的容易可能だが、金属部分の扱いに配慮が必要
金属アレルギー床にはほぼ心配なし(バネの金属は別)材料選択に配慮が必要(チタンは起きにくいとされる)

金属床義歯の仕組み:なぜ薄くできるのか

入れ歯の床には、「割れない強度」と「たわまない剛性」が必要です。レジンは材料としての強度が限られるため、床をある程度厚くしないと割れやたわみを防げません。上あごの総入れ歯では、上あご全体を覆う床の厚みが違和感や発音のしづらさ、味や温度の感じにくさにつながることがあります。 金属はレジンよりはるかに強度が高いため、同じ剛性を保ちながら床を大幅に薄くできます。これが金属床の最大の利点です。
  • 薄さ:床の厚みを抑えられるため、舌のスペースが広がり、違和感や発音への影響が少なくなります
  • 熱伝導:金属は熱をよく伝えるため、温かい・冷たいが伝わり、食事の満足感を保ちやすくなります
  • 剛性:たわみが少ないため、かむ力が分散されやすく、残っている歯や粘膜の一部に負担が集中しにくい設計がしやすくなります
  • 清潔さ:金属の表面は緻密で汚れや水分がしみ込みにくく、においや着色が付きにくいとされます
なお、金属床といっても入れ歯全体が金属になるわけではありません。人工の歯と歯ぐき色の部分はレジンで作られ、粘膜に乗る土台の中心部分が金属になります。部分入れ歯では、金属の床とバネ・連結部分を一体で鋳造(ちゅうぞう=溶かした金属を型に流して作ること)する精密な設計が可能になります。

金属の種類:コバルトクロム・チタン・金の違い

金属床に使う金属は主に3種類あり、それぞれ特徴と価格帯が異なります。
金属床義歯とはの解説イラスト

コバルトクロム合金

金属床で最も歴史が長く、標準的に使われている合金です。強度と剛性のバランスがよく、薄く作れて、金属床の中では費用を抑えやすいのが特徴です。長年の臨床実績があります。まれに金属アレルギーの原因になることがあるため、アレルギーが疑われる方は事前の相談が必要です。

チタン(チタン合金)

コバルトクロムの半分以下といわれる軽さが特徴で、上あごの総入れ歯など床が大きい場合でも装着感が軽くなります。生体親和性(せいたいしんわせい=体になじみやすい性質)が高く、金属アレルギーが起きにくいとされる金属で、インプラントにも使われています。加工が難しいため、費用はコバルトクロムより高めになる傾向があります。

金合金(ゴールド)

金は腐食に非常に強く、体への害が少なく、適合の精度を高めやすいとされる材料です。重さがあるため、吸着を助ける方向に働く下あごの総入れ歯で好まれることがあります。貴金属のため費用は最も高くなります。 どの金属が適するかは、部位(上あごか下あごか)、部分入れ歯か総入れ歯か、アレルギーの有無、予算によって変わります。金属アレルギーの心配がある方は、皮膚科でのパッチテスト(アレルギーの原因金属を調べる検査)を活用できる場合があります。

費用の目安と考え方

金属床義歯は自費診療のため、費用は医院によって異なりますが、一般的な目安は次のとおりです。
  • 部分入れ歯(金属床):おおむね20万〜60万円程度
  • 総入れ歯(コバルトクロム床):おおむね20万〜50万円程度(片あご)
  • 総入れ歯(チタン床):おおむね30万〜80万円程度(片あご)
  • 総入れ歯(金の床):おおむね50万〜100万円程度(片あご)
日本では一つの入れ歯の中で保険と自費を混ぜること(混合診療)はできないため、金属床を選ぶ場合は設計・型取りから完成まで自費の扱いになります。なお、自費の入れ歯も治療目的であれば医療費控除(1年間の医療費が一定額を超えた場合に税負担が軽くなる制度)の対象になり得ます。制度の考え方は 歯科の医療費控除|対象になる費用と申告の方法 で解説しています。 見積もりを確認するときは、「調整・メンテナンスの費用が含まれるか」「作り直しや修理の際の扱い」まで確認しておくと、あとのトラブルを避けやすくなります。

向いている人・向かない人

金属床義歯が向いているのは、次のような方です。
  • 保険の入れ歯の厚みによる違和感・発音のしづらさ・吐き気(嘔吐反射)に悩んでいる方
  • 食事の温度や味わいを大切にしたい方
  • 入れ歯を割ってしまった経験がある方、かむ力が強い方
  • 長く使える丈夫な入れ歯を求め、初期費用よりも使用感を優先したい方
一方で、次のような場合は慎重な検討が必要です。
  • 金属アレルギーがある・疑われる方(チタンなど材料の選択と事前検査で対応できる場合があります)
  • あごの骨のやせが早く進んでいる方:金属部分はリラインでの対応に限界があり、大きな変化には作り替えが必要になることがあります
  • 近い将来、残っている歯を失う可能性が高い方:金属床は設計の変更(人工歯の追加など)がレジン床より難しく、お口の変化が落ち着いてから作るほうが合理的なことがあります
  • 費用を最優先したい方:まず保険のレジン床でかむ機能を回復し、弱点を実感してから検討する進め方もあります
臨床の現場では、「とりあえず高い方がよい」ではなく、残っている歯の状態・あごの変化の見通し・生活で何を優先したいかを踏まえて設計を選ぶことが重視されます。診査診断(しんさしんだん=口の中を診て治療方針を決める診察)のうえで、レジン床・金属床それぞれの見積もりと設計の説明を受けて比べることをおすすめします。

金属床のデメリットと長持ちさせるコツ

金属床にも注意点があります。費用が高いこと、破損時の修理や内面の調整に技術と手間がかかること、金属部分そのものの作り替えは大がかりになることです。また「金属床だから一生もつ」わけではありません。あごの骨は年月とともにやせるため、定期的な調整やリライン(内面の裏打ち直し)は金属床でも必要です。寿命と作り直しの考え方は 入れ歯の寿命と作り直しのタイミング|リベース・修理の知識 でくわしく解説しています。 毎日の手入れも欠かせません。金属部分は汚れが付きにくいとはいえ、レジン部分や人工歯にはデンチャープラーク(入れ歯に付く細菌のかたまり)が付きます。義歯ブラシによる清掃と、金属対応の義歯洗浄剤の併用が基本です。塩素系の洗浄剤や漂白剤に長く浸けると金属が変色することがあるため注意してください。くわしくは 入れ歯のお手入れ・洗浄方法|NGな洗い方と保管のコツ をご覧ください。

よくある質問

金属床義歯と保険の入れ歯は何がいちばん違いますか

床の薄さと材料です。金属床は床を薄く作れるため違和感が少なく、熱を伝えやすいので食事の温度を感じやすく、たわみにくいため割れに強いのが特徴です。その代わり自費のため費用は20万円以上が一般的です。

金属アレルギーがあると金属床は作れませんか

一律に作れないわけではありません。チタンは金属アレルギーが起きにくいとされ、選択肢になり得ます。心配な方は、皮膚科のパッチテストで原因金属を確認したうえで材料を選ぶ方法があります。必ず事前に歯科医師へ申告してください。

金属床の入れ歯は何年くらいもちますか

レジン床より割れにくく、適切な管理のもとで長く使えるケースが多いとされますが、あごの骨は年月とともにやせるため、定期的な調整やリラインは必要です。「金属だから一生もの」ではない点に注意してください。

金属の味がしたり、口の中で金属が目立ったりしませんか

現在使われる歯科用金属は安定性が高く、金属の味が続くことは通常ありません。床の金属は粘膜側(内側)にあるため、会話で目立つことはほとんどありません。ただし部分入れ歯のバネの位置によっては金属が見えることがあり、設計で配慮できる場合があります。

金属床にすればよくかめるようになりますか

床が薄くたわみにくいことで使用感の改善は期待できますが、かむ力そのものは残っている歯の本数やあごの状態に大きく左右されます。金属床は万能ではなく、診査診断のうえで期待できる改善点の説明を受けることが大切です。

名古屋・愛知で金属床義歯を相談したいときは

金属床は自費診療のため、費用・使う金属・保証の扱いが医院ごとに異なります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を含む愛知・東海エリアで検討する場合も、複数の医院で設計と見積もりの説明を受けて比較することをおすすめします。当サイトは情報メディアであり、特定の医院を勧めるものではありません。

まとめ

金属床義歯は、床に薄い金属を使うことで「薄さ・温度の感じやすさ・たわみにくさ」を実現した自費の入れ歯です。保険のレジン床の厚みや違和感、温度の感じにくさに悩む方にとって有力な選択肢で、金属はコバルトクロム・チタン・金から状態と予算に応じて選びます。費用はおおむね20万〜100万円程度と幅があり、医療費控除の対象になり得ます。一方で、金属アレルギーへの配慮、修理や設計変更のしにくさ、あごの変化に応じた調整の必要性といった注意点もあります。レジン床と金属床のどちらが合うかはお口の状態によって変わるため、診査診断のうえで両方の説明を受けて比較検討することをおすすめします。

参考・出典

  • 日本補綴歯科学会「有床義歯補綴診療のガイドライン(2009改訂版)」(Minds 掲載)
  • 「歯の欠損の補綴歯科診療ガイドライン2008」(Minds 掲載)
  • 日本補綴歯科学会「リラインとリベースの臨床指針 2023」
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット(歯・口腔の健康に関する解説)
  • 日本歯科理工学会 歯科用金属材料(コバルトクロム合金・チタン・金合金)に関する資料
  • 金属床義歯とレジン床義歯の患者満足度・装着感に関する比較研究
  • 歯科金属アレルギーの診断・パッチテストに関する指針・研究(日本歯科補綴学会・皮膚科領域)
  • 国税庁 医療費控除に関する解説(歯科治療費の取り扱い)
(注:記載の費用は一般的な目安であり、医院・設計・使用金属により大きく異なります。数値・制度の最新情報は監修者が確認・更新します。)

村井亮介(むらい りょうすけ)

DDS, MSD(Indiana University School of Dentistry 大学院 補綴科修了) 所属:American Academy of Prosthodontics(ACP)、International Team for Implantology(ITI)、Academy of Osseointegration(AO)、日本補綴歯科学会 → 監修者・当サイトの編集方針について
金属床義歯とはに関する予防・ケアのイメージイラスト

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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