対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
「歯周病の治療を続けてきたのに、『次は外科手術が必要です』と言われた」「歯ぐきを切ると聞いて怖くなった」。フラップ手術を提案された方の多くが、痛みや腫れ、費用、本当に必要なのかという不安を抱えています。
名古屋市内(中区・栄・名古屋駅周辺)や愛知・東海エリアの歯科医院でも、フラップ手術は歯周病治療の一環として広く行われている標準的な処置ですが、内容を正しく知らないまま日程だけが決まっていく、というケースは少なくありません。
先に結論:フラップ手術は「見えない深部を、見える状態にして掃除する」治療です
フラップ手術(歯肉剥離掻爬術/しにくはくりそうはじゅつ)は、歯ぐきを切開してめくり(この「めくった歯ぐき」をフラップと呼びます)、深い歯周ポケットの奥に残った歯石や炎症組織を、直接目で見ながら取り除く手術です。- 対象:基本治療(SRP)を行っても4〜6mm以上の深いポケットが残る部位
- 目的:器具が届かない深部の歯石・汚染物の徹底除去と、清掃しやすい歯ぐきの形への改善
- 麻酔:局所麻酔で行い、手術中の強い痛みは通常ありません
- 時間:1回あたり30分〜1時間程度(範囲による)
- 費用:保険適用。3割負担で1回あたり数千円程度が目安
【早見表】歯周外科の主な術式と特徴
| 術式 | 主な目的 | 特徴 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| A フラップ手術(FOP) | 深部の歯石・炎症組織の除去 | 最も標準的。直視下で確実に清掃 | 保険3割で1回3,000〜10,000円程度 |
| B 切除療法 | ポケットそのものを浅くする | 歯ぐきや骨の形を整える。歯が長く見えやすい | 保険適用の場合あり |
| C 再生療法併用 | 失われた骨の回復を促す | フラップ手術と同時にリグロス等を応用 | 保険適用あり/エムドゲインは自費5〜15万円程度 |
| D 歯肉移植など形成手術 | 下がった歯ぐきの回復・角化歯肉の獲得 | 見た目や清掃性の改善が目的 | 自費中心(5〜15万円程度) |
なぜ手術が必要になるのか:SRPの限界
歯周病治療の土台は、歯ぐきの中の歯石や汚染された歯根面を清掃するSRP(スケーリング・ルートプレーニング)です。詳しくは歯周病の検査と基本治療(スケーリング・SRP)で解説していますが、SRPは「手探り」の処置という性質上、ポケットが深くなるほど取り残しが増えることが知られています。 研究報告では、ポケットが6mmを超えると、器具の届かない部位や根の形が複雑な部位で歯石の取り残しが多くなるとされています。取り残された歯石は細菌の足場となり、炎症がくすぶり続けます。 そこで、基本治療のあとの再評価(もう一度ポケットを測る検査)で深いポケットと出血が残っている場合に、「見える状態にして徹底的に掃除する」フラップ手術が検討されるのです。いきなり手術になることは通常なく、基本治療→再評価→外科という段階を踏むのが原則です。もし基本治療を経ずに手術だけを勧められた場合は、理由の説明を求めてよいでしょう。手術の流れ:当日から抜糸まで
フラップ手術は、一般的に次のような流れで進みます。- 術前の確認:ポケット検査・レントゲンで対象部位を最終確認し、血圧や服用中の薬(血をサラサラにする薬など)をチェックします。
- 局所麻酔:対象部位に麻酔をします。以降、手術中の痛みは基本的に感じません。
- 切開・剥離:歯ぐきを歯に沿って切開し、骨から丁寧にめくって、歯根と骨を見える状態にします。
- 清掃(デブライドメント):残っていた歯石、炎症で変性した組織(不良肉芽/ふりょうにくげ)を直接見ながら取り除き、歯根面をなめらかに整えます。必要に応じて骨の形の修正や、再生材料の応用を行います。
- 縫合:歯ぐきを元の位置に戻し、糸で縫い合わせます。
- 抜糸:約1〜2週間後に糸を取り、治り具合を確認します。
痛み・腫れはどのくらい?ダウンタイムの実際

- 手術中:局所麻酔が効いているため、強い痛みは通常ありません。押される感覚はあります。
- 当日〜翌日:麻酔が切れた後に痛みが出ることがありますが、多くは処方される痛み止めでコントロールできる程度とされています。
- 2〜3日目:腫れが出る場合はこの頃がピークで、その後徐々に引いていきます。
- 1〜2週間:抜糸。違和感は残っても、日常生活への支障は少なくなります。
- 数週間〜:歯ぐきが引き締まり、冷たいものがしみる知覚過敏が一時的に出ることがあります。
費用と保険:いくらかかるのか
フラップ手術は、歯周病の治療として行う場合、公的医療保険が適用されます。自己負担3割の場合、1回(1ブロック)あたりおおよそ3,000〜10,000円程度が目安で、範囲や併用する処置によって変わります。これに加えて、検査・再診料・薬代がかかります。 同時に歯周組織再生療法を行う場合、保険適用の薬剤リグロスを使えば保険の範囲内で受けられます。エムドゲインなど自費の材料を使う場合は1部位5〜15万円程度が相場とされ、医院によって異なります。再生療法の適応や材料の違いは、歯周組織再生療法とは|リグロス・エムドゲインの効果と適応で詳しく解説しています。 なお、重度で歯の保存自体に迷いがある場合の考え方は、重度歯周病でも歯を残せる?抜歯と言われたときの選択肢にまとめています。手術前に必ず伝えておきたいこと
安全に手術を受けるため、持病や服用中の薬は事前に必ず歯科医師へ伝えてください。特に注意が必要なのは次のような場合です。- 血をサラサラにする薬(抗血栓薬)を飲んでいる:自己判断で中止せず、処方した主治医と歯科が連携して対応を決めます
- 糖尿病がある:血糖コントロールが不良だと傷の治りが悪く感染リスクが上がるため、数値を共有して時期を検討します
- 骨粗しょう症の薬(ビスホスホネート等)を使用している:骨に関わる処置の前に確認が必要です
- 高血圧・心疾患がある:当日の体調や麻酔の種類に配慮が必要になることがあります
手術を成功させるために:術後ケアとメンテナンス
フラップ手術は「やって終わり」の治療ではありません。手術で深部をきれいにしても、毎日の歯垢(プラーク)が放置されれば歯周病は再発します。- 術後しばらくは手術部位を歯ブラシで強くこすらず、指示された方法(洗口液など)で清潔を保つ
- 抜糸後、歯科衛生士の指導のもとで通常の清掃に段階的に戻す
- 治癒後は、数か月ごとのメンテナンス(SPT)で再発の兆候を早期にとらえる
- 喫煙者は禁煙を続ける。糖尿病がある方は血糖管理を並行する
よくある質問
フラップ手術は必ず受けなければいけませんか
必須ではありません。深いポケットが残っていても、年齢や全身状態、希望によっては、SRPの繰り返しと短い間隔のメンテナンスで「進行を監視しながら維持する」選択もあります。ただし深いポケットを残すことは再発・進行のリスクを抱えることでもあり、メリットとリスクの説明を受けたうえでの判断が大切です。手術中や手術後の痛みが心配です
手術中は局所麻酔で痛みを抑えます。術後の痛みは痛み止めで対応できる程度のことが多いとされていますが、個人差があります。痛みに強い不安がある方は、事前に伝えておくと鎮痛薬の処方や進め方を調整してもらえます。何本もまとめて手術できますか
通常は片側・数本ずつのブロックに分けて行い、体への負担と食事のしやすさに配慮します。範囲が広い場合は数回に分けるのが一般的です。手術すれば歯周病は治りますか
フラップ手術は深部の感染源を取り除く強力な手段ですが、失われた骨が自然に元へ戻るわけではありません。目的は「進行を止めて、維持しやすい状態をつくること」です。骨の回復を狙う場合は再生療法の併用が検討されます。名古屋でフラップ手術を受けられる歯科は多いですか
フラップ手術は保険診療として全国の歯科で行われており、名古屋市内(中区・栄・名古屋駅周辺)や愛知県内でも受けられる医院は多くあります。骨欠損が複雑な場合や再生療法を併用する場合は、日本歯周病学会の認定医・専門医が在籍する医院や大学病院(愛知県内では歯学部附属病院など)への紹介が検討されることもあります。手術後、歯がしみるようになりました。失敗ですか
多くの場合、失敗ではありません。歯ぐきが引き締まって歯根の一部が露出すると、一時的に知覚過敏が出ることがあります。数週間〜数か月で落ち着くことが多いとされますが、続く場合はしみ止めの処置などで対応できるため、我慢せず相談してください。まとめ
フラップ手術は、基本治療で改善しきらない深い歯周ポケットに対して、歯ぐきを開いて深部の歯石や炎症組織を直接見ながら取り除く、保険適用の標準的な歯周外科手術です。局所麻酔下で行われ、術後の痛みや腫れは数日がピークで、痛み止めで対応できる程度のことが多いとされています。一方で、歯ぐきが下がって見える、知覚過敏が出るなどの変化は起こりうるため、事前の説明と納得が欠かせません。そして手術の成果を長持ちさせる鍵は、毎日のセルフケアと定期メンテナンスの継続です。「手術が必要と言われたが不安」という方は、再評価の検査データを見せてもらいながら、目的とリスク、手術以外の選択肢について説明を受けることから始めてください。 歯周外科の各論は、それぞれのページにまとめています。受けられる条件と判断の基準は歯周外科は誰でも受けられる?適応にならないケースと判断の基準、切開しない方法との違いは歯周ポケット掻爬術とフラップ手術の違い|切開する治療としない治療、術後の過ごし方は歯周外科手術のあとの経過|痛み・腫れ・食事と歯みがきの注意、費用の目安は歯周外科手術の費用|保険適用の範囲と自費になる場合の目安で解説しています。あわせて、揺れる歯を支える処置は歯周病で揺れる歯を固定する治療(暫間固定)|効果と限界、下がった歯ぐきを覆う処置は下がった歯ぐきは戻せる?歯肉移植(結合組織移植)の適応と限界をご覧ください。 歯周外科をめぐっては、「手術をしても骨は戻るのか」「勧められたが受けたくない」というご相談もよくいただきます。骨の回復が期待できる条件については歯周病で溶けた骨は元に戻る?再生できるケースとできないケースで整理しました。手術を受けない選択をした場合にどう管理していくのかは歯周外科を勧められたけれど受けたくない|断ったときの選択肢と経過をご覧ください。参考・出典
- 日本歯周病学会「歯周治療のガイドライン」「歯周外科治療の指針」「歯周病学用語集」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット(歯周病治療に関する解説)
- American Academy of Periodontology(AAP):歯周治療に関するポジションペーパー
- European Federation of Periodontology(EFP):ステージI〜III歯周炎治療のS3レベル臨床ガイドライン(歯周外科の位置づけ)
- SRPと歯周外科の効果比較、深いポケットにおける歯石残存に関する系統的レビュー(Journal of Clinical Periodontology、Journal of Periodontology 等)
- 歯周外科後の長期予後とメンテナンスに関する長期コホート研究
