対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
歯科の治療費が払えないときは、名古屋市の国民健康保険と後期高齢者医療に「一部負担金減免制度」があります。災害や失業などで生活が一時的に苦しくなり、収入が一定の基準額以下になった世帯は、窓口での支払いが免除・減額、または徴収猶予になる場合があります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)の歯科医院では、歯が欠けたまま、親知らずが腫れたまま、入れ歯が壊れたまま数か月放置してしまい、「お金がなくて行けなかった」と話される方が少なくありません。この制度は申請の途中で歯科医院に書類を持ち込み、治療費の概算見積の証明を受ける段取りがあるため、流れを知っているかどうかで使えるかが変わります。このページでは、2026年10月時点の名古屋市の基準、免除・減額・猶予の分かれ目、区役所と歯科医院を行き来する手順、対象にならない費用までを整理します。
名古屋市で歯科費用を軽くする制度の全体像は名古屋で歯科治療費が高いと感じたら|高額療養費・医療費控除・助成制度の使い分けにまとめています。このページはそのなかで「いま窓口で払えない」という場面に絞った解説です。
先に結論:払えないときは受診をやめるより先に区役所へ
- 名古屋市の国民健康保険には一部負担金減免制度があり、災害・失業などで収入が基準生活費の130%以下になった世帯は、窓口負担が免除・減額・徴収猶予のいずれかになることがあります。
- 対象は保険診療の自己負担分です。セラミックやインプラント、矯正などの自費診療は対象になりません。
- 申請には歯科医院で「一部負担金所要額の概算見積」の証明を受ける手順が入ります。先に区役所で用紙をもらう順番が大切です。
- 後期高齢者医療にも同じ趣旨の減免等があり、要件と必要書類が国民健康保険とは別に定められています。
- 減免が難しい場合でも、高額療養費・限度額適用認定証・医療費控除・院内の分割相談という別の道があります。痛みを我慢して放置するほど治療は大きくなります。
払えないときに検討できる制度の早見表
| 制度 | どんなときに向くか | 窓口 |
|---|---|---|
| 一部負担金減免(国保) | 災害・失業・病気などで収入が急に減り、いま窓口で払えない | 区役所保険年金課/支所区民福祉課 |
| 一部負担金の減免等(後期高齢者医療) | 75歳以上などで被災した、長期入院した、収入が著しく減った | 区役所保険年金課/支所区民福祉課 |
| 限度額適用認定証 | 入院や口腔外科の手術で、1か月の負担が高額になりそう | 区役所保険年金課(マイナ保険証なら不要) |
| 高額療養費 | すでに支払った1か月分が自己負担限度額を超えた | 区役所保険年金課 |
| 医療費控除 | 年間の医療費がかさんだ分を税金で取り戻したい | 管轄の税務署・e-Tax |
| 院内の分割・デンタルローン | 自費治療で総額が大きく、一度に払えない | かかりつけの歯科医院 |
一部負担金減免制度とはどういう制度か
一部負担金(いちぶふたんきん)とは、保険診療を受けたときに窓口で払う1割から3割の自己負担分のことです。名古屋市国民健康保険の一部負担金減免制度は、災害など特別な理由で生活が著しく困難になり、収入が一定の基準額以下になった人について、この窓口負担を軽くする仕組みです。 ここでいう「特別な理由」は次のように定められています。世帯主が震災・風水害・火災やこれに類する災害(なだれ、干ばつ、冷害、凍霜害など)で死亡した、障害者になった、資産に重大な損害を受けたとき。事業や業務の休廃止、失業などで収入が著しく減少したとき(真にやむを得ないものに限られます)。世帯員の病気などによる収入減少など、これらに類する事由があったときです。 よく混同されますが、保険料そのものを軽くする「保険料の減免」とは別の制度です。保険料を滞納している状態でも窓口負担の相談はできますので、まずは区役所の保険年金課に状況を伝えてください。名古屋市の免除・減額・猶予の基準と期間
軽減は三段階に分かれます。免除は窓口での支払いが必要なくなるもの、減額は支払額の2割から8割が減額されるもの、猶予は支払いが一定期間先送りになり、期間経過後に支払うものです。 分かれ目は「実収月額」と「基準生活費」の比較で判定されます。基準生活費は生活保護基準とほぼ同額とされています。| 種別 | 要件(実収月額と基準生活費の関係) | 期間 |
|---|---|---|
| 免除 | 実収月額が基準生活費の115.5%以下 | 3か月以内 |
| 減額 | 基準生活費の115.5%を超え130%以下 | 3か月以内 |
| 猶予 | 基準生活費の130%を超え、130%+一部負担金所要額以下 | 6か月以内 |

歯科医院で概算見積の証明を受ける手順
この制度でつまずきやすいのが書類の順番です。歯科医院にいきなり「減免したい」と伝えても手続きは進みません。名古屋市の手続きは次の流れになります。- 区役所保険年金課または支所区民福祉課で、一部負担金減免等申請書などの用紙を受け取ります。
- 申請書に必要事項を記入し、受診する歯科医院に提出して、一部負担金の概算額の証明を受けます。複数の医療機関にかかる場合は、それぞれで概算見積の証明が必要です。
- 証明を受けた申請書に、収入申出書と添付書類(給与証明書、帳簿の写し、年金支給通知など)、借家・借地・借間の世帯は家賃証明書、世帯全員の通帳の写しを添えて、区役所保険年金課または支所区民福祉課に提出します。
- 審査のうえ決定され、「国民健康保険一部負担金減免等証明書」が交付されます。
- その証明書を、マイナ保険証または資格確認書と一緒に歯科医院へ提出します。
後期高齢者医療の場合の要件と必要書類
75歳以上の方(一定の障害がある方は65歳以上)が加入する後期高齢者医療制度にも、一部負担金の減免等があります。名古屋市では次のいずれかに該当する場合に認められることがあるとされ、いずれの要件でも所得の判定があり、所得によっては対象にならない場合があります。- 震災・風水害・火災等で住宅、家財その他の財産に5割以上の損害を受けた場合(全壊・全焼・床上浸水)は、申請のあった日から6か月の免除。り災証明書または被災証明書が必要です。
- 同じく2割以上5割未満の損害(半壊・半焼・床上浸水)は、申請のあった日から3か月の免除です。いずれも床下浸水は対象になりません。
- 重篤な疾病や負傷により死亡し、心身に重大な障害を受け、または長期間入院した方(その被保険者のみの世帯を除く)は、免除・減額・徴収猶予のいずれかで6か月。障害者手帳、死亡証明書、入院証明書、診断書、領収証の写し、医師の意見書などが必要です。
- 事業または業務の休廃止、失業等により著しく収入が減少した場合等も、免除・減額・徴収猶予のいずれかで6か月。事業の休廃止の届出(控)、雇用保険受給資格者証などが必要です。
減免の対象にならない費用
減免されるのは保険診療の一部負担金です。歯科で費用が大きくなりやすいものの多くは、ここから外れます。- セラミックの被せ物、インプラント、矯正、ホワイトニングなどの自費診療。
- 入院中の食事負担額や差額ベッド代。
- 診断書・証明書などの文書料。
- 歯ブラシや歯磨き粉などの物品の購入費。
区役所に相談しに行くときの準備
窓口での説明がスムーズになるよう、持ち物と伝え方を整えておくと一度で話が進みます。用意しておきたいのは、マイナ保険証または資格確認書、直近の収入がわかるもの(給与明細、年金支給通知、事業の帳簿など)、家賃の金額がわかるもの、世帯全員分の通帳です。収入が減った原因を示す書類(離職票、雇用保険受給資格者証、事業の休廃止の届出の控え、り災証明書など)があれば一緒に持参します。 伝え方としては、「歯科で治療が必要と言われたが、窓口負担を払う余裕がない」という現在の状況と、「いつから収入が減ったか」の時期を具体的に話すのが要点です。歯科の治療費はいくらになるか見当がつかないという相談が多いのですが、金額は歯科医院の概算見積で後から確定しますので、金額が分からない段階でも相談を始めて構いません。区役所の電話番号は市のページに区ごとの一覧が掲載されています。減免が使えない・間に合わないときの選択肢
収入要件に届かない、災害や失業にあてはまらない、審査を待つ時間がないという場合もあります。そのときは別の道を検討します。 入院や口腔外科の手術で1か月の負担が大きくなりそうなら、限度額適用認定証で窓口負担を上限までにできます(詳しくは名古屋市の国民健康保険と限度額適用認定証|歯科の入院・手術で窓口負担を上限額までにする手続き)。すでに払った分は高額療養費制度を名古屋市で申請するには|区役所保険年金課の窓口・電子申請と歯科で使える場面で戻る可能性があります。年間でかさんだ医療費は歯科の医療費控除を名古屋市で申告するには|管轄の税務署・e-Tax・市税事務所の使い分けの対象になります。 生活保護を受けている場合は医療扶助で歯科を受けられます(生活保護を受けているときの歯科受診|名古屋市の医療扶助・医療券の流れ)。顎や口の機能に障害があり手術を伴うときは自立支援医療(更生医療・育成医療)は歯科で使える?名古屋市の申請窓口・対象になる治療も確認してください。ひとり親世帯はひとり親家庭等医療費助成は歯科でも使える?名古屋市の対象・所得制限・申請窓口で窓口負担が助成される場合があります。 自費治療の総額が払えない場合は、院内の分割やデンタルローンという方法もあります(歯科治療費の分割払い・デンタルローンとは|金利・審査・医療費控除との関係)。退職・転職で保険が切り替わる時期に受診が止まりやすい方は転職・退職で健康保険が変わるときの歯科治療の続け方|名古屋市の国保切替・任意継続を、在留資格や言語の不安がある方は外国人・留学生が名古屋で歯科を受診するには|国民健康保険の加入・窓口負担・多言語の相談窓口を参考にしてください。
痛みが止まったところで中断しないために
費用の相談を受けるなかで、歯科医師として一番心苦しいのは「痛みが止まった時点で来院が途切れる」ケースです。歯の神経の処置では、消毒の途中で痛みが落ち着くことがよくあります。そこで中断すると、仮のふたが外れて細菌が入り、数か月後に腫れて抜歯になることがあります。抜歯になれば、入れ歯やブリッジが必要になり、結果として負担は大きくなります。 当院で費用の相談を受けたときは、まず「今日どこまでやれば悪化を止められるか」を決めて、その一歩だけに絞ります。応急処置で炎症を落ち着かせてから、減免の申請期間に合わせて治療の順番を組み替えることもできます。費用を理由に通院が難しいときは、黙って間隔を空けるのではなく、受付で事情を伝えてください。治療計画の組み方そのものが変わります。通院回数を抑える考え方は忙しくて歯医者に行けず虫歯を放置している方へ|通院回数を抑える進め方にもまとめています。 名古屋市内で休日や夜間に痛みが出たときは、応急処置を受けられる窓口があります(名古屋で休日に歯が痛いとき|北・南歯科保健医療センターの使い方と受診の判断)。市の歯科制度を通して見たい方は名古屋市の歯科制度ガイド|無料の歯周疾患検診・妊産婦歯科診査・休日の応急処置もあわせてご覧ください。よくある質問
歯科の治療費も一部負担金減免の対象になりますか
対象になります。名古屋市国民健康保険の一部負担金減免制度は医療機関等の窓口での自己負担額を軽減する制度で、歯科医院の保険診療もこれに含まれます。ただし軽減されるのは保険診療の自己負担分だけです。セラミックやインプラント、矯正などの自費診療、入院中の食事負担額や差額ベッド代は対象になりません。名古屋市の一部負担金減免はどの窓口に申請しますか
お住まいの区の区役所保険年金課、または支所区民福祉課です。申請書などの用紙もここで受け取ります。歯科医院に直接申し込む制度ではなく、歯科医院が行うのは概算見積の証明だけです。まず区役所で用紙を受け取り、歯科医院で証明を受けてから、収入申出書などの必要書類を添えて区役所に提出するという順番になります。免除と減額と猶予はどう決まるのですか
実収月額と基準生活費(生活保護基準とほぼ同額)の比較で決まります。実収月額が基準生活費の115.5%以下なら免除、115.5%を超えて130%以下なら支払額の2割から8割の減額、130%を超えて130%+一部負担金所要額以下なら徴収猶予です。期間は免除・減額が3か月以内、猶予が6か月以内とされています。歯科医院で出してもらう概算見積とは何ですか
これから予定している治療について、一部負担金がいくらになるかの見込み額を歯科医院が証明するものです。区役所で受け取った申請書を持参して依頼します。複数の医療機関を受診する場合は、それぞれの医療機関で概算見積の証明を受ける必要があります。検査前では出しにくいため、治療計画が決まった段階で依頼してください。すでに払った歯科の窓口負担も遡って減免されますか
措置開始年月日は原則として申請年月日以降ですが、事情によっては遡及できる場合もあるとされています。自己判断で諦めず、受診日と領収証を持って区役所保険年金課に相談してください。なお、1か月の自己負担が限度額を超えている場合は、高額療養費として戻る可能性も別にあります。後期高齢者医療でも歯科の窓口負担は減免されますか
名古屋市では、災害で財産に2割以上の損害を受けた場合、重篤な疾病や負傷で長期入院した場合、事業の休廃止や失業で著しく収入が減少した場合などに、免除・減額・徴収猶予が認められることがあります。いずれの要件にも所得の判定があり、所得によっては対象にならない場合があります。電子申請も可能です。保険料を滞納していても一部負担金の減免は相談できますか
相談できます。保険料そのものを軽くする保険料の減免と、窓口負担を軽くする一部負担金減免は別の制度です。滞納があると受診をためらいやすいところですが、放置すると治療が大きくなります。区役所保険年金課で保険料と窓口負担の両方を一度に相談するのが現実的な進め方です。費用が心配で治療を途中でやめたいときはどうすればよいですか
受付で費用の事情を伝えてください。黙って間隔を空けるのが一番避けたい選択です。神経の処置は途中で痛みが落ち着くことがありますが、仮のふたのまま放置すると再感染して抜歯に至ることがあります。悪化を止める処置だけ先に行い、申請期間に合わせて順番を組み替えるという進め方もできます。まとめ
名古屋市の国民健康保険と後期高齢者医療には、歯科の窓口負担にも使える一部負担金減免制度があります。国民健康保険では実収月額が基準生活費の115.5%以下で免除、130%以下で2割から8割の減額、それを超えても一定の範囲なら徴収猶予という三段階です。手続きは、区役所保険年金課で用紙を受け取り、歯科医院で概算見積の証明を受け、収入申出書や通帳の写しを添えて提出し、交付された証明書を歯科医院に出すという流れになります。 対象は保険診療の自己負担分で、自費診療や文書料は含まれません。要件に届かない場合も、限度額適用認定証・高額療養費・医療費控除・院内の分割という別の道があります。費用が理由で通院が止まりそうなときは、受付で事情を伝えてください。本記事の制度内容は2026年10月時点の名古屋市の公表内容にもとづくもので、基準額や必要書類は改定されることがあります。最新の内容はお住まいの区の区役所保険年金課、または支所区民福祉課でご確認ください。参考・出典
- 名古屋市「一部負担金減免制度(国民健康保険)」 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/hoken/1011736/1011758/1011769/1011770.html
- 名古屋市「一部負担金の減免等(後期高齢者医療)」 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/hoken/1016449/1034710/1016468.html
- 名古屋市「医療費の自己負担(国民健康保険)」 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/hoken/1011736/1011758/1011759/1011760.html
- 名古屋市「医療費が高額になった時(国民健康保険)」 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/hoken/1011736/1011758/1011769/1011773.html
- 名古屋市「【電子申請】国民健康保険一部負担金減免の申請」 https://www.city.nagoya.jp/kurashi/hoken/1011736/1011815/1034707/1045824.html