対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
歯周ポケットの奥の歯石取り(SRP)は、多くの場合で局所麻酔をして行います。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも「歯石取りに麻酔と言われて驚いた」「そんなに痛い処置なのか」というご相談をいただきます。麻酔を使うのは処置がつらいからではなく、歯ぐきの中という見えない場所を確実に清掃しきるためです。このページでは、なぜ麻酔が必要になるのか、どんな麻酔をどれだけ使うのか、処置中と処置後にどのくらい痛むのか、当日と翌日をどう過ごせばよいのかを順に整理します。処置そのものの位置づけは<a href="/treatment/perio-srp/">歯周病の検査と基本治療(スケーリング・SRP)</a>をご覧ください。

先に結論
- 歯ぐきの上の歯石取りは麻酔なし、歯ぐきの中の清掃(SRP)は麻酔ありが基本
- 麻酔を使う目的は「痛みを消すこと」と「器具を根の先まで届かせること」の両方
- 使うのは歯科でごく一般的な局所麻酔で、1区画あたり1〜2本分が目安
- 処置中の痛みはほぼ感じないが、器具が当たる振動や圧は伝わる
- 処置後2〜3日は歯ぐきがしみたり噛むと違和感が出ることがあり、多くは1週間以内に落ち着く
| 処置 | 対象の場所 | 麻酔 | 体感の目安 |
|---|---|---|---|
| スケーリング | 歯ぐきの上に見えている歯石 | 原則なし | 振動と冷たい水。しみることがある |
| SRP(ポケット内清掃) | 歯ぐきの中、根の表面 | あり(局所麻酔) | 押される感覚のみ。痛みはほぼない |
| 再SRP | 改善が不十分な部位 | あり | 初回より範囲が狭く短時間 |
| メンテナンス時の清掃 | 浅くなったポケット | 原則なし | 短時間で終わることが多い |
歯石取りとSRPは別の処置
「歯石取り」という同じ言葉で呼ばれていても、歯ぐきの上を掃除する処置と、歯ぐきの中に入って根の表面を触る処置は、内容がまったく違います。 歯ぐきの上に付いた歯石は目で見えます。器具の先や超音波の振動で崩して落とせばよく、時間も1回15〜30分程度です。ここで麻酔を使うことはほとんどありません。 一方、ポケットの中に入り込んだ歯石は見えません。歯ぐきという蓋の下で、根の表面にセメントのように固着しています。これを取り除くには、細い器具を歯ぐきと根のすきまに数ミリ差し込み、指先の感触だけを頼りに根の形をなぞりながら削ぎ落としていきます。この、見えない場所を触覚だけで確実に仕上げる作業がSRP(スケーリング・ルートプレーニング)です。 つまり麻酔が出てくるのは、処置が乱暴だからではなく、対象が深いところにあるからです。歯石が歯ぐきの中にあるかどうかは検査で分かります。数値の読み方は歯周病検査の数値の見方|ポケット4mm・6mmと出血が示すもので解説しています。歯ぐきの上の歯石取りについては歯石取りは痛い?頻度・費用・自分で取ってはいけない理由もあわせてご覧ください。なぜSRPで麻酔を使うのか
理由は二つあります。患者さんの痛みを抑えるためと、術者が処置をやりきるためです。 一つ目は分かりやすい理由です。歯ぐきの中の根の表面には知覚が通っており、炎症があればなおさら敏感になっています。麻酔なしで4ミリ、6ミリという深さまで器具を入れれば、鋭い痛みが出ます。痛みをこらえながらの処置は体もこわばり、30分、40分と続けることが難しくなります。 二つ目のほうが、実は臨床的には重要です。痛みがあると、術者は無意識に手加減します。歯石が残っていそうな部位でも、痛がる患者さんを前にすると器具を押し当てる力を弱めてしまう。その結果、取り残しが生じます。歯周病の治療は「取り残しがあるかどうか」で結果が決まる処置ですから、これは避けたい事態です。 麻酔をして痛みの心配がなくなると、術者は根の形に沿って必要な圧をかけ、根が枝分かれしている部分や凹んでいる部分まで器具を回し込めます。麻酔は、患者さんのためであると同時に、清掃の精度を上げるための道具でもあるのです。 なお、麻酔をしても取り切れない深さや形態の部位はあります。その場合に検討されるのが歯ぐきを開いて直接見る方法で、歯周外科手術(フラップ手術)とは|流れ・痛み・費用で詳しく解説しています。
使う麻酔の種類と量
歯科で用いる局所麻酔は、虫歯の治療で使うものと基本的に同じです。特別に強い薬を使うわけではありません。 多くの場合、まず表面麻酔を塗ります。ジェル状の薬を歯ぐきに1〜2分置くと表面の感覚が鈍り、注射針が入る瞬間の刺激がほとんど分からなくなります。その後、細い針で歯ぐきに少量を注入します。針の太さは髪の毛ほどで、注入の速度をゆっくりにするほど圧の違和感は小さくなります。 量は、1回に処置する範囲によります。口を上下左右の4つ、あるいは6つの区画に分けて進めるのが一般的で、1区画あたりカートリッジ1本前後、多くても2本というのが目安です。効果は1〜3時間ほど続きます。 奥歯の下側だけは、あごの神経の根元にまとめて効かせる方法をとることがあります。この場合は舌や下唇までしびれ、感覚が戻るまで3時間近くかかることもあります。麻酔が切れるまでの時間の目安と過ごし方は歯科の麻酔はいつ切れる?時間の目安と食事・仕事・入浴の注意点にまとめました。 血圧を上げにくい麻酔薬を選ぶ、血管収縮薬の入っていないものを使うといった調整もできます。持病や服薬がある方は、予約時と当日の問診で必ずお伝えください。判断の考え方は持病や薬があっても歯科麻酔は受けられる?高血圧・糖尿病・抗血栓薬の注意点で整理しています。処置中に実際に感じること
麻酔が効いた状態でのSRPは、「痛い処置」ではなく「何かをされている感覚が続く処置」です。 まず伝わるのは圧です。器具を根の表面に当てて動かすので、押される感じや引っかかる感じは麻酔をしていても分かります。これは痛覚ではなく圧覚で、麻酔で完全に消えるものではありません。 次に振動と音です。超音波の器具を併用する場合、細かい振動と高い音が続きます。水が出るため吸引の音も重なります。音が苦手な方は、あらかじめ伝えておくと手用の器具中心に切り替えるなどの対応ができます。 時間は1区画あたり20〜40分程度です。ずっと口を開けているため、顎の疲れのほうがつらいという方も少なくありません。途中で休憩を挟みたいときは、手を挙げる合図を最初に決めておくと安心です。 もし処置中に鋭い痛みが出たら、我慢せずすぐ合図してください。麻酔の追加で解決することがほとんどです。1回の通院で何区画進めるか、全体で何回かかるかの見通しは歯周病治療は何回通う?1回で終わらない理由と期間の目安をご覧ください。麻酔が効きにくいことがある
強い炎症がある部位では、麻酔が効きづらくなることがあります。膿がたまっていたり、歯ぐきが真っ赤に腫れていたりする場所では、組織が酸性に傾いて薬が働きにくくなるためです。 この場合は、麻酔の量を増やすより、まず炎症を抑えてから改めて処置日を設定するほうが確実です。数日、うがい薬や抗菌薬で腫れを引かせてからSRPに入る、という順序をとることがあります。 体質的に効きにくいと感じている方もいます。過去の治療で「麻酔が効かなかった」経験があれば、そのときの状況を伝えてください。麻酔の種類を変える、注入する場所を変える、時間をおいて効き方を確かめるなど、打ち手はいくつもあります。詳しくは歯の麻酔が効かない・効きにくい原因|炎症・体質・当日にできる対処を歯科医が解説で解説しています。超音波の器具と手用の器具の使い分け
SRPでは、先端が細かく振動する超音波の器具と、手で動かす鎌のような形の器具(キュレット)の両方を使います。どちらか一方が優れているというものではなく、役割が違います。 超音波の器具は、水を出しながら硬い沈着物を効率よく砕いて落とすのが得意です。範囲の広い部位や、量の多い歯石を短時間で減らすときに向いています。反面、根の表面のわずかな凹凸や、指先で「まだざらつく」と感じる部分を仕上げる精度では手用の器具に劣ります。 手用の器具は、刃の角度を根の面に合わせ、一定の力で引き上げる操作を繰り返します。時間はかかりますが、根の形をなぞって仕上げられるため、深い部位の最終的な確認はこちらで行うことがほとんどです。取り切れたかどうかは、目ではなく指先に伝わる感触で判断します。 実際には、超音波で大きな沈着を落としてから手用の器具で仕上げる、という順で組み合わせることが多くなります。音や振動が苦手な方には手用中心に切り替えることもできますので、遠慮なくお伝えください。歯ぐきの上の清掃で使う器具との違いは歯のクリーニングは保険でできる?適用される条件と自費との違い・費用の目安でも触れています。1回で何区画進めるのが適切か
「何回にも分けず、まとめてやってほしい」というご希望はよくいただきます。実際には、区画を分けて進めるほうが結果は安定します。 理由の一つは麻酔の量です。口全体を一度に麻酔すれば使用量が増え、唇も舌も広くしびれます。食事はもちろん、会話にも支障が出ますし、頬の内側を噛む事故も起きやすくなります。 もう一つは処置の質です。SRPは集中力と手の感覚に依存する処置で、1区画あたり20〜40分かかります。これを連続で4区画行えば、後半の精度は落ちます。取り残しを防ぐという目的からすると、区画を分けたほうが理にかなっています。 さらに、区画を分けると経過を見ながら進められます。最初の区画の治り方を見て、次の区画で力加減や術後の説明を調整できます。歯ぐきの反応には個人差があるため、この確認の意味は小さくありません。 なお、全身麻酔や鎮静下で一度にまとめて行う方法もありますが、日本の一般的な歯科医院では例外的です。通院回数を減らしたい事情がある場合は、1回の処置時間を長めに取って2区画ずつ進めるなどの調整を相談してください。