対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
「子どもの歯科レントゲンは安全なのか」「まだ小さいのに被ばくさせて大丈夫なのか」。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)で子どもの歯科レントゲンについて受ける質問のうち、いちばん多いのがこの二つです。答えを先に言うと、歯科で使う撮影の被ばく量は、日常生活で自然に受けている放射線の数日分に相当する小さなもので、撮る理由がはっきりしていれば、得られる情報のほうが大きいというのが一般的な考え方です。ただし子どもは大人より放射線の影響を受けやすいとされる以上、撮る理由を親が理解し、納得して受けることに意味があります。このページでは、撮影の種類と被ばく量の目安、子どもで撮る典型的な場面、撮らないという選択と相談の仕方、防護、じっとできない年齢での工夫、費用と助成制度までを整理します。初めての受診そのものの流れは<a href="/treatment/haisha-debut/">子どもの歯医者デビューはいつから?初めての受診の流れと準備</a>にまとめています。

先に結論
- 歯科の小さなレントゲン(デンタル)1枚の被ばく量は、日本で自然に受ける放射線の1〜2日分ほどが目安
- パノラマは数日分、歯科用CTは1〜3週間分ほど。飛行機で東京と欧米を往復するより少ない
- 子どもは放射線の影響を受けやすいとされるため、「撮る理由があるときだけ撮る」が原則
- 歯と歯の間の虫歯、永久歯の有無と位置、ぶつけた後の根の状態は、見ただけでは分からない
- 撮らない選択はできる。ただし「分からないまま進める」ことになる点は理解しておく
- 費用は保険診療の範囲で、名古屋市の子ども医療費助成により窓口負担がないことが多い
| 撮影の種類 | 子どもで使う主な場面 | 被ばく量の目安 | 自然放射線との比較 |
|---|---|---|---|
| デンタル(小さな1枚) | 特定の歯の虫歯の深さ、根の状態、ぶつけた歯の確認 | 約0.005〜0.02mSv | 1〜3日分 |
| 咬翼法(バイトウイング) | 奥歯の歯と歯の間の虫歯の有無 | 約0.005〜0.02mSv(1枚) | 1〜3日分 |
| パノラマ(全体の1枚) | 永久歯の有無・位置、生え替わりの進み方、過剰歯の確認 | 約0.01〜0.03mSv | 2〜5日分 |
| 歯科用CT | 埋まった歯・過剰歯の立体的な位置、外傷の詳しい評価 | 約0.05〜0.2mSv | 1〜5週間分 |
被ばく量を身近なものと比べて理解する
放射線の量はmSv(ミリシーベルト:人体への影響を表す単位)で表します。歯科で使うデンタルと呼ばれる小さなレントゲン1枚は、装置の違いで幅がありますが、おおむね0.01mSv前後です。あごの全体を1枚に写すパノラマで0.01〜0.03mSv、立体的に写す歯科用CTで0.05〜0.2mSv程度が目安とされています。 日本で普通に生活していると、自然放射線を1年間に2mSv程度、1日に直すと0.006mSvほど受けています。つまりデンタル1枚は自然放射線の1〜2日分、パノラマで数日分、歯科用CTでも数週間分に相当します。東京と欧米を飛行機で往復すると、高度が上がる分だけ宇宙からの放射線が増え、0.1〜0.2mSv程度を受けるとされていますから、歯科の撮影はその1回分にも届かない量です。 歯科の撮影は顔の一部に絞って照射します。範囲が小さく、放射線に敏感な臓器が範囲から外れやすいことが、被ばく量が小さい理由でもあります。大人の定期検診でどのくらいの間隔で撮るかという話は定期検診でレントゲンは毎回撮る?撮る間隔の目安と被ばく量で扱っており、このページは子どもに絞って続けます。子どもは大人より影響を受けやすいとされる理由
子どもについては大人より慎重に扱うのが国際的な考え方です。理由は、成長期の細胞は分裂が活発で放射線の影響を受けやすいとされること、そして残りの人生が長く、影響が出るとすればその機会が多いことです。国際放射線防護委員会(ICRP)は、同じ量の放射線でも子どもは大人の2〜3倍程度影響を受けやすいと見積もっています。 とはいえ、これは「撮ってはいけない」という意味ではありません。医療で受ける放射線には法律上の上限がなく、代わりに「その撮影で得られる利益が、わずかな不利益を上回るか」を毎回判断することが求められています。撮る理由が明確であれば撮り、理由が薄ければ撮らないというのが原則です。 診療の場では「念のため全部撮っておきましょう」という進め方はしないようにしています。何を確かめたいのか、その撮影でそれが分かるのかを親御さんに説明したうえで撮る。これが線量そのもの以上に大切だと考えています。子どもで撮ることが多い典型的な場面
子どもで撮る理由が生まれるのは、主に次の五つの場面です。 一つ目は、奥歯の歯と歯の間の虫歯です。乳歯の奥歯は隣同士がぴったり接しているため、間にできた虫歯は目で見ても分かりません。咬翼法(こうよくほう:上下の奥歯を同時に写す小さな撮影)で初めて見つかることが多い虫歯です。この見えない虫歯については子どもの歯と歯の間の虫歯|見えない虫歯とレントゲンの必要性で詳しく説明しています。 二つ目は、生え替わりの進み方の確認です。乳歯の下で永久歯がどこまで育っているかは、パノラマ1枚で全体が分かります。乳歯がなかなか抜けない、二枚歯になった、といった相談でよく撮る場面です。 三つ目は、永久歯がそもそもあるか、正しい位置にあるかの確認です。日本では永久歯が生まれつき足りない先天欠如が10人に1人程度に見られるという調査があり、乳歯が抜けても次が生えてこないときの原因になります。逆に、余分な歯(過剰歯)が上の前歯の間に埋まり、隙間や生え方のずれを起こしていることもあります。乳歯が抜けて半年以上たつのに永久歯が出てこない場合の考え方は永久歯が生えてこない|乳歯が抜けて半年以上たつときに考える原因(埋伏・先天欠如)と検査にまとめました。 四つ目は、転んで歯をぶつけた後です。見た目には欠けていなくても、根が折れている、乳歯の根が下の永久歯の芽に食い込んでいる、ということがあります。デンタルで根の状態を確認し、経過を見る間隔を決めます。ぶつけた直後の対応は子どもが歯をぶつけた・乳歯が折れた|受診の目安と応急処置をご覧ください。 五つ目は、虫歯の治療方針を決めるときです。乳歯の虫歯が神経の近くまで進んでいるか、根の先に膿がたまっていないかで、詰めるだけで済むのか神経の処置が要るのかが変わります。この判断にデンタルが使われます。処置ごとの違いは乳歯の虫歯はどう治す?詰める・かぶせる・神経の処置の違いで解説しています。
撮らないと分からないこと・撮らなくても分かること
見て分かるのは、歯の表面の虫歯、歯ぐきの腫れ、歯の揺れ、生えている歯の本数と並びです。定期検診の多くはこの範囲で済み、毎回レントゲンを撮る必要はありません。定期検診で行う内容と間隔は子どもの定期検診は何か月ごと?年齢別の内容・費用と通い続ける意味にまとめています。 一方、レントゲンでしか分からないのは、歯と歯の間や詰め物の下の虫歯、虫歯が神経までどのくらい近いか、根の先の炎症、あごの骨の中の永久歯の有無と位置と向き、埋まっている過剰歯、根の折れです。いずれも「今は症状がないが、放っておくと後で困るもの」が中心です。 つまり、撮らないという選択は、「これらが分からないまま進める」という選択でもあります。それが問題にならない場面(生え替わりが順調で心配な所見がない)もあれば、問題になる場面(奥歯がぴったり接していて虫歯のリスクが高い、乳歯が抜けて長く経つのに次が生えない、歯をぶつけた)もあります。どちらに当たるかをその都度確かめるのが現実的です。撮らない選択と、その相談の仕方
レントゲンを撮るかどうかは、最終的に保護者が決めてよいことです。断ったからといって診療を受けられなくなるわけではありません。 相談するときは、次のように聞くと話が進みやすくなります。「この撮影で何を確かめたいのですか」「撮らない場合、代わりにどう判断しますか」「今日でなくてもよいですか」の三つです。理由がはっきりしていれば納得して受けられますし、薄ければ「今回は見送り、次回の検診で症状があれば撮る」という落としどころが見つかります。 「少し様子を見てから撮る」も選択肢です。歯と歯の間の虫歯が疑われるが確証がない場合、フッ素と歯磨きを強化して半年後に撮る、という進め方は普通に行われています。 反対に、撮る側から「今回は撮ったほうがよい」と強く勧める場面もあります。乳歯が抜けて半年以上たつのに永久歯が出てこない、前歯の隙間が閉じない、ぶつけた歯の色が変わってきた、といったときです。こうした場面で撮らないと、後で処置が大がかりになることがあります。医院によって考え方や説明の丁寧さには差がありますので、子どもを診る体制を事前に見ておくと安心です。医院選びの視点は小児歯科と一般歯科の違い|子どもをどちらに連れて行くか・医院選びで見るポイントで扱っています。防護のためにしていること
まず、撮影の範囲を絞ることです。デンタルは歯2〜3本分しか写さず、歯科用CTも必要な部分だけを小さく写す設定を選ぶと線量を抑えられます。次に、デジタル撮影です。フィルムに比べて少ない線量で画像が得られ、現在の歯科医院の多くはデジタルに移行しています。 そして、防護エプロンと甲状腺カラーです。鉛の入ったエプロンを胸や腹にかけ、首元には甲状腺(こうじょうせん:首の前にあるホルモンを作る臓器)を覆うカラーを着けます。子どもの甲状腺は放射線の影響を受けやすいとされる臓器の一つで、首に近いデンタルではカラーの意味があります。近年は「デジタル化で散乱する放射線がごく少なくなり、エプロンの意味は以前ほど大きくない」という見解も専門団体から出ており、パノラマではエプロンが画像に写り込むため使わない医院もあります。使う・使わないはどちらも根拠のある判断で、気になるときは「この撮影ではどう防護しますか」と尋ねてみてください。じっとできない年齢での撮り方の工夫
被ばく量と同じくらい親が気にするのが、「うちの子は動いてしまって撮れないのでは」ということです。数秒止まっていられないと画像がぶれ、撮り直しになれば被ばくが増えます。 そのため、子どもが小さいうちは撮り方を変えます。デンタルでは、センサーを小さなものにする、保護者のひざに座って撮る、保護者が指でセンサーを支える、といった方法があります。パノラマは10秒ほど機械が顔の周りを回るため3歳前後では難しく、必要な場合は5〜6歳以降に回すのが一般的です。 もう一つ大切なのは、撮れないときに無理をしないことです。泣くお子さんを押さえて撮ることは、失敗を招きやすく、歯科が嫌になる原因にもなります。「今日は撮れなかった。次回、慣れてから撮り直す」という判断は、診療の場ではごく普通のことです。泣く・暴れるときの慣らし方や医院の対応は子どもが歯医者で泣く・暴れる|押さえて治療するべきか、慣らし方(トレーニング)と医院の対応で詳しく書いています。 家庭でできる準備もあります。「音が鳴るけど痛くないよ」と前もって伝えておくこと、空腹や眠い時間を避けること、撮影のときに親が不安そうな顔をしないこと。この三つで子どもの構え方はかなり変わります。