対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
歯石を放置するとどうなるのか——名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)の診療現場で、最も多く受ける質問のひとつです。歯石そのものが痛みを出すことはほとんどありません。だからこそ「気づいたら何年も取っていない」という方が多く、その間に歯ぐきの内側で静かに進んでいきます。このページでは、歯石が何からできるのか、放置した場合に口臭・歯ぐきの腫れ・骨の吸収へとつながる流れ、何年でどこまで進むのかの目安、そして自分で取ってはいけない理由を順に説明します。除去の内容と効果は<a href="/treatment/pmtc/">歯のクリーニング(PMTC)と歯石除去の効果</a>にまとめています。

受診の目安を先に示します。
- 最後に歯石を取ってから1年以上経っている
- 歯を磨くと血が出る、歯ぐきの縁が赤く腫れている
- 朝起きたときの口のにおいやねばつきが強くなった
- 下の前歯の裏側に、ざらざらした硬いものが触れる
- 歯が長く見えるようになった、歯の間に隙間ができた
放置した期間によって、起きることの性質が変わります。
| 放置期間 | 口の中で起きていること | 元に戻せるか |
| 数日〜2週間 | プラークが硬い歯石に変わり始める | この段階なら歯磨きで落とせる |
| 数か月 | 歯ぐきの縁が腫れ、出血しやすくなる | 除去と清掃で戻せることが多い |
| 1〜3年 | 歯ぐきの内側にも歯石が及び、溝が深くなる | 治療で進行は止められる |
| 数年以上 | 歯を支える骨が減り、歯が動き始める | 減った骨は自然には戻らない |
歯石は何からできるのか
歯石は、外から入ってくる汚れではありません。もとはプラーク(細菌の塊)です。歯の表面に付いたプラークが、唾液に含まれるカルシウムやリンを取り込んで硬くなったものが歯石です。
プラークが石灰化し始めるのは、およそ2日目からとされます。そして2週間ほどで、歯ブラシでは落とせない硬さになります。つまり、毎日の清掃で取り残された場所が、2週間単位で歯石に変わっていくということです。
この性質から分かることが二つあります。ひとつは、歯石が付いている場所は「いつも磨き残している場所」だということ。もうひとつは、いったん硬くなってしまえば、どれだけ丁寧に磨いても落ちないということです。プラークの性質については
バイオフィルムとはで詳しく説明しています。
歯石が付きやすいのは、唾液腺の開口部に近い場所です。下の前歯の内側と、上の奥歯の外側(頬側)が代表的です。ここに硬いざらつきを感じる方は、すでに歯石が付いています。
歯石そのものより、その表面が問題になる
「歯石があると、なぜ悪いのか」という点は、正確に理解しておく価値があります。
歯石は石灰化した塊ですから、それ自体が毒素を出すわけではありません。問題は、その表面が非常に粗いことです。顕微鏡で見ると多孔質で、細菌が住み着くのに適した構造をしています。
つまり歯石は、細菌にとっての足場になります。しかも歯にしっかり結合しているため、うがいでも歯ブラシでも取り除けません。日々の清掃をどれだけ丁寧に行っても、その足場の上では細菌が増え続けます。
さらに、歯石は歯と歯ぐきの境目に沿って付くため、細菌が最も影響を及ぼしやすい位置に居座ることになります。歯ぐきは、隣接する細菌に対して炎症で反応します。この反応が続くことが、後に述べる変化の出発点です。
段階1——口臭とねばつきが出る
比較的早い段階で自覚されるのが、においです。
歯石の表面で増えた細菌は、たんぱく質を分解する過程で揮発性の硫黄化合物を作ります。これが、いわゆる「腐ったような」においの正体です。自分では気づきにくく、家族に指摘されて初めて分かることもあります。
朝起きたときに特に強く感じるのは、睡眠中に唾液が減り、細菌が最も活動しやすい状態になるためです。起床時のねばつきも同じ理由によります。
朝起きたときの口臭・口のネバつきで扱っています。
この段階でのにおいは、洗口剤やガムで一時的に抑えられます。ただし、原因である足場が残っている限り、時間が経てば戻ります。原因別の考え方は
口臭の原因と対策に、歯周病由来のにおいの特徴は
歯周病による口臭の特徴と治し方にまとめています。
段階2——歯ぐきが腫れ、出血する
細菌が歯ぐきの縁に接し続けると、体は炎症で応じます。歯ぐきの縁が赤くなり、丸みを帯びて腫れ、歯ブラシが当たると血が出るようになります。歯肉炎(しにくえん:歯ぐきに限局した炎症)と呼ばれる段階です。
ここで多いのが、「血が出るから、その部分を磨くのを避ける」という対応です。しかし、出血は磨きすぎのサインではなく、炎症があるサインです。避ければ細菌はさらに増え、炎症は強くなります。出血への対応は
歯茎から血が出る原因と対処で詳しく述べています。
この段階までであれば、歯石を除去して清掃が行き届けば、歯ぐきは元の状態に戻ります。骨にはまだ変化が及んでいないためです。放置期間が数か月程度であれば、多くはこの範囲に収まります。
一方、腫れた歯ぐきは、歯との間の溝を深くします。深くなった溝には歯ブラシの毛先が届きません。ここから、次の段階へ進みます。
段階3——歯ぐきの内側にも歯石が及ぶ
溝が深くなると、その内側にもプラークが入り込み、そこでも石灰化が進みます。歯ぐきの上に付く歯石が白っぽいのに対し、内側にできる歯石は黒褐色をしています。血液の成分を取り込むためです。
内側の歯石は、外から見えません。鏡でいくら確認しても分かりませんし、痛みも出ません。この「見えない・痛くない」という性質が、放置が長引く最大の理由です。
内側の歯石は歯の根の面に強固に付着しており、除去には専用の器具と手技が必要です。歯ぐきの上の歯石を取るのとは、必要な時間も回数も変わります。この段階になると、数回に分けた治療になることが一般的です。
そして、この深い部分の細菌は、酸素の少ない環境を好む種類が主体になります。この種類の細菌は、歯を支えている組織に対してより強い影響を及ぼします。歯周病の進み方については
歯周病治療とはで全体像を扱っています。
段階4——支えている骨が減っていく
炎症が深部に及ぶと、歯を支えている骨(歯槽骨)が少しずつ吸収されていきます。ここが、放置の最も大きな代償です。
減った骨は、自然には戻りません。歯周病の治療で目指すのは、進行を止めて現在の状態を維持することであり、失った骨を元通りにすることではありません。一部に再生を図る処置はありますが、適応は限られます。この点は
歯周病は治る?「完治」と「管理」の正しい理解で整理しています。
骨が減ると、次のような変化が現れます。歯ぐきが下がって歯が長く見える、歯と歯の間に隙間ができて食べ物が挟まる、歯が動く、噛んだときに違和感が出る——これらは、いずれも支えを失った結果です。歯の動揺については
歯がぐらつく・揺れる原因と対処を、歯ぐきの下がりについては
歯茎が下がる原因と治療をご覧ください。
さらに進むと、歯を残せなくなります。虫歯が一本ずつ進むのに対し、こちらは複数の歯に同時に影響が及ぶという点で、失う本数が多くなりがちです。重度になった場合の選択肢は
重度歯周病でも歯を残せる?で扱っています。
口の中だけの問題ではない
歯ぐきの炎症は、口の中に留まりません。炎症が続いている状態は、体全体にとっても負担になります。
特によく知られているのが、糖尿病との関係です。歯周病があると血糖のコントロールが難しくなり、逆に血糖の状態が悪いと歯周病が進みやすくなるという、双方向の関係が指摘されています。詳しくは
糖尿病と歯周病の関係で扱っています。
また、口の中の細菌が誤って気管に入ることによる肺炎、妊娠中の経過への影響なども報告されています。歯石を取ることは、口の中の掃除という以上の意味を持ちます。
何年放置したら、どこまで進むのか
進み方には個人差があり、年数だけで一律に決まるものではありません。それでも、目安として次のように考えると分かりやすくなります。
半年から1年の放置では、歯石の量は増えますが、多くは歯ぐきの上に留まります。腫れや出血はあっても、除去後の回復が見込める範囲です。
1年から3年になると、歯ぐきの内側にも歯石が及び、溝が深くなっている方が増えます。この場合、1回では終わらず、数回に分けた治療が必要になります。
3年以上、あるいは10年以上放置されていた方では、骨の吸収が進んでいることが多くなります。レントゲンで確認すると、支えの高さが減っていることが分かります。この段階では、治療の目標が「治す」から「これ以上進めない」へと変わります。
ただし、進み方を左右する要因は年数だけではありません。喫煙は歯ぐきの血流を悪くし、炎症のサインである出血を隠したまま進行させます。詳しくは
タバコと歯周病をご覧ください。糖尿病、ストレス、噛み合わせの力なども関わります。
なお、「何年も歯医者に行っていないので行きづらい」という声をよく聞きます。放置した期間の長さで責められることはありません。受診の流れと費用の目安は
何年も歯医者に行っていない場合にまとめています。
自分で取ろうとしてはいけない
市販の器具や爪で歯石を落とそうとする方がいますが、これは勧められません。理由は三つあります。
ひとつは、歯や歯ぐきを傷つけることです。先の尖った器具を自分で扱うと、歯の表面に傷が付き、そこに汚れが溜まりやすくなります。歯ぐきを切れば、そこから細菌が入ります。
二つめは、見えない部分が取れないことです。問題の中心は歯ぐきの内側にある歯石で、鏡では見えません。表面だけ削っても、内側の足場は残ります。
三つめは、状態の評価ができないことです。歯石を取る前には、溝の深さを測り、レントゲンで骨の状態を確認します。この評価があって初めて、必要な処置の範囲が決まります。器具の危険性と適切な頻度は
歯石取りは痛い?頻度・費用で詳しく述べています。
医院ではどう除去するか
歯ぐきの上の歯石は、超音波の器具と手用の器具で除去します。1回で終わることもあれば、量が多ければ数回に分けます。
歯ぐきの内側の歯石は、溝の深さを測ったうえで、部位ごとに分けて除去します。必要に応じて麻酔を使います。この処置の後、歯ぐきが引き締まるまでに数週間かかります。
除去した後に、しみる、歯が長く見える、隙間ができたと感じることがあります。これは歯石を取ったことによる変化ではなく、歯石で隠れていた状態が現れたものです。腫れが引いた結果として隙間が見える場合もあります。多くは時間とともに落ち着きますが、しみる症状が続く場合は対応があります。
着色汚れが気になる場合は、歯石の除去とは別に、専用の器具で表面の汚れを落とす方法があります。粉末を吹き付けて着色を除去する方法については
エアフロー(パウダークリーニング)とはで扱っています。着色そのものの原因と対策は
歯の黄ばみ・着色の原因と自分でできる対策を、ホワイトニングとの違いは
歯が黄ばむ原因と対策をご覧ください。
治療が終わった後は、再び付き始めるまでの間隔を考えて通院間隔を決めます。歯周治療を受けた方の維持管理については
歯周病メンテナンス(SPT)とはにまとめています。
歯石が付きやすい人・付きやすい場所
同じように磨いていても、歯石の付き方には差があります。背景を知っておくと、通院間隔を決める参考になります。
唾液の性質は、大きな要因のひとつです。唾液に含まれるカルシウムの量には個人差があり、多い方ほど石灰化が早く進みます。「丁寧に磨いているのに歯石が付く」という方の中には、この体質的な要因が関わっている場合があります。この場合、磨き方の問題ではないため、通院の間隔を短くする方が現実的です。
唾液の量も関係します。口が乾きやすい方、口を開けて眠る習慣のある方では、自浄作用が働きにくくなります。薬の副作用で唾液が減っている場合もあります。
喫煙している方では、歯石の量が多くなる傾向があります。加えて、出血が抑えられるために炎症のサインが見えにくく、気づいたときには進んでいるという経過をたどりやすくなります。
歯並びに重なりがある方は、その部分に清掃が届かず、歯石が集中します。矯正装置が入っている期間も同様です。
場所としては、下の前歯の内側と、上の奥歯の外側が二大部位です。いずれも唾液腺の開口部が近く、唾液の成分が届きやすい場所です。ここに硬いざらつきを感じたら、歯石だと考えてほぼ間違いありません。また、被せ物や詰め物の境目、ブリッジの下側も溜まりやすい場所です。
歯石を作らないために毎日できること
歯石になってしまえば自宅では取れませんが、歯石になる前の段階であれば、日々の清掃で防げます。
要点は、同じ場所を残さないことです。歯石は「いつも磨き残している場所」にできますから、毎回同じ部位が残っていれば、そこに必ず付きます。染め出し液を月に一度使うと、自分の癖が分かります。
歯と歯の間は、歯ブラシでは届きません。フロスや歯間ブラシを毎日使うかどうかで、この部分の結果が変わります。
歯と歯ぐきの境目は、毛先を45度に当てて小さく動かします。強く押し当てると毛先が倒れ、かえって溝に入りません。
奥歯の後ろ側や、歯並びが重なった部分など、通常の歯ブラシで面が当たらない場所は、小さな毛束のブラシに持ち替えると届きます。
ワンタフトブラシの使い方で扱っています。
そして、道具そのものが劣化していれば、どれも十分に働きません。毛先が広がった歯ブラシでは境目に届かないため、
歯ブラシの交換時期も併せて確認してください。
名古屋の診療現場で見ていること
当院を含め、名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)の医院には、痛みがないまま何年も経過してから来られる方が一定数います。多くの方が言われるのは、「困っていなかったから」です。
歯石と歯周病の難しさは、まさにこの点にあります。虫歯のような鋭い痛みが出ないため、受診のきっかけが生まれません。自覚が出たときには、支えが減っていることが少なくありません。
私が初診の際に必ず行うのは、溝の深さの測定とレントゲンでの確認です。この二つがないと、歯石の量だけを見ても、どこまで進んでいるかは判断できません。数値で示すと、多くの方が「そこまでとは思わなかった」と言われます。
もうひとつお伝えしているのは、除去の後こそが本番だということです。歯石を取れば、その時点の細菌の足場はなくなります。しかし、磨き残しがある限り、また同じ場所に付きます。除去と並行して、磨き方と道具を見直すことが必要です。
大人の正しい歯磨きと
歯間ブラシとデンタルフロスの選び方を参考にしてください。力任せに磨いても歯石は落ちないため、
歯磨きの力が強すぎるサインもあわせて確認してください。
愛知・東海でお忙しく過ごされている方は、年に一度でも構いませんので、間隔を空けすぎないことをお勧めします。検診の内容は
定期検診で行うことにまとめています。
除去にかかる回数と、その後の間隔
「何回くらい通うことになるのか」という点も、受診をためらう理由になりがちです。目安を示します。
歯ぐきの上の歯石が中心で、量も多くない場合は、1〜2回で終わることが一般的です。
歯ぐきの内側にも及んでいる場合は、口の中をいくつかの区画に分け、区画ごとに処置します。この場合、4〜6回程度になることがあります。1回あたりの時間は30〜60分程度です。
いずれの場合も、最初に検査があります。溝の深さを測り、必要に応じてレントゲンを撮り、どこにどれだけ問題があるかを把握してから処置に入ります。この検査を省くと、見えない部分が残ったままになります。
処置が終わった後は、再び付き始めるまでの期間を考えて、次の来院を決めます。多くは3〜6か月ですが、付きやすい方はもっと短い間隔になります。この間隔を守れているかどうかが、その後の経過を大きく左右します。
よくある質問
歯石を放置すると必ず歯周病になりますか
必ずではありませんが、リスクは高まります。歯石は細菌の足場になり、歯ぐきの炎症が続きやすくなります。
歯石は自分で取ってもよいですか
お勧めしません。歯や歯ぐきを傷つけるうえ、問題となる歯ぐきの内側の歯石は取れません。
歯石を取ると歯の隙間が広がりませんか
歯石で埋まっていた部分が現れるためです。腫れが引いた結果でもあり、多くは落ち着きます。
痛みがなければ放置しても大丈夫ですか
痛みが出にくいことが歯石の特徴です。自覚がない段階で進むため、定期的な確認が必要です。
歯石取りはどのくらいの間隔で受けますか
3〜6か月が一つの目安です。付きやすさには差があるため、状態に応じて医院と相談してください。
名古屋で歯石取りだけを受けられますか
受けられます。中区・栄・名古屋駅エリアの医院では、検査のうえ保険診療で対応する場合が一般的です。
まとめ
歯石を放置すると、まず口臭とねばつきが出て、次に歯ぐきの縁が腫れて出血するようになります。ここまでは除去と清掃で戻せる範囲ですが、さらに進むと歯ぐきの内側にも歯石が及び、見えない場所で溝が深くなります。そして歯を支える骨が減り始めると、その分は自然には戻りません。歯石そのものが痛みを出さないため、自覚がないまま年単位で進むことが最大の問題です。付きやすいのは下の前歯の内側と上の奥歯の外側で、硬いざらつきに触れるならすでに付いています。自分で取ろうとすると歯や歯ぐきを傷つけ、肝心の内側の歯石は残ります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいで、最後に歯石を取ってから1年以上経っている方は、痛みがなくても一度確認を受けてください。除去の内容と効果は
歯のクリーニング(PMTC)、頻度と費用は
歯石取りは痛い?頻度・費用にまとめています。痛みがなくても受診してよいのかと迷う方は
クリーニングだけで歯医者に行ってもいい?、次にいつ受ければよいかは
歯のクリーニングの頻度はどれくらい?をご覧ください。
参考・出典