子どもの口呼吸・ぽかん口|歯並びと健康への影響・改善方法

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年7月4日監修:村井亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)

テレビを見ているとき、寝ているとき、お子さんの口がいつも「ぽかん」と開いていませんか。「口呼吸(こうこきゅう=鼻ではなく口で息をすること)」や「お口ぽかん」は、単なるクセに見えて、実は歯並び・顔の成長・全身の健康にまで影響しうるサインとして、近年の小児歯科で注目されているテーマです。日本の大規模調査では、小児の約3割にお口ぽかん(口唇閉鎖不全=くちびるが閉じにくい状態)がみられたと報告されており、けっして珍しいことではありません。このページでは、なぜ口呼吸が起きるのか、放置するとどうなるのか、そして家庭と歯科医院でできる改善方法(口腔筋機能療法=MFTや、あいうべ体操など)を、保護者の目線で整理します。原因には個人差があり、最終的な診断には歯科や耳鼻咽喉科での診査が必要です。受診を検討する際の参考としてお役立てください。

先に結論:「ただのクセ」と放置しないことが大切です
子どもの口呼吸・ぽかん口のイメージイラスト
口呼吸・ぽかん口で最も大切なのは、「そのうち治る」と様子見を続けないことです。次のようなサインがあれば、早めに歯科(小児歯科)や耳鼻咽喉科に相談することをおすすめします。
  • 日中も口が開いていることが多く、指摘しても数分で戻ってしまう
  • いびきをかく、寝ているとき口が開いている、朝起きたとき口が乾いている
  • 食べるときにクチャクチャ音がする、飲み込むときに舌が前に出る
  • 前歯が出てきた・噛み合わない(開咬=前歯が閉じない状態)など歯並びの変化がある
  • 鼻づまり・アレルギー性鼻炎・扁桃腺(へんとうせん)の肥大を指摘されたことがある
口呼吸は、歯並びの乱れや虫歯・歯肉炎のリスク上昇、睡眠の質の低下などと関連することが報告されています。逆にいえば、あごの成長が進む学童期までに気づいて対応すれば、トレーニングや生活習慣の見直しで改善が期待できる段階でもあります。「クセ」ではなく「治療・トレーニングの対象になりうる状態」として、早めに専門家の目を通しておくことが、結果として負担を小さくします。

早見表:口呼吸・ぽかん口の影響と対応の目安

気になる点関連しうる影響主な対応の選択肢
口がいつも開いているくちびる・舌の筋力低下、歯並びへの影響MFT(お口の筋トレ)、あいうべ体操
鼻づまりで口呼吸になる睡眠の質低下、集中力への影響耳鼻咽喉科で鼻炎・扁桃の評価
前歯が出てきた・閉じない出っ歯・開咬など不正咬合小児歯科・矯正歯科で相談
口の乾き・口臭虫歯・歯肉炎のリスク上昇予防処置+口呼吸の原因への対応
いびき・寝相の悪さ睡眠時の呼吸の問題の可能性歯科と耳鼻咽喉科の連携で評価

なぜ口呼吸・ぽかん口になるのか(原因)

人間の呼吸は本来、鼻で行うのが基本です。鼻は空気を温め、加湿し、ほこりや細菌をフィルターのように除去してから肺へ送る役割を持っています。口呼吸では、この機能を通らない「生の空気」が直接のどへ入ることになります。 子どもが口呼吸・ぽかん口になる原因は、大きく3つに分けて考えられます。
  • 鼻の通り道の問題:アレルギー性鼻炎、慢性的な鼻づまり、アデノイド(鼻の奥のリンパ組織)や扁桃腺の肥大など、物理的に鼻で息がしにくい状態
  • お口まわりの筋肉の問題:くちびるを閉じる筋肉(口輪筋=こうりんきん)や舌の筋力が弱く、口を閉じておくのが疲れてしまう状態
  • 習慣・クセの問題:指しゃぶりや柔らかい食事の偏りなどにより、口を閉じて鼻で呼吸する習慣が身についていない状態
実際には、これらが組み合わさっていることが多く、「鼻がつまる→口で呼吸する→くちびるの筋肉を使わなくなる→鼻が通っても口呼吸のまま」という悪循環に陥りがちです。だからこそ、歯科でのトレーニングと耳鼻咽喉科での鼻の評価は、車の両輪のような関係にあります。名古屋市内でも、中区・栄や名古屋駅周辺には小児歯科と耳鼻咽喉科が近接しているエリアが多く、両方に相談しやすい環境といえます。

歯並びと健康への影響

口呼吸・ぽかん口を長く続けると、次のような影響が指摘されています。 まず歯並びへの影響です。歯は、外側からくちびる・頬の筋肉に押され、内側から舌に押される力のバランスの取れた位置に並ぶと考えられています(バクシネーターメカニズム)。口がいつも開いていると、くちびるが前歯を押さえる力が働かず、舌の位置も下がる(低位舌=ていいぜつ)ため、前歯が前に傾いて出っ歯(上顎前突)になったり、前歯が噛み合わない開咬になったり、あごの幅が狭くなって歯が並ぶスペースが不足したりすることがあります。口呼吸の子どもは鼻呼吸の子どもに比べて不正咬合(歯並び・噛み合わせの乱れ)の割合が高いとする研究報告が複数あります。歯並びの詳しい治療の選択肢は、子どもの歯列矯正のページで解説しています。 次にお口の中の健康への影響です。口で呼吸すると口の中が乾燥し、唾液(だえき)の働きが落ちます。唾液には、酸を中和して歯を修復する(再石灰化)、細菌を洗い流す、といった防御機能があるため、乾燥すると虫歯や歯肉炎、口臭のリスクが高まると考えられています。とくに上の前歯の付け根の歯ぐきが赤く腫れやすいのは、口呼吸の子どもによくみられる特徴です。虫歯のリスクや予防の基本については、子どもの虫歯|原因・治療・予防もあわせてご覧ください。 さらに全身への影響も指摘されています。口呼吸はいびきや睡眠時の呼吸の乱れと関連することがあり、睡眠の質が下がると、日中の集中力低下や成長への影響が心配されます。また、フィルターを通らない空気が直接のどに触れるため、風邪をひきやすい、のどを痛めやすいといった声も臨床ではよく聞かれます。姿勢(頭が前に出る猫背姿勢)との関連を指摘する報告もあります。すべてが口呼吸だけで起こるわけではありませんが、「たかが口ぽかん」と片づけられない理由がここにあります。

家庭でできるセルフチェック

受診の前に、家庭で次の点を観察してみてください。メモや動画で記録しておくと、受診時に伝えやすくなります。
  • テレビや読書に集中しているとき、口が開いているか
  • 寝ているときの口の開き・いびき・呼吸の音はどうか
  • 「口を閉じて」と声をかけたとき、あご先に梅干しのようなシワが寄らないか(無理に閉じているサイン)
  • 食事のとき、口を開けたまま噛んでいないか、飲み込むとき舌が前に出ていないか
  • 鼻づまり・鼻声・鼻をよくすする様子がないか

改善方法:MFT(口腔筋機能療法)とあいうべ体操

子どもの口呼吸・ぽかん口の解説イラスト
口呼吸・ぽかん口の改善は、「原因の治療」と「筋肉のトレーニング」の2本立てで考えます。

耳鼻咽喉科的な原因への対応

アレルギー性鼻炎やアデノイド・扁桃腺の肥大など、鼻で呼吸したくてもできない状態があれば、まずその治療が優先されます。鼻がつまったままでは、どんなトレーニングをしても口を閉じ続けることはできません。歯科の側から耳鼻咽喉科の受診をすすめられることも多く、連携して進めるのが基本です。

MFT(口腔筋機能療法=オーラルマイオファンクショナルセラピー)

歯科医院で行う「お口まわりの筋肉のトレーニング」です。舌を正しい位置(上あごに軽くつける位置=スポット)に置く練習、くちびるを閉じる筋力を鍛える練習、正しい飲み込み方の練習などを、専門的な指導のもとで段階的に行います。1回で終わるものではなく、家庭での毎日の練習を数か月単位で続けることで効果が期待できます。舌のクセ(舌突出癖)をともなう開咬では、矯正治療とMFTを組み合わせることで後戻りを防ぎやすくなるとされています。

あいうべ体操

福岡の内科医が考案し、全国の学校や医療機関で取り入れられている簡単な体操です。「あー」と口を大きく開き、「いー」と横に広げ、「うー」と前に突き出し、「べー」と舌を思い切り出す。この4動作を1セットとして、1日30セット程度を目安に続けます。道具がいらず、入浴中などに親子で楽しく取り組めるのが利点です。舌とくちびるの筋肉を同時に動かすことで、舌の位置が上がり、口を閉じやすくなることが期待されます。効果の科学的検証は途上ですが、安全で取り組みやすい習慣づくりとして広く用いられています。

生活習慣の見直し

よく噛む食事(歯ごたえのある食材を取り入れる)、正しい姿勢で食べる、指しゃぶりなどのクセへの対応、就寝前の鼻の通りの確認なども、あわせて取り組みたいポイントです。市販の口テープを子どもに使う方法は、鼻づまりがある場合には危険をともなうため、自己判断で行わず必ず歯科・耳鼻咽喉科に相談してください。

装置を使うトレーニング

筋機能矯正装置(マウスピース型のトレーニング装置)を就寝時などに使い、くちびるを閉じる習慣と舌の位置を育てる方法もあります。適応になる年齢や歯並びの状態には条件があり、費用は自由診療となることが一般的です。装置だけで解決するものではなく、トレーニングとの併用が前提になります。詳しくは子どもの歯列矯正のページもご参照ください。

受診のタイミングと、何科を受診するか

「何歳から相談すべきか」と迷う保護者の方は多いのですが、目安としては、3歳を過ぎても常に口が開いている、いびきが続く、歯並びの変化に気づいた、といった時点で一度相談する価値があります。あごの成長を利用できる時期(おおむね小学校低学年〜中学年)は、トレーニングや矯正の選択肢が広い時期でもあります。
  • 歯並び・口の閉じにくさ・舌のクセが気になる → 小児歯科・矯正歯科
  • 鼻づまり・いびき・アデノイドや扁桃腺の指摘 → 耳鼻咽喉科
  • どちらか判断がつかない → まずかかりつけの歯科で相談し、必要に応じて紹介を受ける
愛知県・東海エリアでは、MFTに力を入れる小児歯科や、名古屋市中区・栄、名古屋駅周辺など通いやすい立地の医院も増えています。トレーニングは通院が数か月〜年単位で続くため、無理なく通える場所を選ぶことも大切な条件です。

よくある質問

お口ぽかんは自然に治りますか

成長とともに目立たなくなる子もいますが、鼻の病気や筋力・クセが背景にある場合、自然に治ることは期待しにくいと考えられています。日本の調査ではお口ぽかんの有病率は年齢が上がっても大きく下がらなかったと報告されており、気づいた時点での相談をおすすめします。

口呼吸だと本当に歯並びが悪くなるのですか

口呼吸の子どもは不正咬合の割合が高いとする報告が複数あります。くちびると舌の力のバランスが崩れることで、出っ歯や開咬、あごの幅の狭さにつながると考えられています。ただし歯並びの原因は遺伝や骨格など複合的で、口呼吸だけがすべてではありません。

あいうべ体操は何歳からできますか

まねっこ遊びができる年齢(おおむね3歳ごろ)から親子で取り組めます。1日30セットを目安に、数回に分けて無理なく続けることが大切です。あごの関節に痛みがある場合は回数を減らすか中止し、歯科に相談してください。

MFTの費用はどのくらいかかりますか

MFTは自由診療として行われることが多く、料金体系は医院によって異なります(矯正治療の一環として含まれる場合もあります)。期間・回数・費用の総額を事前に確認し、納得したうえで始めることをおすすめします。

口にテープを貼って寝る方法は子どもに使ってよいですか

鼻づまりがある子どもに口テープを使うと、呼吸が苦しくなる危険があります。自己判断では行わず、まず鼻で楽に呼吸できる状態かを耳鼻咽喉科・歯科で確認してから、指導のもとで検討してください。

口呼吸は虫歯とも関係がありますか

口の中が乾燥すると唾液の防御機能が働きにくくなり、虫歯や歯肉炎のリスクが高まると考えられています。口呼吸への対応とあわせて、フッ化物の活用や仕上げ磨きなどの予防も強化しましょう。詳しくは子どもの虫歯のページをご覧ください。

まとめ

子どもの口呼吸・ぽかん口は、小児の約3割にみられる身近な状態でありながら、歯並び(出っ歯・開咬・あごの発育)、虫歯・歯肉炎、睡眠の質など、幅広い影響と関連しうるサインです。原因は「鼻の通り」「お口の筋力」「習慣」の組み合わせで、対応も耳鼻咽喉科での治療とMFT・あいうべ体操などのトレーニングの2本立てが基本になります。あごの成長期は改善のチャンスが大きい時期です。「そのうち閉じるだろう」と待つのではなく、気づいた段階で小児歯科と耳鼻咽喉科に相談し、お子さんに合った方法を一緒に見つけていきましょう。
子どもの口呼吸・ぽかん口に関するケア・予防のイメージイラスト

参考・出典

  • 日本歯科医師会・学術研究「日本の小児における口唇閉鎖不全の有病率調査」(新潟大学ほか多施設研究)
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット(口腔機能の発達、不正咬合、唾液の働きに関する解説)
  • 日本小児歯科学会(口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方)
  • 日本歯科医学会「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」(小児の口腔機能管理)
  • American Academy of Pediatric Dentistry(AAPD)Policy/Best Practices(口腔習癖・筋機能療法関連)
  • 国際的な系統的レビュー(口呼吸と不正咬合・睡眠呼吸障害の関連に関する研究)
  • みらいクリニック「あいうべ体操」(考案者による解説)
(注:有病率などの数値は調査により幅があります。最新のガイドライン・具体的数値は監修者が確認・更新します。)

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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