アタッチメント義歯・コーヌスクローネとは|バネのない自費の部分入れ歯

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年8月26日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

部分入れ歯には、金属のバネを使わない設計があります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも「バネが見えるのが嫌だが、樹脂のものは強度が心配」というご相談をいただきます。このページでは、支えの歯に留め具を組み込むアタッチメント義歯とコーヌスクローネについて、仕組みと利点、費用と期間、そして向かない場合までを整理します。いずれも自費の治療で、支えの歯を削ることが前提になります。

バネのない部分入れ歯と支えの歯に組み込む留め具のイラスト

先に結論

  • 支えの歯に被せ物を作り、そこに留め具を仕込む設計
  • 金属のバネが外から見えないため、見た目が自然になる
  • 装置の動きが少なく、噛んだときの安定が高い
  • 支えの歯を削る必要があり、神経の処置を伴うこともある
  • 自費のため費用は高く、期間も通常の部分入れ歯より長い
  • 支えの歯を失うと、装置全体の作り替えになる
金属のバネを使う一般的な設計は部分入れ歯の種類と費用|バネが見えない選択肢までにまとめています。ここでは留め具を組み込む設計に絞ります。 バネを見せない3つの方法を比べます。
方法支えの歯安定修理・調整
樹脂のバネ削らないやや動く修理が難しい
アタッチメント削って被せる高い留め具の交換で対応
コーヌスクローネ削って被せる高い調整に技術を要する
金属のバネ削らない設計次第修理しやすい
※いずれも保険が使えるのは金属のバネの設計のみです。

アタッチメント義歯の仕組み

支えにする歯に被せ物を作り、その内側や側面に留め具の片方を組み込みます。装置の側にもう片方を組み込み、二つがはまり合うことで装置を固定します。 留め具の形にはいくつか種類があります。磁石を使うもの、金属のボールと受け皿を使うもの、細い棒を渡してその上に装置を乗せるもの、装置の内部で歯を挟み込むものなどです。 共通するのは、留め具が装置の内側に隠れている点です。外から見えるのは人工の歯と歯ぐきの部分だけで、金属が露出しません。 もう一つの利点が、力の伝わり方です。金属のバネは歯の外周を抱えるため、力が横方向に働きやすくなります。留め具を歯の中心付近に置く設計では、力を歯の根の方向に伝えられます。歯が最も耐えられる向きです。 バネのかかる歯にどんな負担がかかるかは部分入れ歯のバネをかけた歯は弱る?支台歯の負担と守り方で扱っています。

コーヌスクローネという設計

コーヌスクローネは、二重の被せ物を使う方法です。 まず、支えの歯に内側の被せ物を接着します。これは円錐に近い形をしており、外から見ると小さくなった歯のように見えます。 装置の側には、この内側の被せ物にぴったり重なる外側の被せ物が組み込まれています。装置をはめると、二つの面が接触し、摩擦によって保持されます。 この摩擦は、装置を入れる方向にはほとんど抵抗がなく、抜く方向には強く働きます。留め具や磁石を使わずに、形そのもので保持する設計です。 利点は、装置全体が一体として動くため、安定が高いことです。また、支えの歯を歯ぐきの中まで清掃しやすい形にできる面もあります。 一方で、内側と外側の被せ物の角度をごくわずかな精度で合わせる必要があり、製作と調整には高い技術が求められます。摩擦が強すぎれば外れず、弱すぎれば外れやすくなります。
内側の被せ物と外側の被せ物が重なるコーヌスクローネの構造を示した断面図

支えの歯を削るという前提

これらの設計を選ぶうえで、必ず理解しておくべき点があります。 支えの歯には被せ物を作ります。つまり、その歯を全周にわたって削ることになります。健康な歯であっても、この処置が必要です。 削る量は、通常の被せ物より多くなることがあります。留め具や内側の被せ物を組み込むための厚みが要るためです。削る量が多いと神経に近づき、しみる、痛むといった症状が出て、神経を取ることになる場合もあります。 神経を取った歯はもろくなり、繰り返しの力で割れることがあります。この性質は神経を抜いた歯はどうなる?寿命と長持ちさせるコツにまとめました。 つまり、見た目と安定を得る代わりに、支えの歯に負担をかける方法です。金属のバネであれば削らずに済むことと比べると、この差は小さくありません。 もともと大きな被せ物が入っている歯を支えにする場合は、削る量が実質的に増えないため、この不利は小さくなります。設計を検討する際は、支えにする歯の現在の状態が判断を左右します。

費用と治療期間の目安

これらの設計はいずれも自費です。保険で作れるのは、金属のバネを使う設計に限られます。 費用は、装置本体に加えて、支えの歯に作る被せ物の分が加わります。支えの本数が増えるほど総額は上がります。金額は医院と設計によって幅が大きいため、見積もりを書面で受け取り、内訳を確認してください。 期間も通常より長くなります。支えの歯の治療、被せ物の製作、装置の製作、そして調整という工程が重なるためです。数か月をみておくと予定が立てやすくなります。通院回数の一般的な考え方は部分入れ歯ができるまでの期間と通院回数|型取りから完成・調整までの流れを参考にしてください。 注意点として、同じ歯の一連の治療で保険と自費を組み合わせることはできません。支えの歯の被せ物だけを保険で、という選び方はできず、自費で一貫することになります。保険と自費の考え方は保険の入れ歯と自費の入れ歯の違い|後悔しない選び方、保険の範囲は歯を失った治療で保険が使えるのはどこまで?ブリッジ・入れ歯の条件をご覧ください。 医療費控除の対象になる場合があります。支払った年の領収書は保管しておいてください。

磁石を使う設計について

留め具の一種として、磁石を使う方法があります。仕組みが分かりやすく、扱いやすい設計です。 支えにする歯は、神経を取って根だけを残した状態にし、根の中に金属の部品を埋め込みます。装置の側には磁石を組み込み、この二つが引き合うことで保持されます。 利点は、着脱が非常に楽なことです。指の力で真上に持ち上げるだけで外れ、置くだけで付きます。手指の動きに不安のある方や、介助を受けている方でも扱いやすい設計です。 もう一つ、横方向の力が支えの歯にかかりにくいという特徴があります。磁石は引き合う方向にだけ力が働くため、装置が横にずれようとしたときには、磁石が滑って力を逃がします。支えの歯を守るという点では有利に働きます。 一方で、保持する力そのものは、摩擦や留め具を使う設計より弱くなります。強く粘つくものを食べると外れることがあります。 また、磁石を使うため、医療上の画像検査の際に申告が必要になる場合があります。検査の予約時に、口の中に磁石を含む装置があることを伝えてください。装置の種類によっては、外して検査を受けることになります。 根だけを残して活用する考え方は、歯を抜かずに済ませる選択肢でもあります。抜歯を避けられるかどうかは、根の状態と周りの骨の量によって決まります。

向かない場合もある

すべての方に適する方法ではありません。次のような場合は、別の設計を検討します。 一つは、支えにできる歯が少ない場合です。留め具を組み込む設計は、残った歯にかかる負担が集中しやすくなります。支えが少ないと、その歯を早く失うことになりかねません。 二つ目は、支えの歯が歯周病で骨を失っている場合です。摩擦や留め具で強く保持するほど、歯には力がかかります。支えきれない状態で選ぶと、装置ごと使えなくなります。 三つ目は、清掃が難しい状況にある場合です。留め具の周りや内側の被せ物の縁は、汚れが溜まりやすい場所です。ここを毎日確実に清掃できることが前提になります。清掃道具は歯間ブラシとデンタルフロス、どっちを使うべき?選び方と正しい使い方を歯科医が解説を参考にしてください。 四つ目は、今後さらに歯を失う可能性が高い場合です。支えの歯を1本失うと、装置全体を作り替えることになります。多数の欠損がある場合の考え方は歯を何本も失ったときの選択肢|残った歯にかかる負担の考え方をご覧ください。
留め具の周りを小さなブラシで清掃している様子のイラスト

日々の清掃が結果を決める

これらの設計で、装置の寿命を最も左右するのが清掃です。 支えの歯は、被せ物で覆われています。この被せ物と歯ぐきの境目が、汚れの溜まりやすい場所です。留め具が組み込まれていると形が複雑になり、通常の歯ブラシでは毛先が届きません。 さらに、装置を入れている時間が長いほど、この部分は唾液に触れにくくなります。唾液には汚れを流し、溶けかけた歯を修復する働きがあります。その働きが届かない環境が長時間続くことになります。 対策は3つです。装置を外したあとに、被せ物の縁を毛束の小さいブラシで確実に磨くこと。歯と歯のあいだに器具を通すこと。そしてフッ素で歯質を守ることです。 もう一点、装置側の内面も忘れずに洗ってください。留め具のはまる部分に汚れが残ると、保持力が落ち、装置が動くようになります。 支えの歯を虫歯や歯周病で失うと、装置全体を作り替えることになります。自費で作った装置であれば、その負担は小さくありません。清掃の手間は、この作り替えを避けるための投資だと考えてください。 夜の扱いについても、原則は外して歯ぐきを休ませることです。外した時間は、支えの歯を磨ける時間でもあります。考え方は入れ歯は寝るとき外す?つけたまま寝るリスクと外して寝る場合の保管をご覧ください。

作った後に必要になること

装置が完成した後も、定期的な確認が欠かせません。 留め具には、使うほど摩耗するものがあります。摩擦で保持する設計では、年月とともに緩んできます。緩んだまま使うと装置が動き、支えの歯に無理な力がかかります。 多くの設計では、留め具の部品を交換したり、締め具合を調整したりできます。この調整を受けるタイミングを逃さないことが、支えの歯を守ることにつながります。 もう一点、歯ぐきの下の骨は年月とともに減っていきます。装置の内面は変わらないため、時間が経つほどずれが生じます。骨の変化は歯を抜いた後の骨はやせる?顎の骨が減る仕組みと治療への影響、内面を合わせ直す処置と作り替えの目安は入れ歯の寿命と作り直しのタイミング|リベース・修理の知識にまとめています。 外れやすくなったからといって安定剤で補うと、原因が見えなくなります。緩みを感じたら受診してください。

当院で設計を検討するとき

バネを見せたくないというご希望をいただいたとき、まず確認するのは支えにできる歯の状態です。 見るのは、揺れの程度、根の周りの骨の量、神経の有無、そして現在入っている被せ物の状態です。すでに大きな被せ物が入っていれば、削る量の不利は小さくなります。逆に、無傷の歯を削ることになる場合は、その意味を丁寧にお伝えします。 次に、清掃の状況を確認します。留め具の周りは汚れが溜まりやすく、ここが守られないと支えの歯を失います。現在の清掃状態を見て、必要なら先に改善してから設計を決めます。 そして、樹脂のバネを使う設計との比較も必ず行います。削らずに済むという点では、そちらが有利だからです。ノンクラスプデンチャーとは|バネの見えない部分入れ歯の利点と欠点で特徴を確認できます。 見た目を重視する場合でも、削らない設計で解決できることがあります。選択肢を並べたうえで、何を優先するかを一緒に決めていきます。他の治療法を含めた比較は歯を失ったときの選択肢|入れ歯・ブリッジ・インプラント比較をご覧ください。

よくある質問

アタッチメント義歯とはどんな入れ歯ですか

支えにする歯に被せ物を作り、その内側に留め具の片方を組み込み、装置側のもう片方とはめ合わせて固定する部分入れ歯です。金属のバネが外から見えないため見た目が自然になり、力を歯の根の方向に伝えやすい利点もあります。ただし支えの歯を削る必要があり、自費の治療になります。

コーヌスクローネはアタッチメント義歯と何が違いますか

留め具や磁石を使わず、二重の被せ物の摩擦だけで保持する設計です。支えの歯に円錐に近い形の内側の被せ物を接着し、装置側の外側の被せ物が重なることで固定されます。装置全体が一体として動くため安定は高い一方、角度をごくわずかな精度で合わせる必要があり、製作と調整に高い技術を要します。

バネのない入れ歯なら支えの歯に負担はかかりませんか

負担がなくなるわけではありません。留め具や摩擦で強く保持するほど、支えの歯には力がかかります。ただし力の向きは変えられます。留め具を歯の中心付近に置く設計では、横方向ではなく根の方向へ力を伝えられるため、歯が耐えやすい形になります。設計次第で負担の質が変わると考えてください。

支えの歯は必ず削るのですか

これらの設計では削ることが前提です。留め具や内側の被せ物を組み込むための厚みが必要で、通常の被せ物より削る量が多くなることもあります。削る量が多いと神経に近づき、神経を取ることになる場合もあります。削らずにバネを見せない方法をご希望なら、樹脂の弾力で支える設計が選択肢になります。

費用はどれくらいかかりますか

いずれも自費で、装置本体に加えて支えの歯に作る被せ物の費用が加わります。支えの本数が増えるほど総額は上がり、医院と設計によって幅が大きくなります。見積もりを書面で受け取り、内訳を確認してください。医療費控除の対象になる場合があるため、領収書は保管しておいてください。

保険は使えないのですか

これらの設計に保険は使えません。保険で作れるのは金属のバネを使う設計に限られます。また同じ歯の一連の治療で保険と自費を組み合わせることはできないため、支えの歯の被せ物だけを保険にするという選び方もできません。装置と被せ物をあわせて自費で一貫することになります。費用は支えの本数で変わるため、見積もりで内訳を確認してください。

作ってからも調整は必要ですか

必要です。留め具には使うほど摩耗するものがあり、摩擦で保持する設計では年月とともに緩んできます。緩んだまま使うと装置が動き、支えの歯に無理な力がかかります。多くの設計では部品の交換や締め具合の調整ができるので、外れやすさを感じたら安定剤で補わず受診してください。

支えの歯を失ったらどうなりますか

装置全体を作り替えることになるのが一般的です。留め具や内側の被せ物は、その歯に合わせて作られているためです。この点は、装置全体の設計を考えるうえで重要な条件になります。今後さらに歯を失う可能性が高い状況では、作り替えの負担も含めて検討してください。

まとめ

アタッチメント義歯とコーヌスクローネは、いずれも金属のバネを使わずに部分入れ歯を保持する設計です。支えにする歯に被せ物を作り、そこに留め具を組み込む、あるいは二重の被せ物の摩擦で保持します。外から金属が見えないため見た目が自然になり、装置の動きが少なく安定が高いという利点があります。また、力を歯の根の方向に伝えやすい設計にできる点も、バネとの大きな違いです。一方で、前提となるのが「支えの歯を削る」ことです。健康な歯であっても全周にわたって削り、場合によっては通常の被せ物より多く削ります。削る量が多ければ神経に近づき、神経を取ることになればその歯はもろくなります。見た目と安定を得る代わりに、支えの歯に負担をかける方法だと理解しておいてください。すでに大きな被せ物が入っている歯を支えにする場合は、この不利が小さくなります。費用は自費で、支えの歯の被せ物の分が加わるため総額が大きくなり、期間も数か月に及びます。そして完成後も、留め具の摩耗や歯ぐきの変化に応じた調整が必要です。緩みを安定剤で補うと原因が見えなくなるため、外れやすさを感じたら受診してください。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海でバネの見えない入れ歯をお考えの方は、部分入れ歯の種類と費用|バネが見えない選択肢までで削らない設計とも比べたうえで、支えにできる歯の状態を確認して判断してください。

参考・出典

  • 日本補綴歯科学会「有床義歯の診療指針」
  • 日本補綴歯科学会「歯の欠損の補綴歯科診療ガイドライン」
  • 日本歯科医学会「保険外併用療養費に関する取扱い」
  • 国税庁「医療費控除の対象となる医療費」

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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