対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
根管治療が1回で終わる場合と、何回も通う場合があります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも、「知人は1回で終わったのに自分は5回目」というご質問をよくいただきます。この差は、医院の丁寧さや腕の差だけで決まるものではありません。根の中の状態、症状の強さ、根の形、そして保険か自費かという条件が組み合わさって、回数が決まります。このページでは、1回で終える方法(1回法)と複数回に分ける方法(複数回法)の違い、それぞれが選ばれる基準、そして治りやすさに差があるのかという点を整理します。全体の通院回数の目安は<a href="/treatment/rootcanal-kaisu/">根管治療の通院回数と期間|長くかかる理由と中断のリスク</a>をご覧ください。
先に結論
- 1回法とは、清掃から薬を詰めるところまでを同じ日に行う方法
- 複数回法とは、清掃と薬を詰める処置を別の日に分け、間に薬を貼っておく方法
- 治りやすさに大きな差はないとする報告が多く、条件が合えばどちらでも良好な結果が得られる
- 膿が出ている、強く痛む、腫れているといった場合は複数回法が選ばれる
- 回数の差は「丁寧さの差」ではなく、根の状態と条件の差によるもの
- 回数より重要なのは、1回あたりにかけられる時間と封鎖の確実さ
1回法と複数回法の比較
同じ「根管治療」でも、進め方は二通りあります。
| 項目 | 1回法 | 複数回法 |
| 進め方 | 清掃から充填まで同じ日に行う | 清掃と充填を別の日に分ける |
| 1回の時間 | 長くなる(60〜90分以上) | 1回あたりは短い |
| 向く状態 | 症状が軽く根の形が単純な歯 | 膿や強い症状がある歯 |
| 仮のふた | 期間が短く汚染の危険が減る | 通院の間ずっと必要になる |
| 途中中断の危険 | ほぼない | 中断すると振り出しに戻る |
表のとおり、1回法の利点は仮のふたの期間が短く、途中で中断する危険がないことです。一方、複数回法は症状が強い場合に段階的な対応ができます。
1回法とはどのような方法か
1回法は、根の中の清掃、消毒、そして薬を詰めるところまでを、同じ日の一回の来院で終える方法です。海外の文献ではシングルビジットと呼ばれます。
条件が整えば、この方法には明確な利点があります。仮のふたを何週間も口の中に置かずに済むため、その間に唾液から細菌が入る危険がありません。通院の回数が減り、途中で中断する心配もなくなります。
ただし、1回で終えるには相応の時間が必要です。清掃と洗浄に十分な時間をかけ、そのうえで乾燥させて充填するため、1回の来院で1時間以上かかることが一般的です。保険診療の枠組みでは、1回の来院時間を長く確保することが難しい場合があり、この点が複数回法が主流になっている理由のひとつです。
複数回法が選ばれる場合
次のような状態では、複数回に分ける方法が選ばれます。
- 根の中から膿や液が出続けており、乾燥した状態にできない
- 強い痛みや腫れがあり、まず症状を抑える必要がある
- 根の先の病変が大きく、経過を見ながら判断したい
- 根の形が複雑で、清掃に時間を要する
- 石灰化していて、管を探すところから始まる
- 感染が長期化しており、薬を貼って細菌をさらに減らしたい
とくに、根の中が乾かない状態で薬を詰めることはできません。湿ったまま封鎖すると、隙間ができて細菌が繁殖します。この場合は、水酸化カルシウムなどの薬を根の中に貼り、1週間から2週間ほど置いてから次の処置に進みます。貼薬の役割は
根管の中はどう洗う?洗浄・消毒に使う薬と貼薬の役割で詳しく説明しています。
管がなかなか見つからない場合も、無理に一日で進めるより、日を分けて確実に到達する方が安全です。この状況は
根管が見つからない・細くて通らない|石灰化した根管の治療で扱っています。
治りやすさに差はあるのか
多くの患者さんが気にされる点です。
現在までの研究では、条件を揃えて比較した場合、1回法と複数回法で治療の成功率に大きな差はないと報告されています。つまり、どちらが優れているという単純な話ではありません。
ただし、処置直後の不快症状については、1回法でわずかに出やすいとする報告もあります。一度に多くの操作を行うため、根の先の組織が反応しやすいと考えられています。多くは数日で治まる範囲です。痛みの見方は
根管治療中・治療後に痛いのはなぜ?対処と受診の目安をご覧ください。
一方、複数回法には別の弱点があります。仮のふたが口の中にある期間が長くなるため、摩耗や脱落によって細菌が入る危険が生じます。通院が途切れれば、その危険はさらに高まります。
つまり、どちらの方法にも利点と弱点があり、その歯の状態と患者さんの通院事情に合わせて選ぶことになります。
なお、ここでいう「成功」とは、痛みや腫れが消えることだけを指すのではありません。根の先の骨に病変があった場合、それが縮小して回復していくことまでを含みます。この判定には半年から1年を要するため、治療直後の感覚で優劣を比べることはできません。
もうひとつ押さえておきたいのは、比較研究の対象になっているのが「条件の揃った歯」であるという点です。膿が出続けている歯や、管が石灰化して到達に難がある歯は、そもそも1回法の対象になりません。「1回でもよいと聞いた」という情報を、ご自身の歯にそのまま当てはめないでください。
同じ理由で、初めての治療とやり直しの治療も同列には扱えません。やり直しでは前の材料の除去という工程が加わり、根の中の細菌の種類も変わっています。この違いは
根管治療の失敗のサイン|治らない・再発するときの選択肢でも触れています。
回数を決めているのは何か
「何回かかりますか」というご質問に対して、一律の答えがないのはこのためです。回数を左右する要素を整理すると、次のようになります。
第一に、根の本数と形です。前歯は1本、小臼歯は1〜2本、大臼歯は3〜4本の管を持つことが多く、本数が増えるほど清掃に時間がかかります。形が湾曲していたり、枝分かれしていたりすればさらに複雑になります。根の形の複雑さは
根管の形はなぜ複雑?側枝・イスムス・樋状根と治療の難しさにまとめました。
第二に、初めての治療かやり直しかです。やり直しの場合は、前に詰めた材料を取り除く工程が加わり、その分だけ回数が増えます。
再根管治療とは|やり直しになる原因と成功率をご参照ください。
第三に、症状と炎症の程度です。膿が出ている、腫れているといった状態では、落ち着くまで処置を進められません。
第四に、1回あたりに確保できる時間です。同じ歯でも、1回30分で進める場合と90分かけられる場合では、必要な来院回数が変わります。
通院スケジュールの例
具体的な進み方をイメージしていただくため、代表的な流れを示します。あくまで目安で、状態によって前後します。
症状が軽い前歯を保険で治療する場合、初回に検査と根の中の清掃、2回目に清掃の仕上げ、3回目に薬を詰める、という3回程度が一般的です。その後、土台と被せ物で2回から3回が加わります。
大臼歯で管が4本ある場合は、清掃だけで2回から3回かかることがあります。膿が出ていれば、乾くまで薬を貼り替える回が加わり、5回から6回になることもあります。
自費で時間を確保して行う場合、前歯であれば1回、大臼歯でも2回から3回で薬を詰めるところまで進められることがあります。ただし、これは根の中が乾いていることが前提です。
いずれの場合も、根の治療のあとに被せ物の工程が続きます。「あと何回ですか」と尋ねる際は、根の治療だけの回数か、被せ物まで含めた回数かを確認しておくと、認識のずれを防げます。
回数が予定より増えたときに起きていること
最初に「3回くらい」と言われたのに5回目、6回目になることがあります。この場合、次のいずれかが起きていると考えられます。
- 膿や液が出続けており、乾いた状態にできていない
- 予定になかった管が見つかり、清掃の範囲が広がった
- 管が石灰化していて、到達までに時間を要している
- 症状が強く、痛みが落ち着くのを待っている
- 前の治療で詰められた材料の除去に手間がかかっている
いずれも、進んでいないのではなく、想定より難しい状態だったということです。ただし、患者さんの側からは同じ処置を繰り返しているようにしか見えないことがあります。
こうしたときは、「今どこで止まっているのか」を率直に尋ねてください。当院では、回が増える場合には理由を画像で示し、あと何回で次の段階へ進めるかの見込みをお伝えするようにしています。理由が分かれば、通院そのものの負担感は大きく変わります。
反対に、説明を求めても段階が示されない場合は、別の医院で意見を聞く方法もあります。手順は
歯科治療のセカンドオピニオン|取り方・費用・伝え方・断り方をご参照ください。
回数より確認したい三つのこと
回数の多さを心配される方は多いのですが、結果を左右するのは回数そのものではありません。次の三点をご確認ください。
ひとつめは、根の中を乾いた状態に保って処置しているかです。唾液が入る環境では、どれだけ回数を重ねても細菌は減りません。
ラバーダム防湿とは|根管治療の成功率を上げる理由で説明しているとおりです。
ふたつめは、すべての管に到達できているかです。見落とされた管が一本あるだけで、治療は失敗します。必要に応じて拡大視野や立体的な画像が使われます。
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根管治療で歯科用CTを撮るのはなぜ?レントゲンとの違いと分かることをご覧ください。
みっつめは、最終的な封鎖が緊密かどうかです。清掃が完璧でも、封鎖に隙間があれば再感染します。使用される材料は
根管充填とは|根の中に薬を詰める処置の目的と使う材料にまとめています。
保険と自費で回数はどう変わるか
保険診療では、1回あたりの処置内容と算定の仕組みが定められているため、複数回に分けて進める形が一般的です。前歯で3回前後、大臼歯で4回から6回程度が目安になります。
自費で行う場合、1回あたりの時間を長く確保できるため、1回から3回程度で終えることが多くなります。この差は、使用する器材の違いだけでなく、時間の配分の違いによるところが大きいものです。
なお、同じ歯の一連の治療では保険と自費を組み合わせることはできません。自費で根の治療を行った歯は、土台と被せ物も自費になります。費用を抑えたい場合は、保険の範囲で一貫して受けるか、自費で一貫するかの二択でお考えください。金額の目安は
再根管治療の費用|保険と自費の目安・被せ物の作り直しまで含めた総額、制度の違いは
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通院が難しい方が回数を減らしたい場合
仕事や家庭の事情で頻繁に通えない方は少なくありません。この場合、回数を減らす方向で相談することはできます。
現実的な方法は三つあります。ひとつは、1回の予約時間を長く取ってもらうことです。30分の枠を2つ続けて確保できれば、1回で進む範囲が広がります。ふたつめは、複数の歯を同じ日にまとめることです。みっつめは、時間をかけられる自費の枠で行うことです。
ただし、減らせない場面もあります。膿が出ていて乾かない、痛みが強くて麻酔が効きにくい、といった状態では、無理に一日で終えようとすると結果が悪くなります。麻酔が効きにくい理由は
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当院の考え方としては、通えない可能性が高い方ほど、早い段階で確実に封鎖できる形を目指すべきだと考えています。中断のまま放置される方が、回数を1回減らすことよりはるかに大きな損失につながるためです。中断した場合に起きることは
根管治療の途中で転院できる?引き継ぎの流れ・費用と注意点でも触れています。
治療のあとに待っていること
薬を詰め終えれば根の治療は完了ですが、歯としてはまだ途中です。土台を立て、被せ物を作る工程が続きます。この段階も含めた回数を伝えられていると、「まだ終わらない」という印象になります。
被せ物までの流れと選び方は
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そして、根の治療の成否は、詰めた直後には分かりません。半年から1年をかけて、根の先の骨が回復してくるかを画像で確認します。判定の見方は
根管治療後の経過観察|レントゲンで何を見て治ったと判断するかで説明しています。うまくいっていない場合のサインは
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治療期間中の食べ方については
根管治療中の食事はどうする?噛んでいい歯・避けたい食べ物と注意点、途中で医院を変える必要が出た場合は
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よくある質問
根管治療が1回で終わることはありますか
あります。症状が軽く、根の形が単純で、根の中を乾いた状態にできる場合は、清掃から薬を詰めるところまで同じ日に行えます。ただし1回の来院で1時間以上を要するため、時間を確保できる体制が必要です。膿が出ている場合や強い痛みがある場合は、この方法は選べません。
1回で終わるのは雑な治療ではありませんか
回数の少なさが雑さを意味するわけではありません。1回法は、清掃と洗浄に十分な時間をかけたうえで同じ日に封鎖する方法で、むしろ仮のふたの期間がない分だけ再汚染の危険が減ります。判断の基準は所要時間ではなく、乾燥を保てているか、すべての管に到達できているかです。
何回も通うのは治っていないからでしょうか
必ずしもそうではありません。根の本数が多い、形が複雑、膿が出ている、やり直しの治療であるといった条件では、回数が増えるのが通常です。想定より難しい状態だったために回が増えることもあります。ただし、5回を超えても状態の説明がない場合は、いまどの段階にいるのか、あと何回で薬を詰められる見込みかを具体的に尋ねてみてください。
1回法と複数回法で治りやすさは違いますか
条件を揃えて比較した研究では、成功率に大きな差はないと報告されています。処置直後の不快症状は1回法でやや出やすいとする報告がある一方、複数回法は仮のふたの期間が長く再汚染の危険が高まります。どちらにも利点と弱点があり、歯の状態に合わせて選びます。
自費なら回数を減らせますか
1回あたりに確保できる時間が長くなるため、回数は減る傾向があります。前歯で1回から2回、大臼歯でも2回から3回で終えられる場合があります。ただし、膿が出ている状態や石灰化した根では、自費であっても回数が必要です。費用と回数は必ずしも比例しません。
途中で薬を貼るのはなぜですか
根の中が乾かない場合や、細菌をさらに減らしたい場合に、水酸化カルシウムなどの薬を入れて1週間から2週間置きます。湿ったまま封鎖すると隙間ができ、そこで細菌が増えるためです。この工程は治療が進んでいない印ではなく、確実に封鎖するための準備にあたります。
回数が増えると費用も増えますか
保険診療では、処置の内容ごとに算定されるため、回数が増えれば窓口での支払い回数も増えます。ただし、一回あたりの金額は数百円から千数百円程度であることが多く、総額が大きく変わるわけではありません。自費の場合は、多くが一連の治療として総額で設定されています。
名古屋で回数の目安を知りたいときはどうすればよいですか
初回の検査のあとに、対象の歯が何本の管を持ち、あと何回で薬を詰められる見込みかを尋ねてください。画像を見ながらであれば、おおよその回数は説明できます。名古屋・愛知・東海の医院でも、治療計画の提示は一般的に行われていますので、遠慮なくご確認ください。
まとめ
根管治療の回数は、医院の丁寧さや腕の差だけで決まるものではありません。清掃から薬を詰めるところまでを同じ日に行う1回法と、複数回に分ける方法があり、それぞれに利点と弱点があります。1回法は仮のふたの期間がなく再汚染や中断の危険が小さい一方、1回に1時間以上の時間を要します。複数回法は症状が強い場合に段階的に対応できますが、仮のふたが長く口の中に残ります。治りやすさそのものには大きな差はないと報告されており、選択は歯の状態によって決まります。回数を左右するのは、根の本数と形、初めての治療かやり直しか、症状の強さ、そして1回に確保できる時間の四つです。結果を左右するのは回数ではなく、根の中を乾いた状態に保てているか、すべての管に到達できているか、封鎖が緊密かという三点にあります。回数が多いこと自体を心配するより、現在どの段階にいて、あと何回で薬を詰められるのかを確認する方が有益です。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で治療中の方は、
根管治療の全体像と
通院回数と期間の考え方をあわせてご確認ください。
参考・出典