対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
上の前歯がなかなか生えてこない、レントゲンを撮ったら余分な歯が写っていた。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)の歯科医院でも、6〜8歳ごろのお子さんの相談で見つかることが多いのが過剰歯(かじょうし)です。本来の本数より多くつくられた歯で、めずらしいものではありません。ただし、生えてくる歯の邪魔をすることがあるため、見つかった時点で扱いを決めておく必要があります。このページで整理します。
先に押さえておきたい点
- 過剰歯は、本来の本数より多くつくられた歯
- 上の前歯の間(正中部)にできることが多い
- 多くは骨の中に埋まったままで、外からは見えない
- 永久歯が生えるのを妨げる場合に、抜くことを検討する
- 影響がなければ、経過を見る判断もある
- 抜く時期は、周りの歯の状態と本人の協力度で決める
歯科口腔外科で扱う症状の全体像は
歯科口腔外科で扱う症状|親知らず・膿・できもの・外傷にまとめています。ここでは、余分につくられた歯に絞って解説します。
見つかり方によって、その後の進み方が変わります。
| 見つかるきっかけ | そのときの状況 | おもな検討事項 |
| 前歯が生えてこない | 左右で生える時期に差がある | 妨げになっているかを確認する |
| 健診・矯正の相談 | 症状はないが画像に写った | 位置と向きから影響を見積もる |
| 前歯の間が開く | 永久歯の間にすき間が残る | 原因が過剰歯かを確かめる |
| 口の中に生えてきた | 本数が多い、形が小さい | 清掃性と歯並びへの影響 |
※どの場合も、まず画像で位置・向き・数を確認してから方針を決めます。
過剰歯とは何か
人の永久歯は、親知らずを含めて32本が基本です。この本数を超えてつくられた歯を過剰歯と呼びます。
多いのは、上の前歯の真ん中あたりにできるものです。正中過剰歯と呼ばれ、過剰歯の大半を占めます。次いで、上の奥歯の周りや下の前歯の部分にできることがあります。
形は、通常の歯と同じ形をしているものと、円錐形の小さなものがあります。埋まったままで一生気づかれないこともあります。
なぜできるのかは完全にはわかっていません。歯をつくるもとになる組織が、通常より多く分かれてしまうことが関係すると考えられています。家族に同じ経験がある方もいます。
「体に異常がある」という話ではありません。歯の数の個人差のひとつと考えてください。
どうやって見つかるか
いちばん多いのは、上の前歯が生えてこないという相談です。
過剰歯以外も含めて、永久歯が出てこないときに考える原因(萌出遅延・埋伏・先天欠如)と検査の流れは
永久歯が生えてこないときの原因と検査で整理しています。
永久歯の生え替わりでは、左右がほぼ同じ時期に生えてきます。片方だけが半年以上遅れる場合、何かが妨げている可能性を考えます。レントゲンを撮ると、生えてくるはずの歯の上に別の歯が写っていることがあります。
矯正の相談で偶然見つかることもあります。この場合、症状がない段階での発見となるため、慌てずに計画を立てられます。
生え替わりの一般的な時期と、遅れているときの考え方は
乳歯から永久歯への生え替わり|時期・注意点・トラブル別の対処にまとめています。
まれに、口の中に実際に生えてくることがあります。この場合は見た目でわかります。
放っておくと何が起きるか
問題になるのは、周りの歯への影響です。
もっとも多いのが、永久歯が生えてくるのを妨げることです。通り道をふさがれた歯は、そのまま埋まったままになったり、向きを変えて出てきたりします。
次に、歯並びへの影響です。過剰歯が邪魔をして、前歯の間にすき間が残る、歯が回転して生える、隣の歯が寄ってくるといった変化が起こります。
まれに、隣の歯の根を圧迫して溶かしてしまうことがあります。また、埋まった歯の周りに袋状の病変ができることもあります。この点は
顎の骨にできる嚢胞(のうほう)|レントゲンで偶然見つかったときの考え方で扱っています。
一方で、位置や向きによっては、周りに何の影響も与えないまま経過するものもあります。すべてが問題を起こすわけではない、という点も同時に押さえておいてください。
見つかったら必ず抜くのか
判断の軸は「今、あるいは今後、周りの歯の邪魔になるか」です。
抜くことを検討するのは、永久歯の生えるのを妨げている場合、歯並びに影響が出ている場合、隣の歯の根に近く圧迫が心配される場合、そして矯正治療の計画上、動かす経路にある場合です。
反対に、深い位置にあって周りから離れており、向きも問題なく、症状もない場合は、経過を見る判断がされることがあります。特に、抜くこと自体が周りの歯に負担をかける位置にある場合は、無理に取り出さないほうがよいこともあります。
大切なのは、経過を見る場合でも次の確認時期を決めておくことです。「様子を見ましょう」で終わらせず、いつ、何を見るのかを共有しておいてください。
抜く時期をどう決めるか
時期の判断には、いくつかの要素が関わります。
ひとつは、生えてくる永久歯の状態です。まだ根が完成していない時期に無理な操作を加えると、その歯の発育に影響することがあります。一方で、待ちすぎると永久歯が動きにくくなります。
ふたつ目は、本人の協力度です。局所麻酔で処置を受けられるかどうかは、年齢よりも本人の状態によります。難しい場合、全身麻酔で行える医療機関を紹介することがあります。
三つ目は、矯正治療の計画です。矯正を予定している場合、その計画に合わせて時期を決めます。矯正の開始時期については
子どもの矯正(小児矯正)|始める時期と1期・2期治療を参考にしてください。
急がなくてよい場合と、早めに動いたほうがよい場合があります。画像を見ながら、その子の状況で判断します。
さかさまを向いている場合
過剰歯のなかには、通常とは逆に、根を下に向けて上を向いているものがあります。逆生(ぎゃくせい)と呼ばれます。
この場合、口の中へ生えてくることはありません。骨の奥へ向かって進むため、位置によっては鼻の底に近づくことがあります。
取り出す場合、口の中の上側からアプローチすることになり、通常より深い操作になります。位置によっては、口腔外科のある医療機関で行うほうが安全と判断されます。
逆生であっても、周りに影響がなければ経過を見ることがあります。ただし、位置が深くなるほど後から取り出すのは大変になるため、方針は早めに決めておいたほうが選択肢が広く残ります。
手術はどのように行うか
埋まっている過剰歯を取り出す場合、外科的な処置になります。
局所麻酔をかけ、歯ぐきを切開してめくり、覆っている骨を必要な範囲だけ削って歯を露出させます。周りの永久歯を傷つけないよう、位置を確認しながら取り出します。大きい場合は分割することもあり、その考え方は
親知らずを分割して抜く・骨を削るとは|難しい抜歯の手順と体への負担と共通です。
処置時間は、位置によりますが20分から1時間程度です。取り出したあとは洗浄し、歯ぐきを戻して縫合します。
事前にCTを撮ることが多くなります。二次元のレントゲンでは、前後どちらにあるのか、永久歯との位置関係がどうなっているのかがわかりにくいためです。どちら側からアプローチするかを決めるために必要な情報です。
口の中に生えてきている場合は、通常の抜歯と同様に取り出せます。
術後の経過
腫れは翌日から2日目にかけて出ます。前歯の部分では、上唇が腫れて見た目に目立つことがあります。数日で引いていきます。
食事は当日から柔らかいものをとれます。傷に当たらないよう、前歯で噛むのを数日避けてください。
糸は1週間前後で抜きます。子どもの場合、この日の受診も忘れずに予定に入れてください。
学校は、翌日から通えることがほとんどです。ただし体育や部活動は、腫れが引くまで控えます。プールは傷が落ち着いてからにしてください。
初めての外科処置になるお子さんも多いため、受診に慣れることから始める場合もあります。進め方は
子どもの歯医者デビューはいつから?初めての受診の流れと準備を参考にしてください。
抜いたあと、永久歯は生えてくるか
妨げになっていた過剰歯を取り除けば、多くの場合、永久歯は自然に生えてきます。
ただし、時間がかかることがあります。数か月から1年ほど待って様子を見ることが一般的です。
自然に出てこない場合、矯正的な力をかけて誘導する方法があります。埋まっている歯に小さな装置を付け、少しずつ引き出していく処置です。この場合、矯正治療とあわせた計画になります。
長く埋まったままだった歯は、周りの骨と癒着していて動かないことがあります。この判断も、経過を見ながら行います。
いずれにしても、取り出して終わりではなく、その後の生え方まで含めて確認していく必要があります。定期的な受診を続けてください。
保護者の方が気にされる点
説明の場でよく聞かれることを、いくつか挙げておきます。
「余分な歯があるのは、体のどこかに問題があるからではないか」という心配です。多くの場合、他の部位の異常を伴うものではありません。歯の数の個人差として単独で生じます。ごくまれに、体の他の部分の特徴とあわせて見られる場合があり、そのときは複数の歯が多くつくられるなど、画像上の特徴があります。判断は歯科医師が画像と全体の状況から行います。
「乳歯のときに気づけなかったのは、見落としだったのか」という問いもあります。埋まったままの過剰歯は、レントゲンを撮らなければわかりません。乳歯のうちにレントゲンを撮る機会がなければ、気づかれないのが通常です。前歯が生え替わる時期に見つかることが多いのは、そのタイミングで初めて撮影の機会が来るためです。
「痛がっていないのに手術をするのはかわいそう」と感じる方もいます。この気持ちは自然なものです。ただし、妨げになっている状態を放置すると、後から永久歯を動かす処置が必要になり、期間も負担も大きくなることがあります。今行う処置と、待った場合に想定される流れを両方聞いたうえで決めてください。
不安が残る場合は、画像を見ながらもう一度説明を受けてください。実際の位置関係を見ると、判断の理由が具体的に伝わります。
きょうだいや家族で見られること
過剰歯は、家族内で見られることがあります。歯をつくるもとの組織の分かれ方に体質的な背景があると考えられているためです。
ご家族に同じ経験がある場合は、その旨を伝えてください。きょうだいの健診の際に、生え替わりの時期を少し注意して見ておく判断につながります。
とはいえ、これは「必ず遺伝する」という意味ではありません。上のお子さんにあって下のお子さんにはない、その逆もあります。心配して早い時期にレントゲンを撮る必要はなく、生え替わりの様子を見ていて左右差が出た時点で確認すれば十分です。
歯の数が少ない場合(先天欠如)も、同じように生え替わりの時期に見つかることがあります。多い場合と少ない場合、どちらも珍しいものではありません。
大人になって見つかった場合
症状がないまま経過し、大人になってから見つかることもあります。
この場合、周りの歯に影響がなく、位置も安定しているのであれば、経過を見る判断がされることが多くなります。すでに歯並びが完成しており、これから邪魔をする可能性が低いためです。
一方で、次のような場合は取り出しを検討します。周りに袋状の病変ができている場合、隣の歯の根を圧迫している場合、矯正治療やインプラントの計画上、経路にある場合です。
埋まったままの歯の扱いという点では、親知らずと考え方が共通します。
横向き・埋まっている親知らず(埋伏智歯)の抜歯|難易度と流れもあわせてご覧ください。
なお、条件によっては、抜いた歯を別の場所へ移す方法が検討されることがあります。適応は限られますが、
親知らずの移植(歯牙移植)とは|条件・成功率・費用で扱っています。
費用と保険、相談先
過剰歯の検査と抜歯は保険が適用されます。
3割負担の場合、埋まっている歯の抜歯で数千円の範囲に収まることが一般的です。ここに初診料、レントゲンやCT、投薬の費用が加わります。全身麻酔や入院を伴う場合は金額が変わります。
お子さんの場合、自治体の医療費助成の対象になることがあります。名古屋・愛知にお住まいであれば、お住まいの区の制度をご確認ください。
相談先は、まずかかりつけの歯科医院で構いません。位置が深い場合や全身麻酔が必要と判断された場合には、口腔外科のある医療機関へ紹介されます。紹介の考え方は
親知らず抜歯で大学病院・口腔外科を紹介されるのはどんなとき?、名古屋での受診の流れは
名古屋で大学病院の歯科口腔外科を受診するには|紹介状の要否と予約の流れにまとめています。
よくある質問
過剰歯は珍しいものですか
めずらしいものではありません。上の前歯の真ん中あたりにできるものが大半を占め、健診や矯正の相談で偶然見つかることもよくあります。歯の数の個人差のひとつと考えてください。体に異常があることを示すものではなく、家族に同じ経験がある方もいます。
見つかったら必ず抜かなければいけませんか
必ずではありません。判断の軸は、今あるいは今後、周りの歯の邪魔になるかどうかです。永久歯の生えるのを妨げている、歯並びに影響している、隣の歯の根を圧迫しているといった場合に抜歯を検討します。深い位置にあり影響がない場合は、経過を見る判断もあります。
上の前歯が生えてきません。過剰歯が原因ですか
可能性のひとつです。左右で半年以上の差がある場合、何かが妨げていることを考えてレントゲンを撮ります。原因は過剰歯のほか、乳歯の根が残っている、生える向きが傾いているなど複数あります。まず画像で確認してから、対応を決めることになります。
抜くのは何歳ごろがよいですか
年齢だけでは決まりません。生えてくる永久歯の根がどこまでできているか、本人が処置を受けられる状態か、矯正の計画があるかを合わせて判断します。早すぎると永久歯の発育に影響し、遅すぎると動きにくくなります。画像を見ながらその子の状況で決めます。
手術は入院が必要ですか
多くは局所麻酔による外来処置で、入院は必要ありません。処置時間は位置によりますが20分から1時間程度です。位置が非常に深い場合や、本人が局所麻酔での処置を受けるのが難しい場合には、全身麻酔で行える医療機関を紹介することがあります。
抜いたあと、永久歯は自然に生えてきますか
多くの場合、妨げがなくなれば自然に生えてきます。ただし数か月から1年ほど待つことがあります。出てこない場合は、埋まっている歯に装置を付けて矯正的に引き出す方法があります。長く埋まっていた歯は周りの骨と癒着して動かないこともあり、経過を見ながら判断します。
CTは必要ですか
撮ることが多くなります。通常のレントゲンは平面の像のため、過剰歯が永久歯の前後どちらにあるのかがわかりにくいためです。どちら側から取り出すのが安全かを決めるには、立体的な情報が必要になります。目的を確認したうえで受けると納得しやすくなります。
きょうだいにも見られることがありますか
家族内で見られることはあります。歯をつくるもとの組織の分かれ方が関係すると考えられており、体質的な背景が指摘されています。ご家族に同じ経験がある場合は、その旨を伝えてください。きょうだいの健診の際に、あわせて確認する判断につながります。
まとめ
過剰歯は、本来の本数より多くつくられた歯です。上の前歯の真ん中あたりにできるものが大半で、多くは骨の中に埋まったまま外からは見えません。見つかるきっかけとして多いのは、上の前歯が左右で半年以上遅れて生えてこないという相談です。健診や矯正の相談で、症状がないまま偶然見つかることもあります。問題になるのは周りの歯への影響で、永久歯が生えるのを妨げる、歯並びを乱す、隣の歯の根を圧迫する、周りに袋状の病変ができるといったことが起こり得ます。判断の軸は「今あるいは今後、邪魔になるか」です。影響がなく位置も安定していれば、経過を見る判断もあります。その場合も、次の確認時期を決めておいてください。抜く時期は、生えてくる永久歯の根の完成度、本人が処置を受けられる状態か、矯正の計画があるかを合わせて決めます。手術は局所麻酔による外来処置が多く、歯ぐきを切開して骨を必要な範囲だけ削り、周りの歯を傷つけないよう確認しながら取り出します。事前のCTは、どちら側からアプローチするかを決めるために撮ります。取り出したあとは、永久歯が自然に生えてくるかを数か月から1年かけて確認し、出てこない場合は矯正的に誘導する方法があります。費用は保険が適用され、お子さんの場合は自治体の医療費助成の対象になることがあります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で過剰歯を指摘された方は、
歯科口腔外科で扱う症状|親知らず・膿・できもの・外傷もあわせてご覧ください。
参考・出典