歯間ブラシとデンタルフロス、どっちを使うべき?選び方と正しい使い方を歯科医が解説

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年7月1日監修:村井亮介(DDS, MSD(米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)/日本補綴歯科学会 会員)

「毎日きちんと歯みがきしているのに、なぜ歯医者で『フロスや歯間ブラシも使ってください』と言われるのだろう」「歯間ブラシとデンタルフロス、どちらを使えばいいのか分からない」「サイズは何を選べばよいのか、使う順番や頻度は」。歯間清掃の道具は種類が多く、自己流で続けている方が多い領域です。

歯間清掃(歯と歯の間のすき間に残る歯垢を、専用の道具で取り除くこと)は、歯ブラシだけでは届かない部分のプラーク(歯の表面にできるネバネバした細菌のかたまり)を減らすために欠かせないステップです。むし歯の多くは歯と歯の間(隣接面)から始まり、歯周病もまた歯間部の歯ぐきから進みやすいとされています。
歯間清掃の必要性
このページでは、歯間清掃がなぜ必要なのか、歯間ブラシとデンタルフロスはどう違ってどちらを選べばよいのか、サイズの選び方、正しい使い方、頻度やタイミング、よくある誤った使い方までを、国内外の研究データと学会ガイドラインをもとに、できるだけわかりやすく整理して解説します。 なお、最適な道具やサイズは一人ひとり大きく異なり、最終的な判断には歯科医院での診査と指導が必要です。あくまで全体像をつかむための目安としてお読みください。

先に結論:歯間ブラシとフロスは「すき間の広さで使い分ける」のが基本です

歯間清掃の目的は、歯ブラシでは届かない歯と歯の間の歯垢を継続的に取り除き、むし歯と歯周病の発症・進行を防ぐことです。歯間ブラシとデンタルフロスは「どちらが優れている」というものではなく、歯と歯の間のすき間の広さ(鼓形空隙=こけいくうげき。歯と歯ぐきの間にできる三角形のすき間)の状態によって、向き不向きが分かれます。 次のような方は、自己流ではなく、一度歯科で道具とサイズを確認することをおすすめします。
  • 歯間清掃をしたことがない、または何年も続けていない
  • 歯と歯の間に食べ物がよくはさまる
  • 歯みがきのとき、歯ぐきから血が出ることがある
  • 歯ぐきが下がってきた、歯と歯のすき間が広がってきた気がする
  • むし歯や歯周病の治療を繰り返している
  • ブリッジ・インプラント・矯正装置など、特別なケアが必要な装置が入っている
臨床の現場では、「フロスか、歯間ブラシか」という二択ではなく、その人の歯並びや歯ぐきの状態に合わせて使い分ける(または併用する)ことが基本とされています。大切なのは、自分のすき間に合った道具を、無理なく毎日続けることです。

なぜ歯間清掃が必要なのか(歯ブラシだけでは足りない理由)

毎日きちんと歯ブラシを使っていても、歯と歯の間のプラークは取り切れません。これは技術の問題というより、歯ブラシの毛先の構造的な限界です。 歯と歯の接している面(隣接面)は、歯ブラシの毛先がほぼ届かない死角になっています。研究では、歯ブラシだけのケアでは、歯面全体の歯垢のうち歯間部の除去率が著しく低くなることが繰り返し示されています。つまり、どれだけ丁寧にみがいても、歯間部だけは取り残しが大きくなるのが現実です。 そして、歯間部はむし歯と歯周病が最も起こりやすい場所のひとつです。 むし歯は、プラークの中の細菌が糖を取り込んで作り出す「酸」によって、歯のエナメル質(歯の一番外側の硬い層)からカルシウムやリンが溶け出す「脱灰(だっかい)」から始まります。歯と歯の間はだ液の流れが届きにくく、再石灰化(だ液中のミネラルが歯に戻るはたらき)が起こりにくいため、いったん脱灰が始まると進みやすいとされています。隣接面のむし歯は外から見えにくく、レントゲンで初めて見つかることも多い特徴があります。 歯周病もまた、歯間部の歯ぐきから始まりやすい病気です。歯と歯の境目の溝にプラークがたまると、体の免疫がこれに反応して炎症が起こり、歯ぐきが赤く腫れて出血しやすくなります(歯肉炎)。歯間部の歯ぐきは「歯間乳頭(しかんにゅうとう。歯と歯のあいだに山型にせり上がった歯ぐき)」と呼ばれ、ここが炎症の入り口になりやすいとされています。 国際的な学会の見解(欧州歯周病連盟=EFPなど)でも、毎日の歯間清掃は歯肉炎の予防・改善に効果があるとされ、Cochraneレビューでもフロスや歯間ブラシの併用は歯ブラシ単独に比べて歯肉炎やプラーク指数を減らすことが報告されています。特に歯間ブラシは、すき間のある部位ではプラーク除去効果がフロスより高いとする報告が複数あり、最近のガイドラインでも「使えるなら歯間ブラシを優先する」という方向にシフトしつつあります。 臨床の現場では、歯ブラシで大きな汚れを落とし、歯間清掃で残りの取りきれないプラークをリセットする、という二段構えが基本です。歯間清掃は「余裕があればやること」ではなく、予防の柱のひとつと位置づけられています。

歯間ブラシとデンタルフロス、どう違う?

歯間ブラシとデンタルフロスは、形も使い方も向いている場所も異なります。まずは両者の特徴を整理しましょう。
項目デンタルフロス歯間ブラシ
形状細い糸状(ナイロン・ポリエステル等)小さなブラシ(極細毛+ワイヤー芯)
得意な部位すき間が狭い部分/若年者の健康な歯ぐきすき間が広い部分/歯ぐきが下がった部位
主な役割歯と歯の接する面(隣接面)のプラーク除去歯間部の広い面・歯ぐきの境目のプラーク除去
むし歯予防隣接面むし歯の予防に有効すき間がある部位で有効
歯周病予防歯肉炎の改善に補助的歯間乳頭の炎症改善に効果が高いとされる
サイズ展開太さに大きな差はない(ワックス/ノンワックス等)SSSS〜LLまで複数サイズ
難易度慣れるまでコツがいるサイズが合えば比較的簡単
費用目安1か月あたり数百円程度1本数十〜百円台/使い回し可
デンタルフロスは、糸を歯と歯の接している面に沿わせて上下させ、プラークをこすり取る道具です。歯と歯がぴったり接している部分(接触点)の真下まで入り込めるのが強みで、すき間が狭くて歯間ブラシが入らない場所に向きます。若い方や、歯ぐきが健康で歯間乳頭がしっかり詰まっている方は、まずフロスから始めるのが一般的です。 歯間ブラシは、小さなブラシを歯と歯の間に通して、プラークを物理的にかき出す道具です。すき間に対してブラシの毛が広い面で触れるため、すき間が広い部分では除去効果が高いとされています。歯ぐきが下がってすき間が広がった部位、歯周病治療後で歯間乳頭が痩せた部位、ブリッジの下、矯正装置のまわりなどに特に向きます。 どちらが「優れている」というより、すき間の状態によって使い分けるのが現実的です。臨床の現場では、前歯はフロス、奥歯はサイズが合えば歯間ブラシ、というように部位ごとに使い分ける方も少なくありません。

どちらを使うべき?タイプ別の選び方

「自分はどちらを使えばいいのか」を判断するには、すき間の状態と年齢、歯ぐきのコンディションを目安にします。
  • 20〜30代で歯ぐきが健康、すき間がほとんど見えない方:まずはデンタルフロスから。歯間ブラシは多くの部位で入らず、無理に通すと歯ぐきを傷めます。
  • 40代以降で歯ぐきが少し下がってきた方:前歯はフロス、奥歯は歯間ブラシ(SSS〜S程度)の併用が一般的な目安です。
  • 歯周病の治療を受けた、または受けている方:歯間ブラシが基本になります。歯間乳頭が痩せてすき間が広がっているため、フロスだけでは取り切れません。
  • ブリッジ・インプラント・矯正装置が入っている方:専用の道具(スーパーフロス=先端が硬く中央がスポンジ状の特殊なフロス、L字型の歯間ブラシなど)を含めて、歯科で個別に選んでもらうのが安全です。
  • お子さん(乳歯〜混合歯列期):奥歯の歯と歯がぴったり接した部位は、子ども用フロス(ホルダー付きが扱いやすい)で保護者が仕上げみがきとあわせて行うのが推奨されています。
迷ったときの実用的な原則は、「歯間ブラシが無理なく通る部位は歯間ブラシ、入らない部位はフロス」です。日本歯周病学会日本歯科保存学会の解説でも、両者は対立するものではなく、すき間に応じて使い分けるべき道具として位置づけられています。 近年は「歯間ブラシをまず検討する」という方向性が国際ガイドラインで強くなっていますが、これはあくまで「すき間がある成人」を対象とした話です。すき間がない部位に無理に歯間ブラシを通せば、かえって歯ぐきや歯間乳頭を傷めます。サイズ選びを誤れば、効果が出ないだけでなく害になることもある点に注意が必要です。

歯間ブラシのサイズの選び方

歯間ブラシは、SSSS(4S)からLLまで、メーカーによって5〜8段階のサイズ展開があります。サイズ選びを誤ると、効果が出ないか、歯や歯ぐきを傷つける原因になります。 サイズの目安は、ISO(国際標準化機構)の規格で「PHD(Passage Hole Diameter=通過孔径)」という数値で表されます。代表的な目安は次の通りです。
  • SSSS(4S)/ISOサイズ0:PHD 0.6〜0.7mm前後。すき間がごく狭い部位向け
  • SSS(3S)/ISOサイズ1:PHD 0.7〜0.8mm前後
  • SS(2S)/ISOサイズ2:PHD 0.8〜0.9mm前後
  • S/ISOサイズ3:PHD 0.9〜1.0mm前後
  • M/ISOサイズ4:PHD 1.0〜1.1mm前後
  • L/ISOサイズ5:PHD 1.1〜1.3mm前後。すき間が広い部位向け
選び方の基本は、「すき間に対して、抵抗なく通り、かつブラシ部分が歯と歯ぐきに軽く触れるサイズ」です。 通すのに強い抵抗があるサイズは大きすぎで、歯ぐきや歯間乳頭を押しつぶす原因になります。逆に、すき間の中で泳いでしまうサイズは小さすぎて、ブラシが歯面に触れずにプラークが取れません。 部位によってすき間の広さは異なるため、口の中の場所ごとにサイズを変える必要があることも多いとされています。たとえば前歯は4S〜SS、奥歯はSS〜M、ブリッジの下はM〜L、というように複数サイズを使い分けるのが現実的です。 臨床の現場では、最初のサイズ選びは歯科衛生士に決めてもらうことを強くおすすめします。鏡を見ながら自分で選ぶのは難しく、特にサイズが大きすぎる方向の失敗(歯ぐきを傷める)が起こりやすいためです。歯ぐきの状態が変われば適正サイズも変わるため、定期検診のたびに見直すのが理想とされています。

正しい使い方:歯間ブラシ編

歯間ブラシは、サイズが合っていても、使い方を誤れば効果が半減します。次の手順が基本です。
  1. 歯間ブラシを鉛筆を持つように軽く持ちます(強く握らない)。
  2. 歯と歯のすき間に対して、歯ぐきを傷めないように、ブラシをゆっくりと水平に挿入します。前歯では正面から、奥歯では頬側(外側)と舌側(内側)の両方から入れるのが基本です。
  3. 挿入したら、ブラシを前後に2〜3回ゆっくり動かし、歯面のプラークをかき出します。
  4. 奥歯では、外側から入れて届かない部分は、内側からも同じように通します。
  5. 使い終わったら水でよくすすぎ、風通しの良い場所で乾かします。毛先が乱れたり広がったりしたら交換します(一般的に1〜2週間が目安)。
挿入の角度には少しコツがあります。歯間ブラシは「歯と歯の間の床(歯ぐき)に沿って水平に通す」のが原則で、上から下に押し込んだり、斜めに無理やり入れたりすると、歯ぐきの三角の頂点(歯間乳頭)を傷つけてしまいます。 挿入時に痛みがある、出血が続く、ブラシのワイヤーがすぐに曲がる、といったサインがあれば、サイズが大きすぎるか角度が合っていない可能性が高いとされています。 なお、歯間ブラシのワイヤー(金属の芯)が直接歯面に当たると、長期的にはエナメル質や歯根面(歯ぐきが下がって露出した歯の根の部分)を傷つけることがあるため、毛先で歯面をなでるように使うのが原則です。
歯間ブラシとフロスの比較

正しい使い方:デンタルフロス編

デンタルフロスは、糸を歯と歯の間に通すだけでは効果が薄く、「歯面に沿わせてこする」動作が必要です。次の手順が基本です。
  1. 糸を40〜45cm程度(指先から肘くらいまで)切り、両手の中指に2〜3回巻きつけます。間の操作する部分は3〜5cm程度残します。
  2. 親指と人さし指で糸をピンと張り、歯と歯の間にゆっくりと通します。一気に押し込まず、左右に小さく動かしながら接触点を越えます。
  3. 接触点を越えたら、片方の歯の側面に沿わせてC字に曲げ、歯ぐきの溝のすぐ手前まで糸を入れます。歯面をこするように上下に動かし、プラークを絡め取ります。
  4. 同じすき間で、反対側の歯の側面にも同様にC字に当てて上下に動かします。1つのすき間で「両側の歯面をこする」のが原則です。
  5. 次のすき間に移るときは、使った部分を少しずらして新しい部分の糸を使います。
フロスで最も大切なのは、「歯ぐきに勢いよく当てない」「歯面にC字に沿わせる」の2点です。接触点をパチンと越えるときに勢いがつくと、歯ぐきを切ってしまい、出血や痛みの原因になります。鏡を見ながら、ゆっくり通す習慣をつけてください。 慣れないうちは、ホルダー付きのフロス(Y字型・F字型)から始めるのも有効です。奥歯にはY字型、前歯にはF字型が扱いやすいとされています。糸巻きタイプ(ロールフロス)は、慣れれば自由度が高く経済的です。 ワックスタイプ(糸に薄くワックスを塗ったもの)は接触点の通りが良く初心者向き、ノンワックスタイプはプラーク除去効果がやや高いとされていますが、いずれも続けやすいタイプを選んでかまいません。

頻度とタイミング:いつ、どのくらい使う?

歯間清掃の理想的な頻度は、「1日1回以上」とされています。 プラークは、歯の表面に付着してから24〜48時間程度かけて成熟し、より病原性の高いバイオフィルム(歯の表面に膜状に形成された細菌のかたまり)に変化していきます。毎日1回リセットできれば、この成熟を防げると考えられています。 タイミングとして最も推奨されるのは、「夜の歯みがきとセットで」行うことです。 就寝中はだ液の分泌が大きく減り、口の中の自浄作用(だ液が食べかすや細菌を洗い流すはたらき)が低下します。プラークが最も増えやすい時間帯に、歯間部にプラークを残したまま眠ることを避けるため、夜のケアに歯間清掃を組み込むのが効果的とされています。 使う順番については、「歯間清掃が先、歯ブラシが後」を推奨する見解が増えています。 理由は2つあります。1つは、先に歯間部のプラークを取り除いておけば、その後の歯みがき剤(特にフッ素)が歯間部まで届きやすくなること。もう1つは、先に歯間清掃をすることで、歯間部の汚れがあるかどうかに意識が向き、みがき残しに気づきやすくなることです。 ただし、「歯みがきの後に歯間清掃」でも効果は十分あります。順番にこだわって挫折するくらいなら、続けやすい順番で習慣化することのほうが重要です。 朝と夜の両方できれば理想ですが、まずは夜1回から始めるのが現実的です。日本歯科保存学会や厚生労働省 e-ヘルスネットでも、「1日1回はフロスや歯間ブラシを使う」ことが推奨されています。

誤った使い方と、避けたい習慣

歯間清掃は、誤った使い方を続けると効果が出ないどころか、歯や歯ぐきを傷める原因になります。次のような習慣は避けてください。
  • 歯間ブラシを「すき間がない部位」に無理に通す:歯間乳頭をつぶし、歯ぐきが下がる原因になる。すき間がない部位はフロスを使う。
  • サイズが大きすぎる歯間ブラシを使う:歯ぐきを押しつぶし、長期的に歯ぐきの退縮(下がること)を招くことがある。
  • フロスを接触点で勢いよくパチンと通す:歯ぐきを切り、出血や痛みの原因になる。ゆっくり左右に動かしながら通す。
  • 同じ部分の糸を全歯間で使い回す:プラークや細菌をほかのすき間に運んでしまう。すき間ごとに新しい部分を使う。
  • 歯間ブラシのワイヤーを歯面に押し当てる:エナメル質や歯根面を傷つけることがある。毛先で歯面をなでる。
  • 出血を怖がってやめてしまう:歯肉炎による出血なら、2〜3週間続けることで多くは改善する。痛みが強い・出血が止まらない場合は歯科で相談する。
  • つまようじや爪楊枝で代用する:歯ぐきを傷つけ、歯間乳頭を後退させる。専用の道具を使う。
  • 道具を交換せず長期間使い続ける:歯間ブラシは毛先が広がったら交換(1〜2週間目安)。フロスは使い捨て。
特に多いのが、「サイズが大きすぎる歯間ブラシ」と「勢いよくパチンとフロスを通す」の2つです。どちらも自覚しにくく、長期間続けると歯ぐきが下がってしまいます。一度下がった歯ぐきは、基本的に元には戻りません。 また、「歯間清掃をすると逆にすき間が広がる」と心配される方がいますが、これは因果が逆で、もともと炎症で腫れていた歯ぐきが、ケアで健康になって本来の形に戻ったために、すき間が「見えるようになった」というケースがほとんどです。健康な歯ぐきを保つこと自体は、長期的にすき間を広げる原因にはなりません。

装置がある場合のケア(ブリッジ・インプラント・矯正)

通常の歯間清掃に加えて、特別なケアが必要になる装置があります。 ブリッジ(失った歯の両隣を削って連結した被せ物で橋渡しした補綴物)の下は、フロスが上から通せません。スーパーフロス(先端が硬く中央がスポンジ状の特殊なフロス)や、フロススレッダー(糸を通す補助器具)を使って、ブリッジの下に通します。歯間ブラシが入る部位では併用が推奨されます。 インプラント(あごの骨にチタン製の人工歯根を埋め込んで人工歯を装着した治療)の周囲は、天然歯以上に丁寧なケアが必要です。インプラント周囲炎(インプラントを支える歯ぐきや骨に起こる炎症)は、進行を止めるのが難しく予防が最重要とされています。インプラント専用の柔らかい歯間ブラシや、ノンメタルコート(ワイヤーがプラスチック被覆されたもの)の歯間ブラシが推奨されます。 矯正装置(ブラケットやワイヤーを使った歯列矯正装置)が入っている方は、ワイヤーの下に汚れがたまりやすく、通常の方法では清掃できません。矯正用のL字型歯間ブラシ、矯正用フロス、ワンタフトブラシ(毛束が1つの小さなブラシ)を併用します。 これらの装置がある方は、自己流で続けるよりも、装置を入れた歯科で具体的な道具と使い方を必ず確認してください。装置の形状によって最適な道具が変わります。

よくある質問

歯間ブラシとデンタルフロス、どちらが効果的ですか

すき間の広さによって変わります。すき間が広い部位では歯間ブラシのほうがプラーク除去効果が高いとされ、欧州歯周病連盟(EFP)などのガイドラインでも歯間ブラシが優先的に推奨されています。一方、すき間が狭くて歯間ブラシが入らない部位ではフロスが必要です。両者は対立するものではなく、部位によって使い分けるのが現実的です。

毎日使う必要がありますか

理想は1日1回以上です。プラークは24〜48時間で成熟して病原性が高まるため、毎日リセットすることで歯肉炎やむし歯の予防効果が高まります。最も効果的なタイミングは夜の歯みがきとセットで行うことです。

歯間清掃をすると歯ぐきから血が出ますが大丈夫ですか

歯肉炎による出血であれば、2〜3週間続けることで多くは改善します。これは炎症のある歯ぐきが、プラーク除去によって健康な状態に戻る過程で起こる反応とされています。ただし、痛みが強い・出血が止まらない・特定の部位だけ繰り返し出血する場合は、歯周病が進行している可能性があるため、歯科で相談してください。

サイズの大きい歯間ブラシのほうがよく取れますか

いいえ、逆効果になることが多いとされています。サイズが大きすぎると歯ぐきを押しつぶし、長期的には歯ぐきの退縮(下がること)の原因になります。すき間に対して抵抗なく通り、ブラシ部分が歯と歯ぐきに軽く触れるサイズが適正です。サイズ選びは歯科衛生士に決めてもらうのが安全です。

フロスや歯間ブラシは使う順番がありますか

歯間清掃を先、歯ブラシを後に行うのが推奨される傾向にあります。先に歯間部のプラークを取り除くことで、その後のフッ素配合歯みがき剤が歯間部まで届きやすくなるためです。ただし、続けやすい順番で習慣化することのほうが重要です。

電動歯ブラシを使えば歯間清掃は不要ですか

不要にはなりません。電動歯ブラシは手用歯ブラシに比べてプラーク除去効果が高いとされていますが、歯と歯の接触面(隣接面)には毛先が届きにくい構造的な限界は変わりません。電動でも手用でも、歯間清掃は別に必要です。

ウォーターフロス(口腔洗浄器)は歯間ブラシやフロスの代わりになりますか

完全な代わりにはなりません。ウォーターフロスは水流で歯間部の食べかすやゆるいプラークを洗い流す道具で、補助的な役割としては有効です。ただし、しっかり付着したバイオフィルムを物理的にこすり取る効果は、フロスや歯間ブラシのほうが高いとされています。矯正装置が入っている方やセルフケアが難しい方には、補助として役立ちます。

子どもにも歯間清掃は必要ですか

必要です。乳歯の奥歯どうしが接するようになったら(おおむね2〜3歳以降)、フロスでの清掃が推奨されます。子ども自身は難しいため、保護者が仕上げみがきとあわせて行います。ホルダー付きの子ども用フロスが扱いやすいとされています。

まとめ

歯間清掃は、歯ブラシでは届かない歯と歯の間のプラークを継続的に取り除くための、予防の柱です。むし歯の多くは歯と歯の間から始まり、歯周病も歯間部の歯ぐきから進みやすいため、毎日の歯間清掃が将来の負担を大きく減らします。 歯間ブラシとデンタルフロスは「どちらが優れている」というものではなく、すき間の広さで使い分けるのが基本です。すき間が広い部位は歯間ブラシ、狭い部位はフロス、というのが原則で、年齢や歯ぐきの状態によっては併用が現実的です。 サイズ選びは、自己流ではなく歯科で決めてもらうのが安全で、一度下がった歯ぐきは戻らないことを考えると、最初の道具選びと使い方の指導を受ける価値は十分にあります。 頻度は1日1回以上、特に夜の歯みがきとセットでの習慣化が効果的とされています。続けるうちに歯ぐきからの出血は減り、口の中のさっぱり感も変わってきます。歯ブラシだけでは届かない部分のケアを、今日から少しずつ始めてみてください。 あわせて、大人の正しい歯磨き予防歯科と定期検診歯ブラシと歯磨き粉の選び方で詳しく解説しています。 歯間清掃を1日のどこに組み込むかは、歯磨きのタイミングと回数で生活パターン別に提案しています。 歯と歯の間ではなく、奥歯の後ろ側や重なった歯の面が磨けていない場合は、対象が異なる道具が必要です。使い分けはワンタフトブラシとはで説明しています。歯間ブラシを強く押し込んでしまう方は歯磨きの力が強すぎるサインもあわせてご覧ください。

参考・出典

  • 日本歯科保存学会「う蝕治療ガイドライン」、隣接面う蝕の管理に関する解説
  • 日本歯周病学会「歯周治療のガイドライン」「歯周病学用語集」、歯間清掃用具の使用に関する記載
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット(歯間部清掃用器具、デンタルフロス、歯間ブラシ、プラークコントロールに関する解説)
  • Cochrane Systematic Review「Home use of interdental cleaning devices, in addition to toothbrushing, for preventing and controlling periodontal diseases and dental caries」
  • European Federation of Periodontology(EFP):歯肉炎の予防・管理に関するガイドライン(S3レベル)、歯間清掃用具の推奨
  • American Dental Association(ADA):歯間清掃に関するステートメント
  • ISO 16409:歯間ブラシのサイズ規格(PHD=Passage Hole Diameter)
  • MSDマニュアル(家庭版・プロフェッショナル版)「う蝕」「歯周炎」「予防歯科」
  • World Health Organization(WHO)口腔保健に関する報告
(注:本文の数値は範囲・追跡期間つきの一般的目安です。具体的な数値や最新版の確認は監修医が行っています。)
正しいフロスの使い方

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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