根管治療後の被せ物ができるまで|型取り・仮着・装着の流れと回数

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年8月12日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

根管治療後の被せ物は、型取りから装着まで通常2〜3回の通院で仕上がります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも「あと何回かかりますか」「今日は何をしているのですか」というご質問をよくいただきます。土台ができてから被せ物が入るまでの工程は、外から見ると同じような処置の繰り返しに見えますが、一回ごとに目的がはっきり分かれています。このページでは、型取り、試適、仮着、装着という各段階で何をしているのか、どのくらい間が空くのかを順に説明します。土台と被せ物の全体像は<a href="/treatment/rootcanal-crown/">根管治療後の土台と被せ物|ファイバーコアとクラウンの選び方</a>をご覧ください。

被せ物ができるまでの工程を歯の形成から装着まで時系列で示した図

先に結論

  • 土台ができたあと、被せ物の装着までは通常2〜3回・2週間から1か月
  • 1回目に形を整えて型を採り、2回目以降で試適・調整・装着へ進む
  • 技工所での製作に1〜2週間かかるため、この間は仮歯で過ごす
  • 自費の被せ物では、色合わせや試適の回数が1回増えることがある
  • 仮着(仮づけ)を挟む場合、噛み心地を確かめてから本装着に進む
  • 装着後も高さの違和感が残るときは、慣れるのを待たず調整を受ける

工程の全体像

まず、全体の流れを表にまとめます。回数と間隔は歯の位置や材料で変わりますが、標準的な進み方は次のとおりです。
所要時間この日にすること
1回目40〜60分土台の形を整え、被せ物が入る厚みを作る。型取りまたは光学スキャン。色を決めて仮歯を装着
2回目20〜40分できあがった被せ物を口の中で合わせ、境目のすき間と噛み合わせを確認。問題なければ装着
3回目10〜20分仮着で様子を見た場合の本装着。噛み心地を確認して最終的に固定する
その後10〜15分装着から数日〜2週間の調整。半年〜1年後に画像で根の先を確認
土台がまだできていない段階の方は、先に根管治療後に土台を立てる日の流れ|支台築造の処置内容・時間・当日の注意をご覧ください。根に薬を詰めてから被せ物までの時期の目安は根管治療後に被せ物を入れる時期|仮の状態で放置するとどうなるにまとめています。

1回目:形を整えて型を採る

被せ物は、歯にかぶせる帽子のようなものです。かぶせるためには、その厚みぶんだけ歯を小さく削って場所を作らなければなりません。この作業を支台歯形成(しだいしけいせい)といいます。 削る量は材料によって変わります。金属は薄くても強度が出るため削る量が少なく、セラミックは厚みが必要なため多めに削ります。ここが材料選びの隠れた論点です。削る量と選ばれる基準の関係はインレー・アンレー・クラウンの違い|削る量と選ばれる基準で解説しています。 形を整えたあと、型を採ります。従来のシリコン材料を使う方法と、口の中を直接スキャンする光学印象の二通りがあります。どちらでも精度は確保できますが、嘔吐反射が強い方には後者が楽です。対策は歯医者の型取りが苦手・オエッとなる|嘔吐反射の対策と光学スキャナーをご参照ください。 型を採る前に、歯ぐきの状態を整えることがあります。歯ぐきが腫れて出血していると、被せ物と歯の境目にあたる部分が正確に写りません。ここが不正確なままだと、できあがった被せ物にすき間ができ、そこから虫歯が始まります。歯ぐきが落ち着くまで2週間ほど待つのは、遠回りに見えて確実な進め方です。 前歯や自費のセラミックでは、この日に色を決めます。周囲の歯と見比べながら見本と照合しますが、照明の色で見え方が変わるため、自然光の入る窓際で確認することもあります。神経を取った歯は周囲より暗くなっていることがあり、その場合は土台の色を隠す設計が必要になります。詳しくは神経を抜いた歯が黒ずむのはなぜ|ウォーキングブリーチなど変色への対応をご覧ください。 最後に仮歯を入れます。仮歯は見た目を補うだけの部品ではありません。歯が動くのを防ぎ、歯ぐきの形を整え、噛み合わせを保つ役割があります。取れたまま放置すると、次回に被せ物が入らなくなることがあります。対処は仮歯・仮のふたが取れた・欠けたときの対処|放置のリスクとやってはいけないことをご参照ください。
シリコンの型取りトレーと口腔内スキャナーを並べて比べたイラスト

製作にかかる期間

型を採ってから被せ物ができあがるまで、通常1〜2週間かかります。この期間は技工所で職人が製作する時間です。 保険の被せ物では、模型を作り、金属を鋳造するか、CAD/CAM冠であればブロックを削り出します。自費のセラミックでは、色の層を重ねて焼き上げる工程が入るため、さらに数日かかることがあります。 院内に加工機がある医院では、当日中に削り出して装着できることもあります。ただし、色の調整に限りがあるため、前歯では技工所へ依頼する方が仕上がりは安定します。保険で白い被せ物を選べる条件はCAD/CAM冠とは|保険で白い歯にできる条件・強度・注意点にまとめました。 この期間に旅行や出張の予定がある方は、事前にお伝えください。仮歯が取れた場合の対応を決めておけます。通院が空くときの考え方は根管治療の通院間隔|1週間おきが基本の理由と間が空いたときの対応をご覧ください。

2回目:試適と調整

できあがった被せ物を、まず口の中で合わせます。この作業を試適(してき)といいます。確かめるのは主に四点です。 第一に、境目のすき間です。被せ物の縁が歯にぴたりと合っているかを、器具の先で触りながら確認します。わずかな段差でも、そこに汚れがたまって数年後の虫歯につながります。 第二に、隣の歯との接触です。強すぎるとフロスが通らず、弱すぎると食べ物が挟まります。フロスの抵抗感で調整します。 第三に、噛み合わせです。薄い赤い紙を噛んで、当たっている場所と強さを確認します。上下の歯が同時に均等に当たり、顎を横に動かしたときに引っかからない状態を目指します。神経を取った歯は当たりの強さを感じにくいため、この確認が特に重要です。 第四に、色と形です。前歯では、鏡でご自身にも見ていただきます。この段階なら微調整が可能ですが、一度装着してしまうと作り直しは難しくなります。気になる点は遠慮なくお伝えください。 問題がなければ、そのまま接着して装着します。噛み合わせの高さがどうしても気になる場合は、次の仮着に進みます。

仮着(仮づけ)を挟む場合

仮着とは、外しやすいセメントで一時的に付けて、しばらく使ってみる方法です。すべての症例で行うわけではなく、次のような場合に選ばれます。
  • 噛み合わせが大きく変わる、複数本を同時に作り替えた
  • 顎の関節や筋肉に症状があり、様子を見たい
  • 被せ物を入れると噛む力が集中する歯がある
  • 神経を取った歯で、噛んだときの違和感が残っている
  • 歯ぎしりが強く、当たりの強さを実際の生活で確かめたい
仮着の期間は1〜2週間が目安です。この間に痛みや違和感が出れば、外して調整できます。何も起きなければ、あらためて正式なセメントで装着します。 注意点として、仮着中は硬いものや粘着性の強い食品を避けてください。外れやすい状態のまま噛みしめると、被せ物が浮いてすき間ができます。外れた場合は放置せず連絡してください。取れたときの応急処置は詰め物・被せ物(銀歯)が取れたときの応急処置とNG行動|歯科医が解説をご覧ください。 当院では、神経を取った歯で噛んだときの響きが残っている場合、仮着の期間を長めに取ることがあります。神経がないぶん、痛みという最も分かりやすい信号が使えません。実際に食事をしてみて違和感がないことを確かめる時間は、あとから被せ物を作り直す手間に比べれば、はるかに短い時間です。

装着の日にすること

正式な装着では、被せ物の内面と歯の表面をきれいにし、セメントで固定します。はみ出したセメントを取り除き、フロスが通ることを確認して終わりです。 麻酔を使うかどうかは状況によります。歯ぐきに触れる範囲が広い場合や、しみやすい歯が隣にある場合には使いますが、神経を取った歯であれば麻酔なしで進めることがほとんどです。 装着後、数時間は硬いものを避けてください。セメントが完全に固まるまで少し時間がかかります。当日から普通に食事はできますが、その歯で無理に噛むのは翌日以降にしてください。
仮歯から完成した被せ物へ交換し噛み合わせを調整する場面のイラスト

装着後に起こりやすいことと対処

被せ物が入ったあと、次のような感覚が出ることがあります。 噛んだときの違和感は、数日で消えることが多いものです。ただし、明らかに高いと感じる場合は慣れるのを待たないでください。特定の歯にだけ強い力がかかり続けると、その歯が痛み出したり、土台が緩んだり、根が割れたりします。理由は被せ物・詰め物の高さが合わない|違和感を我慢してはいけない理由で解説しています。 歯ぐきのしみるような感じは、装着時の刺激によるもので数日で落ち着きます。腫れや出血が続く場合は、被せ物の縁が歯ぐきを押している可能性があります。 隣の歯との間に食べ物が挟まるようになった場合も、調整で改善できます。放置するとその部分から虫歯が始まります。 そして、装着してからしばらく経ってからの確認も大切です。根の先に病変があった歯では、半年から1年後にレントゲンで骨の回復を見ます。神経を取った歯は痛みが出ないため、この確認をしないと悪化に気づけません。見るべき点は根管治療後の経過観察|レントゲンで何を見て治ったと判断するかをご参照ください。

回数が増えるとき・減るとき

標準の2〜3回から外れる場合があります。 回数が増えるのは、色合わせを慎重に行う前歯のセラミック、複数本を同時に作る場合、噛み合わせを大きく変える場合、歯ぐきの状態を整えてから型を採る場合です。1回か2回増えると考えてください。 回数が減るのは、院内で削り出して当日装着する場合です。奥歯の保険のCAD/CAM冠などが該当します。 途中で通院が空いた場合、仮歯がすり減ったり歯が動いたりして、できあがった被せ物が入らないことがあります。この場合は型取りからやり直しになるため、予約の間隔は守ってください。仮の状態で長期間放置した場合のリスクは被せ物を入れる時期の目安と仮の状態で放置するリスクにまとめています。

複数本を同時に作る場合

奥歯を数本まとめて作り替える場合や、上下の噛み合わせを整えながら進める場合は、進み方が変わります。 まず、順番を決めます。噛み合わせの高さを保つため、すべてを同時に削るのではなく、片側ずつ、あるいは数本ずつ区切って進めることがあります。基準になる歯を残しておかないと、もとの高さが分からなくなるためです。 次に、仮歯の期間が長くなります。全体のかたちを仮歯で確かめ、噛みやすさや発音に問題がないことを見てから最終的な被せ物に移ります。前歯を含む場合は、この段階で見た目も確認していただきます。 そして、通院回数が増えます。1本であれば2〜3回で終わる工程が、複数本では5回以上になることもあります。期間も1か月から数か月に延びます。 複数本を同時に扱うときは、途中で中断しないことが特に大切です。仮歯のまま長く空くと歯が動き、それまでの調整がやり直しになります。仮の状態で放置した場合に起きることは仮歯のまま期間が空いたときに起きることにまとめました。

途中で材料を変えたくなったら

型を採ったあとで「やはり白いものにしたい」と思うことがあります。変更できるかどうかは、どの段階かによります。 型を採る前であれば、自由に変更できます。材料によって必要な削る量が違うため、方針が決まってから形を整えるのが本来の順序です。 型を採ったあとは、削る量が足りず作り直しになることがあります。セラミックは厚みが必要なため、金属を前提に削った歯では十分な厚みを確保できません。その場合、追加で削るか、方針を戻すかの判断になります。 装着したあとの変更は、被せ物を壊して外すことになります。歯はさらに削られ、費用も新たに発生します。だからこそ、色と材料は型を採る前に決めておいてください。迷っている段階であれば、その旨を伝えていただければ、決まるまで仮歯で待つこともできます。

当日に持参・確認しておくとよいもの

来院の際、次のものがあると話が早く進みます。他院で治療を始めた方は特にご用意ください。 一つが、直近のレントゲン画像です。根の中の状態と土台の位置が分かると、削る量や被せ物の設計を判断しやすくなります。二つが、治療計画書や見積書です。保険か自費か、どの材料を予定しているかが記載されています。三つが、外れた被せ物や仮歯です。捨てずに持参してください。形の参考になります。 また、当日は口紅を控えていただくと色合わせが正確になります。前歯の色を決める日は、明るい色の服装だと歯の見え方に影響することもあります。細かい点ですが、仕上がりに関わります。

材料の選び方と費用

前歯か奥歯かで、選べる材料と考え方が変わります。詳しくは前歯と奥歯で被せ物の選び方が違う理由|見た目・噛む力・保険適用の差をご覧ください。 保険で進める場合、土台と被せ物を合わせた自己負担は3割負担で数千円から1万円台が目安です。自費のセラミックでは、1本あたり数万円から十数万円の幅になります。 同じ歯の一連の治療で保険と自費を組み合わせることはできません。自費の根管治療を受けた歯は、土台も被せ物も自費です。始める前に総額を確認しておいてください。制度の考え方は歯科の保険診療と自費診療の違いをわかりやすく解説、被せ物の種類ごとの違いは詰め物・被せ物の種類と費用|保険と自費の違いをご参照ください。 土台の材料をどう選ぶかはファイバーコアとメタルコアの違い|割れにくさ・見た目・費用で選ぶ基準で扱っています。

よくある質問

被せ物ができるまで何回通いますか

土台ができたあとであれば、通常2〜3回です。1回目に形を整えて型を採り、1〜2週間後に試適して装着します。仮着を挟む場合は1回増えます。前歯のセラミックで色合わせを丁寧に行う場合や、複数本を同時に作る場合は5回以上になることもあります。

型取りから装着まではどのくらい空きますか

1〜2週間が目安です。技工所での製作にこの時間がかかります。院内に加工機がある医院では、保険のCAD/CAM冠などを当日中に装着できることもあります。自費のセラミックは色を重ねて焼く工程が入るため、さらに数日長くなることがあります。予約は間を空けすぎないでください。

仮歯のまま食事はできますか

普通の食事はできますが、硬いものと粘着性の強い食品は避けてください。せんべい、氷、ナッツ、キャラメル、ガム、餅などは仮歯を欠けさせたり外したりします。反対側で噛む習慣をつけてください。取れたまま放置すると歯が動いて被せ物が入らなくなるため、その日のうちに連絡してください。

仮着とは何をしているのですか

外しやすいセメントで一時的に付けて、1〜2週間ほど実際に使ってみる方法です。噛み合わせが大きく変わる場合や、噛んだときの違和感が残っている場合に選ばれます。問題がなければ正式なセメントで装着し直します。すべての症例で必要な工程ではなく、通常は試適のあとそのまま装着します。

装着した日から普通に噛んでよいですか

数時間は硬いものを避けてください。セメントが完全に固まるまで少し時間がかかります。食事自体は当日から可能ですが、その歯で強く噛むのは翌日以降にしてください。粘着性の強い食品も初日は控えてください。歯ぐきがしみる感じは数日で落ち着くことがほとんどです。

被せ物が高い気がします。慣れますか

慣れるのを待たず、早めに調整を受けてください。わずかな高さの差でも、その歯にだけ力が集中して痛みや土台の緩みにつながります。神経を取った歯では痛みを感じにくく、気づいたときには根が割れていることもあります。調整は数分で終わることが多いため、我慢せず連絡してください。

途中で通院が空いてしまったらどうなりますか

仮歯がすり減ったり歯が動いたりすると、できあがった被せ物が入らないことがあります。その場合は型取りからやり直しになり、費用も追加でかかります。長く空いた方は、まず現状の確認だけでも受診してください。仮の状態が3か月を超えている場合は特に早めの受診をおすすめします。

名古屋で転院しても被せ物の続きは頼めますか

引き継げます。土台までできている歯であれば、新しい医院で形を整えるところから再開できます。ただし他院で採った型を引き継ぐことは通常できないため、型取りからやり直しになります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海の医院でも一般的に対応しており、直近のレントゲンがあると話が早く進みます。

まとめ

根管治療後の被せ物は、土台ができてから通常2〜3回、期間にして2週間から1か月で仕上がります。1回目は歯の形を整えて被せ物が入る厚みを作り、型取りまたは光学スキャンで形を記録し、色を決めて仮歯を装着します。ここで歯ぐきが腫れていると境目が正確に写らないため、状態を整えてから採ることもあります。技工所での製作に1〜2週間かかり、2回目に試適として境目のすき間、隣の歯との接触、噛み合わせ、色と形の四点を確認します。噛み合わせが大きく変わる場合や違和感が残る場合には、外しやすいセメントで1〜2週間使ってみる仮着を挟み、問題がないことを確かめてから本装着に進みます。装着後に高さの違和感が残るときは、慣れるのを待たず調整を受けてください。神経を取った歯は痛みという信号が使えないぶん、違和感を放置すると土台の緩みや根の破折に進むことがあります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で治療中の方は、根管治療後の土台と被せ物|ファイバーコアとクラウンの選び方で全体像を確認し、根管治療そのものの流れは根管治療とは|流れ・回数・費用を歯科医が解説、その後の付き合い方は神経を抜いた歯はどうなる?寿命と長持ちさせるコツもあわせてご覧ください。

参考・出典

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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