歯を失う原因で最も多いのは?年代別の抜歯理由と今からできる対策

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年8月21日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

歯を失う原因で最も多いのは歯周病で、次いで虫歯、そして歯が割れる破折が続きます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)で診療していても、この順序は実感と一致します。特徴的なのは、年代によって理由の内訳が入れ替わることです。若い年代では矯正や親知らずの抜歯が多く、中年以降は歯周病が前に出て、高齢期には過去に治療した歯の破折が増えます。このページでは、年代別に何が起きているのかと、その時期にできる対策を整理します。定期的な確認の意味は<a href="/treatment/teiki-kenshin-naiyou/">歯の定期検診では何をする?内容・費用・所要時間</a>をご覧ください。

年代ごとに割合が変わることを示す抽象的なグラフと歯のイラスト

先に結論

  • 全体で最も多い理由は歯周病。次いで虫歯、破折の順
  • 10〜20代は矯正や親知らずが理由の中心で、病気による喪失は少ない
  • 30〜40代から歯周病の割合が上がり始める
  • 50代以降は歯周病が最多。同時に破折が増えてくる
  • 破折の多くは、神経を取って被せた歯で起きる
  • 年代ごとに対策が違う。同じ「予防」でも見る場所が変わる
年代別の傾向を整理します。
年代多い理由その時期に重点を置きたいこと
10〜20代矯正・親知らず初めての虫歯を作らない。親知らずの位置を把握しておく
30〜40代虫歯・歯周病治療した歯の再発の確認と、歯ぐきの検査を習慣にする
50〜60代歯周病・破折支えの残量を把握し、神経を取った歯の負担を減らす
70代以降歯周病・破折・根の虫歯清掃が届きにくい根の面を守り、噛む機能を保つ
※調査の年や対象によって割合には差があります。傾向としてご覧ください。

なぜ歯周病が最多になるのか

歯を失う理由として歯周病が上位に来るのは、進行の仕方に理由があります。 歯周病は、歯を支えている骨が少しずつ失われていく病気です。痛みがほとんど出ず、出血やねばつきといった変化も日常の中では見過ごされます。気づいたときには支えが減っており、歯が動き始めています。 もう一つの特徴は、複数の歯で同時に進むことです。虫歯が1本ずつ発生するのに対し、歯周病は口全体の環境として進むため、同じ時期に複数の歯が限界に近づきます。 そして、失われた骨は自然には戻りません。どこまで戻せるのかについては歯周病で溶けた骨は元に戻る?再生できるケースとできないケースで説明しています。治療の目標は、残っている支えを保つことになります。 進行の程度は検査で数値として把握できます。ポケットの深さと出血の有無が基本で、読み方は歯周病検査の数値の見方|ポケット4mm・6mmと出血が示すものにまとめました。骨の高さはレントゲンで確認します。歯周病はレントゲンで何がわかる?骨の吸収の見え方と限界をご覧ください。 重度でも歯を残せる場合があります。判断の材料は重度歯周病でも歯を残せる?抜歯と言われたときの選択肢で扱っています。

二番目の理由である虫歯の実際

虫歯で歯を失う場合、多くは初めての虫歯ではありません。過去に治療した歯が、再発を繰り返した末に限界を迎えるという経過をたどります。 一度削って詰めた歯は、材料と歯の境目という弱点を持ちます。ここから内部で虫歯が進むのが二次う蝕です。仕組みは二次う蝕(詰め物の下の虫歯)とは|原因・見つけ方・防ぎ方をご覧ください。 再治療のたびに、削る範囲は広がります。同じ歯を何回まで治療できるのかという問題については同じ歯は何回まで治療できる?詰め物のやり直しの限界と歯を残す考え方にまとめました。 神経に達すれば、神経を取る処置になります。ここが一つの分岐点です。神経を残せる条件は「歯の神経を抜きたくない」あなたへ|残せるケースと見極め方で扱っています。 そして、根だけが残る段階まで進むと、残せるかどうかの判断は厳しくなります。末期の虫歯(C4)で歯の根だけ残った|抜歯以外の選択肢はある?をご覧ください。 高齢期には、歯ぐきが下がって露出した根の面の虫歯が増えます。この部分はエナメル質に覆われていないため、進みやすいという特徴があります。歯の根元(根面)の虫歯|大人・シニアに増える原因と治療・予防で対策を説明しています。
治療の繰り返しで歯質が減っていく流れを段階的に示した図

三番目の理由、破折はなぜ起きるのか

歯が割れて抜歯になる例は、意外に多くを占めます。そして、その多くには共通点があります。 神経を取った歯は、内部に血液が通わなくなり、時間とともにもろくなります。加えて、神経を取る過程で歯の内側が削られるため、残っている歯質が薄くなっています。この状態で長年噛む力を受け続けると、根の部分に縦の亀裂が入ることがあります。 縦に割れた歯は、多くの場合、残すことが難しくなります。接着して戻す方法が試みられることもありますが、条件は限られます。神経を取った後の歯がどうなるかは神経を抜いた歯はどうなる?寿命と長持ちさせるコツにまとめました。 土台の選び方も関わります。金属の土台は硬いため、力が加わったときに根に負担が集中しやすいという指摘があります。材質による違いはファイバーコアとメタルコアの違い|割れにくさ・見た目・費用で選ぶ基準をご覧ください。 さらに、就寝中の食いしばりや歯ぎしりが重なると、負担は増します。装置で力を分散する方法はナイトガード(歯ぎしり用マウスピース)の費用・保険・手入れと寿命で扱っています。すり減りの見方は食いしばり・歯ぎしりで歯がすり減る(咬耗)|削れた歯の影響と対処を歯科医が解説にまとめました。 つまり破折は、過去の虫歯治療の延長線上にあります。神経を取らずに済ませることが、20年後の破折を減らすことにつながります。

年代ごとに重点が変わる

同じ「歯を守る」でも、年代によって見るべき場所が変わります。 10代から20代は、そもそも失う本数が少ない時期です。抜歯の理由も、矯正のための便宜的なものや親知らずが中心になります。親知らずの判断は親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準をご覧ください。この時期の課題は、最初の虫歯を作らないことと、作ってしまった場合に削る量を最小限にとどめることです。 30代から40代は、過去の治療が効いてくる時期です。詰め物の縁からの再発、そして歯周病の始まりが重なります。仕事や育児で受診が途切れやすい年代でもあり、この期間の空白が後で響きます。空白の影響は歯の定期検診に行かないとどうなる?3年後・5年後に起きる変化と費用の差にまとめました。 50代から60代は、歯周病の進行と破折が重なる時期です。支えの残量を把握し、負担のかかっている歯を見つけて力を分散させることが中心になります。 70代以降は、清掃が届きにくい根の面の虫歯と、噛む機能そのものの維持が課題になります。口の働きの検査は口腔機能低下症の検査とは|7項目で調べる内容と保険の扱い、通院が難しくなった場合は訪問歯科診療とは|通院できない家族が自宅で受けられる治療と費用をご覧ください。
年代ごとに重点が移っていくことを表した時間軸のイラスト

1本失うと何が起きるか

失った歯をそのままにしておくと、周囲に影響が及びます。この点も知っておいてください。 まず、空いた場所に向かって隣の歯が傾いてきます。同時に、噛み合う相手を失った歯が伸び出してきます。この変化は数年かけて進み、後で補おうとしたときに、入れる場所が足りないという事態を招きます。詳しくは虫歯を放置すると噛み合わせが崩れる|歯が動く・伸びるしくみと戻せる限界をご覧ください。 次に、残った歯への負担が増えます。噛む力を分担していた1本が抜けると、その分を他の歯が受け持つことになります。負担が集中した歯は、破折や歯周病の進行が早まります。 そして、片側だけで噛む習慣がつくと、使わない側に汚れがたまりやすくなります。この影響は虫歯で噛めない・食事がつらい|片側だけで噛む影響と受診までの工夫で扱っています。 補う方法は、入れ歯・ブリッジ・インプラントの三つが基本です。比較は歯を失ったときの選択肢|入れ歯・ブリッジ・インプラント比較にまとめました。どれを選んでも、もとの歯と同じ感覚にはなりません。だからこそ、失う前の段階に手を打つ価値があります。

今日から効く対策を優先順位で

やることを並べると多く見えますが、効果の大きい順に絞れば負担は減ります。 第一に、歯と歯の間の清掃です。虫歯も歯周病も、この部位から始まることが多くあります。道具の選び方は歯間ブラシとデンタルフロス、どっちを使うべき?選び方と正しい使い方を歯科医が解説をご覧ください。 第二に、間隔を空けない受診です。症状が出てからでは、選べる方法が減ります。頻度の考え方は歯のクリーニングの頻度はどれくらい?3か月ごとの根拠と人によって変わる理由、継続しやすい体制はか強診とは|毎月のクリーニングが保険でできる歯科医院の条件にあります。 第三に、フッ素の活用です。特に根の面が出てきた方では効果が大きくなります。大人にフッ素は効果ある?年齢とともに変わる虫歯リスクへの使い方フッ化物洗口のやり方|自宅での手順・対象年齢・歯磨き粉との違いをご覧ください。 第四に、力の管理です。食いしばりの痕跡があれば、早めに対処します。 第五に、喫煙への対応です。歯周病の進行と治りにくさに関わります。タバコと歯周病|喫煙者のリスクと禁煙で変わることで扱っています。 粘膜の変化や口の働きも、同じ機会に確認できます。歯科検診で口腔がんは見つかる?粘膜のチェックで見ているところオーラルフレイルとは|高齢の親の口の衰えチェックと予防をご覧ください。

抜歯を勧められたときに確認したいこと

「この歯は抜きましょう」と言われたとき、その場で判断するのは難しいものです。確認しておきたい点を挙げます。 一つ目は、理由です。歯周病で支えが足りないのか、割れているのか、虫歯が深すぎるのか。理由によって、残せる可能性の有無が変わります。 二つ目は、残した場合に何が起きるかです。痛みや腫れを繰り返すのか、隣の歯に影響が及ぶのか。放置の影響が限定的であれば、時間をかけて考える余地があります。 三つ目は、抜いた後どうするかです。補う方法によって、費用も期間も変わります。選択肢の比較は歯を失ったときの選択肢(入れ歯・ブリッジ・インプラント)の比較をご覧ください。 四つ目は、急ぐかどうかです。腫れや強い痛みがある場合は先に処置が必要ですが、そうでなければ考える時間を取れます。 判断に迷う場合、別の医院の意見を聞く方法があります。手順は歯科治療のセカンドオピニオン|取り方・費用・伝え方・断り方にまとめました。

歯を残す判断が難しくなる条件

どんな歯でも残せるわけではありません。判断が厳しくなる条件を整理しておきます。 支えの骨が根の長さの半分以上失われている場合、残しても機能させることが難しくなります。動揺が大きく、噛むたびに痛む状態では、他の歯への影響も考える必要があります。 根が縦に割れている場合も、条件は厳しくなります。割れ目から細菌が入り続けるため、炎症が繰り返されます。 歯ぐきより上に残っている歯質が極端に少ない場合、被せ物を保持する力が足りません。歯を引き出す処置や、歯ぐきの形を整える処置で対応できる場合もあります。詳しくは歯ぐきより上の歯質が足りない歯は残せる?矯正的挺出と歯冠長延長術をご覧ください。 根の先の炎症が広範囲に及び、再治療でも改善しない場合も、判断の分かれ目になります。外科的な選択肢については意図的再植とは|再根管治療でも治らないときに歯を残す外科処置で扱っています。 いずれの場合も、「残せるかどうか」だけでなく「残して何年使えるか」という視点が加わります。無理に残した結果、周囲の骨をさらに失えば、その後の選択肢が狭まるためです。

残っている歯の本数と暮らしの関係

歯の本数は、日々の暮らしと結びついています。ここも押さえておきたい点です。 食べられる物の範囲は、奥歯が上下でしっかり噛み合っているかどうかで大きく変わります。前歯が残っていても、奥歯が失われていれば、すりつぶす動作ができません。硬い物、繊維の多い物が避けられるようになり、食事の内容が偏っていきます。 噛む力が落ちると、食事にかかる時間が延び、量そのものが減ることもあります。その結果として体重が落ちれば、全身の状態にも影響します。口の働きが落ちていく流れはオーラルフレイルとは|高齢の親の口の衰えチェックと予防にまとめました。 会話への影響もあります。前歯が失われると発音が変わり、人と話すことが億劫になる方もいます。 失った歯を補えば、これらはある程度取り戻せます。ただし、補った装置は自分の歯と同じようには働きません。入れ歯であれば噛む力は落ち、ブリッジであれば支えとなる歯に負担がかかります。 だからこそ、20本前後の自分の歯を保つことが目標として掲げられてきました。目標の数字そのものより、「奥歯で噛める状態を維持する」という中身が重要です。

記録を残しておくと判断が変わる

最後に、実務的な話をひとつ加えておきます。 自分の歯が何本残っているか、どの歯にどんな治療がしてあるかを把握している方は多くありません。ところが、この把握があるかどうかで、判断の質が変わります。 検診のたびに、残っている歯の本数と、注意して見ている歯を聞いておいてください。「右下の奥から2番目は、神経がないので割れないよう見ています」といった情報が共有されていれば、違和感が出たときの相談が早くなります。 写真や画像を見せてもらうことも有効です。過去の記録と並べれば、進んでいるのか止まっているのかが分かります。 なお、治療の記録は医院に保存されていますが、ご自身でも要点を控えておくと、転居や急な受診の際に役立ちます。神経のない歯がどれか、被せ物を入れた時期はいつかといった情報は、後の判断材料になります。手帳やスマートフォンのメモで十分です。

よくある質問

歯を失う原因で最も多いのは何ですか

歯周病です。次いで虫歯、そして歯が割れる破折が続きます。歯周病が上位になるのは、痛みが出ないまま骨の支えが失われ、しかも複数の歯で同時に進むためです。気づいた時点では支えが減っていることが多くなります。

年代によって理由は変わりますか

変わります。10〜20代は矯正や親知らずが中心で病気による喪失は少なく、30〜40代から歯周病の割合が上がります。50代以降は歯周病が最多となり、同時に過去に治療した歯の破折が増えてきます。

破折はどんな歯で起きやすいですか

神経を取って被せた歯です。血液が通わなくなってもろくなることに加え、処置の過程で内部が削られて歯質が薄くなっています。この状態で長年噛む力を受けると、根に縦の亀裂が入ることがあります。就寝中の食いしばりも負担を増やします。

歯を1本失ったまま放置するとどうなりますか

空いた場所へ隣の歯が傾き、噛み合う相手を失った歯が伸び出してきます。数年かけて進むため、後で補おうとしたときに入れる場所が足りなくなります。残った歯への負担も増え、破折や歯周病の進行が早まります。

何歳から気をつければよいですか

年代ごとに見る場所が変わるだけで、どの時期にも対策はあります。若いうちは最初の虫歯を作らないこと、中年期は過去の治療の再発と歯ぐきの検査、高齢期は根の面の虫歯と噛む機能の維持が中心になります。

歯周病で抜くと言われたら諦めるしかありませんか

必ずしもそうではありません。残っている支えの量、隣の歯の状態、全体の噛み合わせによって判断が変わります。外科的な処置や、負担を減らす設計で残せる場合もあります。判断に迷う場合は別の医院の意見を聞く方法もあります。

歯磨きだけで防げますか

歯みがきは土台ですが、それだけでは届かない部分があります。歯と歯の間の清掃、器具による歯石の除去、画像による詰め物の下の確認が加わって初めて全体をカバーできます。年代に応じてフッ素や力の管理も必要になります。

名古屋で相談できますか

名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の歯科医院で相談できます。名古屋市には対象年齢の方が無料で受けられる歯周疾患検診もあり、支えの状態を確認する入り口として利用できます。まずは現状の把握から始めてください。

まとめ

歯を失う原因で最も多いのは歯周病で、次いで虫歯、そして歯が割れる破折が続きます。歯周病が上位に来るのは、痛みを出さないまま骨の支えが失われ、しかも口全体の環境として複数の歯で同時に進むためです。虫歯による喪失の多くは初めての虫歯ではなく、詰め物の縁から再発を繰り返し、削る範囲が広がった末に限界を迎えるという経過をたどります。三番目の破折は、神経を取って被せた歯で起きやすく、血液が通わなくなってもろくなること、処置の過程で歯質が薄くなっていること、そこに就寝中の食いしばりが重なることが背景にあります。つまり破折は、過去の虫歯治療の延長線上にある現象です。年代で内訳は入れ替わり、10〜20代は矯正や親知らず、30〜40代は過去の治療の再発と歯周病の始まり、50代以降は歯周病と破折、70代以降は根の面の虫歯と噛む機能の維持が中心になります。対策も同じ順で優先度を付けられます。歯と歯の間の清掃、間隔を空けない受診、フッ素の活用、力の管理、喫煙への対応。この五つを押さえておけば、多くの喪失は先送りできます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいの方は、歯の定期検診では何をする?内容・費用・所要時間で確認の機会を整え、失った歯を補う三つの方法の違いもあわせてご覧ください。

参考・出典

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

→ 監修者・編集方針について