MIペースト(CPP-ACP)とは|フッ素との違いと使い分け

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年8月18日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

MIペーストは、名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)の歯科医院でも取り扱いのある、歯にミネラルを補うためのペーストです。牛乳由来のたんぱく質にカルシウムとリンを結びつけた成分(CPP-ACP)を含み、歯の表面から溶け出したミネラルを戻す働きを助けます。フッ素とよく比較されますが、両者は競合するものではなく、補うものが違います。フッ素が「溶けにくい結晶をつくる」役割だとすれば、MIペーストは「結晶の材料を供給する」役割です。このページでは、成分の意味、フッ素との使い分け、使えない方の条件までを整理します。フッ素そのものの働きは<a href="/treatment/fusso/">フッ素は本当に安全?効果と濃度・使い方を歯科医が解説</a>をご覧ください。

ミルクのモチーフが添えられた歯科用ペーストのチューブと歯を並べたイラスト

要点

  • 牛乳由来のたんぱく質にカルシウムとリンを結合させた成分を含む
  • 役割は「歯を修復する材料を供給すること」
  • フッ素は結晶を強くする側で、役割が違う。併用が基本
  • 牛乳アレルギーのある方は使用できない
  • 就寝前、歯みがきの後に塗り、すすがないのが基本の使い方
  • 穴があいた虫歯を治すものではない。初期の段階や矯正中に向く
フッ素との違いを並べます。
項目MIペースト(CPP-ACP)フッ素
働きカルシウムとリンを供給する溶けにくい結晶をつくり修復を促す
たとえ修復に使う材料を運ぶ材料を強い形に組み上げる
使う場面就寝前、矯正中、初期の白濁毎日の歯みがき、定期的な塗布
注意点牛乳アレルギーでは使用不可量とすすぎ方で効果が変わる
※どちらか一方ではなく、順番を守って併用するのが一般的です。

CPP-ACPとは何か

MIペーストの主成分は、CPP-ACPと呼ばれる複合体です。牛乳のたんぱく質であるカゼインから取り出したペプチド(CPP)に、非結晶の状態のリン酸カルシウム(ACP)を結びつけたものです。 カルシウムとリンは、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトの材料です。ただし、これらをそのまま口の中に入れても、すぐに結晶化してしまい、歯の表面に届く前に沈殿してしまいます。 CPPは、この結晶化を抑えて、カルシウムとリンを溶けた状態のまま保つ役割を果たします。歯の表面やプラークの中にとどまり、必要なときに材料を放出できる形にしておく、と考えると分かりやすいかもしれません。 歯の表面は、飲食のたびにミネラルが溶け出し(脱灰)、唾液の働きで戻る(再石灰化)という往復を繰り返しています。この往復のうち、戻る側を支えるのがCPP-ACPの役目です。材料が豊富にあれば、修復は進みやすくなります。 この仕組みの前提となる初期の虫歯の考え方は初期虫歯(C0)は削らずに治せる?再石灰化と経過観察の考え方で詳しく扱っています。
小さなミネラルの粒子が歯の表面に沈着していく再石灰化の様子を表した抽象的なイラスト

フッ素とは役割が違う

MIペーストとフッ素を「どちらが良いか」で比べる質問をよくいただきますが、この比較はあまり意味がありません。担当する部分が違うためです。 フッ素は、溶け出したミネラルが歯に戻る際に取り込まれ、もとの結晶より酸に溶けにくい構造をつくります。守りを固める働きです。加えて、細菌の酸の産生を抑える作用も知られています。 一方のCPP-ACPは、その修復に使う材料そのものを供給します。フッ素があっても材料が足りなければ修復は進みませんし、材料があっても強い結晶にならなければ、また溶け出します。 実際、両者を併用したほうが単独より効果的だという報告があり、フッ素を配合したタイプのペーストも販売されています。ただし、使う順番には注意が必要です。 一般的には、フッ素入りの歯磨き粉で磨き、少量の水で1回すすいだ後に、MIペーストを塗って終える流れになります。両方を同時に大量に混ぜると、成分同士が反応して沈殿する可能性があるためです。医院で処方を受ける際に、手順を確認してください。 フッ素の具体的な使い方はフッ素入り歯磨き粉の選び方と使い方|1450ppmと年齢別の量・うがいの回数、医院での塗布との使い分けは歯科医院のフッ素と市販のフッ素は何が違う?濃度・効果・使い分けをご覧ください。

どんな方に向いているか

すべての方に必要なものではありません。効果が期待できる場面があります。 一つ目は、歯の表面に白く濁った部分がある方です。これは初期の脱灰で、まだ穴にはなっていない段階です。ここで材料を供給し、フッ素を併用すると、進行を止められる可能性があります。 二つ目は、矯正装置が付いている方です。装置のまわりは清掃が難しく、白い脱灰が起こりやすい環境です。装置を外したときに跡が残るのを避けるため、期間中に使われることがあります。 三つ目は、口が乾きやすい方です。唾液が少ないと、修復に使える材料も減ります。服用中の薬の影響で乾く方、就寝中に口が開く方が該当します。原因と対策は口が乾く原因とドライマウスの対策|唾液を増やす方法にまとめました。 四つ目は、知覚過敏の症状がある方です。露出した象牙質の細かい管が塞がることで、しみる症状が和らぐことがあります。ただし主目的ではないため、症状が強い場合は専用の処置を検討します。 五つ目は、歯ぐきが下がって根の面が出ている方です。この部分は酸に弱く、修復の支援に意味があります。詳しくは歯の根元(根面)の虫歯|大人・シニアに増える原因と治療・予防大人にフッ素は効果ある?年齢とともに変わる虫歯リスクへの使い方をご覧ください。
就寝前のケアとして歯ブラシと小さなペーストのチューブと三日月を描いたイラスト

効果をどう確認するか

塗ったからといって、その場で何かが変わるわけではありません。変化を確認する方法を知っておくと、続ける意味が見えます。 白く濁った部分がある場合、注目するのは色と表面の状態です。進行が止まった脱灰は、表面が硬く滑らかになり、白さがやや落ち着いた見え方に変わっていきます。逆に、白さが増して表面がざらつくようであれば、進行している可能性があります。 この違いは自分では判断しにくいため、写真を撮って記録しておくと比較しやすくなります。多くの医院では口の中の写真を残しており、数か月ごとに並べて確認できます。 期間としては、変化が見えるまでに数か月かかると考えてください。1週間や2週間で判断できるものではありません。 そして、効果が出ないまま進行する場合もあります。材料を補っても、それを上回る速さで脱灰が進んでいれば、追いつきません。この場合は、削って詰める処置に切り替える判断になります。判断の考え方は虫歯を自分で見分ける方法|初期症状のセルフチェックも参考になります。 大切なのは、塗っているから大丈夫と考えて放置しないことです。定期的に確認し、進んでいるなら方針を変える。この繰り返しが結果につながります。

使い方と注意点

使い方は簡単ですが、いくつか守るべき点があります。 基本は就寝前です。歯みがきを済ませ、フッ素入りの歯磨き粉で磨いて少量の水で1回すすいだ後、ペーストを歯全体に塗り広げます。量は指先に少量、あるいは綿棒や歯ブラシで薄く伸ばす程度で十分です。 塗った後、3分ほど口の中に留めてから、軽く吐き出します。すすぎません。この状態で眠ると、唾液の少ない時間帯に材料が歯の表面にとどまります。 日中に使う場合は、食後や間食の後が適しています。ただし主となるのは就寝前です。 注意すべき点として、牛乳由来のたんぱく質を含むため、牛乳アレルギーのある方は使用できません。乳糖不耐症とは別の問題で、アレルギーがある場合は明確に禁忌です。購入や処方の際に必ず申し出てください。 また、穴があいてしまった虫歯を治すものではありません。象牙質まで進んだ虫歯には、削って詰める治療が必要です。判断は診査によります。進行の段階については削らない虫歯治療はできる?MI治療・経過観察・ドックベストの考え方をご覧ください。 保管は常温で、直射日光を避けます。開封後の使用期限は製品の表示に従ってください。

歯が溶ける原因が虫歯以外の場合

歯の表面が失われる原因は、細菌による虫歯だけではありません。酸そのものが直接歯を溶かす場合があり、この状況ではMIペーストの位置づけが少し変わります。 炭酸飲料や柑橘系の飲み物、酢を使った健康法などを頻繁に取り入れていると、細菌の関与なしに歯の表面が溶けることがあります。前歯の裏側が薄くなる、歯が丸みを帯びてくる、といった変化が現れます。 胃の内容物が口まで上がってくる状態が続く場合も同様です。逆流によって強い酸が歯に触れると、内側から表面が失われていきます。この場合は、歯科での対応と並行して内科的な相談が必要になります。 こうした状況では、失われたミネラルを補う手段としてMIペーストが用いられることがあります。ただし、原因である酸との接触を減らさなければ、追いつきません。飲み方や頻度の見直しが先になります。 酸に触れた直後に強く磨くと、軟らかくなった表面を削ってしまいます。飲食の後は、水で口をすすいでしばらく置いてから磨くほうが安全です。食習慣の見直しは歯にいい食べ物・悪い食べ物|間食の回数が虫歯を左右する理由で扱っています。

しみる症状への効果はどこまでか

MIペーストを使うと、しみる症状が和らぐことがあります。この点についても整理しておきます。 象牙質には細かい管が無数に通っており、この管を通じて刺激が神経に伝わります。表面に材料が沈着して管の入り口が塞がれば、刺激は伝わりにくくなります。これがしみる症状が和らぐ仕組みです。 ただし、これは知覚過敏に対する主たる治療ではありません。症状が強い場合は、専用の薬剤を塗る処置や、露出した部分を樹脂で覆う方法が選ばれます。効果の出方には個人差があり、数週間使っても変わらないこともあります。 そして、しみる症状の原因が虫歯である場合、ペーストでは対応できません。特定の1か所だけが強くしみる、症状が続くといった場合は、まず原因を確かめてください。 歯みがきのときにしみる場合は、力の強さや歯ブラシの硬さが関係していることもあります。見直し方は歯磨きの力が強すぎるサイン|適切なブラッシング圧と直し方をご覧ください。

他の予防手段との組み合わせ

MIペーストは補助的な手段です。単独で予防が完結するものではありません。 土台になるのは、汚れを落とすことです。プラークが乗ったままの歯にペーストを塗っても、成分は歯の表面に届きません。汚れの性質はバイオフィルム(プラーク)とは|歯磨きだけで落とせない理由、届かない部分の清掃は歯間ブラシとデンタルフロス、どっちを使うべき?選び方と正しい使い方を歯科医が解説をご覧ください。 酸にさらされる回数を減らすことも並行して行います。回数の考え方は歯にいい食べ物・悪い食べ物|間食の回数が虫歯を左右する理由にまとめました。 同じく補助にあたる手段として、細菌が酸をつくれない甘味料を使う方法があります。位置づけはキシリトールは虫歯予防に効果ある?含有率とガムの選び方で解説しています。奥歯の深い溝を物理的に埋める処置はシーラントとは|子どもの奥歯の虫歯予防・費用と注意点をご覧ください。 そして、定期的な確認です。白く濁った部分が改善しているのか、進行しているのかは、記録して比較しなければ分かりません。検診の内容は歯の定期検診では何をする?内容・費用・所要時間予防歯科と定期検診|頻度とクリーニングの効果にまとめてあります。塗布の間隔はフッ素塗布は何か月ごと?頻度・費用・効果が続く期間の目安、リスクの把握には唾液検査(サリバテスト)でわかること|虫歯リスクの調べ方と費用が役に立ちます。 予防を続けていても虫歯ができる場合はフッ素を使っているのに虫歯になるのはなぜ?見落としやすい5つの原因も確認してください。

続けるかどうかの見極め

補助的な手段である以上、いつまで続けるのかという判断が必要になります。 矯正期間中に使い始めた場合、装置を外すまでが一区切りです。外した後は、白い脱灰が残っていればそのまま継続し、問題がなければ通常のフッ素の応用に戻します。 初期の白濁に対して使い始めた場合は、数か月ごとの確認で判断します。表面が硬く滑らかになり、進行が止まったと判断できれば、役割は果たされたことになります。 口が乾く要因が続いている方、根の面が広く出ている方は、長期的に続ける意味があります。この場合は、生活の一部として組み込む形になります。 費用は1本1000円前後から2000円程度で、少量ずつ使えば数か月もちます。負担の大きい方法ではありませんが、必要のない期間まで続ける理由もありません。 判断に迷う場合は、検診のたびに「今も必要か」を確認してください。口の中の状況は変わるため、一度決めた方法をそのまま続けるより、そのときの状態に合わせるほうが合理的です。

歯科医院で処方を受けるときの流れ

購入を希望する場合、どのように進むのかを整理します。 まず、口の中を確認して必要性を判断します。白く濁った部分の有無、矯正の予定、口の乾き具合などです。必要がなければ、フッ素の応用だけで十分と判断されることもあります。 次に、牛乳アレルギーの有無を確認します。ここは必ず確認される項目です。あわせて、現在使っている歯磨き粉や洗口液も伝えてください。 そのうえで、味の種類を選び、使い方の説明を受けます。塗る量、留める時間、すすがないこと。この三点が守られていないと効果が出ません。 その後は、検診のたびに変化を確認します。写真を残している医院であれば、前回との比較ができます。

よくある質問

MIペーストとフッ素はどちらを使えばよいですか

どちらか一方ではなく、併用が基本です。フッ素は溶けにくい結晶をつくって守りを固め、MIペーストは修復に使うカルシウムとリンを供給します。役割が違うため補い合います。フッ素入りの歯磨き粉で磨いた後にペーストを塗る流れが一般的です。

MIペーストで虫歯は治りますか

穴があいてしまった虫歯を治すことはできません。歯の表面が白く濁った初期の脱灰の段階であれば、材料を供給して進行を止められる可能性があります。象牙質まで進んだ場合は削って詰める治療が必要になるため、診査を受けて判断してください。

牛乳アレルギーでも使えますか

使用できません。主成分が牛乳のたんぱく質であるカゼイン由来のため、アレルギーのある方には禁忌です。乳糖不耐症とは別の問題になります。購入や処方の際に必ずアレルギーの有無を申し出てください。代わりにフッ素の応用を厚くする方法があります。

いつ使うのが効果的ですか

就寝前が基本です。歯みがきとフッ素を済ませた後にペーストを薄く塗り広げ、3分ほど留めてから軽く吐き出し、すすがずに眠ります。就寝中は唾液が減るため、材料が歯の表面に長くとどまります。日中は食後や間食の後に使えます。

塗った後にうがいをしてもよいですか

すすがないでください。すすぐと供給した材料が流れてしまい、狙いが失われます。塗った後は3分ほど口の中に留めてから、軽く吐き出す程度にとどめます。味が気になる場合でも、水を含むのは控えてください。就寝前に使えば、唾液の少ない時間帯に長く働きます。

矯正中に使う意味はありますか

意味があります。装置のまわりは清掃が難しく、白い脱灰が起こりやすい環境です。装置を外したときに跡が残るのを避けるため、期間中の使用が勧められることがあります。フッ素の応用とあわせて、装置まわりの専門的な清掃も併用してください。

市販されていますか、費用はどれくらいですか

主に歯科医院で扱われています。1本あたり1000円前後から2000円程度が目安で、自費の扱いになります。味の種類がいくつかあるため、続けやすいものを選んでください。使用量は少量で済むため、1本で数か月使えることが多くなります。

名古屋でMIペーストを相談できますか

一般の歯科医院で相談できます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の医院で、白く濁った部分の有無や矯正の予定、口の乾き具合を確認したうえで、必要かどうかを判断してもらえます。アレルギーの有無は事前にお伝えください。

まとめ

MIペーストは、牛乳由来のたんぱく質にカルシウムとリンを結びつけたCPP-ACPを含む、歯にミネラルを補うためのペーストです。カルシウムとリンは歯の主成分の材料ですが、そのままでは口の中ですぐ結晶化してしまいます。CPPがこの結晶化を抑え、溶けた状態のまま歯の表面にとどめることで、必要なときに材料を放出できる形にします。歯の表面では飲食のたびにミネラルが溶け出し、唾液の働きで戻るという往復が繰り返されており、この戻る側を支えるのがCPP-ACPの役目です。フッ素とよく比較されますが、両者は役割が違います。フッ素は戻ってきたミネラルを酸に溶けにくい結晶へ組み上げる働きで、MIペーストはその材料を供給する働きです。材料が足りなければ修復は進まず、強い結晶にならなければまた溶け出すため、併用したほうが理にかなっています。使い方は就寝前が基本で、フッ素入りの歯磨き粉で磨いて少量の水で1回すすいだ後に薄く塗り広げ、3分ほど留めてから軽く吐き出し、すすがずに眠ります。向いているのは、白く濁った初期の脱灰がある方、矯正装置が付いている方、口が乾きやすい方、歯ぐきが下がって根の面が出ている方です。ただし穴があいた虫歯を治すものではなく、牛乳アレルギーのある方は使用できません。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海にお住まいの方は、フッ素は本当に安全?効果と濃度・使い方を歯科医が解説で予防の中心を確認し、初期虫歯(C0)は削らずに治せる?再石灰化と経過観察の考え方予防歯科と定期検診|頻度とクリーニングの効果もあわせてご覧ください。

参考・出典

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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