対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
子どもの開咬(かいこう:奥歯を噛んでも上下の前歯の間にすき間が開き、前歯が閉じない状態)は、名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)の学校歯科健診で「かみ合わせ要観察」と書かれて初めて気づく保護者の方が多い歯並びです。「麺類を前歯で噛み切れない」「舌を出して飲み込んでいる」「サ行やタ行の発音が不明瞭」といった日常の様子が手がかりになることもあります。開咬は、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖(舌癖)、口呼吸といった習慣が原因になっていることが多く、癖が続く限り矯正装置で歯を動かしても戻ってしまうという特徴があります。そのため、治療では歯を動かすことと同じくらい、舌や唇の使い方を整える訓練(MFT:口腔筋機能療法)が重視されます。このページでは、開咬の原因の見分け方、MFTで何ができるか、矯正装置が必要になる目安、そして治療の流れを、年齢に沿って整理します。
小児矯正の全体像(始める時期、1期・2期治療の考え方)は子どもの矯正(小児矯正)|始める時期と1期・2期治療でまとめています。
受診の目安
- 奥歯を噛んだ状態で、上下の前歯の間に2mm以上のすき間があり、舌が見える
- 飲み込むときに舌が前歯の間から出る、または唇に力を入れて飲み込んでいる
- 4歳を過ぎても指しゃぶりが続いている
- サ行・タ行・ラ行の発音が不明瞭で、舌が前に出ている
- 口を開けたまま過ごすことが多く、唇が乾いている
- 学校歯科健診で「かみ合わせ要観察・要精査」と書かれた
開咬の原因は「癖」と「骨格」に分かれる
開咬には、大きく分けて2つの原因があります。 ひとつは習癖性(しゅうへきせい)の開咬で、指しゃぶり、舌で前歯を押す癖、飲み込むときに舌を前に出す癖(異常嚥下癖)、口呼吸、爪噛みやタオル噛みなど、日常の習慣によって前歯が押し出されたり、生えてくるのを妨げられたりして起こるものです。子どもの開咬の多くはこちらで、癖を減らせば改善する余地があります。 もうひとつは骨格性の開咬で、あごの骨の形や成長の方向そのものが原因になっているものです。下あごが後ろ下方に回転しながら成長する傾向があり、奥歯が高く前歯が届かない、顔が縦に長く見える、といった特徴があります。骨格性の開咬は癖の改善だけでは治らず、成長期の装置による誘導や、成長が終わってからの本格的な矯正、程度が強ければ外科手術を併用する治療が必要になることがあります。 実際には両方が重なっていることも多く、どちらの要素が強いかを判断するのが診断の役割です。この見極めなしに治療を始めると、「装置で閉じたのに戻った」「訓練だけしても閉じなかった」という結果になりやすくなります。| 比べる点 | 習癖性の開咬 | 骨格性の開咬 |
|---|---|---|
| 主な原因 | 指しゃぶり、舌癖、口呼吸、異常嚥下癖 | あごの骨の形と成長方向 |
| すき間の形 | 前歯だけが開き、奥歯は噛んでいる | すき間が奥歯近くまで広がることがある |
| 顔立ち | 大きな特徴はないことが多い | 顔が縦に長く、あごの先が後ろに引けて見える |
| 癖をやめると | 乳歯期なら自然に閉じることがある | 癖をやめても閉じない |
| 主な治療 | MFT、癖を止める装置、必要に応じて矯正 | 成長期の装置、2期治療、程度により外科矯正 |
| 治療の時期 | 永久前歯が生えそろう7〜8歳ごろから | 成長を利用する時期と、成長終了後の2段階 |
舌の癖が開咬を作るしくみ
正しい飲み込みでは、舌の先が上あごの前歯のすぐ後ろの膨らみ(スポット)に触れ、舌全体が上あごに押し付けられて食べ物を喉に送ります。このとき前歯には舌の力がかかりません。ところが、舌を前歯の間に挟んだり、舌を前に突き出したりして飲み込む癖があると、1日に1,000回以上とされる飲み込みのたびに前歯が前方・上方に押され、前歯が生えてくるのを妨げます。舌の力は1回では弱くても、回数と時間が積み重なることで歯を動かすのに十分な力になります。 舌が前に出やすくなる背景には、指しゃぶりで作られたすき間に舌が入る習慣、口呼吸で舌が下がっている状態(低位舌)、舌小帯(舌の裏側のすじ)が短くて舌を上に持ち上げにくい状態、扁桃やアデノイドが大きくて舌の置き場が狭い状態などがあります。舌小帯が短い場合の考え方は舌小帯・上唇小帯が短いとき|切除を考える時期と手術の実際で解説しています。口呼吸との関係は子どもの口呼吸・ぽかん口|歯並びと健康への影響・改善方法で、指しゃぶりのやめさせ方は指しゃぶり・おしゃぶりは歯並びに影響する?やめさせる時期と方法で整理しています。
MFT(口腔筋機能療法)でできること
MFT(Myofunctional Therapy:口腔筋機能療法)は、舌・唇・頬の筋肉の使い方を練習によって整え、正しい舌の位置、唇を閉じた状態、鼻での呼吸、正しい飲み込み方を身につける訓練です。装置で歯を動かすのではなく、歯を動かしてしまう力の原因そのものを変えることを目的にしています。 代表的な練習には次のようなものがあります。- スポットポジション:舌の先を上あごの前歯の後ろの膨らみに置く練習。舌の「定位置」を覚える
- ポッピング:舌全体を上あごに吸い付けてから「ポン」と音を鳴らして離す練習。舌を持ち上げる筋肉を鍛える
- 唇の閉鎖訓練:唇を閉じてボタンを引く練習や、唇で紙を挟む練習。口を閉じる力をつける
- 正しい飲み込みの練習:舌を上あごにつけたまま水を飲み込む練習。舌を前に出さずに飲み込む動きを覚える
- ガムトレーニング:ガムを舌で上あごに押し付けて広げる練習。舌の上方への力を養う
矯正装置が必要になる目安
次のような場合は、MFTに加えて矯正装置を使う判断になることが一般的です。- 永久歯の前歯が生えそろっても2mm以上のすき間が残っている
- 指しゃぶりや舌癖がどうしても止められず、癖を物理的に止める装置(タングクリブなど)が必要
- 骨格性の要素があり、成長を利用してあごの方向を誘導する必要がある
- 開咬に加えて、でこぼこや出っ歯、受け口が重なっている
- MFTを半年〜1年続けても変化がない
開咬の治療の流れを年齢で見る
| 時期 | 主に行うこと | ポイント |
|---|---|---|
| 3〜5歳(乳歯期) | 指しゃぶりの中止、口呼吸の確認、経過観察 | 装置は原則使わない。癖をやめれば閉じることが多い |
| 6〜9歳(生え替わり前期) | MFTの開始、必要なら癖を止める装置、鼻の評価 | 永久前歯が生えてくる時期で、癖の影響を受けやすい |
| 9〜12歳(生え替わり後期) | MFTの継続、骨格性なら成長誘導の装置 | 1期治療の中心。成長を利用できる最後の時期 |
| 12歳以降(永久歯列) | 残ったすき間をワイヤーやマウスピースで仕上げる2期治療 | MFTを続けないと後戻りしやすい |
| 成長終了後(骨格性で程度が強い場合) | 外科手術を併用する矯正 | 顎変形症として保険適用になる場合がある |

発音・食事への影響と、言語聴覚士との連携
開咬があると、前歯のすき間から空気や舌が漏れるため、サ行・タ行・ラ行、英語のsやthのような音が不明瞭になることがあります。舌を前歯の間に出して発音する癖(歯間音化)は、開咬の原因である舌癖と表裏一体で、発音の練習と舌の位置の訓練は重なる部分が多くあります。発音の不明瞭さが気になる場合、歯科でのMFTに加え、言語聴覚士(ST)による構音訓練を並行することがすすめられることがあり、名古屋市内では小児科や療育センター、一部の歯科医院で相談できます。就学前に発音の相談を受けておくと、学校生活での負担が軽くなります。 食事面では、前歯で噛み切れないために奥歯で押しつぶすように食べる、麺類や葉物野菜を丸のみに近い形で飲み込む、といった食べ方の癖が定着しやすくなります。これは奥歯への負担だけでなく、よく噛む習慣が育ちにくいという点でも見過ごせません。開咬が改善してくると前歯で噛み切る動作が可能になるため、りんごやとうもろこしのように前歯を使う食べ物を意識的に食卓に出し、前歯で噛み切る経験を増やしていくことが、治療の効果を定着させる助けになります。前歯で噛み切れるようになったかどうかは、保護者の方が家庭で確認できる、わかりやすい改善の目安でもあります。費用の目安
MFTは自由診療で、指導料として1回3,000〜10,000円程度、または矯正の管理料に含まれる形が一般的です。癖を止める装置は5万〜15万円程度、成長誘導の装置を含む1期治療は30万〜60万円程度、永久歯列での2期治療は50万〜100万円程度が目安です。開咬はMFTの継続が長くなるため、指導料の合計も見積もりに入れておくと安心です。小児矯正の費用の全体像は小児矯正の費用はいくらかかる?1期治療・2期治療の相場、総額の考え方で整理しています。 私が子どもの開咬を診るときに最初に見るのは、前歯のすき間の大きさではなく、水を一口飲んでもらったときの舌の動きです。飲み込む瞬間に舌が前歯の間に出てくる子は、そのすき間が舌の置き場になっており、装置ですき間を閉じてもまた舌が押し広げます。逆に、舌がきちんと上あごに持ち上がる子は、癖の中止と経過観察だけで閉じてくることがよくあります。 もうひとつ大切なのは、舌が前に出る「理由」を探すことです。鼻が詰まっていて口で息をするために舌が下がっている子、舌小帯が短くて舌を上げられない子、扁桃が大きくて舌の置き場がない子は、いくらMFTを練習しても舌を上に置けません。この場合は耳鼻科での評価や舌小帯の処置が先になります。開咬の治療で「装置」から入ると、この順序が逆になりがちです。保護者の方には、装置の提案を受けたときに「舌が前に出る理由は何だと考えていますか」と質問してみることをすすめています。その答えが具体的な医院であれば、後戻りの少ない治療が期待できます。家庭でできる観察と習慣づくり
- 食事中に口を閉じて噛めているか、飲み込むときに唇や顎に力が入っていないかを観察する
- テレビを見ているときや寝ているときに口が開いていないかを確認する
- 前歯で噛み切る食べ物(りんご、とうもろこし、麺類)を意識的に食卓に出す
- 指しゃぶりは叱らず、手を使う遊びや寝る前の安心できる習慣で置き換える
- 鼻づまり、いびき、口を開けて寝る様子があれば耳鼻科に相談する
よくある質問
子どもの開咬は自然に治りますか
乳歯期の軽い開咬で原因が指しゃぶりの場合は、癖をやめれば自然に閉じてくることが多く、慌てて治療を始める必要はありません。一方、永久歯の前歯が生えそろう7〜8歳を過ぎても開咬が残っている場合や、舌で前歯を押す癖が定着している場合は自然には治りにくく、MFTや装置による治療を検討します。骨格性の要素があれば自然に閉じることはありません。開咬を放置するとどうなりますか
前歯で食べ物を噛み切れず奥歯に負担が集中する、サ行やタ行の発音が不明瞭になる、口が閉じにくく口呼吸が定着して虫歯や歯肉炎が増える、といった影響が出ることがあります。成長とともに骨格性の要素が加わると治療が難しくなり、成長終了後に外科手術を併用する治療が必要になる場合もあります。早めの原因の見極めが、治療を軽く済ませる鍵です。MFT(口腔筋機能療法)だけで開咬は治りますか
習癖性の開咬で、まだ生え替わりの時期にある場合は、MFTと癖の中止だけで前歯が閉じてくることがあります。ただし、すでに前歯が大きく押し出されている場合や、骨格性の要素がある場合はMFTだけでは閉じず、装置と併用します。MFTは装置の代わりというより、装置で治した結果を戻さないための土台として欠かせない位置づけです。MFTはどのくらいの期間続けますか
1日5〜10分の練習を毎日続け、月1回程度の指導を受けながら、数か月から1年以上かけて舌の位置と飲み込み方を定着させます。癖が長く続いていた子ほど時間がかかります。矯正装置の治療が終わったあとも、後戻りを防ぐために練習を続けることがすすめられ、正しい舌の位置が無意識にできるようになるまでが目標です。舌の癖を止める装置はどんなものですか
舌が前歯の間に入るのを防ぐ柵のような装置(タングクリブ)や、舌を上あごに誘導する突起の付いた取り外し式装置があります。数か月〜1年程度使い、癖が消えて前歯が閉じてくると外します。装置は癖を「物理的に止める」ためのもので、同時にMFTで正しい舌の使い方を覚えなければ、外したあとに戻ることがあります。開咬の治療費はどのくらいかかりますか
MFTの指導料は1回3,000〜10,000円程度、癖を止める装置は5万〜15万円程度、成長誘導を含む1期治療は30万〜60万円程度、永久歯列での2期治療は50万〜100万円程度が一般的な目安です。いずれも自由診療で医院によって異なります。程度の強い骨格性の開咬で外科手術を併用する場合は、指定医療機関で保険適用になることがあります。開咬は治療しても戻りやすいと聞きましたが本当ですか
開咬は矯正治療の中でも後戻りしやすいかみ合わせとして知られています。装置で前歯を閉じても、舌で前歯を押す癖や口呼吸が残っていれば、数年で再び開いてくることがあります。そのため、治療後の保定装置の使用とMFTの継続が他の歯並びより重要で、正しい舌の位置が無意識にできるようになることが後戻り防止の要です。名古屋で子どもの開咬を相談するとき、何科に行けばよいですか
名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)では、まずかかりつけの小児歯科または矯正歯科で、開咬が癖によるものか骨格によるものかを診てもらいます。MFTの指導を行っているか、鼻づまりや舌小帯の評価をしてくれるかを確認してください。鼻づまりやいびきがある場合は耳鼻科の受診を並行し、必要に応じて矯正を専門に扱う医院を紹介してもらう流れが一般的です。まとめ
子どもの開咬は、指しゃぶり・舌で前歯を押す癖・口呼吸といった習慣による習癖性のものと、あごの骨の形による骨格性のものに分かれ、多くは習癖性で癖を減らせば改善の余地があります。乳歯期の軽い開咬は癖の中止で自然に閉じることが多く、永久歯の前歯が生えそろう7〜8歳を過ぎても残る場合や舌の癖が定着している場合に、MFT(口腔筋機能療法)で舌・唇の使い方を整え、必要に応じて癖を止める装置や成長誘導の装置を併用します。骨格性の要素が強い場合は2期治療や外科矯正の領域です。開咬は後戻りしやすいかみ合わせのため、装置で閉じたあともMFTと保定を続けることが欠かせません。装置の提案を受けたら「舌が前に出る理由は何か」を確認し、鼻づまりや舌小帯の評価が先に必要なら、そちらから始めることが結果的に近道になります。小児矯正全体の考え方は子どもの矯正(小児矯正)|始める時期と1期・2期治療で確認できます。 より詳しい解説は子どもの矯正で歯を抜くことはある?抜かずに済む条件と判断の流れ・乳歯の抜歯と永久歯の抜歯の違い・抜くと決まったときの時期にあります。 判断に迷うときは子どもの矯正で「今は経過観察」と言われたらも参考になります。 あわせて読みたい記事として 子どもの過蓋咬合(かみ合わせが深い・下の前歯が見えない)で解説しています。 成長が終わった大人の開咬の治し方と、アンカースクリューや外科矯正の選び方は大人の開咬(前歯が閉じない・奥歯でしか噛めない)の治し方で解説しています。参考・出典
- 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療に関する一般向け情報」(開咬・口腔習癖) https://www.jos.gr.jp/
- 日本小児歯科学会「口腔習癖と歯並びに関する一般向け解説」「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」 https://www.jspd.or.jp/
- 日本口腔筋機能療法学会「MFT(口腔筋機能療法)とは」 https://www.jamft.jp/
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合」「口呼吸」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- 日本歯科医師会「子どもの歯並び・かみ合わせに関する一般向け解説」 https://www.jda.or.jp/