子どものフロスはいつから|奥歯の間の虫歯を防ぐ使い方

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年9月10日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

子どものフロスは、いつから始めればよいのか迷う保護者が多くいらっしゃいます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)の歯科医院でも、「まだ早いのでは」と考えている家庭が少なくありません。実際には、奥歯どうしが接した時点、つまり2歳半から3歳ごろが始めどきです。歯ブラシの毛先は歯と歯の間には入らないため、道具を足さないかぎり、その場所は手つかずのままになります。このページでは、始める時期、道具の選び方、嫌がるときの進め方を整理します。

子どもの奥歯にフロスを通している様子を示したイラスト

先に押さえておきたい点

  • 始める目安は、奥歯どうしが接したとき(2歳半から3歳ごろ)
  • 歯ブラシの毛先は、接している歯の間には物理的に入らない
  • 子どもにはホルダー付き(糸ようじ型)が扱いやすい
  • 1日1回、夜の仕上げ磨きの後に通すのが続けやすい
  • 出血しても、多くは炎症によるもので、続けるうちに落ち着く
  • 引っかかりやにおいは、見えない虫歯に気づく手がかりになる
仕上げ磨き全体の進め方は仕上げ磨きのやり方といつまで続ける?年齢別のコツにまとめています。ここでは歯と歯の間のケアに絞って解説します。 道具にはいくつか種類があります。
道具向いている場面特徴
ホルダー付きフロス保護者が子どもに使う片手で扱え、奥歯にも届きやすい。F字型とY字型がある
糸巻きタイプ本人が自分で使う練習指に巻いて使う。慣れれば細かく操作できる
歯間ブラシすき間が広い場合子どもの歯には通常使わない。すき間が空いた部分に限る
水流の器具補助として汚れを洗い流すが、接している面をこすることはできない
※接している面の汚れを落とすには、糸を通して面をこする必要があります。水流だけでは代わりになりません。

いつから始めるか

目安は、奥歯どうしが接したときです。 乳歯の奥歯が生えそろうのは、2歳半から3歳ごろです。この時点で、隣り合う歯が触れ合う面ができます。触れ合った瞬間から、その場所は歯ブラシが届かない場所になります。 前歯のあいだに隙間が空いている時期は、まだ必要ありません。隙間があれば、歯ブラシの毛先が入り、だ液も届きます。 つまり、年齢そのものより、歯と歯が接しているかどうかで判断します。歯並びには個人差があるため、一律に何歳からとは言えません。 歯科の検診で、どこが接しているかを見てもらうと確実です。「この歯とこの歯の間から始めましょう」と具体的に示してもらえれば、迷いがなくなります。 赤ちゃんの時期のケアについては赤ちゃんの歯のケア|歯が生え始めたらすること・ガーゼ磨きで扱っています。この段階では、まだフロスは要りません。

なぜ歯ブラシだけでは足りないのか

歯ブラシの毛は、直径が数十マイクロメートルあります。一方、接している歯と歯の間には、毛が入る隙間がありません。 そのため、どれだけ丁寧に磨いても、その面には触れていないことになります。時間をかけても、力を入れても、届かないものは届きません。 しかも、この場所はだ液も届きにくくなっています。酸を中和して溶けたミネラルを戻す働きが弱まるため、他の場所より虫歯が進みやすい条件がそろっています。 乳歯は、永久歯よりエナメル質と象牙質が薄いという性質もあります。同じ深さでも、中まで届くのが早くなります。 このため、歯と歯の間は子どもの虫歯がもっともできやすい場所のひとつです。見えない位置で進む点も含めて、詳しくは子どもの歯と歯の間の虫歯|見えない虫歯とレントゲンの必要性で解説しています。
歯ブラシの毛先が届かない歯と歯の間にフロスが入る様子を比べた図

道具の選び方

子どもに使うなら、ホルダー付きのものが扱いやすくなります。 片手で持てるため、もう一方の手で唇や頬をよけられます。糸巻きタイプを両手で扱いながら、動くお子さんの口の中を見るのは、慣れないうちは難しいものです。 形はF字型とY字型があります。前歯にはF字型が入れやすく、奥歯にはY字型が向いています。両方そろえる必要はなく、奥歯に届きやすいものを一つ選べば足ります。 子ども向けとして売られているものは、糸が細く、持ち手が小さめに作られています。ただし、大人用でも問題なく使えます。奥歯に入る大きさかどうかで選んでください。 糸の太さも製品によって違います。きつくて入りにくい場合は、細いものに替えます。無理に押し込むと歯ぐきを傷つけます。 本人が自分で使う練習を始めるのは、小学校中学年以降が目安です。それまでは保護者が通します。

通し方の基本

手順はそれほど難しくありません。 まず、糸を歯と歯の間に当てます。真上から一気に押し込まず、前後に小さく動かしながら、ゆっくり入れます。 接触している部分を越えると、すっと入ります。ここで止めます。 次に、片方の歯の面に糸を沿わせ、軽く上下にこすります。歯ぐきの少し下まで入れて構いません。そのあと、反対側の歯の面にも同じように沿わせてこすります。 一か所につき、この往復で十分です。長く時間をかける必要はありません。 抜くときも、前後に動かしながらゆっくり出します。勢いよく引き上げると、歯ぐきを傷つけます。 姿勢は、仕上げ磨きと同じで構いません。膝の上に寝かせる、あるいは向かい合って座るなど、口の中が見える形にします。年齢別の姿勢と手の添え方は年齢別の仕上げ磨きの手順とコツにまとめています。

いつ、どのくらいやるか

1日1回で構いません。夜の仕上げ磨きの後が続けやすい時間です。 眠っているあいだはだ液が減り、口の中の回復が起こりにくくなります。寝る前の状態がそのまま朝まで続くため、夜に汚れを残さないことに意味があります。 すべての歯の間を毎回通す必要はありません。奥歯どうしが接している部分を優先します。乳歯であれば、左右の上下で4か所から8か所程度です。 慣れれば1分もかかりません。歯ブラシに10分かけるより、歯ブラシ3分とフロス1分のほうが、結果は出ます。 毎日できない日があっても構いません。週に2、3回でも、まったくやらないのとは大きく違います。完璧を目指して途中でやめてしまうより、続く形を選んでください。

出血したときの考え方

初めて通したとき、血が出ることがあります。多くの保護者が驚いて中断されますが、続けてよい場面がほとんどです。 出血の理由は、その部分の歯ぐきに炎症があるためです。汚れがたまり続けていた場所に、初めて道具が入ったことで、炎症のある組織から血がにじみます。 続けて汚れを取り除いていくと、炎症が引き、数日から1週間ほどで出血しなくなります。 一方で、次のような場合は受診してください。強い力で入れたときに切ったような出血がある、決まった一か所からだけ繰り返し出る、歯ぐきが赤く腫れている、押すと膿のようなものが出る。 出血がこわいからと、その場所を避けてしまうと、汚れが残り続けて炎症が長引きます。やさしく、しかし届かせることが大切です。

嫌がるときの進め方

歯磨きよりもフロスのほうを嫌がる、というお子さんは珍しくありません。 まず、時間を短くします。全部を一度にやろうとせず、今日は上の奥歯だけ、明日は下だけ、という形でも構いません。 次に、痛くしないことです。一度でも痛い思いをすると、口を開けてくれなくなります。ゆっくり入れる、無理に押し込まない、を守ってください。 そして、終わりを予告します。「あと2か所で終わり」と数えると、見通しが立って落ち着きます。 歯磨き自体を嫌がる段階であれば、まずそこから解いていきます。関わり方は子どもが歯磨きを嫌がる|泣かせずに磨く工夫と発達の理解で扱っています。 どうしても難しい日は、無理をせず翌日にします。嫌な記憶を積み重ねるほうが、長い目で見て損になります。

歯ブラシとの役割分担

フロスを始めると、歯ブラシが要らなくなるわけではありません。担当する場所が違います。 歯ブラシが受け持つのは、噛む面の溝、歯の外側と内側の面、そして歯と歯ぐきの境目です。この三か所に毛先が当たっているかどうかで結果が決まります。 フロスが受け持つのは、歯と歯が接している面です。ここは歯ブラシがどうやっても届きません。 どちらか一方では、口の中の半分しか手が入らないことになります。両方あって、初めて全体が仕上がります。 歯ブラシそのものが合っていないと、受け持つべき三か所にも届きません。ヘッドが大きすぎると奥歯の裏に入らず、毛が開いたままでは境目に当たりません。選び方と交換時期は子ども用歯ブラシの選び方と交換時期|年齢別のサイズと仕上げ用にまとめています。 大人の歯間清掃については歯間ブラシとデンタルフロス、どっちを使うべき?選び方と正しい使い方を歯科医が解説で扱っています。考え方は同じですが、子どもの歯にはすき間が少ないため、歯間ブラシではなくフロスを使います。

生え替わりの時期に気をつけること

小学生になると、口の中の条件が大きく変わります。 乳歯と永久歯が混ざって並ぶため、高さがそろいません。段差ができ、その部分に汚れがたまります。 抜けた歯の隣は、面がむき出しになります。隣の歯の側面は、それまで隠れていた場所で、汚れが残りやすくなります。 生えかけの永久歯は、周りより背が低く、歯ブラシが素通りします。特に6歳ごろに生えてくる第一大臼歯は、いちばん奥にあり、噛む面の溝も深いため注意が必要です。この時期の磨き方は小学生の歯磨き|6歳臼歯と生え替わり期の磨き残しポイントで解説しています。 そして、この時期は仕上げ磨きを終える家庭が増える時期でもあります。本人に任せると、歯と歯の間はほぼ確実に手つかずになります。 仕上げ磨きをやめる時期は、フロスの習慣が定着してからにすることをおすすめしています。虫歯のできやすさに個人差がある背景は虫歯になりやすい子の特徴|だ液・菌・生活習慣でどこまで決まるかで扱っています。

引っかかりは大事なサイン

フロスを続けていると、口の中の変化に気づけるようになります。 いつもすっと通る場所が引っかかる、糸がほつれる、といった変化は、歯の表面に段差ができているサインです。虫歯で表面が崩れている場合や、詰め物のふちに段差ができている場合があります。 通した後、特定の場所だけ強いにおいがつく場合も同様です。そこに汚れがたまり続けている、あるいは中で虫歯が進んでいる可能性があります。 こうした変化は、目で見ても分からないことがほとんどです。フロスは、掃除の道具であると同時に、検査の道具でもあります。 気づいたら、次の検診を待たずに相談してください。早い段階であれば、削らずに済むこともあります。

フッ素と組み合わせる

フロスで汚れを落とした後は、フッ素が届きやすくなります。 汚れが残ったままでは、フッ素は歯の表面に触れられません。順番としては、歯ブラシ、フロス、そのあとにフッ素入りの歯磨き剤を使うか、洗口液を使う形になります。 使った後は、強くうがいをしすぎないでください。少量の水で1回すすぐ程度にとどめると、効果が残りやすくなります。 歯科での塗布については子どものフッ素塗布|頻度・効果・家庭でのフッ素との違いで解説しています。家庭でのケアと役割が違うため、両方を組み合わせるのが基本です。 食べる回数の見直しも同時に行うと、効果がはっきりします。回数の考え方は子どものおやつと虫歯|回数・時間・ジュースの与え方にまとめました。
歯ブラシとフロスとフッ素を順番に組み合わせる家庭でのケアの流れの図

相談したほうがよい場合

次のような場合は、歯科で相談してください。
  • フロスが特定の場所で引っかかる、ほつれる
  • 通した後、決まった場所だけ強いにおいがする
  • 一か所から繰り返し血が出る、歯ぐきが腫れている
  • きつくて入らない、無理に入れないと通らない
  • どこから始めればよいか分からない
  • 本人が痛がって続けられない
反対に、すっと通り、数日で出血が落ち着いたのであれば、そのまま続けて構いません。

よくある質問

子どものフロスはいつから始めればよいですか

奥歯どうしが接したときが目安で、乳歯の奥歯が生えそろう2歳半から3歳ごろにあたります。前歯のあいだに隙間が空いている時期は、歯ブラシの毛先が入りだ液も届くため、まだ必要ありません。年齢より、歯と歯が接しているかどうかで判断します。検診で確認してもらうと確実です。

歯ブラシを丁寧にやれば十分ではありませんか

足りません。歯ブラシの毛は、接している歯と歯の間には物理的に入らないためです。どれだけ時間をかけても力を入れても、その面には触れていません。しかもこの場所はだ液も届きにくく、他より虫歯が進みやすい条件がそろっています。道具を足すしかありません。

どの道具を選べばよいですか

子どもに使うなら、ホルダー付きのものが扱いやすくなります。片手で持てるため、もう一方の手で唇や頬をよけられます。奥歯にはY字型が届きやすく、前歯にはF字型が入れやすい形です。両方そろえる必要はなく、奥歯に入る大きさのものを一つ選べば足ります。

血が出たのですが、続けてよいですか

多くの場合、続けて構いません。汚れがたまっていた場所の歯ぐきに炎症があり、初めて道具が入ったことで血がにじんでいます。続けるうちに炎症が引き、数日から1週間ほどで出血しなくなります。一か所から繰り返し出る、腫れている、膿が出る場合は受診してください。

毎日やらないといけませんか

1日1回、夜の仕上げ磨きの後が理想です。眠っている間はだ液が減り、寝る前の状態が朝まで続くためです。ただし毎日できない日があっても構いません。週に2、3回でも、まったくやらないのとは大きく違います。完璧を目指して続かなくなるほうが損になります。

嫌がってやらせてくれないときはどうしますか

まず時間を短くしてください。今日は上の奥歯だけ、と分けても構いません。次に痛くしないことです。一度でも痛い思いをすると口を開けてくれなくなります。ゆっくり入れ、無理に押し込まないでください。「あと2か所で終わり」と数えると見通しが立ちます。

何歳から自分でできるようになりますか

自分で使う練習を始めるのは、小学校中学年以降が目安です。それまでは保護者が通します。糸巻きタイプを両手で扱うには手先の細かい動きが必要で、鏡を見ながら奥歯まで届かせるのは簡単ではありません。本人に任せる時期は、実際にできているかを確認してから決めてください。

水流の器具でも代わりになりますか

補助にはなりますが、代わりにはなりません。接している歯と歯の面に付いた汚れは、糸を沿わせてこすらないと落ちないためです。水流は届きにくい場所を洗い流す役割があり、装置が入っている場合などには有用ですが、フロスの代替として使うことはおすすめしていません。

まとめ

子どものフロスは、奥歯どうしが接した時点、つまり2歳半から3歳ごろが始めどきです。年齢そのものより、歯と歯が接しているかどうかで判断します。歯ブラシの毛は接している歯の間には物理的に入らないため、どれだけ丁寧に磨いてもその面には触れていません。しかもこの場所はだ液も届きにくく、乳歯はエナメル質と象牙質が薄いため、虫歯が進みやすい条件がそろっています。道具は、保護者が使うならホルダー付きが扱いやすく、奥歯にはY字型が届きやすい形です。通し方は、真上から押し込まず、前後に小さく動かしながらゆっくり入れ、接触部分を越えたら片側ずつ歯の面に沿わせて軽くこすります。抜くときもゆっくり出してください。頻度は1日1回、夜の仕上げ磨きの後が続けやすく、奥歯どうしが接している部分を優先すれば1分もかかりません。初めて通したときの出血は、その部分の歯ぐきの炎症によるもので、続けるうちに数日から1週間で落ち着くことがほとんどです。一か所から繰り返し出る、腫れている、膿が出る場合は受診してください。フロスは掃除の道具であると同時に、検査の道具でもあります。いつもすっと通る場所が引っかかる、糸がほつれる、通した後に特定の場所だけ強いにおいがするといった変化は、目で見ても分からない虫歯に気づく手がかりになります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海でお子さんの歯のケアに迷われている方は、仕上げ磨きはいつまで続ける?年齢別の進め方もあわせてご覧ください。

参考・出典

  • 日本小児歯科学会「小児歯科診療ガイドライン」
  • 日本口腔衛生学会「歯間部清掃用具の使用に関する見解」
  • 厚生労働省「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」
  • 日本歯科医学会「う蝕の重症化予防」

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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