抜歯後に熱が出た|正常な範囲と感染を疑うサイン

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年9月3日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

親知らずの抜歯後に微熱が出ることはあり、多くは体の自然な反応です。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の方から「抜いた日の夜に37度台になった」「3日目に急に熱が上がった」というご相談をいただきます。判断の分かれ目は、熱が出た時期と、他にどんな症状が伴っているかです。このページでは、経過として起こる熱と、感染を疑うべき熱の違い、家でできること、そして受診の目安を整理します。自己判断で薬を足す前に読んでいただきたい内容です。

ベッドで体温計を手にして体温を確認している人のイラスト

先に結論

  • 抜歯当日から翌日にかけての37度台前半は、処置に対する体の反応として起こりうる
  • 2日目までに下がっていくのが通常の経過。日ごとに下がっていれば心配は少ない
  • 3日目以降に新しく熱が出る、いったん下がった熱が再び上がる場合は感染を疑う
  • 38度以上、飲み込むときの強い痛み、口が開かなくなる、首の腫れは受診の対象
  • 抗菌薬は指示された分を飲み切る。自己判断で追加も中断もしない
抜歯後の経過全般は親知らず抜歯後の注意点とドライソケット予防|原因・見分け方・対処にまとめています。このページでは、熱に絞って扱います。 熱の出方によって、どう判断するかを並べます。
時期体温伴う症状判断
当日〜翌日37度台前半腫れと痛みがある、だるさ経過の範囲
2日目下がっていく腫れはピークだが熱は引く経過の範囲
3日目以降新たに上がる痛みも強まる、口が開かない受診
いつでも38度以上のどの痛み、首の腫れ、寒気その日に連絡
※体温には個人差と日内変動があります。平熱が低い方は、37度でも高く感じることがあります。

抜歯後に熱が出るのはなぜか

理由は大きく2つに分かれます。この2つを区別することが、判断の中心になります。 一つ目が、処置に対する体の反応です。歯ぐきを開いて骨を削る処置は、体にとっては傷を負ったのと同じです。傷を治すために炎症が起こり、その過程で体温がわずかに上がることがあります。これは腫れや痛みと同じ時期に現れ、腫れがピークを迎える前後で引いていきます。腫れの経過は親知らず抜歯後の腫れはいつまで続く?ピークの時期と引かないときの受診目安をご覧ください。 二つ目が、感染です。抜いた部位に細菌が増え、炎症が広がっている状態です。こちらは経過の途中から現れるのが特徴で、いったん落ち着いていた症状が再び強くなります。 同じ「熱」でも、時期と向きが違います。処置への反応であれば、抜歯直後に出て日ごとに下がります。感染であれば、3日目以降に新しく出て、日ごとに強まります。この向きの違いが最も分かりやすい手がかりです。 処置の範囲が広いほど反応も大きくなるため、横向きや深く埋まった下の親知らずでは、微熱が出やすくなります。抜歯の内容は横向き・埋まっている親知らず(埋伏智歯)の抜歯|難易度と流れで扱っています。

経過の範囲といえる熱

次のような出方であれば、様子を見てよい範囲です。 抜いた日の夜から翌日にかけて、37度台前半になる。体がだるく、腫れと痛みもある。この状態は処置への反応として説明できます。 2日目に入って、腫れは強いままでも熱は下がってくる。腫れのピークは2〜3日目ですが、熱はそれより早く引くのが通常です。 痛み止めを飲むと下がる。処方される痛み止めには熱を下げる働きもあるため、服用後に平熱に近づくのは自然なことです。 このような場合は、水分をとって休んでください。翌日以降も日ごとに下がっていれば、予定どおりの受診で足ります。
小さなカレンダーの上に体温の推移を示す緩やかな曲線を描いた抽象イラスト

感染を疑うサイン

一方、次のいずれかがあれば、その日のうちに医院へ連絡してください。 38度以上の熱が出た場合。処置への反応としては高すぎます。 3日目以降に新しく熱が出た、またはいったん下がった熱が再び上がった場合。これが最も重要なサインです。抜歯直後に出る熱と、時期をずらして出る熱は意味が違います。 飲み込むときにのどが痛む場合。炎症が抜いた部位を越えて広がっている可能性があります。 口が開けにくい状態が日ごとに強まる場合。通常は腫れが引くのにあわせて戻りますが、逆に進む場合は別の原因を考えます。経過の目安は親知らず抜歯後に口が開けにくい|開口障害が起きる理由と戻るまでの目安をご覧ください。 抜いた側の首やあごの下が腫れて硬い場合、寒気を伴う場合も、早めの連絡が必要です。 痛みが3日目以降に強まる場合は、抜いた穴を保護している血のかたまりが流れてしまった状態も考えられます。この見分け方は抜歯後の穴はいつふさがる?食べかすが詰まるときの正しいケアにまとめました。

家でできること

熱が出ているあいだの過ごし方を挙げます。 水分をこまめにとってください。熱があると失われる水分が増えます。ただし、ストローで強く吸うのは避けてください。口のなかの圧が変わり、傷口を保護している血のかたまりが動くことがあります。 安静にしてください。入浴は、熱があるあいだは湯船を避け、シャワーで短く済ませてください。血のめぐりが急に強まると、痛みや腫れが増します。この時期の生活全般は抜歯後の生活|食事・痛み・腫れ・運動・お風呂はいつから?をご覧ください。 処方された痛み止めは、指示された間隔で飲んでください。熱を下げる働きも兼ねています。市販の解熱鎮痛薬を重ねて飲むのは避けてください。成分が重なると量が過剰になります。使いたい場合は医院か薬局に確認してください。痛み止めの飲み方は親知らず抜歯の薬代・再診料はいくら?抜歯当日以外にかかる費用でも扱っています。 食事は、噛まずに済むものを選んでください。熱があると食欲も落ちますが、水分と少量の栄養は取ってください。
体温計を持ちながら歯科医院へ電話をかけている人のイラスト

抗菌薬の扱い

抜歯後には、感染を防ぐ目的で抗菌薬が処方されることがあります。通常は3日分ほどです。 指示された分は飲み切ってください。症状が落ち着いても途中でやめると、効果が中途半端になります。 一方で、自己判断で追加してはいけません。手元に以前の抗菌薬が残っていて、熱が出たからと飲む方がいますが、種類も量も今回の状況に合っているとは限りません。 飲み切った後に熱が出た場合は、連絡してください。処方の内容を変える判断が必要になることがあります。 薬のアレルギーがある方、持病で薬を飲んでいる方、妊娠中・授乳中の方は、抜歯前に必ず申し出てください。使える薬の種類が変わります。

夜間・休日に熱が出たとき

抜歯後の症状は、医院が閉まっている時間に強まることがあります。 まず、医院の留守番電話や案内を確認してください。緊急時の連絡先が案内されていることがあります。 38度以上の熱に加えて、飲み込めない、息苦しい、首が大きく腫れているといった状態であれば、夜間・休日でも受診が必要です。名古屋市内の休日診療の窓口と受診の判断は名古屋で休日に歯が痛いとき|北・南歯科保健医療センターの使い方と受診の判断にまとめています。夜間の痛みへの応急的な対処は休日・夜間に歯が痛い時の応急処置と救急受診の判断をご覧ください。 翌朝まで待てる状態かどうかの目安は、熱の高さだけでなく、飲み込めるか、呼吸が楽か、口が開くかにあります。この3つに支障があれば、待たずに相談してください。 出血が続いている場合の判断は抜歯後の出血が止まらないときの対処|正常な範囲と受診が必要なサイン、皮膚の変色については抜歯後に頬や首があざのように紫色になった|内出血の経過と受診の目安をご覧ください。 当院では、抜歯の説明のときに「熱が出るとしたら当日か翌日で、そこから下がっていく」という経過の型をお伝えしています。この型を知っていれば、3日目に熱が出たときに「経過とは違う」と自分で気づけるからです。何度なら受診という数字だけを覚えるより、熱が出た時期と向きで見るほうが確実です。抜糸の時期は親知らず抜歯の抜糸はいつ?痛み・当日の過ごし方と糸が取れたときの対処にまとめました。

抜歯とは関係のない熱の可能性

熱が出たとき、すべてを抜歯のせいと考えないでください。時期が重なっただけということもあります。 風邪やインフルエンザなどの感染症は、抜歯とは無関係に起こります。のどの痛み、鼻水、咳、全身の関節の痛みを伴う場合は、そちらの可能性が高くなります。 見分ける手がかりは、症状が口のなかに集中しているかどうかです。抜いた部位の痛みが同時に強まっているなら、抜歯に関連した炎症を考えます。口のなかは落ち着いているのに全身の症状が強いなら、別の原因を考えます。 判断に迷う場合は、まず歯科医院へ連絡してください。抜いた部位の状態を確認したうえで、内科の受診をすすめられることもあります。 なお、抜歯の予定が決まっている方が前日に熱を出した場合は、抜歯を延期するのが原則です。体調が万全でない状態で処置を受けると、術後の回復にも影響します。無理をせず連絡してください。

体温の測り方と記録

判断の材料になるのは、一度の測定値ではなく、時間の流れです。 同じ時間帯に測ってください。体温には日内変動があり、朝は低く夕方から夜にかけて高くなります。朝の37度と夜の37度では意味が違います。 自分の平熱を把握しておいてください。平熱が36度台前半の方にとっての37度と、36度台後半の方にとっての37度では、体の負担が異なります。 記録は簡単なメモで十分です。日付、時刻、体温、そのときの症状を並べておくと、受診したときに経過が伝わります。「3日目の夜から上がった」という情報は、口頭で説明するより記録のほうが正確です。 痛み止めを飲んだ時刻も書いておいてください。服用後は熱が下がるため、下がった理由が薬なのか回復なのかを区別できます。

抜歯前に伝えておくこと

熱への対応を左右するのは、抜歯前の情報です。次の点は必ず申し出てください。 薬のアレルギーです。特に抗菌薬で発疹やじんましんが出た経験がある方は、代わりの種類が選ばれます。 服用中の薬です。血液をさらさらにする薬、免疫の働きに関わる薬、糖尿病の薬などは、抜歯の進め方と術後の経過に関わります。自己判断で中断せず、処方元の医師と歯科医師の双方に伝えてください。 持病です。糖尿病がある方は感染が起こりやすく、治りも遅くなる傾向があります。心臓の弁に関わる病気がある方は、処置前に抗菌薬を使う判断がなされることがあります。 妊娠中・授乳中かどうかです。使える薬の種類が変わり、時期によっては抜歯を先送りする判断にもなります。妊娠中・妊娠前の親知らず|生えてきた・痛いときの対処と抜歯のタイミングをご覧ください。 これらを伝えておけば、熱が出たときの対応も速くなります。

熱が出やすい抜歯とそうでない抜歯

出方には傾向があります。あらかじめ知っておくと、判断がしやすくなります。 微熱が出やすいのは、下の親知らずで歯ぐきを開き、骨を削った場合です。処置の範囲が広いほど、体の反応も大きくなります。 出にくいのは、上の親知らずでまっすぐ生えている場合です。歯ぐきを開かずに抜けることが多く、熱をまったく感じない方も多くいます。 抜く前から歯ぐきが腫れていた場合は、注意が必要です。もともと炎症がある状態で抜くと、術後に症状が強まることがあります。腫れが強いときは、いったん薬で炎症を抑えてから抜歯の日を決めることもあります。 複数本を1日で抜いた場合も、体への負担が重なります。抜歯の計画は親知らず4本を抜く費用はいくら?まとめて抜く場合と1本ずつの違いを参考にしてください。

家族や周囲に伝えておくこと

一人で判断しにくい状況に備えて、周囲にも共有しておくと安心です。 抜歯の日と、どの歯を抜いたか。処方された薬の種類。そして、どういう場合に連絡すべきかの目安です。 夜間に症状が強まったとき、自分では判断が鈍ることがあります。飲み込めるか、呼吸が楽か、口が開くかの3点を、周囲の人にも伝えておいてください。 医院の連絡先は、すぐ見える場所に控えておくと役立ちます。

受診するときに持っていくもの

熱が出て受診する場合は、保険証と診察券のほか、処方された薬の袋またはお薬手帳を持参してください。何をどれだけ飲んだかが分かると、処方を変える判断が速くなります。体温の記録があれば、あわせて見せてください。 なお、熱が出たことは次の受診でも必ず伝えてください。経過として記録が残り、次に別の歯を抜くときの計画にも生かされます。

よくある質問

親知らずの抜歯後に熱が出るのは普通ですか

当日から翌日にかけての37度台前半であれば、処置に対する体の反応として起こりうる範囲です。歯ぐきを開いて骨を削る処置は体にとって傷を負ったのと同じで、治すための炎症の過程で体温がわずかに上がります。2日目に向けて下がっていけば経過の範囲です。処方された痛み止めには熱を下げる働きもあるため、服用後に平熱へ近づくのも自然なことです。

何度から受診したほうがよいですか

38度以上であれば、その日のうちに医院へ連絡してください。ただし数字だけでなく時期も重要です。3日目以降に新しく熱が出た場合や、いったん下がった熱が再び上がった場合は、37度台でも感染を疑います。熱が出た時期と向きで判断してください。痛みが同時に強まっているかどうかも、あわせて確認しておきたい手がかりになります。

3日目に熱が出たのですが大丈夫ですか

経過とは異なる出方です。処置への反応であれば抜歯直後に出て日ごとに下がります。3日目以降に新しく出る熱は、抜いた部位に感染が起きている可能性を示します。痛みも同時に強まっているようなら、その日のうちに連絡してください。口が開けにくい状態が強まる、首やあごの下が硬く腫れるといった変化があればなおさらです。

市販の解熱剤を飲んでもよいですか

処方された痛み止めがある場合は、それを指示された間隔で飲んでください。熱を下げる働きも兼ねています。市販の解熱鎮痛薬を重ねると成分が重なって量が過剰になるため、使いたい場合は事前に医院か薬局に確認してください。自己判断で足さないでください。効きが悪いからと指定された間隔より短く追加するのも避けてください。副作用の危険が高まります。

抗菌薬を飲んでいるのに熱が出たときはどうすればよいですか

飲んでいる途中でも熱が出ることはあります。指示された分は飲み切ったうえで、熱の出方を確認してください。3日目以降に新しく出た熱や38度以上の熱であれば、処方の内容を変える判断が必要になることがあるため、飲み切るのを待たずに連絡してください。手元に残っている以前の抗菌薬を自己判断で飲むのは避けてください。種類も量も今回に合うとは限りません。

お風呂に入ってもよいですか

熱があるあいだは湯船を避け、シャワーで短く済ませてください。血のめぐりが急に強まると、痛みや腫れが増します。熱が下がり、腫れも引いてきたら通常どおりに戻せます。飲酒と激しい運動も、同じ理由で熱があるあいだは控えてください。熱が下がり腫れも引いてきたら、通常どおりに戻して問題ありません。

夜間に熱が出たらどうすればよいですか

38度以上の熱に加えて、飲み込めない、息苦しい、首が大きく腫れているといった状態であれば、夜間でも受診が必要です。まず医院の留守番電話や案内で緊急時の連絡先を確認してください。判断の目安は、飲み込めるか、呼吸が楽か、口が開くかの3点です。この3つに支障があれば、翌朝を待たずに相談してください。名古屋市には休日の歯科の窓口もあります。

熱と一緒にのどが痛いときは受診が必要ですか

飲み込むときにのどが痛む場合は、炎症が抜いた部位を越えて広がっている可能性があります。抜いた側の首やあごの下が腫れて硬い、寒気がするといった症状を伴うときは、その日のうちに連絡してください。翌日まで様子を見る判断は避けてください。翌日まで様子を見る判断は避け、その日のうちに連絡して指示を受けてください。

まとめ

親知らずの抜歯後に熱が出たとき、判断の中心になるのは体温の数字よりも、熱が出た時期と向きです。処置に対する体の反応であれば、抜いた日の夜から翌日にかけて37度台前半になり、腫れと痛みを伴いながら、2日目に向けて下がっていきます。腫れのピークは2〜3日目ですが、熱はそれより早く引くのが通常の経過です。一方、感染が起きている場合は、経過の途中から現れます。3日目以降に新しく熱が出る、いったん下がった熱が再び上がる、痛みも同時に強まる。この向きの違いが最も分かりやすい手がかりになります。その日のうちに連絡すべきなのは、38度以上の熱、飲み込むときののどの痛み、日ごとに強まる開口のしにくさ、抜いた側の首やあごの下の硬い腫れ、寒気です。家でできることは、水分をこまめにとる、安静にする、湯船を避けてシャワーで短く済ませる、処方された痛み止めを指示どおりに飲む、の4つです。市販の解熱鎮痛薬を重ねると成分が過剰になるため、使いたい場合は事前に確認してください。抗菌薬は指示された分を飲み切り、自己判断で追加も中断もしないでください。夜間に判断するときの目安は、飲み込めるか、呼吸が楽か、口が開くかの3点です。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で抜歯を受けた方は、親知らず抜歯後の注意点とドライソケット予防|原因・見分け方・対処とあわせて、腫れと痛みの経過と重ねて見ていくと判断しやすくなります。

参考・出典

  • 日本口腔外科学会「親知らず(智歯)」「智歯抜歯後の合併症」
  • 日本化学療法学会・日本口腔外科学会「術後感染予防抗菌薬適正使用のための実践ガイドライン」
  • 厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き」
  • 名古屋市「休日急病診療所(歯科)」 https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/iryou/1008919/1008939/1008940.html

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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