対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
入れ歯が割れた、人工の歯が欠けたというとき、最初の判断で修理のしやすさが変わります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも、市販の接着剤でつないでしまってから来院され、修理が難しくなっている例を見かけます。このページでは、割れた直後にすべきこと、避けるべき対処、修理にかかる日数と費用の目安、そして同じ壊れ方を繰り返さないための考え方を整理します。破片の扱い方も含めてお伝えします。

先に結論
- 破片は小さくても全て保管する。捨てると修理の精度が落ちる
- 市販の接着剤は使わない。ずれて固まると修理そのものが困難になる
- 割れた装置は装着しない。断面で粘膜を切ることがある
- 多くの修理は数日以内。当日中に対応できる場合もある
- 同じ場所が繰り返し割れるなら、原因は装置の適合か噛み合わせにある
- 金属のバネが折れた場合と、樹脂が割れた場合では対処が異なる
| 壊れ方 | 起こり方と修理の考え方 | 日数の目安 |
|---|---|---|
| 床が真っ二つ | 合わせて樹脂で接ぐ。適合の見直しも必要 | 当日〜数日 |
| 人工の歯が取れた | 同じ位置に付け直す。歯が残っていれば有利 | 当日〜数日 |
| 人工の歯が欠けた | 同色の材料で盛るか、歯ごと交換する | 数日 |
| バネが折れた | 金属を作り替えて埋め込む | 数日〜1週間 |
| 細かいひびが多数 | 接いでも再発しやすい。作り替えを検討 | 要相談 |
| 紛失した | 修理不可。新製の手続きに入る | 数週間 |
割れた直後にすること
まず、破片を集めてください。大きな二片だけでなく、細かいかけらもすべてです。 理由は、修理の精度が破片の情報量で決まるからです。割れた面はぎざぎざしており、元どおりに合わせると一通りにしか組み上がりません。この断面が、正しい位置関係を教えてくれる唯一の手がかりです。かけらが一つ欠けるだけで、合わせる基準が曖昧になります。 破片は、乾かさずに保管します。密閉できる袋やケースに、少量の水と一緒に入れておくのが確実です。樹脂は乾くとわずかに縮むため、乾いた状態で数日置くと、合わせたときに隙間が生じます。 次に、装着しないでください。割れた装置の断面は鋭く、粘膜を切ることがあります。また、割れた状態で噛むと、破片がさらに細かく砕けます。 それから、できるだけ早く連絡してください。装置がない期間は不便ですが、無理に使うより短期間で修理したほうが結果的に楽です。前歯が含まれる場合など、見た目の問題で外出が難しいときは、その旨をお伝えください。応急的な対応を優先することがあります。 食事は、装置なしで食べられるものに切り替えます。やわらかいもの、細かく切ったものが中心になります。考え方は入れ歯で食べにくい・話しにくい|原因と改善のステップを参考にしてください。市販の接着剤を使ってはいけない理由
これが最も多い失敗です。理由は三つあります。 一つ目は、位置がずれて固まることです。瞬間接着剤は数秒で硬化します。破片を持った手が少しでも動けば、その位置で固定されます。人の手で、目視だけで、元どおりの位置に合わせるのはほぼ不可能です。 わずか一ミリのずれでも、口の中では大きな違いになります。内面と粘膜の関係が崩れ、広い範囲に強い当たりが生まれます。装着した途端に痛む、あるいは入らない、という状態になります。 二つ目は、修理そのものが難しくなることです。歯科医院での修理は、割れた断面同士を正確に合わせ、そこに専用の樹脂を流し込んで一体化させる作業です。断面に接着剤が入り込んでいると、この密着が得られません。硬化した接着剤を削り落とすことになりますが、削れば断面の情報が失われ、正しい位置に戻せなくなります。 結果として、修理できたはずの装置が、作り替えになることがあります。 三つ目は、材料の安全性です。市販の接着剤は、口の中で長期間使われることを想定していません。成分が粘膜を刺激することがあります。 同じ理由で、輪ゴムやテープで固定するのも避けてください。針金で巻く、家庭用の接着テープで留めるといった方法も、装置を傷めます。
なぜ割れたのかを考える
修理と同じくらい大切なのが、原因の特定です。ここを飛ばすと、同じ場所がまた割れます。 いちばん多いのが、落下です。洗面台で洗っているときに手が滑る、というのが典型的な場面です。陶器の上に落ちれば、装置は簡単に割れます。対策は単純で、洗面台に水を張るか、たたんだタオルを敷いてから洗うことです。 二つ目が、適合の悪化です。内面と粘膜のあいだに隙間があると、噛むたびに装置がわずかにたわみます。このたわみが繰り返されると、樹脂に疲労が蓄積し、あるとき割れます。真ん中で真っ二つになる割れ方は、この可能性が高くなります。 つまり、割れは適合が悪くなっていたサインでもあります。接いで戻すだけでは、また同じ場所が割れます。内面を作り直して隙間をなくす処置を同時に行う必要があります。 三つ目が、噛み合わせの偏りです。片側だけで強く噛む癖がある方や、噛みしめの強い方では、特定の場所に力が集中します。歯ぎしりのある方も同様です。歯ぎしり・食いしばりの原因と治療|マウスピース・ボトックスは効く?をご覧ください。 四つ目が、装置の年数です。樹脂は経年で劣化し、粘りが失われます。細かいひびが多数入っている装置は、どこで割れてもおかしくない状態です。入れ歯の寿命と作り直しのタイミング|リベース・修理の知識で判断の目安を扱っています。 五つ目が、熱による変形です。熱いお湯で洗う、煮沸する、電子レンジで消毒する。いずれも樹脂を変形させ、ひび割れの原因になります。入れ歯のお手入れ・洗浄方法|NGな洗い方と保管のコツをご確認ください。割れやすい形と場所があります
装置の設計上、力が集中しやすい場所は決まっています。ここを知っておくと、予兆に気づきやすくなります。 上の総入れ歯では、前歯のあいだの正中線に沿って割れることが多くなります。上あごの中央には骨の隆起がある方が多く、その上の粘膜は薄いため、装置がここを支点にしてたわみます。左右で沈み込みの差が生まれ、真ん中に力が集中します。 下の総入れ歯では、馬蹄形の細い部分が弱点になります。特に、装置の幅が狭く作られている場合、噛む力で曲げられ続けます。 部分入れ歯では、残った歯と接する切れ込みの奥が割れの起点になりやすい場所です。形が急に細くなるところに応力が集まります。 人工の歯の周囲も注意が必要です。歯と床の接着部分は、材料の境目であるため、剥がれや欠けが起こりやすくなります。前歯の人工歯が取れる方は、前歯で強く噛む癖がないか確認してください。 予兆としては、細い白い線が見えることがあります。樹脂に微細なひびが入ると、光の反射で線状に見えます。この段階で受診すれば、割れる前に対応できます。装置を洗うときに、明るい場所で全体を見る習慣をつけてください。修理までの数日をどう過ごすか
装置がない期間の過ごし方も、押さえておくと安心です。 食事は、装置なしで噛めるものに切り替えます。おかゆ、やわらかく煮た野菜、豆腐、卵料理、挽き肉を使った料理などが扱いやすくなります。硬いものを歯ぐきだけで噛もうとすると、粘膜を傷めます。 栄養が偏りやすい期間でもあります。数日であれば大きな問題にはなりませんが、修理に時間がかかる場合は、たんぱく質を取れる食品を意識してください。 残った歯がある方は、この期間の清掃が特に重要です。装置がないぶん、歯には直接力がかかります。ふだん装置が守っていた歯に負担が集中するため、痛みが出たら無理をしないでください。 見た目については、前歯が含まれる場合に困る方が多くなります。医院によっては、仮の装置で対応できることがあります。急ぎのご予定がある場合は、その旨を最初にお伝えください。歯がない期間の見た目はどうする?即時義歯・仮の歯という選択で仮の歯の考え方を扱っています。 発音も一時的に変わります。人前で話す予定がある場合は、この点も含めて相談してください。バネが折れた場合は別の対処です
金属部分の破損は、樹脂の割れとは扱いが変わります。 バネが折れた場合、多くは金属疲労です。装置の脱着を繰り返すうちに、同じ場所が曲げ伸ばしされ、あるとき折れます。指で曲げて調整していた場合は、より早く到達します。 折れた金属は、その場でつなぐことができません。新しく作り替えて、装置に埋め込む必要があります。技工所での作業が入るため、数日から一週間ほどかかります。 注意したいのは、バネが折れた状態で使い続けないことです。残ったバネに力が集中し、次はそちらが折れます。また、装置が傾いて特定の歯に負担がかかります。応急の扱いは入れ歯のバネが折れた・外れたときの対処|当日できる応急処置と修理の流れにまとめました。 バネが繰り返し折れる場合は、設計を見直します。支えの歯の位置や本数によっては、バネに無理な力がかかる設計になっていることがあります。バネを使わない方式に切り替える選択肢もあります。ノンクラスプデンチャーとは|バネの見えない部分入れ歯の利点と欠点とアタッチメント義歯・コーヌスクローネとは|バネのない自費の部分入れ歯をご参照ください。 なお、バネのかかっていた歯そのものが折れて装置が外れた、という場合もあります。この場合は装置の修理ではなく、歯の治療が先になります。修理の費用と保険の扱い
修理は、多くの場合、保険の範囲で行えます。破損の内容によって点数が決まっており、窓口での負担は数百円から数千円の範囲に収まることが多くなります。 ただし、自費で作った装置の修理は、自費での対応になるのが原則です。同一の装置に保険と自費を混在させることはできません。この考え方は歯科の保険診療と自費診療の違いをわかりやすく解説にまとめています。 作り替えになる場合は、費用の考え方が変わります。保険で新しく作るには、前回の製作から一定の期間が経過していることが原則です。破損の程度によっては例外的に認められることもありますが、事前の確認が必要です。保険の入れ歯と自費の入れ歯の違い|後悔しない選び方をご覧ください。 修理の際に、内面を作り直す処置を同時に行うことがあります。適合の悪化が割れの原因だった場合、こちらのほうが本質的な対応になります。費用は加わりますが、再発を防ぐという意味では必要な処置です。 高額な自費の装置をお使いで、費用の負担が気になる場合は、歯科治療費の分割払い・デンタルローンとは|金利・審査・医療費控除との関係と歯科の医療費控除の対象と申請方法|計算例まで解説もご参照ください。
当院で破損の相談を受けたとき
最初に、破片をすべて拝見します。断面が揃っているかどうかで、その日のうちに接げるかが決まります。かけらが欠けている場合は、その部分を作り足すことになり、精度が落ちます。 次に、なぜ割れたのかを確認します。装置を口の中に戻して、内面と粘膜のあいだに隙間がないか、噛み合わせが偏っていないかを見ます。ここを見ずに接ぐだけでは、数か月で同じ場所が割れることが多いためです。 適合の悪化が原因であれば、修理と同時に内面を作り直すことをご提案します。装置の外形は残したまま、粘膜に接する面だけを新しくする処置です。これで隙間がなくなれば、たわみが減り、再発しにくくなります。 細かいひびが全体に入っている装置では、修理をおすすめしないことがあります。接いだ場所以外が次に割れるためです。この場合は、作り替えの時期と費用をご相談します。 そして、洗い方をうかがいます。落下が原因であれば、洗う場所と方法を変えるだけで防げます。水を張る、タオルを敷く、この二つで多くの破損はなくなります。使い始めの方には最初にお伝えしている内容です。初めての入れ歯|慣れるまでの期間と快適に使うコツもあわせてご覧ください。 修理後は、必ず調整の時間を取ります。接いだ直後の装置は、わずかに厚みが変わっていることがあるためです。部分入れ歯は作って終わりではない|完成後の調整・定期チェックに通う理由と頻度で調整の考え方を扱っています。予備の装置を持つという考え方
破損を経験された方から、「次に割れたときが不安だ」という声をよくうかがいます。備えとして、予備の装置を持っておくという選択肢があります。 予備があると、修理のあいだも食事と会話に困りません。仕事で人前に立つ方、旅行の予定が多い方、遠方にお住まいで通院に時間がかかる方では、実際的な安心につながります。 ただし、注意点があります。予備の装置は、保険では作れないのが原則です。同じ部位に対して同時に二つ目を保険で作ることはできないため、自費での製作になります。費用の考え方は歯科の保険診療と自費診療の違いをわかりやすく解説をご覧ください。 もう一点、予備は「作ったまま」では使えません。顎は変化し続けるため、しまったままの装置は、必要になった時点で合わなくなっていることがあります。ときどき装着して、合っているかを確かめておく必要があります。 現実的な代替として、古い装置を捨てずに取っておく方法もあります。今の装置ほど合わなくはありませんが、数日をしのぐ役には立ちます。水に沈めて保管しておいてください。乾燥すると変形します。 予備が必要かどうかは、生活の中で装置がどれくらい重要かによります。全員におすすめするものではありませんが、破損を繰り返している方には検討する価値があります。よくある質問
割れた入れ歯を接着剤でつけてもよいですか
使わないでください。瞬間接着剤は数秒で固まるため、ずれた位置で固定されます。わずか一ミリのずれでも内面と粘膜の関係が崩れ、強い当たりや装着不能につながります。さらに断面に接着剤が入り込むと歯科医院での修理が困難になり、接げたはずの装置が作り替えになることがあります。破片は捨ててもよいですか
小さなかけらもすべて保管してください。割れた断面はぎざぎざしており、元どおりに合わせると一通りにしか組み上がりません。この断面が正しい位置関係を示す唯一の手がかりです。かけらが欠けると基準が曖昧になり、修理の精度が落ちます。乾かさないよう、少量の水と一緒に袋で保管してください。割れたまま使ってもよいですか
装着しないでください。割れた断面は鋭く、粘膜を切ることがあります。また割れた状態で噛むと、破片がさらに細かく砕けて修理が難しくなります。装置がない期間は不便ですが、やわらかい食事に切り替え、できるだけ早く受診したほうが結果的に短く済みます。前歯を含む場合は、仮の対応ができるかを相談してください。修理にはどれくらいかかりますか
床が割れた場合や人工の歯が取れた場合は、当日から数日で対応できることが多い範囲です。バネの作り替えを伴う場合は、技工所での作業が入るため数日から一週間程度かかります。細かいひびが全体に入っている場合は、接いでも再発しやすいため作り替えを検討します。急ぎのご予定がある場合は、その旨を最初にお伝えください。修理は保険で受けられますか
保険で作った装置の修理は、多くの場合保険の範囲で行えます。窓口負担は内容によりますが、数百円から数千円の範囲に収まることが多くなります。自費で作った装置の修理は自費での対応が原則です。同じ装置で保険と自費を混在させることはできません。作り替えになる場合は、前回の製作時期によって扱いが変わります。同じ場所が何度も割れるのはなぜですか
装置の内面と粘膜のあいだに隙間があり、噛むたびにたわんでいる可能性が高くなります。このたわみが繰り返されると樹脂に疲労が蓄積します。接いで戻すだけでは再発するため、内面を作り直して隙間をなくす処置を同時に行う必要があります。噛み合わせの偏りも確認します。割れは、適合が悪くなっていたサインでもあります。洗っているときによく落としてしまうのですが対策はありますか
洗面台に水を張るか、たたんだタオルを敷いてから洗ってください。装置は濡れると滑りやすく、陶器の上に落ちれば簡単に割れます。この二つの工夫だけで破損の多くは防げます。また熱いお湯や煮沸は樹脂を変形させ、ひび割れの原因になるので使わないでください。洗う場所を決めておくと、習慣として定着しやすくなります。バネが折れたときも同じ対処でよいですか
金属部分は樹脂とは扱いが変わります。折れたバネはその場でつなげず、新しく作り替えて装置に埋め込む必要があります。折れた状態で使うと残ったバネに力が集中し、次はそちらが折れます。繰り返す場合は、支えの歯の位置や本数を含めた設計の見直しを検討します。バネのかかっていた歯自体が折れている場合は、歯の治療が先になります。まとめ
入れ歯が割れたときは、最初の数分の判断がその後を左右します。すべきことは三つで、破片を細かいかけらまで残さず集めること、乾かさないよう少量の水と一緒に保管すること、そして装着せずに早めに連絡することです。割れた断面はぎざぎざしており、元どおりに合わせると一通りにしか組み上がりません。この形状が、正しい位置に戻すための唯一の手がかりになります。反対に、避けなければならないのが市販の接着剤です。数秒で固まるため必ずずれた位置で固定され、内面と粘膜の関係が崩れます。さらに断面に接着剤が入り込むと歯科医院での修理が困難になり、接げたはずの装置が作り替えになることがあります。輪ゴムやテープでの固定も同じ理由で避けてください。そして、修理と同じくらい大切なのが原因の特定です。落下であれば洗い方を変えるだけで防げますが、真ん中で真っ二つに割れた場合は、内面と粘膜のあいだに隙間ができ、噛むたびにたわんでいた可能性が高くなります。この場合、接ぐだけでは同じ場所がまた割れます。内面を作り直して隙間をなくす処置が必要です。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で入れ歯を破損された方は、入れ歯が合わない・痛い|原因と調整・我慢しないための知識もあわせてご覧いただき、破片を持って早めにご相談ください。 新たに歯を失った場合に今の装置へ足せるかどうかは入れ歯に歯を足せる?増歯・修理で対応できる範囲と保険・自費の違い、自費で作った装置の保証の扱いは自費の入れ歯に保証はある?保証期間・再製作の扱いと契約前の確認点をご覧ください。参考・出典
- 日本補綴歯科学会「有床義歯の診療指針」
- 日本補綴歯科学会「歯の欠損の補綴歯科診療ガイドライン」
- 厚生労働省「歯科診療報酬点数表」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」