対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
ファイバーコアとメタルコアの違いは、歯の根に伝わる力の逃げ方と、割れたときの歯の残り方にあります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも「土台は白いものと金属のどちらがよいですか」というご質問をよくいただきます。土台(コア)は被せ物の下に隠れて見えない部品ですが、その歯があと何年もつかを左右する部分です。このページでは、二つの材料の性質、割れ方の違い、見た目への影響、費用の考え方を並べて整理します。土台と被せ物の全体像は<a href="/treatment/rootcanal-crown/">根管治療後の土台と被せ物|ファイバーコアとクラウンの選び方</a>をご覧ください。

先に結論
- ファイバーコアは歯の硬さに近く、強い力がかかったときに根が縦に割れにくい
- メタルコアは硬くて変形しにくい反面、力が根の一点に集中しやすい
- どちらも保険で選べる。ファイバーコアは2016年から保険に導入されている
- 前歯や、セラミックの被せ物を予定している歯では、透明感の点でファイバーコアが有利
- 残っている歯質が極端に少ない歯では、メタルコアが選ばれることがある
- 材料そのものより、歯ぐきより上に歯質が何ミリ残っているかの方が予後に効く
そもそも土台(コア)は何のために入れるのか
根管治療を終えた歯は、中身がくり抜かれた状態です。神経と血管が入っていた空洞と、虫歯を取り除いた部分が合わさって、外側の壁だけが残ります。この状態のまま被せ物をかぶせても、被せ物が歯にしがみつく面積が足りず、すぐに外れてしまいます。 そこで、空洞を埋めて被せ物が乗る形を作り直すのが土台(コア:被せ物の土台となる人工の芯)です。歯科では支台築造(しだいちくぞう)と呼びます。処置そのものの流れは根管治療後に土台を立てる日の流れ|支台築造の処置内容・時間・当日の注意にまとめました。 土台には二つの仕事があります。一つは、被せ物が乗る形を作ること。もう一つは、噛む力を歯の根へ受け渡すことです。問題になるのは後者です。歯の根はもともと、上から来た力を全体でしなりながら受け止めるようにできています。そこへ硬さの違う材料を差し込むと、力の流れ方が変わります。ファイバーコアとメタルコアの差は、この点にあります。材料の比較
代表的な三つの選択肢を、性質ごとに並べます。| 種類 | 硬さ | 色 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ファイバーコア | 象牙質に近い | 白〜乳白色 | 力を分散しながらしなる。根が縦に割れにくい。土台ごと外れる壊れ方をしやすく、その場合は作り直せることが多い |
| メタルコア | 象牙質より硬い | 銀色〜金色 | 変形しにくく、歯質がごく少ない歯でも形を作れる。力が根の一点に集中し、根が縦に割れる壊れ方をすることがある |
| レジンコア | 象牙質に近い | 白〜乳白色 | ポストを入れず樹脂だけで築造する方法。歯質が十分残る歯に用いる |
ファイバーコアの性質
ファイバーコアは、ガラス繊維を束ねた白い棒(ファイバーポスト)を根の中に立て、周囲を樹脂で固めて形を作ります。日本では2016年に保険へ導入され、現在は多くの医院で標準的に使われています。 最大の利点は、材料の硬さが歯の象牙質(ぞうげしつ:エナメル質の内側にある歯の主体)に近いことです。強い力がかかったとき、土台と歯が同じようにたわむため、根の内側の一点に力が集まりにくくなります。 もう一つの利点は色です。乳白色で光を通すため、上にかぶせるセラミックの色に影響しません。前歯で歯ぐきが薄い方の場合、金属の土台は歯ぐきを通して灰色に透けることがあります。境目が黒ずんで見える現象については被せ物と歯茎の境目が黒い|ブラックマージンの原因と治し方で解説しています。 接着の面でも有利です。ファイバーコアは樹脂で歯と一体化させるため、残った歯質と土台が力を分け合います。ただしこれは、接着の手順が正しく守られた場合の話です。唾液や血液が接着面に付くと接着力は大きく落ちるため、防湿をしっかり行える環境かどうかが結果を左右します。 弱点もあります。歯ぐきより上に残っている歯質がごくわずかな歯では、ファイバーコアだけでは形を保てないことがあります。また、樹脂と繊維の組み合わせであるため、極端に強い力が繰り返しかかる環境では、土台ごと外れることがあります。歯ぎしりのある方は対策を併用してください。詳しくは歯ぎしり・食いしばりの原因と治療|マウスピース・ボトックスは効く?をご覧ください。メタルコアの性質
メタルコアは、金属で歯の形に合わせた芯を作り、セメントで根に固定する方法です。多くは型を採って技工所で製作するため、来院回数が1回増えます。 利点は形の自由度と剛性です。歯質がほとんど残っていない歯でも、金属で被せ物が乗る形を作り出せます。変形しないため、噛む力が強い奥歯でも土台そのものが壊れることはまずありません。 一方で、硬さが仇になることがあります。噛む力が加わったとき、しならない金属が根の内側に食い込むように力を伝え、根の壁に縦のひびが入ることがあります。これが歯根破折です。縦に割れた根は接着で戻すことが難しく、多くの場合は抜歯の判断になります。症状の見分け方は歯根破折(歯の根が割れる)とは|症状の見分け方と抜歯になる条件をご参照ください。 もう一点、やり直しのしやすさが違います。再根管治療が必要になったとき、根に深く食い込んだ金属の芯を外す作業は、ファイバーポストを削り取る作業よりも手間とリスクが大きくなります。外す際の考え方は歯の土台(コア)が外せないと言われたら|メタルコア除去の方法とリスクにまとめました。 見た目にも差が出ます。金属イオンが長い年月をかけて歯質や歯ぐきに移り、歯の根元が黒ずんで見えることがあります。金属による体調面の心配がある方は歯科金属アレルギーの症状と検査|銀歯が原因かもしれない不調もあわせてご覧ください。
壊れ方の違いという視点
材料を比べるとき、「どちらが壊れにくいか」よりも「壊れたとき歯が残るか」で考えると判断しやすくなります。 ファイバーコアが限界を超えると、多くは土台ごと外れます。歯そのものは残っているため、状態を確認したうえで作り直せることが少なくありません。土台ごと外れた状態については差し歯が土台ごと取れた|つけ直せる場合と抜歯になる場合の見分け方で詳しく扱っています。 メタルコアが限界を超えたとき、外れるのではなく根が割れることがあります。この場合、土台の作り直しでは対応できません。歯を抜いて、ブリッジや入れ歯、インプラントを考える段階に移ります。 この差があるため、当院では歯質が十分に残っている歯であればファイバーコアを第一に考えます。ただし、これは「メタルコアが悪い」という意味ではありません。歯質がほとんど残らない歯では、そもそも土台の形を作れなければ被せ物が入りません。歯ぐきより上の歯質を確保する方法については歯ぐきより上の歯質が足りない歯は残せる?矯正的挺出と歯冠長延長術をご覧ください。材料より効く条件がある
大切な点をお伝えします。土台の材料は、その歯の寿命を決める要素の一つにすぎません。それ以上に効くのが、歯ぐきより上に残っている歯質の高さです。 被せ物が歯の壁を全周にわたって1.5〜2ミリほど抱え込める状態を、フェルール(帯環効果:被せ物が歯を輪のように締める効果)といいます。これが確保できている歯は、材料にかかわらず長持ちしやすくなります。逆に、歯ぐきの高さで歯が折れていて壁がまったく残っていない歯は、どちらの材料を選んでも予後は厳しくなります。 もう一つが、根の中の細菌をどれだけ減らせているかです。土台の下で再感染が起きれば、被せ物ごとやり直しになります。やり直しの費用感は再根管治療の費用|保険と自費の目安・被せ物の作り直しまで含めた総額にまとめました。 三つ目が、噛み合わせです。特定の歯にだけ強く当たる状態が続けば、どんな土台でも耐えられません。被せ物を入れたあとに高さの違和感が残る場合は、我慢せず調整を受けてください。理由は被せ物・詰め物の高さが合わない|違和感を我慢してはいけない理由で解説しています。前歯と奥歯で考え方が変わる
同じ土台でも、歯の場所によって求められるものが変わります。 前歯は、斜めからの力を受けます。噛み切る動きで根に横向きの力が加わるため、しなやかさのあるファイバーコアが適しています。加えて、透明感のあるセラミックの被せ物を選ぶ場合、下の土台の色が透けるため、白い材料であることの意味が大きくなります。 奥歯は、上から押し潰す力を受けます。力の大きさは前歯の数倍に達しますが、方向が根の軸に沿うため、根が割れにくい向きではあります。歯質が十分に残っていればファイバーコア、壁がほとんど残っていなければメタルコアという選び方になります。部位ごとの被せ物の選び方は前歯と奥歯で被せ物の選び方が違う理由|見た目・噛む力・保険適用の差をご覧ください。 なお、神経を取った前歯では時間とともに歯の色が暗くなることがあります。土台の材料とは別の現象ですが、見た目の相談として重なりやすい話題です。対応は神経を抜いた歯が黒ずむのはなぜ|ウォーキングブリーチなど変色への対応にまとめています。費用と保険の考え方
土台の費用は、保険で進めるか自費で進めるかで変わります。保険の場合、ファイバーコアもメタルコアも支台築造として算定され、患者さんの負担は3割負担でおおむね数百円から1,500円前後です。技工所での製作を伴うメタルコアはやや高くなりますが、材料による差は大きくありません。 つまり、保険の範囲であれば「ファイバーコアは高いから金属にする」という選び方は必要ありません。この点は誤解されていることが多いため、あらためてお伝えしておきます。 自費で進める場合は、根管治療から被せ物まで一貫して自費になります。土台単体で1万円台から3万円程度、被せ物と合わせた総額では1本あたり十数万円になることもあります。 注意点として、同じ歯の一連の治療で保険と自費を組み合わせることはできません。自費の精密根管治療を受けた歯は、土台も被せ物も自費です。「根の治療は自費、土台は保険」という選び方はできないため、始める前に総額を確認しておいてください。制度の考え方は歯科の保険診療と自費診療の違いをわかりやすく解説、年間の負担が大きい場合は歯科の医療費控除の対象と申請方法|計算例まで解説をご参照ください。治療の進み方と当日の流れ
ファイバーコアは、多くの場合その日のうちに口の中で作り上げます。根の中を清掃し、ポストを立て、樹脂を流して固め、形を整えるところまでを1回で終えられます。 メタルコアは、型を採って技工所へ送るため、装着まで1〜2週間かかります。その間は仮のふたで過ごします。仮の状態での注意点は根管治療後に被せ物を入れる時期|仮の状態で放置するとどうなるをご覧ください。 土台が仕上がったあとは、被せ物の型取りに進みます。装着までの工程は根管治療後の被せ物ができるまで|型取り・仮着・装着の流れと回数で解説しています。型取りが苦手な方には光学スキャナーという選択肢もあります。詳しくは歯医者の型取りが苦手・オエッとなる|嘔吐反射の対策と光学スキャナーをご参照ください。