大学病院で親知らずを抜くと費用は高い?歯科医院との違いと紹介状の料金

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年9月2日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

大学病院で親知らずを抜くと費用は高くなるのか。結論から言えば、抜歯そのものの料金は保険で決まっているため歯科医院と変わりません。ただし名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の大学病院では、紹介状なしの受診に別途の負担金がかかる仕組みがあり、ここで差が出ます。このページでは、紹介状の作成料、初診時の選定療養費、検査の撮り直し、入院を伴う場合の扱いまで、大学病院ルートで実際に増える費用を順に整理します。金額は2026年9月時点の目安です。

街の歯科医院と大学病院を紹介状の封筒がつないでいる様子のイラスト

先に結論

  • 抜歯料そのものは保険点数で決まるため、大学病院でも歯科医院でも同じ
  • 差が出るのは、紹介状なしで受診したときにかかる選定療養費(数千円)
  • 紹介状の作成料は3割負担でおおよそ750円前後
  • 紹介先で検査を撮り直すと、その分の費用が加わる
  • 紹介状があれば、選定療養費はかからない。まず歯科医院で相談するのが結果的に安い
親知らずの抜歯にかかる費用の全体像は親知らず抜歯の費用と保険適用の目安|難易度で変わる相場を解説にまとめています。ここでは大学病院・総合病院ルートに限って見ていきます。 歯科医院と大学病院で、かかる費用の項目を比べます。
項目歯科医院大学病院(紹介あり)紹介なし
抜歯料保険点数どおり同じ同じ
初診料約1,000円弱やや高いやや高い
選定療養費なしなし数千円
紹介状約750円紹介元で支払済なし
検査初回に実施必要なら再撮影一から実施
※選定療養費の金額と対象は病院ごとに定められています。受診前に各病院の案内で確認してください。

抜歯料は同じ、という原則

まず押さえておきたいのが、保険診療の料金は全国一律だということです。同じ処置には同じ点数が設定されており、その点数に基づいて窓口負担が決まります。 つまり、水平に埋まった下の親知らずを抜く処置は、名古屋市内の歯科医院で受けても、大学病院で受けても、抜歯料そのものは変わりません。「大学病院は設備が整っているから高い」という理解は、この部分については当てはまりません。 では、なぜ「大学病院は高い」という印象があるのか。理由は、抜歯料以外の項目にあります。初診料が病院の規模によって異なること、紹介状なしの受診に追加の負担金があること、そして検査を一からやり直すことがあること。この3つが積み重なると、実際の支払額に差が出ます。 保険と自費の考え方そのものは歯科の保険診療と自費診療の違いをわかりやすく解説で解説しています。
病院の受付で紹介状と保険証を提出している患者のイラスト

紹介状なしで受診すると何が加わるか

大きな病院には、紹介状を持たずに受診した患者に対して、初診時に定額の負担金を求める仕組みがあります。選定療養費と呼ばれるもので、保険外の費用として全額を支払います。 これは「病院が高い料金を取っている」という話ではありません。大きな病院に軽症の患者が集中すると、本来そこで診るべき重症の患者への対応が滞ります。まず地域の医院で診てもらい、必要と判断された場合に大きな病院へ、という流れを保つための制度です。 金額は病院ごとに定められており、歯科では数千円程度に設定されていることが一般的です。再診でも同様の負担金がかかる場合があります。受診前に、その病院の案内で金額と対象を確認してください。 一方、紹介状を持って受診すれば、この負担金はかかりません。紹介状の作成料は3割負担でおおよそ750円前後です。つまり、紹介状を用意したほうが結果的に安く済みます。 どういう場合に紹介になるのかは親知らず抜歯で大学病院・口腔外科を紹介されるのはどんなとき?、名古屋での具体的な受診の流れは名古屋で大学病院の歯科口腔外科を受診するには|紹介状の要否と予約の流れにまとめました。

検査の撮り直しで増えることがある

紹介の際は、紹介元で撮影したレントゲンやCTの画像が紹介状に添えられます。CD-Rやフィルムで渡されることもあります。 これがそのまま使えれば、紹介先での検査費用はかかりません。ただし、実際には撮り直しになることもあります。装置の規格が合わない、撮影から時間が経っている、必要な範囲が写っていない、より詳しい情報が必要と判断された、といった理由です。 撮り直しになれば、パノラマで約1,000〜1,500円、CTで約1,000〜3,500円が加わります。検査費用の内訳は親知らず抜歯前のCT・レントゲン費用|検査代の内訳と必要になるケースで詳しく扱っています。 紹介状を受け取るとき、画像データが同封されているかを確認しておくとよい点です。渡されていれば、紹介先の受付で必ず提出してください。持っているのに出さずに撮り直しになる、という無駄は避けられます。

入院や全身麻酔を伴う場合

4本を一度に抜く、持病があって管理下での処置が望ましい、局所麻酔では対応が難しい、といった事情がある場合、全身麻酔での抜歯が選ばれることがあります。これは大学病院や口腔外科を持つ病院での対応です。 この場合、抜歯料に加えて麻酔料、入院料、術前検査の費用がかかります。1泊2日程度の入院で、3割負担でおおむね数万円の範囲になることが多いものの、内容によって幅があります。 ひと月の自己負担が上限を超えた場合は、高額療養費制度の対象になります。事前に限度額適用認定証を用意しておけば、窓口での支払いを上限額までに抑えられます。高額療養費制度は歯科治療に使える?対象と申請方法で条件を確認してください。 麻酔の方法そのものの違いは親知らず抜歯の麻酔|局所麻酔・静脈内鎮静法の違いと選び方、静脈内鎮静法を含む費用の考え方は静脈内鎮静法・全身麻酔で親知らずを抜く費用|保険が使える条件をご覧ください。
病院の領収書と保険証、紹介状の封筒が机の上に並んでいるイラスト

通院にかかる時間と交通費も含めて考える

費用を比べるとき、診療費だけを見ると実態を見誤ります。大学病院ルートでは、時間と交通費も加わるためです。 大学病院の外来は予約制で、初診の予約が数週間先になることがあります。抜歯の日程はさらにその先です。当日も、受付から会計まで半日近くかかることがあります。仕事を休む必要があれば、その分の負担も生じます。 通院の交通費は、医療費控除の対象に含められます。公共交通機関を使った場合の運賃が対象で、家族の医療費と合算して申告できます。詳しくは歯科の医療費控除の対象と申請方法|計算例まで解説をご覧ください。 一方、抜歯後の経過観察や抜糸は、紹介元の歯科医院に戻って受けられる場合があります。これができれば、通院の負担はかなり減ります。紹介状を受け取る段階で、術後はどちらで診てもらうことになるかを確認しておいてください。 抜歯後の過ごし方は抜歯後の生活|食事・痛み・腫れ・運動・お風呂はいつから?、腫れの経過は親知らず抜歯後の腫れはいつまで続く?ピークの時期と引かないときの受診目安にまとめています。

まず歯科医院で相談するのが基本

「難しそうだから最初から大学病院へ」と考える方がいますが、費用の面ではおすすめしません。紹介状なしの負担金がかかり、しかも検査を一から受けることになるためです。 そして、実際に大学病院でなければ抜けない親知らずは、それほど多くありません。名古屋市内でも、口腔外科の経験がある歯科医師が在籍し、CTを備えた医院であれば、横向きに埋まった歯まで院内で対応できることがあります。 まず近くの歯科医院で撮影と診断を受け、そこで対応できるならその場で、難しければ紹介状を書いてもらう。この順番が、費用も通院回数も抑えられます。 判断の基準そのものは親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準、4本ある場合の計画は親知らず4本を抜く費用はいくら?まとめて抜く場合と1本ずつの違いをご覧ください。神経に近い症例の考え方は親知らず抜歯と神経麻痺のリスク|下歯槽神経・CT検査の意味で解説しています。

大学病院を選ぶ意味がある場合

費用の話だけをすると、大学病院は避けたほうがよいように読めます。しかし、そこでなければ対応できない状況は確かにあります。 一つ目が、下歯槽神経と根が明らかに接している症例です。CTで密着が確認された場合、抜歯によって唇や顎の感覚が鈍くなる可能性があります。こうした症例では、経験の集積がある施設で、必要なら根の一部を意図的に残す方法まで含めて検討したほうが安全です。神経に関わるリスクの考え方は親知らず抜歯と神経麻痺のリスク|下歯槽神経・CT検査の意味をご覧ください。 二つ目が、全身の管理が必要な場合です。心疾患や脳血管疾患の既往がある、血液をさらさらにする薬を服用している、糖尿病の管理が難しい、といった状況では、処置中の状態を監視できる体制が求められます。内科と連携できる施設であれば、投薬の調整も含めて一体で進められます。 三つ目が、開口が困難な場合や、長時間の処置に耐えられない事情がある場合です。全身麻酔での対応が選択肢になります。 四つ目が、親知らずの周囲に嚢胞(のうほう:袋状の病変)が見つかった場合です。単純な抜歯では終わらず、病変の摘出と組織の検査が必要になります。この場合は最初から病院での対応になります。 こうした事情がなく、パノラマ上も単純な形であれば、通いやすい歯科医院で抜くほうが、費用も通院回数も抑えられます。判断の分かれ目はレントゲンを撮った時点で見えてくるため、まずは検査を受けてください。検査の内容と費用は親知らず抜歯前のCT・レントゲン費用|検査代の内訳と必要になるケースにまとめています。 当院では、紹介が必要と判断した場合、その理由を具体的にお伝えしています。「難しいので」ではなく、どの部分がどう難しいのかが分かれば、紹介先での説明も理解しやすくなります。逆に、以前に別の医院で紹介と言われたが結局受診していない、という方も少なくありません。時間が経つほど周囲の骨は硬くなり、処置は難しくなります。判断を保留にしている方は、一度あらためて評価を受けることをおすすめします。

紹介を受けるときの流れ

実際に紹介になった場合、何をどの順で行うかを整理します。 まず、紹介元の歯科医院で紹介状を作成してもらいます。このとき、画像データの同封と、宛先の病院の確認をしてください。宛先が特定の病院名で書かれる場合と、科あてで書かれる場合があります。 次に、紹介先への予約です。病院によっては、紹介元の医院が予約まで取ってくれることがあります。自分で電話する場合は、紹介状を持っていることを最初に伝えてください。選定療養費の扱いが変わります。 初診日には、紹介状、保険証、お薬手帳、画像データ、そして各種医療証を持参します。受付で紹介状を提出してから診察を待ちます。当日は検査と診察のみで、抜歯は別日になるのが通常です。 抜歯当日は、処置時間そのものより前後の待ち時間が長くなります。半日程度を見込んでおいてください。付き添いが必要かどうかは、麻酔の方法によって変わります。 処置後は、経過観察と抜糸があります。ここを紹介元の医院で受けられるかどうかを、初診の段階で確認しておいてください。 そして最後に、紹介元への報告です。多くの場合、紹介先から結果の報告書が送られます。次に紹介元を受診したとき、経過が共有されている状態になります。 この流れを知らないと、「1回で終わると思っていたのに何度も通うことになった」という食い違いが起きます。全体で3〜4回の受診になると見込んでおくと、日程を組みやすくなります。長く受診していない方は何年も歯医者に行っていない|久しぶりの受診で怒られる?費用と流れの不安を解消も参考にしてください。

よくある質問

大学病院で親知らずを抜くと費用は高くなりますか

抜歯料そのものは保険点数で決まっているため、歯科医院と変わりません。差が出るのは、紹介状なしで受診したときの選定療養費、病院規模による初診料の違い、検査の撮り直しの3点です。紹介状を持って受診すれば大きな差にはならず、むしろ紹介状を用意したほうが総額は抑えられます。

紹介状なしで大きな病院に行くとどうなりますか

初診時に選定療養費という保険外の負担金がかかります。歯科では数千円程度に設定されていることが一般的で、再診でも同様の負担金がかかる場合があります。大きな病院に軽症の患者が集中するのを避け、地域の医院で診てから必要に応じて紹介する流れを保つための仕組みで、金額は病院ごとに定められています。

紹介状の作成料はいくらですか

3割負担でおおよそ750円前後です。選定療養費が数千円かかることを考えると、紹介状を用意したほうが結果的に安く済みます。紹介状には撮影した画像が添えられることが多いため、紹介先での検査の撮り直しを減らせるという利点もあり、費用と時間の両面で有利になります。

紹介先でレントゲンを撮り直すことはありますか

あります。装置の規格が合わない、撮影から時間が経っている、必要な範囲が写っていない、より詳しい情報が必要と判断されたといった場合です。撮り直しになるとパノラマで約1,000〜1,500円、CTで約1,000〜3,500円が加わります。画像データを受け取ったら、必ず紹介先の受付で提出してください。

全身麻酔で入院すると費用はどれくらいですか

抜歯料に加えて麻酔料、入院料、術前検査の費用がかかります。1泊2日程度の入院で3割負担でおおむね数万円の範囲になることが多いものの、内容と日数によって幅があります。ひと月の自己負担が上限を超える場合は高額療養費制度の対象となり、限度額適用認定証があれば窓口での支払いを抑えられます。

抜歯後は大学病院に通い続ける必要がありますか

必ずしも必要ではありません。術後の経過観察や抜糸を紹介元の歯科医院で受けられる場合があります。通院にかかる時間と交通費が大きく変わるため、紹介状を受け取る段階で、術後はどちらで診てもらうことになるかを確認しておくことをおすすめします。取り決めは病院ごとに異なります。

最初から大学病院に行ったほうが早いですか

費用の面ではおすすめしません。紹介状なしの負担金がかかるうえ、検査も一から受けることになります。初診の予約が数週間先になることも多く、結果的に時間もかかります。まず近くの歯科医院で撮影と診断を受け、そこで対応できなければ紹介してもらう順番のほうが、費用も通院回数も抑えられます。

通院の交通費は医療費控除に使えますか

公共交通機関を使った場合の運賃は対象に含められます。家族全員の医療費と合算して申告できるため、大学病院への通院が続く場合はまとめて記録しておくとよい項目です。自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外とされているため、区別して控えておいてください。領収書も保管が必要です。 選定療養費と自由診療は別のものです。線引きは親知らずの抜歯が自費になるのはどんなとき?保険が使える条件との線引き、学生の方の保険証と助成の扱いは高校生・大学生の親知らず抜歯費用|医療費助成と保険証の扱いにまとめています。

まとめ

大学病院で親知らずを抜くと費用が高くなるかという疑問に対しては、抜歯料そのものは変わらない、というのが答えです。保険診療の料金は全国一律で、水平に埋まった下の親知らずを抜く処置は、歯科医院で受けても大学病院で受けても同じ点数です。差が出るのは、それ以外の項目です。最も大きいのが、紹介状なしで受診したときにかかる選定療養費で、歯科では数千円程度に設定されていることが一般的です。これは大きな病院に軽症の患者が集中するのを避け、地域の医院で診てから必要に応じて紹介する流れを保つための仕組みで、紹介状があればかかりません。紹介状の作成料は3割負担でおおよそ750円前後ですから、用意したほうが安く済みます。次に、紹介先での検査の撮り直しです。紹介状に画像が添えられていればそのまま使えることもありますが、規格や撮影時期の問題で撮り直しになると、パノラマで約1,000〜1,500円、CTで約1,000〜3,500円が加わります。画像データを受け取ったら、必ず紹介先の受付で提出してください。全身麻酔で入院する場合は、麻酔料と入院料、術前検査が加わって数万円の範囲になることが多く、高額療養費制度の対象になります。そして、診療費以外の負担も見落とせません。予約が数週間先になること、当日に半日近くかかること、通院の交通費。術後の抜糸を紹介元で受けられるかどうかで、この負担は大きく変わります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいで迷っている方は、いきなり大きな病院を目指すのではなく、まず近くの歯科医院で撮影と診断を受け、親知らず抜歯の費用と保険適用の目安|難易度で変わる相場を解説を参考に見通しを立ててください。

参考・出典

  • 厚生労働省「保険外併用療養費制度(選定療養)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/hokengai/index.html
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法」(歯科点数表・診療情報提供料)
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html
  • 日本口腔外科学会「親知らず(智歯)」
  • 国税庁「医療費控除の対象となる医療費」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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