口腔機能低下症の検査とは|7項目で調べる内容と保険の扱い

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年8月21日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

口腔機能低下症の検査は、噛む・飲み込む・話すといった口の働きが、どこまで落ちているかを数値で調べるものです。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも、食事のときにむせる、硬い物を避けるようになった、滑舌が悪くなったといったご相談を受けます。こうした変化は年齢のせいと片づけられがちですが、実際には検査で確かめられ、対応もできます。このページでは、7つの検査項目で何を調べるのか、診断の基準、保険の扱い、その後の管理の流れを整理します。前段階の考え方は<a href="/treatment/oral-frail/">オーラルフレイルとは|高齢の親の口の衰えチェックと予防</a>をご覧ください。

口の働きを測る検査機器と記録用紙を並べた抽象的なイラスト

先に結論

  • 7つの項目を測り、そのうち3項目以上が基準を下回ると口腔機能低下症と診断される
  • 対象はおおむね50歳以上。年齢だけでなく症状や状態で判断する
  • 検査は痛みを伴わず、全体で30分ほど
  • 保険診療で受けられる。3割負担で数百円から千数百円程度が目安
  • 診断が目的ではなく、落ちている項目に応じた訓練と管理につなげるためのもの
  • 放置すると食べられる物が減り、栄養と全身の状態に影響する
検査の7項目を並べます。
項目調べ方分かること
口の清潔さ舌の表面の汚れの付き方を見る細菌の量と誤嚥時のリスク
口の乾き専用の機器で粘膜の湿り気を測る唾液の量と自浄作用の低下
噛む力専用のシートを噛んで圧を測る歯と筋肉による力の出方
舌と唇の動き「パ」「タ」「カ」を各5秒発音し回数を数えるすばやく動かす能力
舌の力風船状の器具を舌で押しつぶす食塊を送り込む力
噛み砕く能力専用のグミを噛んで溶け出す量を測る実際に食べ物を処理できるか
飲み込む力質問票で日常の困りごとを確認するむせやすさ・のどの通りにくさ
※測定の方法は医院の機器により一部異なります。

なぜ「症状」ではなく「数値」で見るのか

口の働きの低下は、ゆっくり進みます。自分では気づきにくく、気づいても年齢のせいと解釈されやすい変化です。 たとえば、硬い物を食べなくなったという変化があります。本人は「好みが変わった」と説明しますが、実際には噛む力が落ちて避けているという場合があります。同じように、汁物でむせるようになったことを「あわてて飲んだから」と説明することもあります。 数値で測ると、この解釈のずれが解消されます。どの働きがどの程度落ちているのかが分かれば、対応する訓練を選べます。 もう一つの利点は、比較ができることです。半年後、1年後に同じ検査を行えば、良くなったのか、維持できているのか、進んでいるのかが分かります。訓練を続ける動機にもなります。 そして、7項目のうち落ちている項目が人によって違うことも重要です。噛む力は保たれているのに舌の力だけが落ちている方、逆に乾燥だけが目立つ方もいます。原因が違えば、必要な対応も変わります。

7つの項目が見ているもの

一つずつ、何を意味しているのかを説明します。 口の清潔さは、舌の表面に付いた汚れの量で判断します。舌の汚れは細菌の温床になり、誤って気管に入った場合の肺炎のリスクに関わります。関係は歯周病と誤嚥性肺炎の関係|高齢者・介護で気をつけたい口腔ケアを歯科医が解説で扱っています。 口の乾きは、粘膜の湿り気を測る機器で調べます。唾液が減ると、汚れが流れにくくなり、飲み込みにくさや虫歯のリスクにも直結します。原因と対策は口が乾く原因とドライマウスの対策|唾液を増やす方法をご覧ください。 噛む力は、専用のシートを噛んで測ります。歯が失われている、入れ歯が合っていない、といった要因で低下します。入れ歯の調整については入れ歯が合わない・痛い|原因と調整・我慢しないための知識にまとめました。 舌と唇の動きは、「パ」「タ」「カ」をそれぞれ5秒間、できるだけ速く発音してもらい、1秒あたりの回数を数えます。パは唇、タは舌の先、カは舌の奥の動きを反映します。滑舌の変化はここに現れます。 舌の力は、風船状の器具を舌で上あごに押しつけて測ります。食べ物をまとめてのどへ送り込む働きに関わります。 噛み砕く能力は、専用のグミを一定回数噛み、溶け出した成分の量から判断します。力があっても、歯の本数や当たり方が悪ければ、実際の処理能力は落ちます。 飲み込む力は、日常の困りごとを尋ねる質問票で確認します。むせる頻度、のどに残る感じ、食事にかかる時間などです。
7つの検査項目を円形に配置して示した抽象的な図

診断の基準と、対象になる方

7項目のうち3項目以上が基準値を下回った場合に、口腔機能低下症と診断されます。 「低下症」という名前が付くと不安に感じられるかもしれませんが、これは病名として管理の対象にするための区分です。診断されること自体が目的ではなく、管理を続ける根拠として使われます。 保険の枠組みでは、おおむね50歳以上が対象として想定されています。ただし年齢だけで決まるものではなく、脳血管の病気の後、がんの治療後、服用中の薬の影響など、機能が落ちる要因がある方も対象になります。 若い方でも、口呼吸や姿勢の影響で舌の力が弱い場合があります。この場合は別の枠組みで対応することになります。子どもの口呼吸については子どもの口呼吸・ぽかん口|歯並びと健康への影響・改善方法をご覧ください。 診断されなかった場合も、無駄にはなりません。基準を下回った項目が1つや2つあれば、そこが弱点であることが分かります。今の数値を記録しておけば、次回の比較材料になります。

検査の流れと費用

所要時間は、全体でおおむね30分程度です。痛みを伴う検査はありません。 まず問診で、食事の状況や気になっていることを確認します。次に口の中を見て、清潔さと乾燥を測ります。続いて噛む力、舌と唇の動き、舌の力、噛み砕く能力を順に測定します。最後に飲み込みに関する質問票に答えます。 結果はその場で説明されます。どの項目が基準を下回っているか、それが日常のどの場面に対応するのかを聞いてください。 費用は保険診療の範囲で、3割負担の方で数百円から千数百円程度が目安です。ただし、同時に行う他の処置や管理料によって合計は変わります。会計時の内訳の読み方は歯科の診療明細書の見方|点数のしくみと会計が高く感じる理由にまとめました。 なお、この検査を実施している医院は限られます。専用の機器が必要なためです。受診前に電話で確認してください。継続的に管理する体制を持つ医院についてはか強診とは|毎月のクリーニングが保険でできる歯科医院の条件をご覧ください。
口の体操と食事の工夫を組み合わせた管理の流れを表したイラスト

診断された後に行うこと

検査は入り口です。結果に応じて、何をするかが決まります。 舌の力が落ちている場合は、専用の器具を使った訓練や、舌を上あごに押しつける運動を行います。回数と頻度を決めて、自宅で続けてもらう形になります。 舌と唇の動きが落ちている場合は、発音の練習が中心になります。「パタカラ」と繰り返す運動が知られていますが、漫然と行うより、回数を記録して比較するほうが続きます。 噛む力や噛み砕く能力が落ちている場合は、まず歯そのものの状態を整えます。合わない入れ歯の調整、失った歯の補い方の検討が先になります。選択肢の比較は歯を失ったときの選択肢|入れ歯・ブリッジ・インプラント比較をご覧ください。 口が乾いている場合は、原因を確かめます。服用中の薬が関わっていることも多く、その場合は主治医と相談のうえで対応を考えます。保湿剤の使い方や唾液腺のマッサージも指導します。 清潔さが保てていない場合は、清掃の方法を見直します。道具の選び方は歯間ブラシとデンタルフロス、どっちを使うべき?選び方と正しい使い方を歯科医が解説にまとめてあります。ご自身での清掃が難しい場合は、通院での管理を組み合わせます。 そして、3〜6か月後に再検査を行い、変化を確認します。この繰り返しが管理の本体です。

食事の工夫で補えること

訓練と並行して、日々の食事でできることがあります。 軟らかい物ばかりを選ぶと、噛む機会が減り、機能はさらに落ちます。とはいえ、無理に硬い物を食べればむせる危険があります。この間を取るのが工夫の要点です。 たとえば、切り方を変える方法があります。繊維を断つ方向に切る、隠し包丁を入れるといった調理の工夫で、噛みやすさは変わります。 とろみをつける方法も有効です。液体はのどを速く通るためむせやすく、少しとろみをつけると通り方が緩やかになります。 食べる姿勢も影響します。あごが上を向いた状態では、のどが開いて誤嚥しやすくなります。少しあごを引いた姿勢が基本です。 食事にかかる時間が長くなった、途中で疲れて残すようになったという変化は、機能低下の手がかりになります。食習慣と歯の関係は歯にいい食べ物・悪い食べ物|間食の回数が虫歯を左右する理由もご覧ください。

家族が気づける変化

ご本人より、周囲のほうが先に気づくことが多い領域です。目安を挙げておきます。 食事中にむせることが増えた。食後に声がかすれる。食事の時間が長くなった。同じ物ばかり食べるようになった。薬が飲みにくいと言う。口を開けたときに舌が乾いている。 こうした変化は、単独では見過ごされます。ただし複数が重なっていれば、検査を受ける目安になります。 通院が難しい状態であれば、自宅で受ける方法もあります。条件と費用は訪問歯科診療とは|通院できない家族が自宅で受けられる治療と費用にまとめました。 なお、急に飲み込みにくくなった、片側だけ動きが悪い、しびれを伴うといった場合は、別の疾患の可能性があります。この場合は歯科ではなく、まず医科の受診を優先してください。 定期的に見てもらう機会があれば、こうした変化も拾いやすくなります。検診の内容は歯の定期検診では何をする?内容・費用・所要時間、間隔が空いた場合の影響は歯の定期検診に行かないとどうなる?3年後・5年後に起きる変化と費用の差をご覧ください。粘膜の確認については歯科検診で口腔がんは見つかる?粘膜のチェックで見ているところにまとめています。

検査を受ける前に整理しておくとよいこと

受診の前に、いくつか手元に用意しておくと、その日のうちに方針まで進みます。 一つ目は、困っている場面の記録です。「かたまりのご飯でむせる」「汁物でむせる」「薬が飲みにくい」など、具体的な場面を書き出しておいてください。項目のどれが落ちているかを推測する手がかりになります。 二つ目は、服用中の薬です。口の乾きを招く薬は少なくありません。お薬手帳を持参してください。 三つ目は、食事の内容の変化です。この1年で食べなくなった物、避けるようになった物があれば挙げてください。噛む力の低下は、この形で現れます。 四つ目は、体重の変化です。食べられる物が減ると、体重が落ちます。全身の状態と結びつけて考える材料になります。 五つ目は、入れ歯を使っている場合、その状態です。使っていない入れ歯があれば、それも持参してください。

数値が改善しないときに考えること

訓練を続けても数値が変わらない場合があります。焦らずに、いくつかの点を確認します。 まず、維持できているかどうかを見ます。何もしなければ落ちていく時期に、同じ数値を保てているのであれば、それは効果が出ていると考えられます。改善だけを目標にすると、続ける意欲が失われます。 次に、訓練の内容が合っているかを見直します。落ちている項目と行っている運動が対応していない場合があります。 三つ目に、歯や入れ歯の状態を確認します。噛む力の数値は、装置が合っていなければ上がりません。訓練より先に、こちらの調整が必要な場合があります。 四つ目に、全身の状態です。持病の進行や薬の変更が影響していることもあります。この場合は、主治医と情報を共有します。

検査の対象にならないと言われた場合

年齢や状態によっては、保険の枠組みでの検査対象にならないことがあります。その場合の考え方を示します。 まず、対象外であっても、困っている症状がなくなるわけではありません。むせる、話しにくい、食べにくいといった訴えがあれば、その原因を探る診察は受けられます。 原因が歯や入れ歯にある場合は、そちらの治療で改善することがあります。噛み合わせの高さが合っていない、入れ歯が動く、奥歯が失われて片側でしか噛めないといった状態は、機能の検査を待たずに対応できます。 飲み込みの問題が中心である場合は、医科との連携が必要になります。耳鼻咽喉科やリハビリテーション科で詳しい検査を受けられる場合があります。 若い方で滑舌や口呼吸が気になる場合は、別の枠組みで相談します。姿勢や習慣が関わることもあり、歯並びとの関係を含めて確認します。 いずれの場合も、「対象外」で終わらせず、何が原因かを一緒に整理することが出発点になります。

検査を続ける意味

一度受けて終わりにせず、間隔を空けて繰り返すことに意味があります。 口の働きは、年齢とともに緩やかに変化します。1回の測定では「今この位置にいる」ことしか分かりませんが、2回、3回と重ねれば、どちらの方向へ動いているかが見えます。 たとえば、舌の力が前回と同じであれば、それは維持できているということです。何もしなければ落ちていく時期に保てているのなら、続けている運動には意味があったと判断できます。 逆に、複数の項目が同時に落ちている場合は、口の中だけの問題ではない可能性があります。全身の状態や食事量の変化と重ねて考える必要が出てきます。 検査の間隔は、状態によって3か月から6か月ごとが目安になります。訓練を始めた直後は短めに、安定してきたら長めにという調整が一般的です。次にいつ測るかを決めて帰ることで、続けやすくなります。

よくある質問

口腔機能低下症の検査では何を調べますか

口の清潔さ、乾き、噛む力、舌と唇の動き、舌の力、噛み砕く能力、飲み込む力の7項目を測ります。専用の機器やシート、質問票を使い、全体で30分ほどです。痛みを伴う検査はなく、結果はその場で説明されます。

何項目当てはまると診断されますか

7項目のうち3項目以上が基準値を下回った場合に口腔機能低下症と診断されます。診断そのものが目的ではなく、落ちている項目に応じた訓練や管理につなげるための区分です。該当しなくても弱点の把握には役立ちます。

何歳から受けられますか

保険の枠組みではおおむね50歳以上が想定されています。ただし年齢だけで決まるものではなく、脳血管の病気の後やがんの治療後、薬の影響で機能が落ちている方も対象になります。気になる症状があれば年齢に関わらず相談してください。

検査は保険で受けられますか

保険診療の範囲で受けられます。3割負担の方で数百円から千数百円程度が目安ですが、同時に行う処置や管理料によって合計は変わります。専用の機器が必要なため実施している医院は限られており、事前に確認してください。

診断されたらどんな訓練をしますか

落ちている項目によって変わります。舌の力なら器具を使った訓練、舌と唇の動きなら発音の練習、噛む力なら歯や入れ歯の状態を整えることが先になります。3〜6か月後に再検査を行い、変化を確認しながら続けます。

オーラルフレイルとは何が違いますか

オーラルフレイルは口の働きが衰えていく過程を指す考え方で、口腔機能低下症は検査で基準を下回った状態に付けられる病名です。前者が気づきの段階、後者が数値で確認して管理に入る段階と考えると分かりやすくなります。

家族のどんな変化に気をつければよいですか

食事中にむせる、食後に声がかすれる、食事の時間が長くなった、軟らかい物ばかり選ぶ、薬が飲みにくいと言う、といった変化です。単独では見過ごされますが、複数が重なっていれば検査を受ける目安になります。

名古屋で検査を受けられますか

名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の歯科医院で受けられます。ただし専用の機器を備えている医院に限られるため、電話で実施の有無を確認してください。通院が難しい場合は訪問診療で対応できることもあります。

まとめ

口腔機能低下症の検査は、噛む・飲み込む・話すという口の働きを7つの項目で測り、どこがどれだけ落ちているかを数値で把握するものです。測るのは、口の清潔さ、乾き、噛む力、舌と唇の動き、舌の力、噛み砕く能力、飲み込む力の7つで、このうち3項目以上が基準値を下回ると口腔機能低下症と診断されます。数値で見る意味は、症状の解釈のずれを解消できることにあります。硬い物を避けるようになった変化が好みの問題なのか噛む力の低下なのかは、測れば分かります。また、半年後、1年後に同じ検査を行えば、良くなったのか維持できているのかが比較でき、訓練を続ける動機にもなります。対象は保険の枠組みでおおむね50歳以上ですが、脳血管の病気の後やがんの治療後、薬の影響がある方も含まれます。検査はおおむね30分、痛みを伴わず、3割負担で数百円から千数百円程度が目安です。診断された後は、舌の力なら器具を使った訓練、動きなら発音の練習、噛む力なら歯や入れ歯の状態を整えるところから始め、3〜6か月ごとに再検査して変化を追います。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいの方は、オーラルフレイルとは|高齢の親の口の衰えチェックと予防で気づきの段階を確認し、歯の定期検診では何をする?内容・費用・所要時間の機会にあわせて相談してみてください。

参考・出典

  • 日本老年歯科医学会「口腔機能低下症に関する基本的な考え方」
  • 日本歯科医学会「口腔機能低下症の検査・診断の指針」
  • 厚生労働省e-ヘルスネット 高齢者の口腔機能」
  • 日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下障害に関する指針」
  • 名古屋市「歯と口の健康づくり」

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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