入れ歯のバネが折れた・外れたときの対処|当日できる応急処置と修理の流れ

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年8月26日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

部分入れ歯のバネが折れると、装置は途端に不安定になります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも「朝、外そうとしたらバネが取れた」「食事中にポキッと音がした」というご連絡を受けることがあります。このページでは、バネが折れた・外れたときに当日できることとやってはいけないこと、修理にかかる期間と費用の目安、そして折れる原因と再発を防ぐ方法を整理します。慌てて自分で直すのが、いちばん避けたい対応です。

金属のバネが折れた部分入れ歯を手のひらに乗せているイラスト

まず確認したいこと

  • 折れた金属片が口の中に残っていないか確かめる
  • 接着剤で自分でつけない。作り直しになる原因になる
  • 折れた破片は捨てずに保管し、来院時に持参する
  • 装着して痛みや強い違和感があるなら、無理に使わない
  • その日のうちに医院へ連絡し、修理の可否を確認する
  • 修理は当日〜数日、作り直しは数週間と幅が大きい
装置そのものの構造は部分入れ歯の種類と費用|バネが見えない選択肢までで確認できます。ここでは壊れたときの対応に絞ります。 状態別に、当日の動き方を整理します。
状態当日どうするか修理の見通し
バネが折れた破片を保管し、装置は使わずに連絡当日〜数日で修理できることが多い
バネが緩んだ外れやすくても装着は可能。早めに受診その場で締め直せる場合がある
床が割れた装着せず、割れた破片もすべて保管当日〜数日。位置がずれると作り直し
人工の歯が取れた取れた歯を保管。装着は控える数日で付け直せることが多い
金属の骨格が折れた装着せず連絡作り直しになる場合が多い
※いずれの場合も、その日のうちに連絡してください。判断は装置を見てから決まります。

やってはいけない3つのこと

まず、市販の接着剤でつけないでください。これがもっとも多い失敗です。 瞬間接着剤や工作用の接着剤は、口の中で使うことを想定していません。溶け出した成分が粘膜を刺激するおそれがあるうえ、接着剤が装置の表面に広がると、修理の際にその部分を削り取る必要が出てきます。削れば装置が薄くなり、強度が落ちます。 さらに問題なのは、位置がずれた状態で固まってしまうことです。金属のバネは、歯の形に合わせてミリ単位で調整されています。少しずれただけで、歯にかかる力の向きが変わります。ずれたまま接着されていると、正しい位置に戻せず、作り直しになることがあります。 二つ目は、自分で曲げ戻すことです。緩んだバネを指やペンチで締めようとする方がいますが、金属は同じ場所で繰り返し曲げると内部に疲労がたまり、あるとき突然折れます。締めたつもりが、次の破損の準備をしていることになります。 三つ目は、破片を捨てることです。折れた金属片や割れた床の破片は、修理の際に元の形を再現する手がかりになります。小さくても、すべて持参してください。

折れたまま使い続けるとどうなるか

痛みがないから、と折れたまま使い続けるのは危険です。 バネは、装置を歯に引っかけて固定する役割と、噛んだときの力を支えの歯に伝える役割を持っています。1本のバネが失われると、その分の力は残りのバネに集中します。 集中した力は、残ったバネがかかっている歯を横に押します。歯は横方向の力に弱く、繰り返しかかると揺れはじめます。この仕組みは部分入れ歯のバネをかけた歯は弱る?支台歯の負担と守り方で詳しく扱っています。 もう一つ、装置が動くようになると、歯ぐきの同じ場所がこすれ続けます。傷ができ、そこに汚れが入って炎症が起こります。傷が治るまで装置を入れられなくなることもあります。 そして、折れた金属の断面は鋭くなっています。頬の内側や舌に当たると、切れることがあります。粘膜の傷が長く治らないときの考え方は口内炎が治らない原因と受診の目安|種類別の見分け方を参考にしてください。
折れたバネの破片を保管袋に入れて歯科医院へ持参する様子の図

修理にかかる期間と費用の目安

修理の期間は、壊れ方によって大きく変わります。 床の一部が割れただけで破片がそろっている場合、医院内で樹脂を盛って修理できることがあります。この場合は当日、早ければ1時間程度で戻ります。 バネの交換は、多くの場合いったん技工所に送ります。新しいバネを作り、装置に組み込む工程が必要なためです。数日から1週間程度をみておくと安心です。 装置の骨格そのものが折れている場合は、修理しても同じ場所から再び折れる可能性が高く、作り直しを検討します。この場合は数週間かかります。作り替えの目安は入れ歯の寿命と作り直しのタイミング|リベース・修理の知識にまとめました。 費用は、保険の装置であれば修理も保険の範囲で行えるのが一般的です。自費で作った装置の場合、修理も自費になります。保険が使える範囲の考え方は歯を失った治療で保険が使えるのはどこまで?ブリッジ・入れ歯の条件、保険と自費の違いは保険の入れ歯と自費の入れ歯の違い|後悔しない選び方をご覧ください。 なお、装置を新しく作る場合には、前回の作製から一定の期間が空いていることが保険上の条件になります。壊れた理由によっては修理で対応することになりますので、まず相談してください。

修理の間はどう過ごすか

装置を預けている間、口の中はどうなるのかという心配があります。 まず、前歯が関わる装置の場合、見た目の問題が出ます。医院によっては、修理の間だけ使う簡易的な装置を用意できることがあります。事前に相談してください。 奥歯だけの装置であれば、数日は装置なしで過ごすことになります。この間は、反対側で噛む、やわらかいものを選ぶといった工夫で乗り切ります。 注意したいのは、装置を入れない期間が長引くと、隣の歯が動いてくることです。歯は空いた方向へ少しずつ移動します。数日なら問題になりませんが、数週間になると、修理した装置が入らなくなることがあります。 そのため、修理の期間は短いほどよく、連絡を先延ばしにしないことが結果的に手間を減らします。 食事についても、少し工夫が要ります。装置がない状態では、噛める面積が減っています。同じものを食べようとすると、残った歯に負担が集中し、その歯が痛みはじめることがあります。 具体的には、繊維の多い肉やごぼう、硬いせんべいやナッツは避けます。かわりに、煮込んだ料理、卵や豆腐、やわらかく炊いたごはんといったものに切り替えます。数日のことですから、無理をしないほうが結果的に早く元に戻れます。 もう一点、装置を外している間の口の清掃を丁寧に行ってください。装置がないと、これまで装置に覆われていた歯ぐきが露出します。この部分は普段ブラシが当たっていないため、汚れが残りやすくなっています。装置を戻すときに炎症があると、当たって痛む原因になります。

なぜバネは折れるのか

原因がわかれば、次を防げます。折れる理由は大きく4つです。 一つ目は、金属疲労です。バネは、装置を出し入れするたびに、歯の膨らんだ部分を乗り越えて広がり、戻ります。1日に何度も繰り返せば、年間で数千回になります。金属は繰り返しの変形に耐えますが、無限ではありません。 二つ目は、装着方法です。装置を噛んで押し込む癖があると、バネに設計以上の力がかかります。指で、決められた方向に押し入れるのが正しい入れ方です。外すときも両側を同時に持ち上げます。片側から引き上げると、その側のバネに力が集中します。 三つ目は、装置が合わなくなっていることです。歯ぐきがやせて内面に隙間ができると、噛むたびに装置が沈み込みます。この動きがバネを繰り返し変形させます。合わない状態のサインは入れ歯が合わない・痛い|原因と調整・我慢しないための知識で確認できます。 四つ目は、落下です。手入れのときに洗面台に落とすと、金属が変形したり床が割れたりします。洗面器に水を張る、タオルを敷くといった対策が有効です。手入れの方法は入れ歯のお手入れ・洗浄方法|NGな洗い方と保管のコツ、夜の扱いは入れ歯は寝るとき外す?つけたまま寝るリスクと外して寝る場合の保管にまとめています。

再発を防ぐために設計を見直す

同じ場所が繰り返し折れる場合、使い方だけの問題ではありません。設計を見直したほうがよいことがあります。 一つは、支えの数と配置です。少ない本数で支えていると、1本あたりにかかる力が大きくなります。支えを増やす、配置を左右と前後に分散させるといった変更で、負担を減らせます。 もう一つは、床のたわみです。樹脂の床は噛む力でわずかにたわみ、その動きがバネに伝わります。床を金属にすると薄くてもたわみにくく、バネへの負担が減ります。金属床義歯とは|レジン床との違い・費用・向いている人で違いを確認できます。 金属のバネを使わない設計もあります。樹脂の弾力で歯を抱える方法で、金属疲労による破折は起こりません。ただし、樹脂そのものが変形したり、割れたときの修理が難しかったりという別の課題があります。ノンクラスプデンチャーとは|バネの見えない部分入れ歯の利点と欠点をご覧ください。 欠損の本数が増えてきている場合は、装置の設計だけでなく、治療方針そのものを見直す時期かもしれません。歯を何本も失ったときの選択肢|残った歯にかかる負担の考え方歯を失ったときの選択肢|入れ歯・ブリッジ・インプラント比較を参考にしてください。
洗面台にタオルを敷いて入れ歯を洗っている落下防止の工夫のイラスト

壊れやすい時期には傾向がある

破損の相談は、時期に偏りがあります。知っておくと、備えやすくなります。 一つは、新しい装置に慣れる最初の1〜2か月です。着脱の力加減がまだ身についておらず、噛んで押し込んでしまう、片側だけ強く引き上げるといった動作が起こりやすい時期です。この時期の破損は、使い方が原因であることが多く、正しい方向を確認すれば繰り返しません。 もう一つが、装置を作ってから3年、5年と経過したころです。金属疲労が蓄積し、同時に歯ぐきがやせて装置が沈み込むようになります。二つの要因が重なるため、この時期は一度壊れると立て続けに別の場所も壊れることがあります。装置全体の寿命を考える時期でもあります。 季節では、年末年始や連休の前後にご連絡が増えます。行事が続いて食べる機会が多くなること、そして休診で対応が遅れることが重なるためです。長い休みに入る前に、緩みや小さなひびがないか一度見せていただくと安心です。

前兆に気づけることもある

バネは、ある日突然折れるように見えて、その前に合図が出ていることがあります。 もっとも多いのが、装置が外れやすくなることです。バネが緩んで引っかかりが弱くなった状態で、この段階なら締め直しで対応できます。安定剤で補ってしまうと、この合図が見えなくなります。入れ歯安定剤の正しい使い方と注意点|クリーム・粉・シートの違いもご覧ください。放置して緩んだまま使い続けると、装置が動き、別の場所に無理な力がかかります。 次に、着脱の感触が変わることです。以前は「カチッ」と収まっていたのに、すっと入るようになった、あるいは逆に引っかかりが強くなった。どちらも、バネの形が変わってきたサインです。 三つ目が、装置を入れたときの当たり方の変化です。今まで当たらなかった場所が痛むようになったら、装置の位置がずれています。歯ぐきの変化か、金属の変形のどちらかが起きています。 四つ目に、金属の表面に細い線が見えることがあります。曲げの内側にできる細かいひびで、この段階で交換できれば、食事中に折れる事態を避けられます。 こうした変化は、定期的に見せていただければ気づけるものです。装置を使っている方には、痛みがなくても年に数回の確認をおすすめしています。

当院で破損の連絡を受けたとき

電話でご連絡いただいた際、まず確認するのは3点です。 いつ、どこが、どのように壊れたか。食事中なのか着脱時なのか、破片は手元にあるか、口の中に金属が残っていないか。これで、当日対応できるかどうかの見当がつきます。 次に、装置を使わずに過ごせる状態かを伺います。前歯が関わる場合や、反対側でも噛みにくい場合は、優先して枠を確保します。 来院時には、装置と破片、そして普段使っている洗浄剤の種類も確認します。洗浄剤の成分によっては金属が変色したり、劣化が早まったりすることがあるためです。 そして、修理して終わりにはしません。なぜそこが折れたのかを、装置の当たり方と口の中の状態から確認します。原因を残したまま修理すると、同じ場所が再び折れるためです。 初めて入れ歯を使い始めた方は、着脱の力加減が原因になっていることがあります。その場合は、鏡を見ながら正しい方向を一緒に確認します。初めての入れ歯|慣れるまでの期間と快適に使うコツもあわせてご覧ください。

よくある質問

入れ歯のバネが折れたら自分で接着してもよいですか

市販の接着剤は使わないでください。口の中での使用を想定していない成分が粘膜を刺激するおそれがあるうえ、装置に広がった接着剤は修理の際に削り取ることになり、強度が落ちます。さらに、ずれた位置で固まると正しい形に戻せず、作り直しになることがあります。破片を保管して医院へ連絡してください。

折れた入れ歯をそのまま使い続けても大丈夫ですか

おすすめできません。1本のバネが失われると、その分の力が残りのバネに集中し、支えている歯を横に押します。歯は横方向の力に弱いため、繰り返すと揺れはじめます。また折れた金属の断面は鋭く、頬や舌を傷つけることもあります。痛みがなくても、その日のうちに連絡してください。

バネの修理にはどのくらいかかりますか

多くの場合、いったん技工所で新しいバネを作るため、数日から1週間程度をみておくと安心です。床の一部が割れただけで破片がそろっていれば、医院内で当日修理できることもあります。一方、装置の金属の骨格が折れている場合は、修理しても再発しやすいため作り直しの検討になります。

修理の費用は保険が使えますか

保険で作った装置であれば、修理も保険の範囲で行えるのが一般的です。自費で作った装置は修理も自費になります。なお装置を新しく作り直す場合は、前回の作製から一定期間が空いていることが保険上の条件になるため、壊れ方によっては修理で対応することになります。まず医院で確認してください。

修理に出している間、入れ歯なしで過ごすのですか

奥歯だけの装置であれば、数日は装置なしで過ごしていただくことが多くなります。前歯が関わる場合は、見た目の問題があるため、簡易的な装置を用意できるか事前に相談してください。装置を入れない期間が長引くと隣の歯が動いてくるので、修理は先延ばしにしないことが大切です。

折れた破片は持って行ったほうがよいですか

必ずお持ちください。折れた金属片や割れた床の破片は、元の形を再現する手がかりになります。破片がそろっていれば当日修理できる場合があり、そろっていなければ技工所での製作が必要になることもあります。小さなかけらでも捨てず、ティッシュではなく袋や容器に入れて保管してください。

どうしてバネは折れてしまうのですか

主な原因は金属疲労です。バネは着脱のたびに歯の膨らみを乗り越えて広がり、戻る動きを繰り返しています。これに加えて、噛んで押し込む入れ方、歯ぐきがやせて装置が沈み込む状態、洗面台への落下が重なると寿命が縮みます。同じ場所が繰り返し折れる場合は、設計の見直しを検討します。

同じところが何度も折れるのですが対処法はありますか

設計の見直しをおすすめします。支えの数を増やして1本あたりの負担を減らす、左右と前後に配置を分散させる、床を金属にしてたわみを抑えるといった方法があります。金属のバネを使わない設計に変える選択肢もありますが、別の課題もあるため、口の中の状態を見たうえで判断します。

まとめ

部分入れ歯のバネが折れたときにまずやるべきことは、口の中に金属片が残っていないかを確認し、破片を保管して、その日のうちに医院へ連絡することです。逆にやってはいけないのが、市販の接着剤でつけること、自分で曲げ戻すこと、破片を捨てることの3つです。特に接着剤は、ずれた位置で固まると正しい形に戻せず、修理で済んだはずのものが作り直しになります。折れたまま使い続けるのも避けてください。1本のバネが失われると、その分の力が残りのバネに集中し、支えている歯を横に押します。歯は横方向の力に弱いため、繰り返すと揺れはじめ、装置だけでなく歯そのものを失うことにつながります。修理の期間は、床の割れなら当日、バネの交換なら数日から1週間、骨格の破折なら作り直しで数週間と幅があります。装置を入れない期間が長引くと隣の歯が動いて修理した装置が入らなくなるため、連絡は早いほど有利です。そして、修理して終わりにしないことが大切です。金属疲労、噛んで押し込む着脱、歯ぐきがやせて装置が沈み込む状態、落下といった原因のうちどれが当てはまるのかを確認し、必要なら設計を見直します。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で入れ歯をお使いの方は、部分入れ歯の種類と費用|バネが見えない選択肢までもあわせてご覧いただき、破損したときの連絡先を普段から確認しておいてください。

参考・出典

  • 日本補綴歯科学会「有床義歯の診療指針」
  • 日本補綴歯科学会「歯の欠損の補綴歯科診療ガイドライン」
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法」(歯科・有床義歯修理関連)
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「歯・口の健康」

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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