根管治療後に土台を立てる日の流れ|支台築造の処置内容・時間・当日の注意

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年8月11日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

根管治療後に土台を立てる日(支台築造)は、30分から60分ほどで終わる処置です。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも「次は土台と言われたが何をされるのか」「麻酔は必要か」「その日に食事はできるか」といったご質問をいただきます。土台づくりは、空洞になった歯の内部を人工材料で補強し、被せ物を支える形を作る工程です。このページでは、当日の流れ、直接法と間接法の違い、所要時間と痛みの有無、そして帰宅後の注意を順に説明します。土台と被せ物の種類の選び方は<a href="/treatment/rootcanal-crown/">根管治療後の土台と被せ物|ファイバーコアとクラウンの選び方</a>をご覧ください。

土台を立てる日の処置の手順を三つの段階で示したイラスト

先に結論

  • 所要時間は30分から60分。その日のうちに終わる方法(直接法)が多い
  • 神経がない歯なので麻酔は不要なことが多いが、歯ぐきに触れる場合は使う
  • 根の中に薬が詰まっているため、その一部を削って土台の入る穴を作る
  • 削りすぎると根が薄くなるため、必要最小限の深さにとどめる
  • 直接法なら当日、間接法なら型取りをして次回に装着する
  • 処置後は硬いものを避け、被せ物が入るまでその歯で強く噛まない

土台を立てる日に行うこと

根の治療を終えた歯は、内部の神経とその周りの歯質を失って空洞になっています。この空洞を人工材料で埋め、被せ物が乗る形を作るのが支台築造(しだいちくぞう)です。土台をコア、根の中に入る細い棒の部分をポストと呼びます。根の中に薬を詰める処置そのものは根管充填とは|根の中に薬を詰める処置の目的と使う材料で解説しています。 この処置は、根の治療の延長のようでいて、実は目的が違います。根の治療が「感染を取り除いて封じる」ことを目指すのに対し、土台づくりは「これから何年も噛む力を受け止められる構造を作る」ことを目指します。同じ歯を扱いながら、視点が治療から設計へ切り替わる工程だと考えてください。 当日は、おおむね次の順で進みます。
手順時間内容
仮のふたを外す5分前回入れた仮封を取り除き、内部の状態と汚れを確認する
ポスト用の穴を作る10分根に詰めた薬の上部だけを、専用の器具で必要な深さまで除去する
形を整える10分崩れた歯質や古い詰め物を除き、土台が接着できる面を作る
土台を作る15分ファイバーの芯とレジンを詰めて固める(直接法)
被せ物の形に削る10分被せ物が入る厚みと角度に整える。同日に型取りへ進むことも多い
表のとおり、削る、詰める、整えるという三つの作業が中心です。歯ぐきから出血しやすい場合は、止血のために少し時間が延びることがあります。 この中で最も時間と神経を使うのが、二つ目のポスト用の穴を作る工程です。根に詰めた薬を、必要な深さだけ正確に取り除く必要があるためです。取りすぎれば根の先の封鎖が壊れ、細菌が入り直します。足りなければ土台が抜けます。根の曲がり方によっては、まっすぐな器具が壁を削ってしまう危険もあるため、レントゲンで根の形を確認しながら進めます。 また、三つ目の「形を整える」工程では、古い詰め物や軟らかくなった歯質をすべて除去します。ここで残してしまうと、土台の下で虫歯が進みます。神経を取った歯は痛みが出ないため、この段階での取り残しは何年も気づかれないまま広がります。

直接法と間接法の違い

土台の作り方には二つの方式があり、歯の残り方によって選ばれます。 直接法は、口の中で直接、ファイバーの芯とレジンを詰めて固める方法です。その日のうちに土台が完成するため、来院回数が少なくて済みます。残っている歯質が比較的多い歯に向いています。 間接法は、土台の形を型取りして技工所で作り、次回に接着する方法です。歯質が大きく失われている歯や、複数の根に太いポストを入れる必要がある歯で選ばれます。1回多く通うことになりますが、複雑な形にも精度よく対応できます。
  • 直接法:当日完成、来院1回、歯質が多く残る歯向き
  • 間接法:型取りが必要、来院2回、歯質が少ない歯や複雑な形向き
  • どちらでも被せ物の種類は自由に選べる
  • 方式の選択は歯の状態が決めるもので、患者側の希望では決まらないことが多い
型取りが苦手な方は、間接法や被せ物の型取りの前にその旨をお伝えください。光学スキャナーを使える医院では、粘土のような材料を使わずに済むことがあります。対策は歯医者の型取りが苦手・オエッとなる|嘔吐反射の対策と光学スキャナーにまとめました。

土台の材料と選び分け

土台に使われる材料は、大きく三つに分かれます。それぞれ性質が違うため、歯の残り方と噛む力に応じて選ばれます。
材料性質向いている歯
ファイバー+レジン歯の内部に近いしなり方をして、噛む力を分散させる。白いので被せ物の色を邪魔しない多くの歯。前歯にも奥歯にも
レジンのみポストを使わず、詰めて固めるだけ。削る量が最も少ない歯質が多く残っている歯
金属強度は高いが硬く、力が根の一点に集中しやすい既に入っていて問題のない歯
現在は、ファイバーを使う土台が広く選ばれています。理由は、材料のたわみにくさを表す数値が歯の内部の象牙質に近く、噛む力を受けたときに歯と一緒にしなるためです。金属はこの数値が数倍から十数倍あり、しならずに力を根の深部へ伝えます。 ただし、すでに金属の土台が入っていて問題なく機能している歯を、予防のためだけに外すことは推奨されません。外す作業そのものが歯を削り、根を弱くするためです。交換を考えるのは、被せ物を作り直すときや、内部に虫歯が見つかったときです。判断の考え方はかぶせ物を外さないと再根管治療はできない?外す判断と作り直しの費用をご覧ください。 材料の違いより結果を左右するのが、歯ぐきより上に残っている歯質の量です。被せ物が歯を全周でつかむ帯を確保できるかどうかが、その歯が何年もつかを決めます。詳しくは歯ぐきより上の歯質が足りない歯は残せる?矯正的挺出と歯冠長延長術をご参照ください。
歯の断面で根の中のポストと土台の位置関係を示した図解

麻酔と痛みについて

「神経がない歯なのに麻酔をするのか」というご質問をよくいただきます。結論から言えば、多くの場合は不要です。歯の内部には痛みを感じる神経が残っていないためです。 麻酔を使うのは、次のような場合です。歯ぐきに器具が触れる位置まで削る必要があるとき。歯ぐきから出血していて、止血のための処置を伴うとき。そして、以前の治療の記憶から不安が強い方が希望されたときです。麻酔を使うかどうかは、処置前に必ず確認してください。 処置中に強い痛みが出た場合は、遠慮なく手を挙げてください。神経がないはずの歯で痛みを感じるときは、根の先の組織に炎症が残っている、隣の歯に触れている、といった原因が考えられます。原因の切り分けは根管治療中・治療後に痛いのはなぜ?対処と受診の目安をご覧ください。 なお、この日の処置では削る音と振動が続きます。神経がないため痛みはなくても、音が苦手な方には負担になることがあります。休憩を挟みたいときは、事前にその旨を伝えておくと配慮を受けやすくなります。当院でも、処置の区切りごとに一度うがいをしていただく形で進めることがあります。 処置後は、噛んだときに軽い違和感が数日残ることがあります。土台を接着した直後は歯の中に力が加わった状態で、根の周りの組織が反応するためです。日を追って軽くなるのが通常の経過です。

根を削りすぎないことがなぜ大切か

土台づくりで最も重視されるのは、ポストを入れるために根をどれだけ削るかという判断です。深く太い穴を作れば土台はしっかり固定されますが、その分だけ根の壁が薄くなります。 神経を取った歯の最大の弱点は、根が縦に割れることです。壁が薄くなった根に噛む力が加われば、くさびのように押し広げられて裂けます。縦のひびが入った歯は接着では治せず、多くの場合は抜歯になります。詳しくは歯根破折(歯の根が割れる)とは|症状の見分け方と抜歯になる条件をご覧ください。 目安として、ポストの長さは根の長さの3分の1から2分の1程度、根の先には薬が4mm以上残るように、といった考え方が用いられます。これは、根の先の封鎖を壊さず、かつ土台が抜けない長さを両立させるための線引きです。数値は歯の形と根の曲がり方によって調整されます。 そのため現在の考え方では、ポストは「必要なだけ、それ以上は入れない」ものとされています。歯質が十分に残っている歯では、ポストを使わずレジンだけで土台を作ることもあります。歯ぐきより上の歯質が足りない場合は、削って合わせるのではなく、歯を引き上げたり歯ぐきの形を整えたりして土台となる部分を確保します。方法は歯ぐきより上の歯質が足りない歯は残せる?矯正的挺出と歯冠長延長術で解説しています。 土台の材料そのものについては、しなり方が歯に近いファイバーが選ばれることが増えています。神経を取った歯のその後の考え方は神経を抜いた歯はどうなる?寿命と長持ちさせるコツもあわせてご覧ください。 なお、複数の根がある奥歯では、すべての根にポストを入れる必要はありません。最も太くまっすぐな根に一本入れれば足りることがほとんどで、曲がった細い根に無理に入れると穴が横に抜けます。この事故は側方穿孔と呼ばれ、起きると歯を残すことが難しくなります。処置の安全性という観点からも、ポストは控えめに設計されます。

当日と帰宅後の注意

処置の当日は、次の点にご注意ください。
  • 接着材が完全に落ち着くまで、その歯では硬いものを噛まない
  • 麻酔を使った場合は、切れるまで熱い飲食物と頬を噛むことに注意
  • 仮歯が入った場合は、粘着性の強い食べ物を避ける
  • 歯ぐきに触れる処置をしたときは、当日の激しい運動と飲酒を控える
  • 噛み合わせに強い違和感があれば、我慢せず調整を受ける
被せ物が入るまでは、その歯は完成した状態ではありません。反対側で噛む習慣を続けてください。仮歯や仮のふたが取れた場合の対応は仮歯・仮のふたが取れた・欠けたときの対処|放置のリスクとやってはいけないことをご覧ください。 歯磨きについては、通常どおり行っていただいて構いません。むしろ、土台の周りの歯ぐきが炎症を起こすと、被せ物の型取りの精度が落ちます。歯ぐきから出血する状態のまま型を採ると、境目の形が正確に写らず、できあがった被せ物にすき間ができることがあります。仮の状態でのケアの仕方は根管治療中の歯磨きはどうする?仮のふたがある歯のケアと注意点にまとめました。 フロスを使う際は、上に引き抜くのではなく、横に滑らせて抜いてください。仮の被せ物が入っている場合、真上に引き抜くと外れることがあります。歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった方は歯に食べ物が挟まるようになった|原因と放置のリスクもご参照ください。 噛み合わせが高いと感じるときは、慣れるのを待たずに受診してください。理由は被せ物・詰め物の高さが合わない|違和感を我慢してはいけない理由にまとめています。土台のあと被せ物までの時期は根管治療後に被せ物を入れる時期|仮の状態で放置するとどうなるをご参照ください。

土台づくりで起こりやすいトラブル

頻度は高くありませんが、次のような事態が起こることがあります。いずれも早く気づけば対応できます。 第一に、仮のふたを外した際に、内部で虫歯が進んでいるのが見つかることです。この場合は、その部分を除去してから土台を作るため、想定より歯質が減ります。帯が確保できなくなれば、先に歯ぐきの形を整える処置が必要になることもあります。 第二に、根の中に薬が十分に詰まっていないことが分かる場合です。ポスト用の穴を作る過程で判明することがあり、その場合は土台を立てる前に根の治療をやり直します。ここで気づかず被せ物まで進めてしまうと、数年後に外して作り直すことになります。 第三に、処置中に歯の壁が欠けることです。もともと薄くなっている歯では、器具が触れただけで欠けることがあります。欠けた場所によっては、土台の設計を変える必要が出ます。 第四に、土台を接着したあとに、噛むと痛みが続く場合です。多くは数日で軽くなりますが、続く場合は根の先の炎症、隣の歯との接触、噛み合わせの当たりのいずれかを確認します。原因の切り分けは根管治療中・治療後に痛いのはなぜ?対処と受診の目安をご覧ください。 第五に、時間が経ってから土台ごと外れることです。これは帯が足りない、内部で虫歯が進んだ、噛む力が強いといった原因で起こります。取れたときの対応は差し歯が土台ごと取れた|つけ直せる場合と抜歯になる場合の見分け方にまとめています。

土台を立てる前に確認しておきたいこと

処置に入る前に、次の点を尋ねておくと見通しが立ちます。
  • 直接法か間接法か(当日で終わるか、もう1回必要か)
  • ポストを使うかどうか、使うならどのくらいの深さか
  • 歯ぐきより上に残っている歯質は足りているか
  • 被せ物は何を予定していて、保険か自費か
  • 被せ物の装着まであと何回、何週間かかるか
特に四つ目は先に決めておいてください。同じ歯の一連の治療で保険と自費を組み合わせることはできないため、土台の段階で方針が決まっている必要があります。制度の考え方は歯科の保険診療と自費診療の違いをわかりやすく解説、被せ物の種類ごとの違いは詰め物・被せ物の種類と費用|保険と自費の違いをご覧ください。保険で白い被せ物を選べる条件はCAD/CAM冠とは|保険で白い歯にできる条件・強度・注意点にまとめました。
土台を立てたあとに被せ物の型取りを行う場面のイラスト

よくある質問

土台を立てる処置にはどのくらい時間がかかりますか

30分から60分が目安です。仮のふたを外し、ポストの入る穴を作り、土台を詰めて固め、被せ物の形に整えるという流れで進みます。同じ日に被せ物の型取りまで行う場合は、これに10分から20分が加わります。歯ぐきから出血しやすいときは少し延びます。歯ぐきの炎症が強いときは、止血に時間がかかることもあります。

神経がない歯なのに麻酔は必要ですか

多くの場合は不要です。歯の内部に痛みを感じる神経が残っていないためです。ただし歯ぐきに器具が触れる位置まで削るとき、止血の処置を伴うとき、不安が強い方が希望されたときには使います。処置の前に、麻酔を使うかどうかを確認してください。痛みを感じたときは、途中でも手を挙げてお知らせください。

土台を入れた日に食事はできますか

麻酔を使っていなければ、当日から普通に食事できます。ただし接着材が落ち着くまでの数時間は、その歯で硬いものを噛まないでください。麻酔を使った場合は、切れるまで熱い飲食物を避け、頬や舌を噛まないようご注意ください。仮歯が入った場合は、キャラメルや餅などの粘着性の強い食べ物を避けてください。

ポストは深く入れた方が丈夫になりますか

必要以上に深く太くすると、かえって根の壁が薄くなり割れやすくなります。現在は、必要な長さにとどめる考え方が一般的です。歯質が十分に残っている歯では、ポストを使わずレジンだけで土台を作ることもあります。長さと太さは歯ごとに判断します。複数の根がある奥歯でも、すべての根に入れる必要はありません。

土台を入れたあとに噛むと痛いのですが大丈夫ですか

数日の軽い違和感であれば、通常の経過の範囲です。土台を接着した直後は根の周りの組織が反応するためで、日を追って軽くなります。痛みが強くなる、腫れる、熱が出るといった変化があるときは、経過を待たずに受診してください。噛み合わせの当たりが原因のこともあるため、調整で解決する場合もあります。

土台はやり直しできますか

やり直せますが、外す際に歯質を削るため、その分だけ歯は弱くなります。特に金属の土台は接着が強固で、除去に時間がかかります。今ある土台に問題がない場合は、被せ物を作り直すタイミングで検討するのが現実的な進め方です。内部に虫歯が見つかった場合は、時期を待たずに外して作り直す判断になります。

保険の土台と自費の土台では何が違いますか

保険でもファイバーの土台を選べる条件が整っており、材料の違いだけで大きな差がつくわけではありません。違いが出るのは、精度を高める手順にかける時間や、被せ物と一体で設計する場合の自由度です。同じ歯の一連の治療で保険と自費は組み合わせられません。どちらで進めるかは、土台を作る前に決めておいてください。

名古屋で土台の説明を受けるときは何を聞けばよいですか

どの方式で作るか、ポストを使うか、被せ物は何を予定しているかの三点です。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の医院でも、この三点は処置前に説明されるのが一般的です。歯質がどれだけ残っているかも、あわせて確認しておくと見通しが立ちます。あわせて、被せ物まであと何回かかるかも確認しておくと安心です。

まとめ

土台を立てる日は、根管治療を終えた歯に被せ物を支える形を作る工程です。仮のふたを外し、根に詰めた薬の上部だけを削ってポストの入る穴を作り、崩れた歯質を整えてから土台を詰めます。所要時間は30分から60分で、多くの場合は同じ日に完成します。歯の内部に神経は残っていないため麻酔は不要なことが多く、歯ぐきに触れる処置を伴うときや不安が強いときに使います。方式には二つあり、口の中で直接固める直接法は来院が1回で済み、型取りをして技工所で作る間接法は歯質が大きく失われた歯に向いています。どちらを選ぶかは歯の状態が決めます。この処置で最も大切なのは、ポストのために根を削りすぎないことです。深く太い穴は土台をよく固定しますが、根の壁を薄くして縦の割れを招きます。割れた歯は接着では治せず、多くの場合は抜歯になるため、現在は必要な長さにとどめる考え方が主流です。処置後は数日、噛んだときの軽い違和感が出ることがありますが、日を追って軽くなるのが通常の経過です。被せ物が入るまではその歯で硬いものを噛まず、反対側で噛む習慣を続けてください。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で治療中の方は、土台と被せ物の選び方根管治療とは|流れ・回数・費用を歯科医が解説もあわせてご確認ください。

参考・出典

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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