対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
乳歯がグラグラしてきたけれど、このまま抜けるのを待ってよいのか、家で抜いてもよいのか。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)の診療の場でも、5〜7歳のお子さんの保護者から特によく受ける相談です。乳歯の揺れは、多くの場合、永久歯が下から押し上げてくる正常な変化です。ただし、なかには一度確認しておいたほうがよい揺れ方もあります。このページでは、揺れる仕組み、抜けるまでの期間の目安、食事や歯磨きでの扱い方、家庭で抜いてよい条件と方法、そして歯科に相談したほうがよいサインを整理します。生え替わり全体の時期や順番は<a href="/treatment/kids-eruption-2/">乳歯から永久歯への生え替わり|時期・注意点・トラブル別の対処</a>にまとめています。

このページの要点
- 生え替わりによる揺れは、永久歯が乳歯の根を溶かして起きる正常な変化
- 揺れ始めてから抜けるまでは数週間〜数か月。個人差が大きい
- 食事も歯磨きも、痛くない範囲で普段どおりでよい
- 家で抜いてよいのは、皮一枚でぶら下がり、痛みがなく、本人が嫌がらないとき
- 糸で引く、無理に回す、まだしっかりしている歯を抜くのは避ける
- 何か月も抜けない、出血が止まらない、歯ぐきが腫れる、ぶつけて揺れた場合は受診
| 揺れの状態 | 何が起きているか | 家庭での対応 |
|---|---|---|
| わずかに動く | 揺れ始め。根が溶け始めた段階 | 普段どおり。触りすぎない |
| 前後に大きく動く | 根がかなり短くなっている | 硬いものは無理をしない。抜ける前触れ |
| 皮一枚でぶら下がる | 抜ける直前。痛みはほぼない | 清潔なガーゼで軽くつまむ。取れなければ待つ |
| 揺れが数か月変わらない | 永久歯の位置や向きの問題があり得る | 歯科でレントゲンを撮って確認する |
| ぶつけた後に揺れる | 外傷。生え替わりの揺れとは別 | 当日〜翌日に受診する |
乳歯が揺れるのは根が溶けているから
乳歯の下には、次に生えてくる永久歯の芽(歯胚:しはい)が控えています。永久歯が成長して上に向かって動き始めると、その圧力で乳歯の根が少しずつ吸収されていきます。 根が短くなるにつれて歯を支える面積が減り、揺れが始まります。最後には根がほとんどなくなり、歯ぐきにくっついているだけの状態になって抜け落ちます。 抜けた乳歯を見て「根がない」と驚く方がいます。折れたのではなく、溶けてなくなったのが正常な姿です。 したがって、生え替わりによる揺れは病気ではありません。乳歯は役目を終えて、次の歯に場所を譲る準備をしていると考えてください。 下の前歯は6歳前後、上の前歯は7歳前後、奥歯は9〜12歳頃に揺れ始めるのが一般的な流れです。ただし1年程度の幅は珍しくなく、早い遅いだけで心配する必要はありません。揺れ始めてから抜けるまでの期間
「いつ抜けますか」という質問に、一つの答えはありません。目安としては、揺れに気づいてから抜けるまで数週間から数か月です。 前歯は比較的早く、揺れてから1〜2か月で抜けることが多い印象です。奥歯(乳臼歯:にゅうきゅうし)は根が2〜3本に分かれており、それぞれの根が溶ける速さも違うため、揺れてから抜けるまでに数か月かかることも珍しくありません。 診療の場では、「揺れてから3か月以上経つ」と心配して来られる方がいますが、痛みや腫れがなく、少しずつ揺れが大きくなっているなら、多くの場合はそのまま待って問題ありません。 一方で、揺れの大きさが何か月も変わらない、あるいは揺れているのに永久歯が別の場所から顔を出したという場合は、後述するように一度確認しておくと安心です。揺れている間の食事と歯磨き
揺れている歯があると、食べ方や磨き方に迷う方が多いところです。基本は「痛くない範囲で普段どおり」です。 食事については、噛んで痛みがなければ制限は要りません。りんごの丸かじりや硬いせんべいなど、揺れている歯に強い力がかかるものは、無理に食べさせなくてよいでしょう。噛みにくそうであれば、反対側で噛む、小さく切るといった工夫で十分です。 歯磨きは、揺れている歯を避けると、その周りに汚れがたまり、歯ぐきが腫れる原因になります。歯ブラシを軽く当て、優しく動かして磨いてください。仕上げ磨きのときは、揺れている歯を指で押さえず、ブラシの毛先だけで触れる感覚です。 血が少しにじむことがありますが、根が溶けて歯ぐきとの境目がゆるんでいるためで、慌てる必要はありません。 この時期は奥に6歳臼歯も生えてくるため、磨き残しが増えます。生え替わり期の磨き方は小学生の歯磨き|6歳臼歯と生え替わり期の磨き残しポイントにまとめています。
家庭で抜いてよい条件と方法
家で抜いてよいかどうかは、次の三つがそろっているかで判断してください。 一つ目は、歯がほぼ皮一枚でぶら下がっている状態であることです。指で触れると簡単に倒れ、歯ぐきとのつながりがごくわずかしか残っていない状態を指します。 二つ目は、触っても痛みがないことです。痛がるなら、まだ根が残っています。 三つ目は、本人が嫌がっていないことです。怖がっている子を押さえつけて抜くと、歯科への苦手意識につながります。 三つがそろっていれば、方法は簡単です。清潔なガーゼかティッシュで歯をつまみ、軽くひねるように動かします。ほとんど力を入れなくても取れる状態が、抜いてよい状態です。力を入れないと取れないなら、まだ早いと考えて手を止めてください。 抜けた後は少し出血します。清潔なガーゼを丸めて穴に当て、5〜10分ほど噛んでもらいます。出血はそれで止まるのが普通です。 本人が自分で舌や指で押して抜いてしまうこともよくあります。それも自然なことで、問題はありません。やってはいけないこと
反対に、避けてほしいことがいくつかあります。 糸をくくって引き抜く方法は、昔からよく知られていますが、おすすめしません。糸が食い込んで歯ぐきを傷つけたり、根が残った状態で歯の頭だけが折れたりすることがあります。 無理に回す、強く引く動作も同じです。乳歯の根がまだ残っているときに力を加えると、根が折れて歯ぐきの中に残ることがあります。残った根は、そのまま吸収されることもありますが、炎症の原因になることもあります。 揺れが小さい歯を「早く抜いてしまおう」と抜くことも避けてください。根がしっかり残っており、痛みと出血を伴います。 ペンチやピンセットなどの器具を使うことも、口の中を傷つけるおそれがあるためやめてください。 そして、汚れた手で触らないことです。抜けた後の穴は傷口です。触る前に手を洗い、清潔なガーゼを使ってください。受診したほうがよい揺れ方
生え替わりによる揺れであれば待って問題ありませんが、次のような場合は一度歯科で確認してください。 一つ目は、揺れているのに何か月も抜けない場合です。永久歯の向きがずれている、永久歯がもともとない(先天性欠如)、余分な歯が邪魔をしているといった可能性があります。レントゲンを撮れば、下に控えている永久歯の位置と向きが分かります。余分な歯については過剰歯(余分な歯)が見つかったとき|抜くかどうかの判断と手術の流れで解説しています。 二つ目は、抜けた後に出血が止まらない場合です。ガーゼで10〜15分圧迫しても血がにじみ続けるときは、受診してください。 三つ目は、揺れている歯の周りの歯ぐきが赤く腫れている、押すと膿が出る場合です。乳歯の根の先の炎症は、次に生える永久歯に影響することがあります。 四つ目は、ぶつけた後に揺れ始めた場合です。次の項で詳しく述べます。 五つ目は、虫歯が大きく、揺れているのが虫歯のせいなのか生え替わりなのか分からない場合です。虫歯で歯が崩れている場合は、自然に抜けるのを待つより治療が必要になることがあります。 六つ目は、左右で揺れ方や抜ける時期が大きく違う場合です。左右差が半年〜1年以上あるときは、確認しておくと安心です。 揺れる前に歯ぐきがむずむずすると訴えるお子さんもいます。生え替わりとほかの原因の見分け方は歯茎がむずむず・かゆい原因とは|歯周病・疲れ・生え替わりの見分け方で扱っています。 学校の歯科健診で生え替わりの状態を指摘されることもあります。紙の見方は学校歯科健診で「要受診」の紙をもらったら|C・CO・GOの意味をご覧ください。ぶつけて揺れている乳歯との区別
同じ「揺れる」でも、ぶつけた後の揺れは原因が違います。 生え替わりの揺れは、根が溶けてゆるくなったものです。一方、外傷による揺れは、根が残ったまま、歯を支える組織が傷んで揺れています。見た目は似ていても、対応が変わります。 見分けの手がかりは、時期と経緯です。転んだ、ぶつけたという出来事の直後から揺れ始めた、揺れている歯の色が変わってきた、噛むと痛がる、歯ぐきから出血した。これらがあれば外傷を疑います。 まだ生え替わりの年齢に達していない2〜4歳の子が揺れている場合も、外傷や虫歯の可能性を先に考えます。 外傷の場合、乳歯の根の先には永久歯の芽があるため、揺れている乳歯をそのままにするか、固定するか、抜くかを判断する必要があります。当日〜翌日には受診してください。応急処置と受診の目安は子どもが歯をぶつけた・乳歯が折れた|受診の目安と応急処置にまとめています。抜けた後の穴の手当てと当日の過ごし方
無事に抜けた後、穴はどうすればよいか。基本は「触らず、そっとしておく」です。 出血は、ガーゼを噛んで5〜10分で止まります。止まった後は、穴に血のかたまり(血餅:けっぺい)ができて傷口をふさぎます。このかたまりが取れると、また血が出ることがあるため、舌や指で穴を触らないよう伝えてください。 うがいは、当日は軽くにとどめます。強くぶくぶくとうがいをすると、血のかたまりが流れてしまいます。 食事は、抜けた直後の1〜2時間は控え、その後は普段どおりで構いません。熱いものや刺激の強いものは当日は避けたほうが無難です。 お風呂や運動も、生え替わりによる抜け方であれば制限は要りません。出血が長引いた場合だけ、当日は激しい運動を控えてください。 翌日以降、穴の部分がやや白っぽく見えることがあります。治りかけの組織で、膿ではありません。数日で歯ぐきの色に戻ります。 抜けた直後は、隣の歯との間に隙間ができて、話しにくい、食べ物が挟まると訴えることがあります。永久歯が顔を出すまでの一時的なもので、数週間から数か月で落ち着きます。挟まったものは、無理にほじらず、うがいや歯ブラシで取ってください。抜けた乳歯をどうするか
抜けた乳歯をとっておく方は多く、乳歯ケースも市販されています。保管する場合は、水で軽く洗い、しっかり乾かしてからケースに入れてください。湿ったまま密閉するとカビが生えます。 屋根に投げる、床下に埋めるといった風習もあります。どちらでも構いません。 なお、抜けた乳歯を歯科に持参する必要はありません。ただし、根が長く残った状態で抜けた場合や、抜けた歯が欠けている場合は、根の一部が歯ぐきの中に残っている可能性があるため、その歯を持って受診すると判断しやすくなります。