静脈内鎮静法・全身麻酔で親知らずを抜く費用|保険が使える条件

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年9月2日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

静脈内鎮静法で親知らずを抜くときの費用は、保険が使える場合と自費になる場合で大きく変わります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の医院でも、保険適用なら3割負担で数千円程度、自費なら3万円から10万円ほどと案内されることがあります。この差はどこから生まれるのか。このページでは、静脈内鎮静法と全身麻酔それぞれの費用の目安、保険が使える条件、そして「怖いから眠らせてほしい」という希望がどう扱われるのかを整理します。金額は2026年9月時点の目安です。

モニターを装着してリラックスした状態で治療を受ける患者のイラスト

先に押さえておくこと

  • 通常の抜歯は局所麻酔で行い、追加費用はほとんどかからない
  • 静脈内鎮静法は、保険適用なら3割負担で数千円程度。自費なら3万〜10万円が目安
  • 保険が使えるのは、全身疾患がある、極度の歯科恐怖症がある、難易度が高いなど医学的な理由がある場合
  • 全身麻酔での抜歯は入院を伴い、大学病院や口腔外科を持つ病院での対応になる
  • いずれも当日は車の運転ができず、付き添いを求められることが多い
抜歯全体の費用の考え方は親知らず抜歯の費用と保険適用の目安|難易度で変わる相場を解説にまとめています。ここでは麻酔にかかる費用に絞って見ていきます。 麻酔の方法ごとに、費用と意識の状態を比べます。
方法意識の状態費用の目安(3割)行う場所
局所麻酔はっきりしている抜歯料に含まれる歯科医院
笑気吸入鎮静ぼんやりする数百円程度歯科医院
静脈内鎮静法うとうとして記憶が薄い保険なら数千円/自費3万〜10万円設備のある医院・病院
全身麻酔完全に眠っている入院を含め数万円大学病院・総合病院
※医院の体制、麻酔科医の関与、入院日数によって金額は変わります。事前に見積もりを確認してください。

局所麻酔だけで足りることがほとんど

まず前提として、親知らずの抜歯は局所麻酔だけで行うのが標準です。歯ぐきに麻酔薬を注射し、その部分の感覚をなくす方法で、意識ははっきりしたままです。 横向きに埋まった歯を骨を削って取り出す場合でも、局所麻酔で対応できます。処置中の痛みは、麻酔が効いていれば感じません。感じるのは、押される感覚や器具の振動、音です。 追加の費用はかかりません。麻酔にかかる料金は抜歯料に含まれているためです。麻酔の種類そのものの違いは親知らず抜歯の麻酔|局所麻酔・静脈内鎮静法の違いと選び方で詳しく解説しています。 それでも別の方法が検討されるのは、局所麻酔では対応しきれない事情があるときです。処置時間が非常に長くなる見込み、嘔吐反射が強くて器具を入れられない、極度の緊張で治療そのものが成立しない、持病の管理が必要、といった場合が該当します。
局所麻酔と静脈内鎮静法の設備の違いを並べて示したイラスト

静脈内鎮静法の費用と保険の条件

静脈内鎮静法は、腕の静脈から薬を点滴で入れ、うとうとした状態をつくる方法です。完全に眠るわけではなく、呼びかけには反応します。ただし処置中の記憶はほとんど残りません。 費用は、保険が使えるかどうかで大きく変わります。保険適用なら3割負担で数千円程度、自費であれば3万円から10万円ほどが一般的な案内です。 保険が使えるのは、医学的な必要が認められる場合です。代表的なのが、高血圧や心疾患などの全身疾患があり、処置中の血圧や脈拍の変動を抑えたほうがよいと判断される場合。次に、極度の歯科恐怖症や強い嘔吐反射があり、通常の方法では処置が成立しない場合。そして、埋伏の程度が重く処置時間が長くなる場合です。 一方、こうした事情がなく「怖いので眠らせてほしい」という希望のみであれば、自費として扱われることがあります。同じ処置でも、必要性の判断によって扱いが変わるということです。 判断は医院ごとに行われるため、費用がいくらになるかは事前に確認してください。保険と自費の考え方は歯科の保険診療と自費診療の違いをわかりやすく解説をご覧ください。 なお、歯科治療への強い不安がある方は、鎮静だけが解決策ではありません。事前の伝え方や医院選びで負担を減らせることもあります。歯医者が怖い・苦手を乗り越える|名古屋で通いやすい歯科の選び方を参考にしてください。

全身麻酔での抜歯はどんな場合か

全身麻酔は、完全に意識をなくして行う方法です。手術室と麻酔科医が必要になるため、大学病院や口腔外科を持つ病院での対応になります。 選ばれるのは、4本すべてを一度に抜く場合、障害があって長時間の開口や安静が難しい場合、全身状態の管理が必要な場合などです。1泊2日程度の入院を伴うことが一般的です。 費用は、抜歯料に麻酔料、入院料、術前検査が加わり、3割負担でおおむね数万円の範囲になります。内容と日数によって幅があるため、事前に病院で確認してください。 ひと月の自己負担が上限を超えた場合は、高額療養費制度の対象になります。事前に限度額適用認定証を用意しておけば、窓口での支払いを上限額までに抑えられます。詳しくは高額療養費制度は歯科治療に使える?対象と申請方法をご覧ください。 大学病院ルート全体の費用の増え方は大学病院で親知らずを抜くと費用は高い?歯科医院との違いと紹介状の料金、紹介になる基準は親知らず抜歯で大学病院・口腔外科を紹介されるのはどんなとき?にまとめました。

当日の制限と付き添い

鎮静や全身麻酔を受けた日は、いくつかの制限があります。 まず、車やバイク、自転車の運転はできません。薬の影響で判断力や反応が鈍るためです。公共交通機関を使うか、家族に送迎してもらうことになります。医院によっては、付き添いのある方に限って受け入れる場合もあります。 飲食にも制限があります。処置の数時間前から絶食が求められるのが通常です。指示された時間を守らないと、当日の実施が見送られることがあります。 処置後は、しばらく院内で休んでから帰宅します。帰宅後も、その日は自宅で安静に過ごしてください。仕事や学業に戻るのは翌日以降が基本です。 こうした制限があるため、鎮静を使う場合は日程の組み方に余裕が必要です。抜歯後の過ごし方は抜歯後の生活|食事・痛み・腫れ・運動・お風呂はいつから?、腫れの経過は親知らず抜歯後の腫れはいつまで続く?ピークの時期と引かないときの受診目安をご覧ください。
診療台とモニター、費用の明細が置かれた診療室のイラスト

費用を確認するときに聞いておくこと

見積もりを聞くときは、内訳を分けて確認すると正確な答えが得られます。 一つ目は、保険適用か自費かです。これで金額の桁が変わります。自費の場合は、その理由と総額を書面で示してもらってください。 二つ目は、麻酔料に何が含まれるかです。モニタリングの費用、点滴の費用、術前検査の費用が別か込みかで金額が変わります。 三つ目は、抜歯料と検査料が別途かかるかどうかです。鎮静の費用だけを聞いて安心していると、当日の会計で想定と違うことになります。検査費用の目安は親知らず抜歯前のCT・レントゲン費用|検査代の内訳と必要になるケース、薬代と再診料は親知らず抜歯の薬代・再診料はいくら?抜歯当日以外にかかる費用にまとめています。 四つ目は、何本を一度に抜く計画かです。鎮静を使う機会にまとめて抜けば、鎮静の費用は1回で済みます。ただし体への負担は増えます。親知らず4本を抜く費用はいくら?まとめて抜く場合と1本ずつの違いで本数ごとの考え方を扱っています。 当院では、まず局所麻酔で対応できるかを検討します。そのうえで、過去の治療で気分が悪くなった経験がある、器具が入ると強く反射が出る、持病の管理が必要といった事情がある方には、鎮静を含めた方法をご案内しています。「怖い」という気持ちそのものは、伝えていただければ処置の進め方で対応できる部分が多くあります。 そもそも抜くべきかという判断は親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準、埋まった歯の処置内容は横向き・埋まっている親知らず(埋伏智歯)の抜歯|難易度と流れをご覧ください。

笑気吸入鎮静法という中間の選択肢

局所麻酔だけでは不安、しかし静脈内鎮静法までは必要ない。その中間にあるのが笑気吸入鎮静法です。 鼻に小さなマスクを当て、笑気(亜酸化窒素)と酸素の混合ガスを吸います。効果は数分で現れ、ふわふわとした感覚になって緊張がやわらぎます。意識ははっきりしており、会話もできます。 利点は、回復が速いことです。ガスを止めて酸素を数分吸えば、ほとんど元の状態に戻ります。このため、原則として当日の帰宅に制限が少なく、静脈内鎮静法のような長い休憩も必要ありません。 費用も抑えられます。保険が使え、3割負担で数百円程度が目安です。設備を備えている歯科医院であれば、外来で受けられます。 ただし、効果は静脈内鎮静法より穏やかです。記憶が薄れることはなく、処置の内容は覚えています。強い嘔吐反射がある方や、極度の恐怖がある方には、力不足になることもあります。 どの方法が合うかは、不安の強さと処置の内容によります。まずは笑気で試し、それでも難しければ次の方法を検討する、という段階的な進め方も可能です。麻酔の種類ごとの違いは親知らず抜歯の麻酔|局所麻酔・静脈内鎮静法の違いと選び方で詳しく比較しています。 なお、鼻づまりがあると笑気を吸えないため、風邪をひいているときは行えません。妊娠中の使用も慎重に判断されます。当日の体調は正直に伝えてください。 不安の中身を分けて考えることも有効です。痛みが怖いのか、音が苦手なのか、口を開け続けるのがつらいのか、いつ終わるか分からないのが不安なのか。原因によって対処は変わります。音であればヘッドホン、時間であれば「あと何分」と区切って伝える、といった方法で軽くなることがあります。歯医者が怖い・苦手を乗り越える|名古屋で通いやすい歯科の選び方で具体的な伝え方を扱っています。

持病がある方が確認しておくこと

鎮静や麻酔の選択は、持病の有無で変わります。事前に整理しておくと、相談が早く進みます。 高血圧の方は、当日の血圧が高いと処置を見送ることがあります。降圧薬は指示がない限り、当日の朝も通常どおり服用してください。自己判断で休むと、かえって血圧が上がります。 心疾患のある方は、使用する麻酔薬の種類に配慮が必要な場合があります。ペースメーカーを使用している方は、その旨も伝えてください。 糖尿病の方は、絶食の指示と食事・インスリンの調整が関わります。処置の時間帯によって低血糖の危険があるため、主治医と相談したうえで日程を決めてください。 喘息のある方は、痛み止めの種類に注意が必要です。特定の解熱鎮痛薬で発作が誘発されることがあるため、これまでに使って問題のなかった薬の名前を伝えられると確実です。 甲状腺の病気、腎臓や肝臓の病気がある場合も、薬の選び方に影響します。 そして、これらを伝える最も確実な方法がお薬手帳の持参です。口頭では薬の名前を正確に伝えにくく、聞き間違いも起こります。手帳があれば、種類も量も一目で分かります。 当院では、持病のある方について、必要に応じて主治医あてに照会の文書を作成しています。抜歯を安全に行えるかどうかの確認で、数日から2週間ほどかかります。急ぎの処置でなければ、この手順を踏んだほうが結果的に安全です。抜くかどうかの判断そのものは親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準をご覧ください。

よくある質問

静脈内鎮静法で親知らずを抜く費用はいくらですか

保険が使える場合は3割負担で数千円程度、自費の場合は3万円から10万円ほどが一般的な案内です。抜歯料と検査料は別に加算されます。同じ処置でも医学的な必要性の判断によって扱いが変わるため、見積もりの段階で保険か自費かをまず確認し、自費なら総額を書面で示してもらってください。

静脈内鎮静法に保険は使えますか

医学的な必要が認められる場合に使えます。高血圧や心疾患などの全身疾患があり処置中の血圧や脈拍の変動を抑えたい場合、極度の歯科恐怖症や強い嘔吐反射で通常の処置が成立しない場合、埋伏の程度が重く処置時間が長くなる場合などです。希望のみの場合は自費扱いになることがあります。

怖いので眠らせてほしいという理由でも受けられますか

受けられますが、その理由だけでは自費として扱われることがあります。ただし極度の歯科恐怖症で通常の処置が成立しない状態であれば、医学的な必要として判断されることもあります。まず不安の内容を具体的に伝えてください。音が苦手なのか時間が不安なのかによって、処置の進め方だけで対応できる場合もあります。

静脈内鎮静法では完全に眠りますか

完全には眠りません。うとうとした状態になり、呼びかけには反応できます。ただし処置中の記憶はほとんど残らないため、体感としては気づいたら終わっていたという感想になる方が多くいます。呼吸は自分で行い、血圧や脈拍、血液中の酸素の量をモニターで確認しながら進めます。

全身麻酔での抜歯はどこで受けられますか

手術室と麻酔科医が必要なため、大学病院や口腔外科を持つ病院での対応になります。4本を一度に抜く場合、障害があって長時間の開口や安静が難しい場合、全身状態の管理が必要な場合などに選ばれ、1泊2日程度の入院を伴うことが一般的です。まず紹介元の歯科医院で相談してください。

鎮静を受けた日は車を運転できますか

運転はできません。薬の影響で判断力や反応が鈍るためです。自転車やバイクも同様で、公共交通機関を使うか家族に送迎してもらってください。医院によっては付き添いのある方に限って受け入れる場合もあります。処置後はしばらく院内で休んでから帰宅する流れになります。

処置の前に食事はできますか

数時間前から絶食を求められるのが通常です。指示された時間を守らないと、当日の実施が見送られることがあります。水分についても医院ごとに指示が異なるため、必ず事前の説明を確認してください。服用中の薬がある場合も、当日の朝に飲んでよいかを合わせて確かめておいてください。

入院した場合に費用を抑える方法はありますか

高額療養費制度の対象になります。ひと月の自己負担が上限を超えた分が払い戻される仕組みで、事前に限度額適用認定証を用意しておけば窓口での支払いを上限額までに抑えられます。医療費控除の対象にもなり、通院の交通費も含められるため、領収書は必ず保管しておいてください。

まとめ

親知らずの抜歯は局所麻酔で行うのが標準で、横向きに埋まった歯を骨を削って取り出す場合でも局所麻酔で対応できます。麻酔料は抜歯料に含まれるため追加費用はかかりません。別の方法が検討されるのは、処置時間が非常に長くなる、嘔吐反射が強い、極度の緊張で治療が成立しない、持病の管理が必要といった事情があるときです。静脈内鎮静法は腕の静脈から薬を点滴で入れ、うとうとした状態をつくる方法で、完全に眠るわけではないものの処置中の記憶はほとんど残りません。費用は保険が使えるかどうかで桁が変わります。保険適用なら3割負担で数千円程度、自費なら3万円から10万円ほどが一般的な案内です。保険が使えるのは、全身疾患があって処置中の変動を抑えたい場合、極度の歯科恐怖症や強い嘔吐反射で通常の処置が成立しない場合、埋伏の程度が重く処置が長引く場合など、医学的な必要が認められるときです。全身麻酔は手術室と麻酔科医が必要なため大学病院や口腔外科を持つ病院での対応となり、1泊2日程度の入院を含めて3割負担で数万円の範囲になることが多く、高額療養費制度の対象になります。いずれの方法でも、当日は運転ができず、数時間前からの絶食があり、帰宅後もその日は安静が必要です。見積もりを聞くときは、保険か自費か、麻酔料に何が含まれるか、抜歯料と検査料が別かどうか、何本を一度に抜く計画かの4点を分けて確認してください。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で不安を抱えている方は、まず親知らず抜歯の費用と保険適用の目安|難易度で変わる相場を解説で全体像を確認したうえで、不安の内容を具体的に伝えて相談してください。

参考・出典

  • 日本歯科麻酔学会「静脈内鎮静法ガイドライン」
  • 日本口腔外科学会「親知らず(智歯)」
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法」(歯科点数表・麻酔)
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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