対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
下の前歯の裏側から永久歯が顔を出したのに、乳歯がまだ抜けない。いわゆる二枚歯(サメの歯)の相談は、名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも6歳前後のお子さんでとても多く、その多くは乳歯が自然に抜けて落ち着きます。一方で、乳歯がまったく動かないまま永久歯だけが伸びてくる場合は、歯科で抜歯を考える時期があります。このページでは、二枚歯が起きる仕組み、様子を見てよい期間、受診を考える目安、歯科で行う処置と費用の目安、抜いた後の歯並びの見通しを順に整理します。生え替わり全体の流れは<a href="/treatment/kids-eruption-2/">乳歯から永久歯への生え替わり|時期・注意点・トラブル別の対処</a>にまとめていますので、あわせてご覧ください。

この記事の要点
- 二枚歯は、永久歯が乳歯の内側から出てきて乳歯の根が十分に溶けなかったときに起きる。下の前歯で特に多い
- 乳歯にぐらつきがあれば、1〜3か月程度を目安に経過を見てよいことが多い
- 永久歯が半分以上出ているのに乳歯がまったく動かない、永久歯が大きくずれて出た、痛みや腫れがある、なら受診
- 歯科ではレントゲンで根の吸収を確認し、必要なら表面麻酔と短時間の抜歯で対応する。費用は保険で数百円〜千数百円台が目安
- 抜けた後の永久歯は、舌に押されて数か月かけて前へ移動する。この段階で歯並びの結論を急がない
- 家庭で糸や指を使って無理に抜かない。根が折れて残ることがある
| 乳歯の状態 | 永久歯の出方 | 目安となる対応 |
|---|---|---|
| ぐらついている | 先端が少し見える | 1〜3か月を目安に経過を見る。噛んで抜けるのを待つ |
| ぐらついている | 半分以上出ている | 数週間で抜けることが多い。抜けなければ受診 |
| まったく動かない | 半分以上出ている | 根が残っている可能性。レントゲンで確認し抜歯を検討 |
| まったく動かない | 大きくずれて出た | 早めに受診。位置の確認と抜歯の判断 |
| 周りの歯ぐきが腫れる | どの段階でも | 期間にかかわらず受診 |
| 周りより沈んで見える | 出てこない | 癒着や先天欠如の可能性。レントゲンで確認 |
二枚歯はなぜ起きるのか
下の前歯の永久歯(下顎中切歯)は、乳歯の真下ではなく、少し舌側(内側)にずれた位置で育ちます。本来は、永久歯が上がってくる過程で乳歯の根(歯根)が少しずつ吸収され、根が短くなった乳歯がぐらついて抜け、その跡に永久歯が出てきます。 ところが、永久歯の位置が内側に寄っていると、根を溶かす力が乳歯の根にうまく届きません。根が残ったまま乳歯が居座り、その内側から永久歯が先に顔を出す。これが二枚歯です。歯が二列に並んで見えることから、サメの歯と呼ばれることもあります。 下の前歯で多いのは、この位置関係が下の前歯で特に起こりやすいためです。上の前歯は、永久歯が乳歯の唇側(外側)寄りから出てくることが多く、二枚歯になる頻度は下より低めです。 診療の場では、「歯並びが悪くなる前ぶれではないか」と心配して来院される保護者の方が多いのですが、二枚歯そのものは生え替わりの経過でよく見られる現象で、異常というより「順番が前後しただけ」と考えてよい場合がほとんどです。 乳歯が抜けた後、内側に出た永久歯は、舌に押されて少しずつ前へ移動します。唇と舌の力がつり合う位置に落ち着くまで、数か月かかることもあります。 この時期は、歯ぐきがむずむずする、かゆいと訴えることもあります。生え替わりに伴う感覚と、他の原因との見分け方は歯茎がむずむず・かゆい原因とは|歯周病・疲れ・生え替わりの見分け方で整理しています。様子を見てよい期間の目安
一律の期限はありませんが、判断の軸になるのは「乳歯が動いているかどうか」です。 乳歯に指で触れてぐらつきがあるなら、根の吸収は進んでいます。この場合、1〜3か月程度を目安に経過を見てよいと考えます。多くはこの間に自然に抜けます。 ぐらつきが強くなってきたら、食事のときに気にせず噛ませてください。硬いものを避ける必要はなく、むしろ噛むことで抜けやすくなります。 一方、永久歯が半分以上出てきているのに乳歯がまったく動かない場合は、根が吸収されずに残っている可能性があります。この状態で待ち続けても抜けにくく、永久歯の位置が内側のまま固定されやすくなります。 「半分以上出ているのに乳歯が動かない」を一つの線にして、そこを超えたら一度歯科で確認する、という考え方が現実的です。 もう一つの目安は左右差です。片側の乳歯は抜けて永久歯が並び始めたのに、反対側の乳歯が半年以上残っている場合、根の吸収の進み方に差が出ている可能性があります。左右で経過が大きく違うときも、確認の材料になります。 年齢の面では、下の前歯の生え替わりは6歳前後(5〜7歳)が多い時期です。同じ頃に6歳臼歯も生えてくるため、磨き残しが増えやすい時期でもあります。生え替わり期の歯磨きの要点は小学生の歯磨き|6歳臼歯と生え替わり期の磨き残しポイントにまとめました。受診を考えたいサイン
次のような場合は、期間にかかわらず一度受診をおすすめします。- 永久歯が半分以上出ているのに、乳歯にぐらつきがない
- 永久歯が大きくずれて出てきた(横向き、大きく内側、隣の歯の後ろなど)
- 乳歯の周りの歯ぐきが腫れている、触ると痛がる
- 乳歯がぐらついたまま数か月たっても抜けず、食事を嫌がる
- 上の前歯で同じ状態が起きている
- 乳歯も永久歯も動きがなく、乳歯が周りより沈んで見える

歯科医院で行うこと
受診すると、まず口の中を見て、乳歯のぐらつきと永久歯の位置を確認します。いつ永久歯に気づいたか、乳歯が動き始めたのはいつ頃か、痛がる様子があるかを聞かれるので、分かる範囲で日付をメモしておくと診察がスムーズです。 必要に応じてレントゲンを撮ります。目的は、乳歯の根がどこまで吸収されているかと、永久歯の根の育ち具合を見ることです。根がほとんど吸収されていれば、そのまま待つか、軽く抜くかの判断になります。根がしっかり残っていれば、抜歯を提案することが多くなります。 抜歯を行う場合、根が短くなっている乳歯であれば、表面麻酔(歯ぐきに塗るタイプの麻酔)だけ、または少量の注射麻酔を足して、数分で終わることがほとんどです。処置そのものは短時間で、泣いてしまうお子さんでも、終わってみれば「思ったより何もなかった」という反応が多い処置です。 両側の乳歯が同時に残っている場合は、2本を同じ日に抜くこともあれば、お子さんの様子を見て1本ずつに分けることもあります。抜歯そのものより、初めての処置への不安が大きい年齢なので、その日の状態に合わせて進め方を決めます。 抜いた後は、ガーゼを噛んで止血します。当日は激しい運動や長湯を避け、抜いた場所を舌や指で触らないよう伝えます。翌日からは普段どおりで構いません。 費用は保険診療の範囲です。3割負担で、初診料・レントゲン・抜歯を合わせて数百円から千数百円台が目安になります(2026年9月時点)。お子さんの場合、多くの自治体で子ども医療費助成があり、窓口負担がさらに軽くなることがあります。 乳歯を抜く判断は、虫歯で残せない場合など他の理由でも生じます。抜歯全般の考え方と抜いた後のことは乳歯を抜くのはどんなとき|虫歯で残せない場合と抜いた後のことにまとめており、ここでは二枚歯に限って述べています。 初めての歯科が抜歯からになると、お子さんにとって印象が強く残ります。できれば何もない時期に一度受診して慣れておくことをおすすめします(子どもの歯医者デビューはいつから?初めての受診の流れと準備)。抜いた後の歯並びの見通し
乳歯を抜くと、内側に出ていた永久歯は、舌の力で少しずつ前方へ移動します。数か月から半年ほどかけて、唇と舌の力がつり合う位置に落ち着くのが一般的な経過です。 隣の前歯が生え替わる時期にも重なるため、4本の前歯がそろう頃には並びが整っていくことが多く、この段階で矯正を急ぐ必要はまずありません。 ただし、すべてが自然に整うわけではありません。あごの大きさに対して永久歯が大きい場合、前に出るスペースが足りず、重なりが残ることがあります。永久歯は乳歯より一回り大きく、生え替わりの時期にあごも成長しますが、その成長量には個人差があります。 前歯4本が生えそろった段階で、重なりが目立つ、明らかに内側に留まっている、という場合は、矯正の相談を考える時期です。この時期に始める矯正は、あごの成長を利用してスペースを作る方法が中心になります。詳しくは子どもの矯正(小児矯正)|始める時期と1期・2期治療をご覧ください。 歯並びに影響する習慣もあります。口を開けたままの癖や、舌で前歯を押す癖があると、前歯の位置は落ち着きにくくなります。子どもの口呼吸・ぽかん口|歯並びと健康への影響・改善方法もあわせて確認してください。 筆者の考えでは、二枚歯の段階で歯並びの結論を出すのは早すぎます。まず乳歯が抜け、前歯4本がそろい、そのうえで判断する。この順序を守るほうが、不要な処置を避けられます。奥歯の晩期残存と、抜けないまま永久歯が出ない場合
同じ「乳歯が抜けない」でも、奥歯(乳臼歯)では事情が異なります。 乳臼歯の根は2〜3本に分かれており、その間に永久歯(小臼歯)が育ちます。永久歯は乳歯の真下から上がってくるため、前歯のように二列に並ぶことは少なく、代わりに「乳歯が残ったまま永久歯が横から出る」「乳歯が抜けず永久歯が出てこられない」という形をとります。これを乳歯の晩期残存と呼びます。 奥歯の生え替わりは9〜12歳頃で、この時期に乳歯が残ったまま12歳を過ぎるようなら、レントゲンで永久歯の位置と根の吸収を確認しておくと安心です。 もう一つ知っておきたいのが、乳歯が抜けないだけでなく、永久歯そのものが出てこないケースです。 一つは癒着(アンキローシス:乳歯の根が骨とくっつく状態)です。根が吸収されず、乳歯が周りの歯より低く沈んで見えます。この乳歯は自然には抜けないため、歯科での抜歯が必要になることが多くなります。 もう一つは先天欠如です。永久歯がもともと作られていない状態で、乳歯の下に後継の歯がありません。この場合、乳歯を抜くと後に歯がないため、抜かずに長く使う方針をとることが一般的です。永久歯が出てこないときの原因と検査は、別のページで詳しく扱っています。詳しくは永久歯が生えてこないときに考える原因と検査をご覧ください。 先天欠如で乳歯を早く失った場合や、抜歯後にスペースを保つ必要がある場合には、保隙装置を使うことがあります(乳歯を早く失ったとき|保隙装置(ほげきそうち)の役割と種類)。 また、上の前歯の間に余分な歯(過剰歯)が埋まっていて、永久歯の出方を邪魔することもあります。二枚歯とは別の話ですが、レントゲンで見つかることがある点は知っておいてください(過剰歯(余分な歯)が見つかったとき|抜くかどうかの判断と手術の流れ)。家庭でしてよいこと・避けたいこと
ぐらつく乳歯を、糸で引っ張ったり、指で無理にひねって抜こうとするのは避けてください。根が残っている乳歯を力で抜くと、根が折れて歯ぐきの中に残ったり、出血が長引いたり、傷から感染することがあります。 お子さん自身が舌で押して遊ぶのは、止めなくて構いません。清潔な指で軽く動かす程度も問題ありません。自然に抜ける直前の乳歯は、ほとんど力をかけずに取れます。「引っ張らないと抜けない」段階は、まだ時期ではないと考えてください。 食事は普段どおりで構いません。りんごやとうもろこしなど、前歯で噛み切る食べ物を避ける必要はなく、噛むことが抜けるきっかけになります。 歯磨きは、ぐらつく乳歯の周りも磨いてください。痛がる場合は柔らかいブラシで軽く、永久歯の裏側(舌側)は歯ブラシを縦にして当てると届きます。二枚歯の時期は前歯の裏に汚れがたまりやすく、歯ぐきの炎症の原因になります。 抜けた乳歯を飲み込んでしまった場合は、そのまま便と一緒に出てくるのがほとんどで、慌てる必要はありません。 抜けた後、しばらく出血がにじむことがあります。清潔なガーゼを丸めて抜けた場所に当て、10〜15分ほど噛ませてください。うがいを繰り返すと血の固まりが流れてしまい、かえって止まりにくくなります。翌日まで少量の血がにじむ程度なら心配いりませんが、それ以上続く場合は受診してください。 そして、乳歯が抜けた後の永久歯の位置は、すぐには決まりません。内側に出ていても、数か月は様子を見てよい段階です。焦って矯正の相談に行くより、前歯4本がそろうのを待ってから判断するほうが、結果として無駄がありません。