歯周病はレントゲンで何がわかる?骨の吸収の見え方と限界

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年8月16日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

歯周病のレントゲンでわかるのは、歯を支える骨がどこまで残っているかです。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも「歯ぐきの検査なのになぜ撮影するのか」というご質問をいただきます。歯周病は骨が溶けていく病気であり、その骨は外から見ることも器具で触れることもできません。写真はその見えない部分を確認するための唯一の手段です。このページでは、レントゲンに何が写り何が写らないのか、骨の減り方にどんな種類があるのか、そして撮影しても分からないことは何かを整理します。検査と基本治療の流れは<a href="/treatment/perio-srp/">歯周病の検査と基本治療(スケーリング・SRP)</a>をご覧ください。

歯周病のレントゲン写真で歯を支える骨の高さがどこまで残っているかを確認する様子を示した模式図

先に結論

  • レントゲンで確認するのは、歯を支える骨(歯槽骨)の高さと形
  • 骨の減り方には全体が平らに下がる型と、特定の歯だけくさび状に落ち込む型がある
  • 歯ぐきの炎症そのものや、今出血しているかどうかは写らない
  • 全体を1枚で見る撮影と、数本ずつ精密に見る撮影は目的が違う
  • 過去の写真と比べることで、進行の速さという最も重要な情報が得られる
撮影方法ごとの役割を整理します。歯周病では、まず全体を見てから必要な部位を細かく撮る流れが一般的です。
撮影の種類わかること主に使う場面
パノラマ上下すべての歯と骨の状態、親知らず、あごの骨の様子初診時の全体把握、大きな病変の見落とし防止
デンタル(部分)数本ごとの骨の高さと形、根の状態、詰め物の縁の適合歯周病の進行度を細かく判定するとき
歯科用CT骨の欠損の立体的な形、頬側と舌側の骨の厚み外科処置や再生療法を検討するとき

レントゲンに写るもの、写らないもの

レントゲンは、体を通り抜けた放射線の量の差を濃淡として写す仕組みです。硬いものほど放射線を通しにくく、白く写ります。この性質が、そのまま「わかること」と「わからないこと」を決めています。 白く写るのは、歯の硬い部分、詰め物や被せ物の金属、そして骨です。歯石も石灰化した硬い塊なので、量が多ければ根の表面に付着した影として見えることがあります。骨の高さが下がっていれば、その部分は黒っぽく抜けて見えます。 一方、歯ぐきそのものはほとんど写りません。柔らかい組織は放射線を素通りさせるため、腫れているか、赤くなっているか、触れると出血するかといった情報は得られません。歯周ポケットの深さも直接は測れません。ポケットは歯ぐきと歯の間のすき間であり、そこに空気が入っているだけだからです。 つまりレントゲンは「これまでにどれだけ失われたか」を示し、器具での測定は「今どうなっているか」を示します。どちらか一方では判断が偏ります。数値の読み方は歯周病検査の数値の見方|ポケット4mm・6mmと出血が示すもので詳しく扱っています。

骨がどこまで残っているかの見方

健康な状態の骨の高さと、水平に下がった骨、くさび状に落ち込んだ骨の3パターンを並べて比較した図
健康な状態では、隣り合う歯と歯の間の骨の頂上は、歯の根元の境目からおよそ1〜2ミリ下のところにあります。この位置関係が、判断の出発点になります。 骨の頂上がそれより下がっていれば、その分だけ支えが失われています。よく使われるのは、根の長さのうちどのくらいの割合まで骨が残っているかという見方です。根の3分の1程度までの吸収であれば軽度、2分の1程度まで進めば中等度、それを超えると重度として扱われるのが一般的な目安です。 減り方の形にも種類があります。骨の頂上が全体的に平らに下がっていくものを水平性の吸収と呼びます。年数をかけて口全体で少しずつ進む場合に多く見られます。 これに対し、1本の歯の片側だけがくさび状に深く落ち込むものを垂直性の吸収と呼びます。特定の歯に強い力がかかっている場合や、その部位だけ清掃が届かない場合に起こりやすい形です。この形は、条件が合えば失われた組織を回復させる治療の対象になることがあります。詳しくは歯周組織再生療法とは|リグロス・エムドゲインの効果と適応をご覧ください。 奥歯では、根が2〜3本に分かれる部分の骨も確認します。この分かれ目まで吸収が進むと、器具も歯ブラシも届かない空間ができ、管理が一段と難しくなります。写真の上では、根の股の部分が黒く抜けて見えることで気づきます。

全体を1枚で撮るか、数本ずつ撮るか

初診で撮影されることが多いのは、あご全体が1枚に収まるパノラマ撮影です。歯の本数、親知らずの位置、あごの骨に大きな異常がないかを一度に確認できます。歯周病では、どのあたりに骨の減りが集中しているかという全体像をつかむ目的で使われます。 ただしパノラマは、あごの丸みを平面に引き伸ばして写すため、部位によって像がぼやけたり、重なったりします。骨の高さをミリ単位で読むには精度が足りません。 そこで、進行が疑われる部位には数本ずつ写す撮影を行います。口の中にフィルムやセンサーを入れて撮る方法で、骨の頂上の位置、根の表面の歯石、被せ物の縁の段差まで比較的はっきり見えます。歯周病の進行度を正式に判定する場面では、口全体を10枚から14枚に分けて撮ることもあります。 回数が増えることに抵抗を感じる方もいますが、部位ごとの正確な情報がないまま治療計画を立てると、必要な処置が抜け落ちたり、不要な処置が入ったりします。何のためにどこを撮るのかは、撮影前に確認しておくと納得して受けられます。

平面に写すことによる限界

レントゲンは立体を平面に押し縮めた画像です。この一点から、いくつかの重要な限界が生まれます。 最も影響が大きいのは、頬側と舌側の骨が重なって写ることです。歯を挟んで手前と奥にある骨は、写真の上では同じ場所に重なります。そのため、頬側の骨だけが失われていても、舌側の骨が残っていれば打ち消されて正常に見えることがあります。前歯の唇側の骨は薄いため、この見落としが起こりやすい部位です。 角度によって見え方が変わることもあります。放射線の当たる向きが少し傾くと、骨の頂上の位置が実際より高くも低くも写ります。前回と今回で写り方が違う場合、病気が変化したのか撮影条件が違うだけなのかを区別する必要があります。 初期の変化も捉えにくい部分です。骨が溶け始めても、ある程度まとまった量が失われないと画像上の濃淡としては現れません。写真で「まだ大丈夫」と見えていても、器具での測定で深いポケットと出血があれば、その部位では進行が始まっていると考えます。 さらに、炎症の勢いは全く写りません。骨が大きく減っていても現在は落ち着いている歯もあれば、減りは軽くても急速に進みつつある歯もあります。この差を埋めるのが測定時の出血という所見です。歯周病が治るのか管理するものなのかという考え方は歯周病は治る?「完治」と「管理」の正しい理解で整理しています。

立体的に見る必要があるとき

平面の撮影では重なって見えない骨の欠損の形を、立体的な撮影で確認できることを対比して示した図
通常の撮影で判断がつかない場合には、歯科用のCT撮影が選ばれることがあります。これは頭の周りを装置が回りながら撮影し、あらゆる断面で見られるようにする方法です。 歯周病でCTが役立つのは、骨の欠損がどんな形をしているかを知りたいときです。歯を取り囲む骨が何面残っているかによって、外科的な処置や再生療法の見通しは大きく変わります。壁が多く残っている袋状の欠損は回復が期待しやすく、壁がほとんどない浅い皿状の欠損では難しくなります。この形は平面の写真では読み切れません。 根の分かれ目の状態、根の表面の細かい溝、親知らずの周囲の骨も、立体で見ることではっきりします。根の病気と歯周病が重なっている場合の判別にも使われます。この重なりについては歯内歯周病変とは|根の病気か歯周病かの見分け方と治療の順番をご覧ください。 ただしCTは常に必要なものではありません。撮影範囲が広がるほど受ける放射線の量も増えるため、通常の基本治療の範囲では平面の撮影で十分なことがほとんどです。CTの一般的な使われ方は根管治療で歯科用CTを撮るのはなぜ?レントゲンとの違いと分かることでも解説しています。

歯周病を診るついでに見つかるもの

歯周病の目的で撮った写真には、それ以外の情報も一緒に写ります。実際に治療の順番が変わるきっかけになることも少なくありません。 よく見つかるのは、詰め物や被せ物の下で進んでいた虫歯です。歯と修復物の境目から内側に広がった部分は、外から見ても分からないことが多く、写真で黒い抜けとして初めて気づきます。歯ぐきが腫れている原因が歯周病ではなく、この虫歯から神経に達した炎症だったという場合もあります。 根の先の黒い影も重要な所見です。これは根の中の細菌に対して体が反応し、周囲の骨が溶けた跡を示します。歯周病による骨の減りは歯ぐき側から進むのに対し、こちらは根の先から広がるため、写真上の位置で区別できます。両方が重なることもあり、その場合は治療の順番を慎重に決めます。 親知らずの位置や向きも確認できます。斜めに埋まった親知らずが手前の歯を押していると、その歯の後ろ側だけ骨が落ち込むことがあります。この場合、歯周病の処置だけでは改善せず、親知らずへの対応が必要になります。 このほか、あごの骨の中の袋状の病変、詰め物の縁の段差、被せ物と根の適合なども見えます。歯ぐきの腫れやできものが続いている方は歯茎にできものができ膿が出る原因と治療法|フィステルを歯科医が解説もあわせてご覧ください。

被ばく量をどう考えるか

撮影を勧められたときに気になるのが放射線の影響です。歯科の撮影で受ける量は、医科の検査と比べても小さい部類に入ります。 歯科用の部分撮影1枚で受ける量は、日常生活で自然に浴びている放射線の数日分程度とされています。パノラマ撮影でもその範囲を大きく超えるものではありません。撮影時には鉛の入った防護エプロンを使い、装置側でも照射範囲を必要最小限に絞っています。 現在の装置の多くはデジタル方式で、フィルムを使っていた頃と比べて必要な照射量が減っています。撮り直しが必要になった場合も、その場で画像を確認できるため、無駄な撮影が起きにくくなりました。 妊娠中の方は不安を感じやすい部分ですが、歯科の撮影範囲は腹部から離れており、防護具も併用します。それでも心配な場合は時期を選ぶ判断もありますので、妊娠の可能性を含めて必ず申し出てください。妊娠期の歯ぐきの変化については妊娠中の歯周病(妊娠性歯肉炎)|赤ちゃんへの影響と予防、名古屋市の無料の歯科健診を使う方法は名古屋市の妊産婦歯科健康診査|無料で2回受けられる対象・受診票・時期をご覧ください。 考え方として大切なのは、撮影しない場合に何を見落とすかという視点です。歯を支える骨がどこまで残っているかは、外から見ても、器具で測っても完全には分かりません。撮影を避けた結果、残せる時期を逃してしまえば、失うものはずっと大きくなります。必要な範囲で撮り、不要な繰り返しは避けるというのが基本の姿勢です。 また、撮影した画像は診療録とあわせて保管されます。次に同じ部位を撮る必要が出たとき、前回の画像があれば範囲を絞れます。転院する際に画像を引き継げれば、撮り直しを減らすこともできます。かかった費用の全体像は歯周病治療の費用はいくら?保険での検査・SRP・再評価の目安にまとめました。

撮影当日の流れと、うまく写らないとき

実際の撮影は短時間で終わります。何が行われるかを知っておくと、余計な緊張がほぐれます。 全体を写す撮影では、装置の前に立ち、あごを台に載せて数十秒じっとしています。装置が頭の周りをゆっくり回る間、動かないことだけが求められます。数本ずつ写す撮影では、口の中に小さなセンサーを入れ、その位置で軽く噛んで固定します。1枚あたり数秒です。 苦手な方が多いのは、口の中に入れる撮影です。奥歯を撮るときにセンサーが舌の付け根に触れ、吐き気が出ることがあります。この反射が強い方は、あらかじめ伝えてください。姿勢を変える、鼻でゆっくり呼吸する、より小さいセンサーを使う、体外から撮る方法に切り替えるといった対応があります。 うまく写らない場合もあります。口が大きく開かない、センサーを保持できない、あごの形の都合で角度が取れないといった理由です。無理に繰り返すより、別の撮影方法に切り替えたほうが結果的に情報量が増えます。歯科医院そのものが苦手という方は歯医者が怖い・苦手を乗り越える|名古屋で通いやすい歯科の選び方も参考にしてください。

過去の写真と比べることの価値

歯周病の見立てで最も情報量が多いのは、実は1枚の写真ではなく、時間を空けて撮った複数枚の比較です。 同じ部位の骨の高さが2年前とほとんど変わっていなければ、その口の中では病気の勢いが弱いか、管理がうまくいっていると判断できます。逆に、1年で明らかに下がっていれば、原因を早急に突き止める必要があります。年齢に対して吸収が速すぎる場合には、噛む力の集中や全身の状態も含めて検討します。 このため、過去に他院で撮影した写真がある場合は、持参していただくと診断の精度が上がります。転院や引っ越しの際に画像データの提供を求めることもできます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で医院を変える予定がある方は、直近の撮影日と枚数を控えておくと、不要な再撮影を減らせます。 治療後も、基本治療が終わった時点や、管理に移って数年経った時点で撮り直します。数値の改善だけでは確認できない骨の変化を追うためです。管理期の通院の内容は歯周病メンテナンス(SPT)とは|通う頻度と内容・やめるとどうなるにまとめています。

よくある質問

歯ぐきの検査だけでレントゲンは省略できますか

器具での測定は今の炎症を捉えますが、骨がどこまで残っているかは分かりません。同じ4ミリのポケットでも、骨が十分に残っている場合と半分失われた場合では、治療方針も将来の見通しも大きく変わります。進行度を判定して計画を立てる段階では、撮影が前提になると考えてください。

レントゲンで歯石は見えますか

量が多く石灰化が進んだ歯石は、根の表面に付いた突起状の影として写ることがあります。ただし薄い歯石や、頬側と舌側に付いたものは像が重なって判別できません。写っていないから歯石がないとは言えず、除去の必要性は器具で根の表面を触れて確かめた結果と合わせて判断します。歯石の位置は治療の難易度にも直結します。

写真で骨が減っていると言われましたが痛みがないのはなぜですか

歯を支える骨が溶ける過程では強い痛みが出にくく、腫れや出血があっても日常生活に支障が出るまで気づかないことが多い病気です。痛みがないことは軽症の証明にはなりません。写真で吸収が確認された時点で原因を取り除く処置を始めたほうが、その歯を残せる可能性は高くなります。

撮影は何年ごとに受けるものですか

一律の決まりはなく、進行度と管理の状況によって変わります。基本治療の前と再評価の時点で撮り、その後は状態が安定していれば数年ごとに確認するのが一つの目安です。急に歯が動く、同じ場所の腫れを繰り返すといった変化があれば、期間にかかわらず撮り直して原因を探します。

治療で減った骨は写真の上で戻りますか

失われた骨が自然に元の高さまで戻ることは基本的にありません。ただし炎症が収まると、骨の縁の輪郭がはっきりし、硬く締まった見え方に変わることがあります。これは状態が安定したサインとして評価されます。壁の残った垂直性の欠損では、再生療法によって高さの回復が確認できる場合もあります。

保険でレントゲンは撮れますか

歯周病の診断に必要な撮影は公的医療保険の対象です。撮影の種類と枚数によって点数が決まり、そこに窓口負担の割合が掛かります。歯科用CTも適応となる条件を満たせば保険で受けられる場合があります。検査から再評価までの一連の治療でかかる費用は、別ページで内訳とともに整理しています。

前の医院の写真を使ってもらえますか

多くの場合、持参いただければ経過の比較に活用できます。画像データやプリントの提供を前の医院に依頼することもできます。ただし撮影から時間が経っていたり、写した角度が大きく違ったりする場合は、同じ条件で比べられないため、あらためて撮り直しをお願いすることがあります。

名古屋で撮影を受けるとき何を確認すべきですか

何のために撮るのか、どの範囲を撮るのか、前回の撮影からどのくらい空いているのかを確認してください。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の医院でも、説明を求めれば画面で一緒に見ながら解説してもらえます。過去の撮影記録があれば持参してください。他院で撮影した画像でも、診断に使える場合があります。

まとめ

歯周病のレントゲンは、歯を支える骨がどこまで残っているかを確かめるために撮影します。健康な状態では骨の頂上が歯の根元の境目から1〜2ミリ下にあり、そこからどれだけ下がったかで進行度を判断します。減り方には全体が平らに下がる水平性のものと、1本の歯の片側だけがくさび状に落ち込む垂直性のものがあり、後者は条件が合えば回復を目指す治療の対象になります。一方で、歯ぐきの腫れや今出血しているかどうかは写りません。頬側と舌側の骨が重なる、角度で見え方が変わる、初期の変化は現れにくいという限界もあります。だからこそ器具での測定と組み合わせ、必要に応じて立体的な撮影を加えて判断します。そして最も価値があるのは、時間を空けて撮った写真を比べることです。骨の高さが数年変わっていなければ管理は成功しており、短期間で下がっていれば原因の見直しが必要になります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で治療を受ける方は、歯周病の検査と基本治療(スケーリング・SRP)で治療の全体像を確認し、通院の見通しは歯周病治療は何回通う?1回で終わらない理由と期間の目安、費用は歯周病治療の費用はいくら?保険での検査・SRP・再評価の目安、重度と言われた場合は重度歯周病でも歯を残せる?抜歯と言われたときの選択肢もあわせてご覧ください。

参考・出典

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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