入れ歯のお手入れ・洗浄方法|NGな洗い方と保管のコツ

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年7月4日監修者

「入れ歯は歯磨き粉で磨いていいの?」「洗浄剤は毎日必要?」「寝るときは外すべき?」――入れ歯(義歯=ぎし)を使い始めた方やご家族の介護をされている方から、よく寄せられる疑問です。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海エリアの歯科医院でも、入れ歯の手入れ方法についての質問は非常に多いといわれます。

入れ歯のお手入れ・洗浄方法のイメージイラスト
入れ歯の手入れは、単に「きれいにする」だけの話ではありません。手入れを怠ると、義歯性口内炎(ぎしせいこうないえん=入れ歯が当たる粘膜にカンジダという真菌=カビの一種が増えて起こる炎症)や口臭の原因になり、高齢の方では誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん=食べ物や唾液が誤って気管に入り肺で炎症を起こす病気)のリスクにも関わると考えられています。このページでは、毎日の正しい洗浄方法、やってはいけないNGな洗い方、保管のコツを、学会の指針や研究データをもとに整理します。

先に結論:入れ歯の手入れは「ブラシ+洗浄剤+夜は外して水中保管」が基本です

入れ歯の手入れで押さえるべき要点を先にまとめます。
  • 1日1回以上、入れ歯を外して専用の義歯ブラシで全体をこすり洗いします(これが手入れの土台です)
  • 義歯洗浄剤(発泡タブレットなど)への浸け置きを併用し、ブラシで落ちない細菌も化学的に減らします
  • 就寝時は原則として入れ歯を外し、乾燥させないよう清潔な水に入れて保管します
  • 熱湯・研磨剤入り歯磨き粉・漂白剤の原液・乾燥放置は、入れ歯を傷めるNG行為です
臨床の現場では、「ブラシによる機械的清掃」と「洗浄剤による化学的清掃」の二本立てが推奨されています。どちらか一方だけでは、入れ歯に付くぬめり(バイオフィルム)を十分に落とせないことが研究で示されているためです。

【早見表】入れ歯の手入れ・正しい方法とNGな方法

まずは全体像を早見表で確認してください。
場面正しい方法NGな方法NGの理由
毎日の清掃外して義歯ブラシで流水下でこすり洗い研磨剤入り歯磨き粉で磨く床(しょう=歯ぐきに乗る土台)に細かい傷が付き細菌の温床になる
洗浄剤義歯洗浄剤にパッケージ記載の時間浸ける漂白剤の原液・熱湯で消毒変色・変形・金属部分の腐食の原因になる
就寝時外して清潔な水に入れて保管入れたまま眠る/乾燥したまま放置義歯性口内炎のリスク上昇/乾燥による変形・ひび割れ
洗う場所水を張った洗面器の上で洗う硬い洗面台の上でそのまま洗う落下による破損がとても多い
におい・汚れ清掃を徹底し、取れない汚れは歯科で相談自分で削る・つまようじでこそぐ表面が傷つき、かえって汚れやすくなる

なぜ入れ歯の手入れが大切なのか

入れ歯の表面には、デンチャープラーク(入れ歯に付く細菌のかたまり)と呼ばれるバイオフィルム(ぬめりのような細菌の膜)が付きます。見た目にはきれいでも、微細な凹凸に細菌や真菌が入り込んでおり、水でゆすぐだけでは落とせません。 このデンチャープラークが増えると、次のような問題につながると報告されています。
  • 義歯性口内炎:入れ歯の下の粘膜が赤くなる炎症で、カンジダという真菌が主に関わります。入れ歯を入れたまま眠る習慣がある方でリスクが高まると報告されています
  • 口臭:入れ歯に付いた細菌や食べかすが、においの原因になります
  • 誤嚥性肺炎のリスク:高齢の方では、口の中の細菌が誤って肺に入ることで肺炎の一因になると考えられており、入れ歯の清掃を含む口腔ケアが予防の観点から重視されています
  • 残っている歯の虫歯・歯周病:部分入れ歯のバネ(クラスプ)が掛かる歯は汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高いとされています
つまり入れ歯の手入れは、入れ歯そのものを長持ちさせるためだけでなく、口と全身の健康を守るための毎日の習慣といえます。入れ歯の種類や費用など基本の全体像は、入れ歯(義歯)の種類と費用|保険と自費の違い でくわしく解説しています。

毎日の基本:義歯ブラシによる機械的清掃

手入れの土台は、1日1回以上、入れ歯を外してブラシで磨くことです。
入れ歯のお手入れ・洗浄方法の解説イラスト
  • 落下防止のため、水を張った洗面器やタオルの上で洗います。入れ歯の破損原因で多いのが、洗浄中の落下です
  • 義歯ブラシ(入れ歯専用の硬さと形状のブラシ)で、流水を当てながら全体をこすり洗いします
  • 歯ぐきに当たる内面(粘膜面)、人工の歯の部分、部分入れ歯ではクラスプ(バネ)の内側まで、洗い残しなく磨きます
  • 研磨剤入りの歯磨き粉は使いません。使うなら義歯専用の研磨剤無配合ペーストか、水だけで十分です
通常の歯磨き粉に入っている研磨剤は、天然の歯のエナメル質より軟らかいレジン(歯科用プラスチック)の床に細かい傷を付けます。傷が付いた面には細菌が入り込みやすくなり、かえって不衛生になるため、専用ブラシによる機械的な清掃が基本とされています。 残っている歯がある方は、入れ歯を外した状態で自分の歯と歯ぐきも磨いてください。とくにバネの掛かる歯は丁寧に磨き、歯間ブラシやフロスの併用も有効です。

義歯洗浄剤の使い方:化学的清掃で仕上げる

ブラシだけでは、入れ歯の微細な凹凸に入り込んだ細菌や真菌を落としきれません。そこで併用したいのが義歯洗浄剤(発泡タブレット型が一般的)です。 義歯洗浄剤には過酸化物系・酵素系・次亜塩素酸系などの種類があり、細菌やカンジダを化学的に減らす効果が研究で確認されています。使い方のポイントは次のとおりです。
  • 先にブラシで汚れを落としてから浸けます(汚れの膜の上から洗浄剤を使っても効果が下がります)
  • ぬるま湯(目安として40度以下)に洗浄剤を溶かし、パッケージに記載された時間どおりに浸けます
  • 浸けたあとは流水でよくすすぎ、洗浄液の成分を残さないようにします
  • 金属を使った入れ歯(金属床やバネ付きの部分入れ歯)は、金属対応の洗浄剤を選びます。塩素系に長時間浸けると金属が変色・腐食することがあります
頻度は製品により異なりますが、毎日〜週数回の使用が一般的です。洗浄剤はあくまで補助であり、「浸けておけばブラシは不要」ではない点に注意してください。

NGな洗い方:入れ歯を傷める5つの行為

よかれと思ってやりがちな、入れ歯を傷めるNG行為をまとめます。
  • 熱湯消毒:レジンは熱に弱く、熱湯をかけると変形して合わなくなることがあります。煮沸消毒は厳禁です
  • 研磨剤入り歯磨き粉での清掃:床に傷が付き、細菌の温床や着色の原因になります
  • 塩素系漂白剤の原液使用:変色や金属部分の腐食のおそれがあり、粘膜への刺激も残ります。薬剤を使う消毒は歯科の指示のもとで行うのが安全です
  • 乾燥したままの放置:レジンは乾燥するとひび割れや変形を起こすことがあります。外したら必ず水中で保管します
  • アルコールでの消毒:素材の劣化や変色の原因になることがあります
また、合わなくなった入れ歯を自分で削ったり、市販の接着剤で修理したりするのも避けてください。かみ合わせが崩れ、粘膜を傷つける原因になります。破損や不適合は歯科での修理・調整が原則です。

保管のコツ:夜は外して「水の中」へ

就寝時は、原則として入れ歯を外すことが勧められています。入れ歯を入れたまま眠り続けると、入れ歯の下の粘膜が休まらず、カンジダが増えて義歯性口内炎のリスクが高まると報告されているためです。高齢の方を対象にした研究では、入れ歯を入れたまま眠る習慣が肺炎リスクの上昇と関連したという報告もあります。 保管の手順は次のとおりです。
  • 外した入れ歯はブラシで清掃し、専用の保管容器に入れた清潔な水(または洗浄剤を溶かした液)に浸けます
  • 水は毎日取り替え、容器も定期的に洗います
  • ティッシュに包んで置くのは避けます。乾燥するうえ、誤って捨ててしまう紛失事故が非常に多いためです
  • ペットや小さなお子さんの手が届かない場所に置きます
なお、あごの状態などによって夜間も装着したほうがよいと判断されるケースもあります。自己判断に迷う場合は、かかりつけの歯科で確認してください。

素材別の注意点:ノンクラスプ・シリコン・金属床

自費の入れ歯は素材ごとに手入れの注意点が異なります。 ノンクラスプデンチャー(バネのない樹脂の部分入れ歯)は、素材によっては市販の洗浄剤で劣化することがあり、専用または対応をうたう洗浄剤を選びます。シリコン義歯(裏側がやわらかい入れ歯)は、シリコーン部分に汚れやカンジダが付きやすく、強くこすると剥がれの原因になるため、やわらかいブラシと指定の洗浄剤で丁寧に洗います。金属床義歯(きんぞくしょうぎし=床の一部に金属を使う入れ歯)は、金属対応の洗浄剤を使い、塩素系への長時間浸け置きを避けます。金属床の特徴は 金属床義歯とは|レジン床との違い・費用・向いている人 でくわしく解説しています。 いずれの入れ歯も、毎日の手入れとあわせて定期的な歯科でのチェックと専門的清掃を受けることで、清潔さと適合を保ちやすくなります。手入れをしていても、入れ歯そのものは年月とともに劣化し、あごの形も変化します。作り直しの目安は 入れ歯の寿命と作り直しのタイミング|リベース・修理の知識 をご覧ください。

よくある質問

入れ歯は普通の歯磨き粉で磨いてはいけませんか

研磨剤入りの歯磨き粉は、レジンの床に細かい傷を付けて細菌の温床になるため勧められません。義歯ブラシと水、または義歯専用の研磨剤無配合ペーストで磨いてください。

義歯洗浄剤は毎日使うべきですか

ブラシによる清掃を毎日行ったうえで、洗浄剤は製品の指示に従い毎日〜週数回の併用が一般的です。ブラシと洗浄剤は役割が異なるため、洗浄剤だけで済ませるのは避けてください。

入れ歯を熱湯で消毒してもよいですか

いけません。レジンは熱で変形し、合わなくなることがあります。消毒したい場合は義歯洗浄剤を使い、薬剤による消毒は歯科の指示に従ってください。

入れ歯を入れたまま寝てもよいですか

原則として外して眠ることが勧められます。入れたまま眠る習慣は義歯性口内炎のリスクを高めると報告されています。外した入れ歯は清潔な水に浸けて保管してください。ただし例外もあるため、迷う場合は歯科で確認しましょう。

入れ歯のにおいが取れません。どうすればよいですか

デンチャープラークや着色が原因のことが多く、まずブラシ+洗浄剤の清掃を徹底します。それでも取れないにおいや汚れは、歯科で専用の機械による清掃(プロフェッショナルクリーニング)を受けると改善することがあります。

名古屋・愛知で入れ歯の手入れについて相談できますか

入れ歯の清掃指導は多くの歯科医院で受けられます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を含む愛知・東海エリアでも、かかりつけの歯科や入れ歯の調整を受けている医院で相談するのがスムーズです。当サイトは情報メディアであり、特定の医院を勧めるものではありません。

まとめ

入れ歯の手入れは、義歯ブラシによる機械的清掃を1日1回以上行い、義歯洗浄剤による化学的清掃を併用し、就寝時は外して清潔な水の中で保管する、という三本柱が基本です。熱湯・研磨剤入り歯磨き粉・漂白剤の原液・乾燥放置は入れ歯を傷めるNG行為です。手入れの不足は義歯性口内炎や口臭、高齢の方では誤嚥性肺炎のリスクにも関わるため、毎日の習慣として続けることが大切です。あわせて定期的に歯科でチェックを受け、汚れの付き方や適合の変化を確認してもらうと、入れ歯を長く清潔に使い続けられます。

参考・出典

  • 日本補綴歯科学会「有床義歯補綴診療のガイドライン(2009改訂版)」(Minds 掲載)
  • 日本老年歯科医学会 義歯の管理・口腔ケアに関する指針・資料
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット(義歯(入れ歯)の手入れ法、誤嚥性肺炎に関する解説)
  • American College of Prosthodontists(ACP)「Evidence-Based Guidelines for the Care and Maintenance of Complete Dentures」(2011)
  • 義歯清掃法(機械的・化学的清掃)の効果に関する系統的レビュー・臨床研究
  • 義歯性口内炎とカンジダ、夜間装着と肺炎リスクに関する研究(高齢者コホート研究 等)
(注:洗浄剤の使い方は製品により異なります。記載内容は一般的な目安であり、素材ごとの詳細は監修者が確認・更新します。)

村井亮介(むらい りょうすけ)

DDS, MSD(Indiana University School of Dentistry 大学院 補綴科修了) 所属:American Academy of Prosthodontics(ACP)、International Team for Implantology(ITI)、Academy of Osseointegration(AO)、日本補綴歯科学会 → 監修者・当サイトの編集方針について
入れ歯のお手入れ・洗浄方法に関する予防・ケアのイメージイラスト

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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