親知らず4本を抜く費用はいくら?まとめて抜く場合と1本ずつの違い

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年9月2日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

親知らず4本を抜く費用は、1本あたりの目安に本数を掛けるだけでは計算が合いません。生え方によって1本ごとの金額が変わり、通院の回数によって初診料や再診料の積み重ねも変わるためです。このページでは、名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で親知らずの抜歯を検討している方に向けて、4本すべてを抜く場合の総額の考え方、まとめて抜く場合と1本ずつ抜く場合の費用と負担の違い、そして見落とされやすい検査料や薬代の扱いを整理します。金額は2026年9月時点の保険診療(3割負担)を前提とした目安です。

歯科医師と患者が治療計画書を見ながら抜歯の費用を相談している場面のイラスト

先に結論

  • 親知らずの抜歯は保険が使え、4本合計の窓口負担はおおむね1万円前後から2万円台に収まることが多い
  • 金額を決めるのは本数より「生え方」。まっすぐ生えた歯と、横向きに埋まった歯では1本あたり数倍の差が出る
  • まとめて抜くと初診料・再診料の回数が減るため総額はやや下がる。ただし体への負担は増える
  • 抜歯料そのもの以外に、初診料・レントゲン・CT・薬代・抜糸の再診が積み上がる
  • 1回で抜くのは基本的に上下同じ側の2本まで。4本を一度にというのは一般的な歯科医院では現実的でない
費用の全体像と生え方による差は親知らず抜歯の費用と保険適用の目安|難易度で変わる相場を解説にまとめています。このページでは「4本」という本数に絞って、総額の組み立て方を見ていきます。 まず、1本あたりの窓口負担の目安を生え方別に並べます。
生え方状態3割負担の目安処置時間
まっすぐ(上)頭が完全に見えていて器具でつかめる約1,000〜2,000円5〜15分
まっすぐ(下)見えているが骨に深く入っている約1,500〜3,000円10〜30分
斜め・半埋伏一部だけ歯ぐきから出ている約2,500〜4,000円20〜40分
水平埋伏横向きに完全に埋まっている約3,000〜5,000円30〜60分
※抜歯料のみの目安です。初診料・検査・薬代は別に加算されます。医院や年度の診療報酬によっても変動します。

4本の総額はどう積み上がるか

親知らずは上下左右に1本ずつ、合計4本あります。ただし、4本すべてがそろっている方ばかりではありません。もともと生えてこない歯があるのは珍しいことではなく、実際には2本や3本という方も多くいます。 4本そろっている場合、上の2本は比較的まっすぐ生えていて、下の2本が斜めや横向きというパターンが最も多く見られます。この組み合わせだと、上2本で約2,000〜4,000円、下2本で約6,000〜10,000円ほどとなり、抜歯料だけで合計8,000〜14,000円程度が目安になります。 ここに、抜歯料以外の費用が乗ります。初診料が約1,000円弱、パノラマレントゲンが約1,000〜1,500円、下の埋伏歯でCTを撮る場合は追加で約1,000〜3,500円です。抜歯のたびに処方される痛み止めと抗菌薬が1回あたり数百円、抜糸のための再診が1回あたり数百円かかります。 これらを合わせると、4本すべてを抜き終えるまでの総額は、おおむね1万数千円から2万数千円の範囲に収まることが多くなります。上下すべてが水平に埋まっているような難しいケースでは、これを上回ることもあります。 なお、保険が使えるのは治療上の必要がある場合です。痛みや腫れ、虫歯、歯並びへの影響といった医学的な理由があれば保険診療になります。この判断の考え方は親知らずは抜くべき?抜かなくてよいケースの基準をご覧ください。 検査の費用については親知らず抜歯前のCT・レントゲン費用|検査代の内訳と必要になるケース、薬や再診の費用は親知らず抜歯の薬代・再診料はいくら?抜歯当日以外にかかる費用で詳しく扱っています。
1本ずつ抜く場合と2本まとめて抜く場合の通院回数を比べたイラスト

まとめて抜くと安くなるのか

「4本まとめて抜けば安くなりますか」という質問はよく受けます。結論から言えば、少しは下がりますが、期待されるほどの差は出ません。 安くなる理由は明確です。1本ずつ4回に分けると、そのたびに再診料が発生し、そのたびに薬が処方されます。2本ずつ2回にまとめれば、この回数が半分になります。差額としては、数千円程度と考えてください。 一方で、抜歯料そのものは本数分かかります。ここが割引されることはありません。同じ日に2本抜いても、抜歯料は2本分です。つまり、まとめることで減るのは「付随する費用」だけです。 そして、費用より重視していただきたいのが体への負担です。同じ日に複数本を抜くと、麻酔の量が増え、処置時間が長くなり、術後の腫れも広い範囲に出ます。左右両側を同時に抜けば、どちら側でも噛めない期間ができ、食事が大きく制限されます。 このため、同じ日に抜くのは上下同じ側の2本までとするのが一般的です。右上と右下、あるいは左上と左下という組み合わせであれば、反対側で噛めるため生活への影響を抑えられます。 4本を1回で抜くという方法は、全身麻酔での入院を伴う場合に選ばれることがあります。これは大学病院や口腔外科を持つ病院での対応となり、費用の考え方も外来とは変わります。静脈内鎮静法・全身麻酔で親知らずを抜く費用|保険が使える条件大学病院で親知らずを抜くと費用は高い?歯科医院との違いと紹介状の料金をご覧ください。

通院回数と期間の見通し

費用と同じくらい気になるのが、何回通うことになるかという点です。 一般的な流れは、初診で相談とレントゲン撮影、次の回で抜歯、そして1週間後に抜糸という3回が1セットです。縫合しない上の歯であれば、抜糸が不要になり2回で終わることもあります。 これを2本ずつ2セットで進めると、初診を1回にまとめられるため、通院はおおむね5回前後になります。1本ずつ4セットに分けると、8回前後まで増えます。 期間としては、2本ずつであれば1か月から2か月ほどで完了することが多くなります。ただし、前の抜歯部位が落ち着いてから次に進むため、間隔をあけて2〜4週間ほど置くのが通常です。 急いでまとめる必要があるのは、留学や長期出張、妊娠を予定しているといった事情がある場合です。特に妊娠については、時期によって抜歯や投薬が難しくなるため、計画的に済ませておく意味があります。詳しくは妊娠中・妊娠前の親知らず|生えてきた・痛いときの対処と抜歯のタイミングをご覧ください。 抜歯そのものの流れと当日の過ごし方は親知らず抜歯の流れと術後の痛み・腫れの経過で確認できます。

上と下で費用が違う理由

同じ親知らずでも、上と下では金額に差が出ます。これは処置の難しさの違いによるものです。 上の親知らずが入っている上顎の骨は、下顎に比べてやわらかく、歯を動かしやすい構造をしています。まっすぐ生えていれば、器具をかけて数分で抜けることも珍しくありません。 下の親知らずは事情が違います。下顎の骨は硬く緻密で、しかも親知らずが横向きや斜めに埋まっていることが多くなります。この場合、歯ぐきを開き、必要に応じて骨を少し削り、歯を分割して取り出すという段取りになります。処置の内容が増える分、点数が上がります。 さらに下の親知らずには、根の近くを下歯槽神経という太い神経が走っているという事情があります。この位置関係を確認するためにCTが必要になることがあり、検査費用が加わります。神経との距離とリスクについては親知らず抜歯と神経麻痺のリスク|下歯槽神経・CT検査の意味にまとめました。 上下の違いをもう少し詳しく知りたい方は上の親知らずと下の親知らずの違い|抜歯の難易度・腫れ・痛みを、横向きの歯の抜き方は横向き・埋まっている親知らず(埋伏智歯)の抜歯|難易度と流れをご覧ください。
抜歯の見積書と4本の歯のアイコンが机の上に並んでいるイラスト

負担を抑えるために知っておきたいこと

医療費控除は、親知らずの抜歯にも使えます。1年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告で所得税の一部が戻ります。4本の抜歯だけで10万円に届くことは少ないものの、家族全員の医療費を合算できるため、他の治療と合わせると対象になることがあります。通院のための公共交通機関の運賃も含められます。詳しくは歯科の医療費控除の対象と申請方法|計算例まで解説をご覧ください。 入院を伴う全身麻酔での抜歯では、高額療養費制度の対象になる場合があります。ひと月の自己負担が上限を超えた分が払い戻される仕組みです。高額療養費制度は歯科治療に使える?対象と申請方法で条件を確認してください。 会計時に金額が想定と違うと感じたときは、診療明細書を確認してください。何にいくらかかったかが項目ごとに記載されています。読み方は歯科の診療明細書の見方|点数のしくみと会計が高く感じる理由にまとめています。 そして、費用の面で最も大きいのは「抜くかどうか」の判断そのものです。症状がなく、噛み合わせにも影響していない親知らずは、経過を見るという選択もあります。当院では、痛みや腫れを繰り返している、手前の歯に虫歯を作っている、清掃が届かず歯ぐきの炎症が続いている、といった条件のいずれかに当てはまる場合に抜歯をおすすめしています。4本あるからといって、4本すべてを抜く必要があるとは限りません。

見積もりを聞くときの伝え方

事前に総額を知りたい場合は、初診時に聞いておくのが確実です。 そのとき、「全部でいくらですか」と尋ねるより、聞き方を分けたほうが正確な答えが返ってきます。1本あたりの抜歯料はいくらか、CTは必要か、何回に分けることになるか、抜糸は必要か。この4点が分かれば、総額はおおよそ計算できます。 レントゲンを撮った後であれば、歯科医師は生え方を把握しているため、難易度に応じた見通しを伝えられます。逆に、撮影前の段階では正確な金額は答えられません。 また、大学病院への紹介が必要かどうかも、この時点で確認しておくとよい点です。紹介になれば、紹介状の作成料と、紹介先での初診料が別に発生します。判断の基準は親知らず抜歯で大学病院・口腔外科を紹介されるのはどんなとき?をご覧ください。 名古屋市内でも、口腔外科を併設している歯科医院と、そうでない医院があります。横向きに埋まった歯を院内で対応できるかどうかは医院によって異なるため、最初の相談先を選ぶ段階で確認しておくと二度手間になりません。

抜かずに残した場合の将来の費用

費用を比べるとき、抜く側の金額だけを見ると判断を誤ります。残した場合にかかる可能性のある費用も、同じ土俵に乗せてください。 親知らずが原因で起きやすいのが、手前の歯の虫歯です。親知らずと第二大臼歯の境目は歯ブラシが届きにくく、汚れがたまります。ここに虫歯ができると、削って詰める治療が必要になります。進行して神経に達すれば、根の治療と被せ物まで進みます。この一連の治療は、親知らず1本の抜歯より高くつきます。 さらに問題なのは、この位置の虫歯が治療しにくいことです。親知らずが手前の歯にかぶさっていると器具が届かず、まず親知らずを抜いてからでないと手前の歯を治せない、という順番になります。結果として、抜歯と虫歯治療の両方が必要になります。詰め物の下で進む虫歯については詰め物の下の虫歯を放置するとどうなる|神経・抜歯に至る流れと受診の目安をご覧ください。 もう一つが、歯ぐきの炎症を繰り返す場合です。半分だけ生えた親知らずの周りは清掃が届かず、疲れや体調の変化で腫れます。腫れるたびに受診し、抗菌薬を処方され、痛みが落ち着いたらまた放置する。この繰り返しにも費用と時間がかかります。腫れの原因と対処は親知らず周りの歯茎が腫れて痛い原因と対処にまとめました。 一方で、まっすぐ生えていて上下でしっかり噛み合い、清掃も届いている親知らずは、抜く理由がありません。将来、手前の歯を失ったときに橋渡しの支えとして使える可能性もあります。この場合は、定期的に確認しながら残すという判断になります。 つまり、4本の見積もりを考えるときの本当の問いは「4本でいくらか」ではなく、「どの歯に抜く理由があるか」です。レントゲンを見ながら1本ずつ判断すれば、実際に必要な本数は思ったより少ないことがあります。 年齢による違いも押さえておいてください。若いうちは骨がやわらかく、根も完成しきっていないため、抜歯そのものが比較的容易です。年齢が上がると骨が硬くなり、処置に時間がかかり、術後の回復も遅くなります。抜くと決めているなら早いほうが負担は小さく、費用の面でも難易度が上がる前のほうが有利です。

よくある質問

親知らず4本の抜歯にかかる総額はいくらですか

生え方によりますが、3割負担でおおむね1万数千円から2万数千円が目安です。上2本がまっすぐ、下2本が斜めや横向きという最も多い組み合わせで、抜歯料の合計が8,000〜14,000円程度になります。これに初診料、パノラマレントゲン、必要に応じたCT、抜歯ごとの薬代、抜糸の再診が加わるため、抜歯料だけで見積もると実際の会計とは差が出ます。

4本まとめて抜いたほうが安くなりますか

再診料と薬の処方回数が減るため、総額は数千円ほど下がります。ただし抜歯料そのものは本数分かかり、同じ日に2本抜いても割引はありません。金額差が大きくない一方で体への負担と食事の制限は確実に増えるため、費用よりもそちらを基準に、上下同じ側の2本ずつに分ける進め方をおすすめしています。

一度に4本抜くことはできますか

外来の歯科医院では通常行いません。麻酔の量と処置時間が増えるうえ、左右両側を同時に抜くとどちらでも噛めない期間ができるためです。4本を一度に抜くのは全身麻酔で入院して行う場合に限られ、大学病院や口腔外科を持つ病院での対応になります。持病の有無や本人の希望をふまえて検討されます。

親知らずの抜歯に保険は使えますか

治療上の必要があれば保険診療です。痛みや腫れを繰り返す、虫歯になっている、手前の歯に悪影響が出ている、清掃が届かず炎症が続いているといった医学的な理由がある場合が該当し、実際の抜歯の多くはここに当てはまります。症状がまったくない歯を予防目的で抜く場合の扱いは、事前に医院で確認してください。

抜歯料以外にどんな費用がかかりますか

初診料が約1,000円弱、パノラマレントゲンが約1,000〜1,500円、下の埋伏歯でCTを撮る場合は約1,000〜3,500円が加わります。さらに抜歯のたびに痛み止めと抗菌薬の処方が数百円、抜糸のための再診が数百円かかります。処置そのものより、これらの積み重ねが総額を押し上げると考えてください。

上と下で費用が違うのはなぜですか

処置の難しさが違うためです。上顎の骨はやわらかく、まっすぐ生えていれば数分で抜けることもあります。下顎は骨が硬く、親知らずが横向きや斜めに埋まっていることが多いため、歯ぐきを開き、骨を削り、歯を分割する段取りが必要になります。作業の内容が増える分だけ点数が高くなる仕組みです。

4本すべて抜く必要はありますか

必要とは限りません。症状がなく、噛み合わせにも清掃にも問題が出ていない親知らずは、経過を見るという選択があります。痛みや腫れを繰り返している、手前の歯に虫歯を作っている、歯ぐきの炎症が続いているといった条件に当てはまる歯から順に検討するのが現実的で、そもそも4本そろっていない方も多くいます。

通院は何回くらい必要ですか

2本ずつ2回に分ける場合で、初診、抜歯2回、抜糸2回のおおむね5回前後です。1本ずつ4回に分けると8回前後まで増えます。期間としては、前の抜歯部位が落ち着くのを待って2〜4週間の間隔をあけるため、1か月から2か月ほどで完了することが多くなります。上の歯は抜糸が不要なこともあります。 1本ごとの金額がどこで決まるかは横向き・埋まっている親知らずの抜歯費用|まっすぐな歯との差額はいくらか、通院のたびに窓口でいくら支払うかは親知らず抜歯の当日はいくら持っていけばよい?会計の内訳と支払い方法で扱っています。

まとめ

親知らず4本の抜歯費用は、1本あたりの金額に4を掛けて求めるものではありません。金額を決めるのは本数ではなく生え方で、まっすぐ生えた上の歯なら3割負担で約1,000〜2,000円、横向きに完全に埋まった下の歯では約3,000〜5,000円と、同じ親知らずでも数倍の開きがあります。最も多い「上2本はまっすぐ、下2本は斜めか横向き」という組み合わせでは、抜歯料の合計が8,000〜14,000円程度。ここに初診料、パノラマレントゲン、必要に応じたCT、抜歯ごとの薬代、抜糸の再診が加わり、抜き終えるまでの総額はおおむね1万数千円から2万数千円に収まります。まとめて抜けば安くなるかという点については、減るのは再診料と薬の処方回数だけで、抜歯料そのものに割引はありません。差額は数千円程度です。それよりも、同じ日に複数本を抜くと麻酔の量と処置時間が増え、左右同時なら食事が大きく制限されます。上下同じ側の2本までにとどめ、反対側で噛める状態を保つ進め方が現実的です。費用を抑える手段としては医療費控除があり、入院を伴う場合は高額療養費制度の対象になることもあります。そして最も大きいのは、抜くかどうかの判断そのものです。4本あるから4本抜く、ではありません。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で検討されている方は、レントゲンを撮ったうえで1本ごとの必要性と難易度を確認し、親知らず抜歯の費用と保険適用の目安|難易度で変わる相場を解説とあわせて計画を立ててください。

参考・出典

  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法」(歯科点数表)
  • 日本口腔外科学会「親知らず(智歯)」
  • 公益社団法人 日本歯科医師会「歯とお口のことなら何でもわかるテーマパーク8020」
  • 国税庁「医療費控除の対象となる医療費」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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