対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
親知らずを抜くとなったとき、多くの方がまず気になるのが「いくらかかるのか」「保険はきくのか」という費用の問題です。
インターネットで調べると、数百円という情報も、数万円という情報も出てきて、かえって不安になった方もいるかもしれません。これは生え方の難しさで金額の幅が大きいためで、「相場が一つに決まらない」のが親知らず抜歯の費用の特徴です。 このページでは、次のポイントを公的医療保険のしくみと診療報酬の考え方をもとに、できるだけわかりやすく整理します。- 親知らずの抜歯にかかる費用が保険でどこまでカバーされるのか
- なぜ金額に幅が出るのか(生え方による難易度の違い)
- 難しい抜歯や大学病院での抜歯で費用がどう変わるのか

先に結論:親知らずの抜歯は基本的に保険がきく
最初に大切な点をお伝えします。親知らず(智歯=いちばん奥に最後に生える歯)の抜歯は、原則として日本の公的医療保険が使える医療行為です。歯を白くする・きれいに並べるといった目的ではなく、痛みや腫れの治療、あるいはその予防のための処置だからです。そのため、自費(自由診療)で何万円もかかるのが当たり前というわけではありません。 ただし、窓口で支払う金額には幅があります。これは主に「抜歯の難しさ」によって決まります。次のような要素で費用が変わると考えておくとよいでしょう。- 親知らずの生え方(まっすぐ生えているか、斜めや横向きに埋まっているか)
- レントゲンやCTなど、撮影する画像検査の種類
- 通院する回数(抜歯当日のほか、消毒や抜糸で再診が必要か)
- 処方される薬(抗菌薬や痛み止め)
- 静脈内鎮静法など、保険外のオプションを選ぶかどうか
なぜ費用に幅が出るのか:難易度で料金が段階的に変わる

- 普通抜歯:まっすぐ生えて歯ぐきから出ている歯を、ぐらつかせて抜く。費用は最も低め。
- 難抜歯:歯の根が曲がっている・骨と癒着しているなどで、歯を分割したり骨を少し削ったりする外科的な処置が必要なもの。普通抜歯より高め。
- 埋伏歯の抜歯:歯ぐきや骨に埋まった親知らずを、切開・骨の削合・分割を経て取り出す。横向きの水平埋伏智歯はこの区分にあたることが多く、最も高め。
保険診療での費用の目安:項目ごとに整理する

- 初診料・再診料:初診でおおむね数百円台、再診で百数十円程度(3割負担の目安)。
- 画像検査:パノラマレントゲンで数百円程度、歯科用CT(CBCT)を撮る場合は1,000〜3,000円程度(3割負担の目安)。
- 抜歯の処置料:普通抜歯で数百〜2,000円程度、難抜歯で1,500〜3,000円程度、埋伏歯・水平埋伏智歯で2,000〜5,000円程度(3割負担・処置部分のみの目安)。
- 薬代:抗菌薬や痛み止めの処方で数百円程度(3割負担の目安)。
- 術後の処置:消毒や抜糸のための再診で、1回あたり数百円程度(3割負担の目安)。
歯科用CTを撮ると費用はどうなるか
横向きに埋まった下の親知らずは、顎の骨の中を通る太い神経(下歯槽神経)の近くにあることがあります。この神経を傷つけると、くちびるや顎の感覚が一時的に鈍くなることがあるため、抜歯前に神経と歯根の位置関係を立体的に確認する目的で、歯科用CT(CBCT=コーンビームCT)が用いられることがあります。 CTは平面のレントゲンでは分かりにくい奥行きや位置関係を把握できるため、神経損傷のリスクが高い症例の見極めや、歯をどう分割して取り出すかの計画に役立つとされています。撮影すると画像診断の費用が加わりますが、これは合併症や追加の処置を避けるための事前評価という位置づけです。CTの撮影は保険が適用される場合があり、必要かどうかは生え方やリスクに応じて判断されます。費用面では、CTを撮るぶん総額は上がりますが、安全に抜くための備えと理解しておくとよいでしょう。難しい抜歯・大学病院での抜歯で費用はどう変わるか

- 紹介状(診療情報提供料):紹介元の医院で作成され、保険が適用されます。窓口負担は数百円程度(3割負担の目安)です。
- 選定療養費:紹介状を持たずに一定規模の大きな病院を初診で受診すると、初診時に特別料金(数千円〜、病院ごとに金額が設定)が保険外でかかります。紹介状があれば原則として不要です。
- 検査・管理が手厚くなる分の費用:難症例では事前検査や全身管理がより詳しく行われるため、トータルの費用は開業医での抜歯より高くなる傾向があります。
保険外(自費)の選択肢と、その費用とリスク
親知らずの抜歯は基本的に保険でまかなえますが、状況によっては保険外(自費)の選択肢が提案されることがあります。代表的なのが、点滴を使って眠ったような落ち着いた状態で処置を受ける静脈内鎮静法です。恐怖心が強い方、難しい抜歯、複数本を一度に抜く場合などに検討されることがあります。 ただし、自費の選択肢には費用とリスクの両面があります。- 静脈内鎮静法:費用は全額自己負担で、医院によって料金が異なり、数万円程度かかることが多いとされています。呼吸や血圧の変動などの偶発症が起こりうるため、モニター管理のもとで行う必要があります。
- 全身麻酔下での抜歯:入院を伴う大学病院などで行われ、条件によって保険が適用される場合と自費部分が生じる場合があります。全身麻酔に伴う合併症のリスクがあります。
- 医院独自の自費オプション:内容や料金は医院によって異なるため、選ぶ前に費用と起こりうるリスクの説明を受けることが前提になります。
費用に関わるその他の制度:医療費控除と高額療養費
親知らずの抜歯にかかった費用は、家計の負担を軽くする制度に関係することがあります。- 医療費控除:1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告で所得控除を受けられることがあります。抜歯の窓口負担や処方薬の費用も対象になりうるため、領収書は保管しておくとよいでしょう。
- 高額療養費制度:入院や全身麻酔などで医療費が高額になった場合に、自己負担の上限を超えた分が払い戻される制度です。通常の外来での親知らず抜歯では上限に届かないことが多いとされますが、入院を伴う場合などには関係することがあります。
最新の考え方と、費用に関して議論のある点
近年は、歯科用CTの普及によって、抜歯前に神経との位置関係を立体的に評価できるようになり、リスクの高い症例の見極めや術式の計画に役立てられています。撮影費用は増えますが、合併症や追加の処置を減らすことにつながりうるという考え方が広がっています。また、開業医と口腔外科の地域連携が整い、紹介状を介したスムーズな受診が標準的になってきました。これは費用面でも、選定療養費を避けながら適切な機関で抜歯を受けられるという利点があります。 一方で、議論が続いている点もあります。たとえば「症状のない埋まった親知らずを、将来のトラブルを防ぐために早めに抜くべきか」というテーマは、費用対効果の観点も含めて国際的に見解が分かれています。これは費用そのものというより「抜くか抜かないか」という適応の判断の問題で、本記事では深く立ち入りません。痛みや腫れがある場合の対処や、抜くべきかどうかの考え方は、症状のページや親ページで扱う内容です。費用の話と、抜く必要があるかどうかの判断は分けて考えると整理しやすくなります。費用を抑えるために知っておきたいこと
費用の見通しを立てやすくするために、受診の前後でできることがあります。- 抜歯の前に、難易度の見立てとおおよその通院回数、CTの要否を確認し、総額の見当をつけておく。
- 大きな病院を受診する場合は、まずかかりつけ医で紹介状を書いてもらい、選定療養費を避ける。
- 自費の鎮静などをすすめられたら、費用とリスク、保険の範囲との違いを説明してもらってから選ぶ。
- 領収書を保管し、医療費控除の対象になるか確認する。
- 抜歯後の消毒・抜糸の通院も費用に含まれるため、通院しやすい医院を選んでおく。
受診の目安と何科にかかるか
親知らずに関して費用も含めて相談したいときは、まず一般の歯科を受診するのが基本です。一般歯科で抜歯が可能な場合も多く、難しいと判断された場合は歯科口腔外科や大学病院を紹介してもらえます。次のような場合は、早めの受診を検討してください。- 親知らずのまわりが繰り返し腫れる・痛む
- 横向きや斜めに生えていて、手前の歯を圧迫している感じがある
- 抜歯をすすめられているが、費用や通院回数の見通しを知りたい
- 持病があり、抜歯にあたって全身的な管理が必要かもしれない
よくある質問
親知らずの抜歯に保険はききますか
原則として保険が適用されます。親知らずの抜歯は痛みや腫れの治療・予防のための医療行為であり、自費が前提の処置ではありません。窓口負担は年齢や所得に応じて1〜3割です。
親知らずを抜く費用はいくらくらいですか
3割負担での窓口負担の目安として、まっすぐ生えた歯の普通抜歯でおおむね1,500〜3,000円程度、埋まった歯や難しい抜歯で3,000〜6,000円程度に収まることが多いとされています。CTを撮ったり複数回通院したりすると、その分が加わります。
横向きの親知らずだと費用は高くなりますか
横向きに埋まった水平埋伏智歯は、切開・骨の削合・歯の分割・縫合といった段階を踏むため、抜歯の処置料が最も高い区分にあたることが多いです。そのぶん窓口負担も普通抜歯より高くなる傾向があります。
大学病院で抜くと費用は変わりますか
難しい症例ほど検査や管理が手厚くなるため、トータルの費用は高くなる傾向があります。また、紹介状なしで大きな病院を初診で受診すると、選定療養費という特別料金が保険外でかかることがあります。かかりつけ医の紹介状があれば、この特別料金は原則として不要です。
抜歯のときのCTは保険がききますか
神経との位置関係の確認などで必要と判断された場合、保険が適用されることがあります。撮影すると画像診断の費用が加わりますが、安全に抜くための事前評価という位置づけです。必要かどうかは生え方やリスクに応じて判断されます。
静脈内鎮静法は保険ですか
静脈内鎮静法は保険外(自費)となることが多く、費用は全額自己負担で医院によって異なり、数万円程度かかることが多いとされています。呼吸や血圧の変動などのリスクもあるため、費用と起こりうるリスクの説明を受けたうえで選ぶことが大切です。
抜歯の費用は医療費控除の対象になりますか
1年間に支払った医療費が一定額を超える場合、抜歯の窓口負担や処方薬の費用も医療費控除の対象になりうると考えられています。確定申告で控除を受けられることがあるため、領収書は保管しておくとよいでしょう。詳しい条件は税務署や保険の窓口で確認してください。
まとめ
親知らずの抜歯は、原則として保険が使える医療行為で、自費が前提の処置ではありません。窓口での負担に幅が出るのは、主に抜歯の難しさによるもので、まっすぐ生えた歯の普通抜歯は低め、横向きに埋まった水平埋伏智歯のような難しい抜歯ほど高めになります。3割負担での目安は、普通抜歯でおおむね1,500〜3,000円程度、難しい抜歯で3,000〜6,000円程度とされ、CTや通院回数で前後します。大学病院での抜歯は検査や管理が増えるぶん高くなる傾向があり、紹介状なしの受診では選定療養費がかかることがあります。静脈内鎮静法などの自費の選択肢には費用とリスクの両面があるため、保険の範囲との違いを説明してもらったうえで選ぶことが大切です。費用が心配なときほど、症状があるうちに早めに相談し、難易度が上がる前に見積りと説明を受けることをおすすめします。 あわせて、親知らずの抜歯、親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準、親知らず抜歯の流れと術後の痛み・腫れの経過もご覧ください。参考・出典
- 厚生労働省「診療報酬点数表」(抜歯手術=普通抜歯/難抜歯/埋伏歯の区分・点数。改定ごとに最新版を要確認)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット(歯・口腔の健康に関する解説)
- 公益社団法人 日本口腔外科学会(智歯・埋伏智歯・抜歯後合併症に関する一般向け/専門向け情報)
- 厚生労働省「選定療養費」制度に関する公的解説(紹介状なしの大病院受診時の特別料金)
- 国税庁「医療費控除」に関する解説
- 全国健康保険協会等「高額療養費制度」に関する解説
- MSDマニュアル(家庭版・プロフェッショナル版)「智歯・抜歯・術後合併症」