定期検診でレントゲンは毎回撮る?撮る間隔の目安と被ばく量

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年8月21日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

定期検診でレントゲンを毎回撮るのかどうかは、名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)の患者さんからもよくいただく質問です。「前回も撮ったのに、また撮るのですか」「被ばくは大丈夫ですか」というご心配は当然のものです。結論を先に述べると、毎回は撮りません。撮る種類と間隔には目安があり、口の中の状態によって変わります。このページでは、歯科のレントゲンの種類、撮る間隔の考え方、被ばく量の実際、撮らない場合に見落とされるものを整理します。検診全体の流れは<a href="/treatment/teiki-kenshin-naiyou/">歯の定期検診では何をする?内容・費用・所要時間</a>をご覧ください。

歯のレントゲン画像を模した抽象的なパネルと歯のモチーフのイラスト

要点

  • 定期検診で毎回レントゲンを撮ることはない
  • 全体を写すパノラマは3〜5年に1度、部分的な小さい写真は必要に応じて
  • 虫歯や歯周病のリスクが高い方は間隔が短くなる
  • 歯科の1枚あたりの被ばくは、日常生活で受ける自然放射線と比べても小さい
  • 妊娠中でも防護のうえで必要な撮影は可能。まず申し出る
  • 撮らない選択もあるが、見えない部分の変化は追えなくなる
歯科で使われる主な撮影の種類を整理します。
種類何が分かるか撮る間隔の目安撮影時間
パノラマ上下すべての歯・骨・関節・親知らずの位置3〜5年に1度約15秒
デンタル(小さい写真)数本の歯の根の先・骨の高さ・詰め物の下必要な部位のみ随時数秒
咬翼法歯と歯の間の虫歯・詰め物の縁リスクに応じて1〜2年数秒
歯科用CT骨の厚み・根の形・神経との位置を立体で必要な場面に限る約20秒
※間隔は目安です。症状や治療の予定があれば、その都度必要な撮影を行います。

なぜ「毎回は撮らない」のか

撮影は、必要があるときに行うものです。習慣で撮るものではありません。 歯科のレントゲンは、目で見えない部分を確認するための手段です。歯と歯の間、詰め物の下、歯を支える骨の高さ、根の先。これらは口の中を見るだけでは判断できません。逆にいえば、見て分かる範囲の確認だけで済む回では、撮影の必要がありません。 判断の基準になるのは、前回からの期間と、その方のリスクです。虫歯を繰り返している方、歯周病の治療中の方、詰め物や被せ物が多い方は、変化が起きる可能性が高いため間隔が短くなります。逆に、状態が安定していて新しい治療がない方では、間隔は長くなります。 もう一つの基準は、症状の有無です。噛むと痛む、腫れた、詰め物が取れたといった変化があれば、その部位の撮影が必要になります。この場合は間隔と関係なく撮ります。 つまり「毎回撮る」でも「一切撮らない」でもなく、必要性で決めるという運用です。撮る理由が説明されないまま案内された場合は、遠慮なく尋ねてください。

パノラマと小さい写真の使い分け

歯科で撮られる写真には、大きく分けて全体を1枚に収めるものと、部分を詳しく写すものがあります。 パノラマは、上下の歯列全体と顎の骨、関節、親知らずまでを1枚に写します。全体像を把握するための撮影で、初診時や、数年ぶりの受診時に撮ることが多い種類です。親知らずの向きや埋まり方もここで分かります。位置関係の詳細を見る必要がある場合は、立体で撮る方法に進みます。詳しくは親知らず抜歯と神経麻痺のリスク|下歯槽神経・CT検査の意味をご覧ください。 デンタルと呼ばれる小さい写真は、数本の歯を詳しく写します。根の先に影がないか、骨の高さがどうか、詰め物の縁がどうなっているか。パノラマより解像度が高く、細部の判断に向きます。根管治療の経過を追う場面でも使われます。根管治療後の経過観察|レントゲンで何を見て治ったと判断するかで具体的な見方を説明しています。 咬翼法は、上下の奥歯の噛み合う部分を横から写す方法です。歯と歯の間の虫歯を見つけるのに適しています。この部位の虫歯は肉眼では分かりにくく、進行してから気づくことが多いため、リスクの高い方では定期的に撮ります。詳しくは歯と歯の間の虫歯(隣接面う蝕)の見つけ方・治療・予防をご覧ください。 歯周病の状態を見る場合も、骨の高さを確認するために撮影を行います。何が分かるかは歯周病はレントゲンで何がわかる?骨の吸収の見え方と限界にまとめました。
全体を写す撮影と部分を詳しく写す撮影の違いを表した対比のイラスト

被ばく量をどう考えるか

心配される方が多い部分なので、数字の考え方を整理します。 放射線の量はシーベルトという単位で表され、歯科で用いる撮影はこの単位のごく小さい範囲に収まります。デンタル1枚は0.01ミリシーベルト前後、パノラマ1枚は0.03ミリシーベルト前後とされています。 比較の対象として使われるのが、自然界から受ける放射線です。日本では1年間におよそ2ミリシーベルト程度を、大地や食物、宇宙線から受けているとされます。東京とニューヨークを飛行機で往復すると、0.1〜0.2ミリシーベルト程度になるという説明もよく使われます。 つまり、歯科で年に数枚撮影したとしても、日常生活で受けている量と比べて大きな上乗せにはなりません。加えて、現在使われている装置の多くはデジタル化され、フィルム時代より線量が下がっています。 撮影時には防護エプロンを使い、照射する範囲も必要な部位に絞ります。甲状腺の防護具を用いる医院もあります。 とはいえ、少ないことと不要なことは別です。理由のない撮影は行いません。必要があるときに、必要な範囲で撮る。この原則が守られていれば、量そのものを過度に心配する必要はありません。CTを撮る意味と線量の考え方は根管治療で歯科用CTを撮るのはなぜ?レントゲンとの違いと分かることで説明しています。

妊娠中・授乳中・小児の場合

不安が集中しやすい対象について、個別に整理します。 妊娠中の方でも、必要があれば撮影は可能です。歯科の撮影は照射範囲が口元に限られ、腹部が直接照射されることはありません。加えて防護エプロンを使用します。ただし、緊急性のない撮影は時期をずらすという判断もあり得ます。まずは妊娠の週数を申し出てください。妊娠中の治療全般については妊娠中の虫歯治療は大丈夫?|時期・麻酔・レントゲンの注意をご覧ください。 授乳中については、撮影が母乳に影響することはありません。撮影後に授乳を控える必要もありません。 お子さんの撮影も、必要に応じて行います。永久歯が骨の中でどう並んでいるか、生え替わりが順調か、過剰な歯がないかは、外からは分かりません。学校の健診で指摘を受けた場合の読み方は学校歯科健診で「要受診」の紙をもらったら|C・CO・GOの意味にまとめています。生え替わりの流れは乳歯から永久歯への生え替わり|時期・注意点・トラブル別の対処をご覧ください。 どの場合でも共通するのは、撮る理由を説明したうえで同意を得るという手順です。説明がないまま進む場合は、その場で確認して構いません。
防護エプロンと撮影装置を配した安全への配慮を表すイラスト

撮らない場合に見えなくなるもの

「できれば撮りたくない」というご希望は尊重されます。ただし、その場合に何が追えなくなるのかは知っておいてください。 まず、詰め物や被せ物の下の変化です。金属やセラミックの内側で進む虫歯は、外から見ても分かりません。撮影で影として写って初めて分かることが多く、症状が出る頃には範囲が広がっています。詰め物の下の虫歯はレントゲンでわかる?二次う蝕の検査と限界を歯科医が解説で写り方の限界も含めて説明しています。 次に、歯を支える骨の高さです。歯周ポケットの深さを測る検査だけでは、骨の形までは分かりません。骨がどの方向に減っているかが分かると、治療方針の判断が変わります。 三つ目は、根の先の状態です。過去に神経の処置をした歯は、症状がなくても根の先に病変ができていることがあります。歯茎から膿が出る・根の先に膿|根尖病変の原因と治療で経過を説明しています。 四つ目は、比較そのものです。過去の画像があれば、変化が進んでいるのか止まっているのかを判断できます。1枚だけでは「今の状態」しか分かりませんが、2枚並べれば「向き」が分かります。この比較こそが、定期的に見る意義の中心にあります。 撮影を断ることは可能ですが、その場合は判断が症状と目視の範囲に限られると理解しておいてください。検診を空けた期間に何が進むかは歯の定期検診に行かないとどうなる?3年後・5年後に起きる変化と費用の差にまとめました。

費用と保険の扱い

撮影は保険診療の中で行われるのが一般的です。 3割負担の場合、デンタル1枚でおよそ100〜200円程度、パノラマでおよそ1,000〜1,300円程度が目安になります。歯科用CTは撮影部位と目的により異なり、保険適用となる条件が定められています。 保険の中では、撮影の回数や間隔に一定のルールがあります。短期間に繰り返し同じ部位を撮ることは想定されておらず、必要性が求められます。この点も「毎回は撮らない」運用の背景にあります。 自費診療の一環として撮影する場合は、医院ごとに金額が設定されます。費用の全体像は歯科治療の費用の目安|治療内容別の相場一覧、保険と自費の考え方は歯科の保険診療と自費診療の違いをわかりやすく解説をご覧ください。会計時の内訳の読み方は歯科の診療明細書の見方|点数のしくみと会計が高く感じる理由にまとめています。

転院したときに画像は引き継げるか

引っ越しや転職で医院を変わる際、「また最初から撮り直すのか」という質問をいただきます。 原則として、画像データは撮影した医院で保管されます。ただし、患者さんの依頼があれば、資料として提供してもらえる場合があります。紹介状に画像を添えてもらう形が一般的です。 新しい医院で撮り直しになることもあります。装置や撮影条件が違えば比較が難しく、また現在の状態を把握する必要があるためです。無駄に思えるかもしれませんが、判断の土台をそろえる意味があります。 転院を考えている場合は、これまでの資料があることを伝えてください。治療の途中であれば、引き継ぎの流れは根管治療の途中で転院できる?引き継ぎの流れ・費用と注意点が参考になります。別の医院の意見を聞きたい場合の手順は歯科治療のセカンドオピニオン|取り方・費用・伝え方・断り方にまとめました。 継続して同じ医院で見てもらうことの利点は、この比較材料が積み上がることにあります。予防を継続する体制についてはか強診とは|毎月のクリーニングが保険でできる歯科医院の条件もご覧ください。粘膜や口の働きの確認まで含めた検診の役割は歯科検診で口腔がんは見つかる?粘膜のチェックで見ているところ口腔機能低下症の検査とは|7項目で調べる内容と保険の扱いで扱っています。

撮った画像を一緒に見るときの読み方

多くの医院では、撮影した画像を画面に映して説明します。ここで何を見ているのかが分かると、説明の理解が進みます。 白く写るのは硬いもの、黒く写るのは軟らかいものや空気です。金属の詰め物は真っ白に、神経の通っている管は細い黒い線として写ります。虫歯は、周囲より黒く抜けた影として見えます。 歯を支える骨は、歯と歯の間で山のような形をしています。この山の高さが下がっていれば、骨が失われていると判断します。左右や前後で比べると、どこが進んでいるかが見えます。 根の先に丸い黒い影があれば、そこに炎症が起きている可能性があります。過去に神経の処置をした歯では、症状がなくてもこの影が残っていることがあります。 説明の際は、遠慮なく質問してください。「この黒いところは何ですか」「前回と比べてどうですか」という二つの質問だけでも、判断の根拠が具体的になります。ご自身の口の中の記録として、画像を見せてもらう習慣をつけておくと、次に受診したときの比較もしやすくなります。

装置の進歩で変わったこと

現在、多くの医院で使われているのはデジタルの装置です。フィルムを現像していた時代と比べて、いくつかの点が変わりました。 一つは線量です。デジタルのセンサーは少ない放射線量で画像を得られるため、1枚あたりの被ばくは以前より減っています。 二つ目は、その場で見られることです。撮影後すぐに画面に表示されるため、その場で説明を受けられます。現像の待ち時間もありません。 三つ目は、記録の残り方です。データとして保存されるため、過去の画像を並べて比較する作業が容易になりました。定期的に見る意義の中心が比較にある以上、この点の意味は小さくありません。

撮る間隔を決めている要素をもう少し具体的に

「リスクに応じて」という説明だけでは判断しにくいため、実際に何を見て決めているのかを挙げます。 一つ目は、これまでの治療の量です。詰め物や被せ物が多い方は、その縁の数だけ変化が起きうる場所を抱えています。確認すべき対象が多ければ、間隔は短くなります。 二つ目は、新しい虫歯の発生歴です。この1〜2年に新しい虫歯が見つかっているかどうかは、そのまま次の期間の見通しに影響します。 三つ目は、歯ぐきの検査の結果です。ポケットが深い部位が残っている、出血が続いているという状態では、骨の状態を画像で確かめる必要が出てきます。 四つ目は、年齢と歯ぐきの下がり具合です。根の面が出ている方では、その部分の虫歯を拾う目的で撮影することがあります。 五つ目は、症状です。噛んだときの痛み、腫れ、しみ方の変化があれば、間隔に関係なくその部位を撮ります。 つまり、間隔は一律ではなく、変化が起きうる場所の数と速さで決まります。前回いつ撮ったかを覚えておくと、説明を受けるときに話が早くなります。

よくある質問

定期検診でレントゲンは毎回撮りますか

毎回は撮りません。全体を写すパノラマは3〜5年に1度、部分を詳しく写す小さい写真は必要な部位に限って撮ります。虫歯を繰り返している方や歯周病の治療中の方では間隔が短くなり、状態が安定していれば長くなります。理由の説明がなければ尋ねてください。

歯科のレントゲンの被ばく量はどれくらいですか

小さい写真1枚で0.01ミリシーベルト前後、パノラマで0.03ミリシーベルト前後とされています。日本では自然界から年間およそ2ミリシーベルトを受けているとされ、年に数枚の撮影は大きな上乗せにはなりません。防護エプロンを使い、照射範囲も限定します。

妊娠中でもレントゲンを撮って大丈夫ですか

必要があれば撮影できます。歯科の撮影は照射範囲が口元に限られ、腹部が直接照射されることはなく、防護エプロンも使用します。ただし緊急性がなければ時期をずらす判断もあります。受付や診療前に妊娠の週数をお伝えください。

授乳中の撮影は母乳に影響しますか

影響しません。撮影後に授乳を控える必要もなく、通常どおりで問題ありません。心配な場合は撮影前にその旨をお伝えいただければ、必要性と代わりの方法について説明を受けられます。不安を抱えたまま受けるより、確認しておくほうが安心です。

レントゲンを断ることはできますか

断ることはできます。ただし、詰め物の下の虫歯、骨の高さ、根の先の状態は画像でなければ確認できないため、判断は症状と目視の範囲に限られます。過去の画像との比較もできなくなるため、変化が進んでいるかどうかの見極めが難しくなります。

子どもにもレントゲンを撮りますか

必要に応じて撮ります。永久歯が骨の中でどう並んでいるか、生え替わりが順調か、過剰な歯がないかは外からは分かりません。撮影時間は数秒から十数秒で、防護具を使用します。撮る理由は事前に説明されますので、疑問があればその場で確認してください。

レントゲン撮影の費用はいくらですか

保険診療で3割負担の場合、小さい写真1枚で100〜200円程度、パノラマで1,000〜1,300円程度が目安です。歯科用CTは目的と部位によって異なり、保険適用の条件が定められています。自費で行う場合は医院ごとの設定になります。

転院したら画像は引き継げますか

依頼すれば資料として提供してもらえる場合があります。紹介状に添えてもらう形が一般的です。ただし装置や撮影条件が違うと比較が難しいため、新しい医院で撮り直しになることもあります。過去の資料があることは初診時にお伝えください。

まとめ

定期検診でレントゲンを毎回撮ることはありません。全体を1枚に収めるパノラマは3〜5年に1度、部分を詳しく写す小さい写真は必要な部位に限って撮る、というのが基本の運用です。判断の基準になるのは、前回からの期間と、その方のリスク、そして症状の有無です。虫歯を繰り返している方、歯周病の治療中の方、詰め物や被せ物が多い方では変化が起きやすいため間隔が短くなり、状態が安定していれば長くなります。被ばく量については、小さい写真1枚で0.01ミリシーベルト前後、パノラマで0.03ミリシーベルト前後とされ、日本で自然界から受ける年間およそ2ミリシーベルトと比べても大きな上乗せにはなりません。妊娠中でも照射範囲は口元に限られ、防護エプロンを使ったうえで必要な撮影は可能です。授乳への影響もありません。一方、撮らない選択をした場合には、詰め物の下で進む虫歯、歯を支える骨の高さ、根の先の状態という、目で見えない三つの領域が追えなくなります。さらに、過去の画像と並べて変化の向きを判断するという、定期的に見る意義の中心も失われます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいの方は、歯の定期検診では何をする?内容・費用・所要時間で検診全体の流れを確認し、予防歯科と定期検診|頻度とクリーニングの効果もあわせてご覧ください。

参考・出典

  • 日本歯科放射線学会「歯科エックス線検査の指針」
  • 環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」
  • 厚生労働省e-ヘルスネット 歯・口の健康」
  • 日本歯科医学会「歯科診療における放射線防護」
  • 名古屋市「歯と口の健康づくり」

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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