対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
高齢になるほど、口の変化は「歯」だけの問題ではなくなります。名古屋市には、70歳・75歳・80歳を対象とする無料の歯科検診があり、75歳と80歳では口の機能を調べる検査も加わります。このページでは、名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいの高齢の方とご家族に向けて、利用できる無料の検診と相談窓口、通院が難しい場合の制度、そしてオーラルフレイルという考え方を整理します。制度の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。

先に押さえておくこと
- 名古屋市の歯周疾患検診は70歳・75歳・80歳も対象で無料
- 75歳と80歳では、口の機能を調べる検査が加わる
- 受けられるのは市内の協力歯科医療機関。予約が必要
- すでに歯周病で治療管理中の方は対象外になる
- 通院が難しい場合は、訪問での歯科診査の制度がある
- 区の保健センターでも歯と口の健康相談を実施している
| 制度 | 対象 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 歯周疾患検診 | 70歳・75歳・80歳など節目の年齢 | 視診、歯周ポケットの測定、保健指導 | 無料 |
| 口の機能の検査 | 75歳・80歳 | 歯周疾患検診に加えて実施 | 無料 |
| 訪問での歯科診査 | 40歳以上の在宅ねたきりの市民 | 自宅で口の状態を診てもらう | 無料 |
| 歯と口の健康相談 | 区により設定 | 保健センターでの健診・相談 | 無料 |
節目の年齢で受けられる無料検診
名古屋市の歯周疾患検診は、20歳から80歳までの5歳きざみの節目年齢を対象としています。高齢期では、70歳・75歳・80歳が該当します。 内容は、歯の状況の確認、歯周ポケットの測定、そして保健指導です。ここまでが無料の範囲になります。 そして、75歳と80歳では、これに口の機能を調べる検査が加わります。噛む力や飲み込む力、舌の動き、口の乾き具合といった項目を確認するもので、歯そのものより「口が働いているか」を見る検査です。 対象となる方には、クーポン券が送られます。ただし、手元にクーポンがなくても、対象の年齢であればマイナ保険証などで生年月日と住所を確認できれば無料で受診できます。 受診できるのは、市内の協力歯科医療機関に限られます。予約制のため、飛び込みでの受診はできません。かかりつけの医院が協力機関かどうか、電話で確認してください。 制度の詳しい受け方は名古屋市の歯周疾患検診は無料|対象年齢・受け方・当日の流れにまとめました。
対象外になる場合がある
無料で受けられる制度ですが、誰でも受けられるわけではありません。 現在すでに歯周病で治療管理中の方は、対象外となります。通院先で継続的に検査と管理が行われているという前提によるものです。定期的な管理を受けている方も同様の扱いになります。 判断が難しいのは、虫歯の治療だけで通っている場合や、以前通っていたが今は行っていない場合です。予約の電話で状況を伝えて確認してください。 また、この検診はあくまで検診であり、治療ではありません。歯石の除去やレントゲン撮影、虫歯の治療は範囲に含まれません。必要と判断された場合は、あらためて保険診療として受けることになり、窓口負担が発生します。 期間にも決まりがあります。年度内に1回のみで、翌年度への持ち越しはできません。年度末は予約が混み合うため、早めの受診をおすすめします。オーラルフレイルという考え方
高齢期の口の問題は、痛みや虫歯より先に、機能の低下として現れます。この段階を指すのがオーラルフレイルという言葉です。 具体的には、滑舌が悪くなる、硬いものが食べにくくなる、食事中にむせる、食べこぼしが増える、口が乾くといった変化です。どれも「年のせい」で片づけられやすいものばかりです。 問題は、この段階が見過ごされやすいことです。痛みがないため受診のきっかけがなく、気づいたときには噛める食品が限られ、食べるものが偏っているという状態になります。 食べられるものが減れば、栄養が偏ります。栄養が偏れば筋肉が落ち、全身の衰えにつながります。口の変化が、全身の変化の入口になるという流れです。 だからこそ、75歳と80歳の検診に口の機能を調べる項目が加えられています。数値として確認することで、本人も家族も変化に気づけるようになります。 考え方の詳細はオーラルフレイルとは|高齢の親の口の衰えチェックと予防、口の機能の検査については口腔機能低下症の検査とは|7項目で調べる内容と保険の扱いをご覧ください。家庭で気づける変化
ご家族が気づけるサインがあります。同居していれば、日常のなかで拾えるものです。 食事の場面では、食べる速度が落ちた、汁物でむせる、飲み込みに時間がかかる、食べこぼしが増えた、硬いものを残すようになったといった変化です。 会話の場面では、聞き返されることが増えた、発音がはっきりしなくなった、話す量が減ったといった変化があります。 口そのものでは、乾きを訴える、口臭が強くなった、口を開けたときに舌が白い、入れ歯を使わなくなったといった点です。 このうち、入れ歯を使わなくなるのは重要なサインです。合わなくなって痛い、面倒になったなど理由はさまざまですが、使わない期間が続くと噛める範囲が狭まります。入れ歯が合わない・痛い|原因と調整・我慢しないための知識と入れ歯の寿命と作り直しのタイミング|リベース・修理の知識をご覧ください。 飲み込む力の低下は、肺炎のリスクとも関わります。口の中の細菌が気管に入ることで起こる肺炎について、歯周病と誤嚥性肺炎の関係|高齢者・介護で気をつけたい口腔ケアを歯科医が解説にまとめました。
家族が受診に誘うときの伝え方
サインに気づいても、本人を受診につなげるのは別の難しさがあります。 多いのが「困っていない」と言われるケースです。実際、本人は不便を感じていないことがあります。食べにくいものを自然と避けているため、避けていること自体が意識に上らないためです。 このとき、「歯が悪いから行こう」と伝えると、否定された印象になって断られやすくなります。かわりに、無料の検診が届いたから使ってみよう、市の制度で受けられるらしい、という入り方のほうが受け入れられます。クーポン券が届く仕組みは、この意味でも役立ちます。 もう一つの方法が、具体的な場面を挙げることです。「最近、汁物でむせることがあるよね」と事実として伝えると、本人にも心当たりが出てきます。 同行できる場合は、一緒に行くと伝えてください。予約の電話、当日の説明の聞き取り、その後の通院。この3つのどこかで負担を感じて中断する方が多いためです。 そして、痛みがない段階での受診は「何もされずに終わる」ことが多くなります。これは無駄ではありません。基準となる状態を記録できたということで、次に変化が起きたときに比較できます。通院が難しい場合の窓口
「行ったほうがよいのは分かるが、連れて行けない」という状況は少なくありません。名古屋市には、この場合の制度もあります。 40歳以上で在宅のねたきり状態にある市民を対象とした、訪問による歯科の診査が用意されています。自宅で口の状態を診てもらえるもので、費用はかかりません。 診査の結果、治療やケアが必要と判断されれば、訪問での歯科診療につながります。訪問診療の内容や費用の考え方は訪問歯科診療とは|通院できない家族が自宅で受けられる治療と費用にまとめました。 また、障害のある方については、名古屋北・南の歯科保健医療センターで予約制の歯科診療が行われています。身体障害者手帳や愛護手帳をお持ちの方が対象です。 区の保健センターでも、歯と口の健康相談が実施されています。実施日は区と年度によって異なり、予約制です。歯科健診と相談を短時間で受けられる場で、まずここで相談するという入り方もあります。 どの窓口を使うか迷う場合は、お住まいの区の保健センターに問い合わせるのが確実です。休日に急な痛みが出たときの受診先は名古屋で休日に歯が痛いとき|北・南歯科保健医療センターの使い方と受診の判断、病院の歯科口腔外科を紹介されたときは名古屋で大学病院の歯科口腔外科を受診するには|紹介状の要否と予約の流れをご覧ください。検診を受けたあとにすること
検診は、受けて終わりでは意味がありません。結果をどう使うかが本題です。 歯周ポケットの数値に問題があれば、保険診療として検査と治療を受けることになります。内容は歯周病の検査と基本治療(スケーリング・SRP)、その後の管理は歯周病メンテナンス(SPT)とは|通う頻度と内容・やめるとどうなるをご覧ください。 口の機能の検査で低下が見つかった場合は、機能を保つための訓練や指導につながります。早い段階であれば、回復が期待できる項目もあります。 そして、次の節目は5年後です。5年に一度では、間が空きすぎます。検診をきっかけに、日常的に通える医院を見つけておくことをおすすめします。定期的な確認の内容は歯の定期検診では何をする?内容・費用・所要時間をご覧ください。 長く受診していない方は、受診そのものにためらいがあるかもしれません。何年も歯医者に行っていない|久しぶりの受診で怒られる?費用と流れの不安を解消と歯医者が怖い・苦手を乗り越える|名古屋で通いやすい歯科の選び方を参考にしてください。よくある質問
名古屋市の高齢者向け歯科健診には何がありますか
節目年齢を対象とした歯周疾患検診があり、高齢期では70歳・75歳・80歳が該当します。費用は無料で、歯の状況の確認、歯周ポケットの測定、保健指導が含まれます。75歳と80歳では、噛む力や飲み込む力などを調べる口の機能の検査が加わります。ほかに訪問での歯科診査や、区の保健センターでの健康相談もあります。75歳と80歳で加わる検査とはどんな内容ですか
歯そのものではなく、口が働いているかを調べる検査です。噛む力、飲み込む力、舌の動き、口の乾き具合といった項目を確認します。高齢期の口の問題は痛みより先に機能の低下として現れるため、数値で確かめることで本人も家族も変化に気づけるようになります。無料の検診に含まれます。クーポン券が届いていなくても受けられますか
受けられます。対象の年齢であれば、マイナ保険証などで生年月日と住所を確認できれば無料の扱いになります。転居や郵便の行き違いで手元にない場合も、予約の電話でその旨を伝えておけば当日の手続きがスムーズです。対象年齢かどうかは市の窓口でも確認できます。すでに歯医者に通っている場合も受けられますか
歯周病で治療管理中の方は対象外です。通院先で継続的に検査と管理が行われているという前提によるものです。定期的な管理を受けている方も同様の扱いになります。虫歯の治療だけで通っている場合など判断が難しいときは、予約の電話で状況を伝えて確認してください。親が通院できないのですが方法はありますか
40歳以上で在宅のねたきり状態にある市民を対象に、訪問による歯科の診査が用意されています。自宅で口の状態を診てもらえるもので費用はかかりません。診査の結果、治療やケアが必要と判断されれば訪問での歯科診療につながります。まずはお住まいの区の保健センターに相談してください。オーラルフレイルはどうやって気づけばよいですか
家庭での変化が手がかりになります。汁物でむせる、食べこぼしが増えた、硬いものを残すようになった、滑舌が悪くなった、口の乾きを訴えるといった点です。どれも年のせいで片づけられやすいものばかりですが、放っておくと食べられるものが減り、栄養が偏って全身の衰えにつながります。検診で歯石も取ってもらえますか
歯石の除去は検診の範囲に含まれません。含まれるのは歯の状況の確認、歯周ポケットの測定、保健指導までです。必要と判断された場合は、あらためて保険診療として別の日に受けることになり、窓口負担が発生します。同じ日に続けて行えるかは医院の予約状況によります。入れ歯を使わなくなった親が心配ですが受診は必要ですか
受診をおすすめします。使わなくなる背景には、合わなくなって痛い、外れやすい、手入れが負担といった理由があります。使わない期間が続くと噛める範囲が狭まり、食べるものが偏ります。調整や作り直しで解決することが多いため、まず現状を見てもらってください。装置は必ず持参してください。 障害のある方の歯科や、通院が難しい場合の訪問についての相談先は名古屋市の障害者歯科・訪問歯科の相談窓口|どこに聞けばよいかにまとめています。まとめ
名古屋市の高齢期の歯科制度で中心になるのが、節目年齢を対象とした歯周疾患検診です。70歳・75歳・80歳が対象で、費用は無料。内容は歯の状況の確認、歯周ポケットの測定、保健指導までで、75歳と80歳ではこれに口の機能を調べる検査が加わります。噛む力や飲み込む力、舌の動き、口の乾き具合といった項目を確認するもので、歯そのものより「口が働いているか」を見る検査です。この検査が加えられている理由は、高齢期の口の問題が痛みや虫歯より先に機能の低下として現れるからです。滑舌が悪くなる、硬いものが食べにくい、むせる、食べこぼしが増えるといった変化は、年のせいで片づけられやすい一方、放っておくと食べられるものが減って栄養が偏り、全身の衰えにつながります。注意点として、この検診は治療ではありません。歯石の除去やレントゲン撮影、虫歯の治療は範囲外で、必要なら保険診療として別に受けることになります。また、すでに歯周病で治療管理中の方は対象外です。年度内に1回のみで持ち越しもできません。通院が難しい場合は、40歳以上で在宅のねたきり状態にある市民を対象とした訪問による歯科診査があります。区の保健センターでも歯と口の健康相談が実施されています。次の節目は5年後で、間が空きすぎます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいの方は、検診をきっかけに日常的に通える医院を見つけ、名古屋市の歯科制度ガイド|無料の歯周疾患検診・妊産婦歯科診査・休日の応急処置もあわせてご確認ください。参考・出典
- 名古屋市「歯周疾患検診」 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/kenkoinfo/1009456/1009483.html
- 名古屋市健診(検診)総合サイト「歯周疾患検診」 https://758kenshin.city.nagoya.jp/periodontal/
- 名古屋市歯科医師会「各種診療・検診」 https://nagoya-d.com/treat/
- 名古屋市「歯と口の健康相談(予約制)」 https://www.city.nagoya.jp/meito/kenko/1025320/1045775.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「オーラルフレイル」
- 日本歯科医師会「オーラルフレイル対応マニュアル」