持病や薬があっても歯科麻酔は受けられる?高血圧・糖尿病・抗血栓薬の注意点

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年7月25日監修:村井亮介(DDS, MSD(米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)/日本補綴歯科学会 会員)

持病があっても歯科麻酔を受けられるかというご相談は、名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)の歯科で年々増えています。高血圧、糖尿病、心臓の病気、血をさらさらにする薬など、条件によって配慮すべき点は異なりますが、多くの場合は準備を整えたうえで治療は可能です。このページでは、申告すべき情報、持病ごとの考え方、当日の進め方、そして自己判断で薬を止めてはいけない理由を、愛知・東海の患者さんに向けて整理します。

持病や服用中の薬がある方が歯科で麻酔を受けるときの配慮を示すイメージ

受診前に必ず伝えていただきたいこと

  • 治療中・経過観察中の病名(高血圧・糖尿病・心臓病・脳血管の病気・喘息・甲状腺の病気など)
  • 服用中の薬の名前と量。お薬手帳をそのままお持ちいただくのが最も確実です。
  • 過去の治療で気分が悪くなった、動悸がした、麻酔が効きにくかったといった経験
  • 薬や食品で出たアレルギー症状の内容(発疹・息苦しさ・腫れなど)
  • 妊娠している・その可能性がある場合、授乳中である場合
  • 直近の検査結果(血圧、血糖の指標、血液をさらさらにする薬の管理値など)が分かれば理想的です。

なぜ歯科で持病や薬の申告が必要なのか

歯科で使う局所麻酔は、治療する部位の感覚を一時的に鈍らせる薬で、全身に大きく作用するものではありません。それでも持病や服薬の情報が必要なのは、麻酔そのものよりも「治療という出来事全体」が体に与える影響を見積もる必要があるからです。歯科治療では、痛みへの不安による緊張、いすを倒した姿勢、口を開け続ける負担、出血をともなう処置など、いくつもの要素が重なります。これらは血圧や血糖、心臓の負担に影響しうるため、事前に把握しておくことが安全につながります。 また、歯科の局所麻酔薬には、効果を安定させ出血を抑える目的で血管を収縮させる成分が含まれていることがあります。この成分は微量ですが、心臓や血圧に関わる持病がある方、特定の薬を服用中の方では、種類や量を調整したほうがよい場合があります。判断の材料になるのが、まさに患者さんからの申告です。情報がないまま進めることは、必要な配慮の機会を失うことを意味します。 申告が必要なのは病名と薬だけではありません。過去の歯科治療で気分が悪くなった、注射の後に動悸がした、麻酔が効きにくかったといった経験も、同じくらい役立つ情報です。こうした出来事の多くは、緊張や体調、姿勢など複数の要因が重なって起きています。状況(空腹だったか、直前に注射を受けたか、長時間の処置だったか)まで伝えていただければ、同じ条件を避ける準備ができます。痛みを抑える治療全体の考え方はなるべく削らない・痛くない虫歯治療の考え方で整理しています。 大切なのは、「持病があるから治療できない」のではなく、「情報があれば安全に進められる」という点です。当院では、初診時の問診に加え、治療内容が変わるタイミングで服薬状況を再確認するようにしています。薬は途中で変更・追加されることが多く、前回と同じとは限らないためです。麻酔の効きにくさに関わる要因は歯の麻酔が効かない・効きにくい原因で、麻酔全般の工夫は虫歯治療の麻酔と痛くないための工夫で解説しています。
状態歯科で配慮すること患者さん側の準備
高血圧血圧測定、緊張をやわらげる進め方、薬の量の調整当日も普段どおり服薬し、数値を把握しておく
糖尿病感染や治りへの配慮、低血糖への備え朝食を抜かない。血糖の管理状況を伝える
心臓の病気薬の種類選択、処置時間の分割、体位の配慮診断名と主治医の指示を伝える
血をさらさらにする薬止血処置の準備、処置範囲の調整自己判断で中止しない。薬名を必ず伝える
骨に関わる薬抜歯など外科処置の可否を主治医と相談使用開始時期と投与方法を伝える

高血圧の方が歯科麻酔を受けるとき

高血圧の治療を受けている方でも、血圧が普段どおりに管理されていれば、歯科の局所麻酔を用いた治療は一般的に可能です。注意したいのは、麻酔薬そのものより「緊張による血圧上昇」です。歯科への不安が強い状態では、待合室にいる段階から血圧が上がることがあります。そのため、受診時に血圧を測り、普段の値と比べて極端に高い場合は、処置内容を調整したり、日を改めたりする判断をすることがあります。 麻酔薬に含まれる血管収縮成分は、心拍数や血圧にわずかな影響を与える可能性があるため、状況に応じて量を控えめにする、成分の入っていない薬を選ぶといった配慮を行います。とはいえ、痛みを取り切らないまま処置を進めるほうが、痛みによる血圧上昇を招くことがあります。「麻酔を減らす」ことが常に安全とは限らず、痛みを確実に抑えることも同じくらい重要です。このバランスを取るために、事前の情報が役立ちます。 治療当日は、いつもの降圧薬を自己判断で飲まずに来院することは避けてください。服薬を飛ばすと、かえって血圧が不安定になります。朝の服薬を済ませ、時間に余裕を持って来院し、待合室で少し落ち着いてから処置に入るだけでも、数値は安定しやすくなります。強い緊張がある方には、リラックスを助ける方法を併用することもあります。仕組みは笑気麻酔(吸入鎮静法)で受ける虫歯治療をご覧ください。削る音や振動への不安が強い場合の工夫は歯を削る音・振動が怖い虫歯治療で紹介しています。
高血圧や糖尿病など持病別に歯科治療で配慮する点を示す解説イメージ
なお、血圧が高めであること自体を過度に心配される必要はありません。歯科では、処置の内容と全身状態を照らし合わせて判断します。短時間で終わる小さな処置と、時間のかかる外科処置では求められる条件が異なるためです。仮にその日の数値が高く、予定していた処置を延期する判断になったとしても、応急的に痛みを抑える対応は行えることが多く、放置する必要はありません。痛みを我慢して受診を先延ばしにするほうが、結果的に血圧にも負担をかけます。虫歯を放置した場合に起こることは虫歯を放置するとどうなる?で整理しています。

糖尿病がある方の歯科治療と麻酔

糖尿病の治療を受けている方も、血糖の管理状況が安定していれば、歯科の局所麻酔を用いた治療は一般的に可能です。配慮が必要になるのは主に二点あります。一つは、血糖の管理が不十分な状態では、傷の治りが遅れたり、感染が起こりやすくなったりする可能性が指摘されていることです。抜歯や歯ぐきの外科処置を予定する場合は、主治医と相談しながら時期を選ぶことがあります。 もう一つは、治療当日の低血糖への備えです。「治療前だから食事を抜いてきた」という方がいらっしゃいますが、糖尿病の薬を使用している場合、空腹のまま処置を受けると治療中に低血糖を起こす危険があります。特別な指示がない限り、朝食は普段どおり摂り、服薬やインスリンの使用も指示に沿って続けてください。もし治療中に冷や汗、動悸、強い脱力感などを感じたら、すぐに合図をして知らせてください。 糖尿病と歯科は、歯周病を介しても深く関わっています。歯周病があると血糖の管理に影響しうること、逆に血糖の状態が歯周病の進行に関わることが報告されています。この関係の詳細は糖尿病と歯周病の関係で解説しています。麻酔の可否だけでなく、口の中の炎症を落ち着かせておくこと自体が全身の管理にとって意味を持ちます。定期的なクリーニングの役割は歯のクリーニング(PMTC)と歯石除去の効果をご覧ください。 口の乾きを訴える方も少なくありません。糖尿病そのものや、服用中の薬の影響で唾液が減ると、虫歯や歯周病が進みやすくなり、入れ歯が擦れて痛むこともあります。口の乾きが続く場合は、その旨も伝えてください。原因に応じた対応や、乾きを和らげる工夫を一緒に考えられます。詳しくは口が乾く(ドライマウス)原因と対処をご覧ください。日々のケアが行き届くほど、外科処置が必要になる場面そのものを減らせます。

血をさらさらにする薬を飲んでいる場合

心臓や脳血管の病気の治療で、血液が固まりにくくなる薬(抗血栓薬)を服用している方は少なくありません。ここで最も大切なのは、歯科治療のために自己判断で薬を中止しないことです。服薬を勝手に止めると、血栓による重大な合併症のリスクが高まると考えられており、現在は「必要な歯科処置は服薬を続けたまま、止血処置を工夫して行う」という考え方が広く取られています。 これらの薬を服用している方でも、虫歯を削って詰める、被せ物を入れるといった出血の少ない処置は、通常どおり進められることがほとんどです。歯ぐきの処置や抜歯など出血をともなう処置では、傷口を縫う、止血用の材料を用いる、処置範囲を分けて回数を増やすといった対応を取ります。処置後は、うがいを強くしすぎない、傷口を舌や指で触らない、当日の飲酒や激しい運動を避けるといった協力が止血に役立ちます。抜歯後の過ごし方は抜歯後の生活|食事・痛み・腫れ・運動・お風呂はいつからにまとめています。 なお、骨粗しょう症やがんの治療で使われる骨に関わる薬を使用している方は、抜歯などの外科処置について事前の検討が必要になる場合があります。使用中の薬の名前、いつから使っているか、注射か内服かといった情報を伝えてください。歯科と主治医が連携して方針を決めることが一般的です。歯と骨の関わりについては骨粗しょう症と歯周病・歯を支える骨の関係もあわせてご覧ください。 処置後に出血が続いたときの対応も、あらかじめ確認しておくと安心です。一般的には、清潔なガーゼを傷口に当てて20〜30分ほどしっかり咬み続ける圧迫が基本になります。血が気になるからと何度もうがいをすると、固まりかけた血のかたまりが流れてしまい、かえって出血が長引きます。圧迫しても止まらない、血のかたまりが次々にあふれるといった場合は、その日のうちに歯科へ連絡してください。夜間や休診日の連絡先を、処置の前に確認しておくとより安心です。

喘息・アレルギー・その他に確認しておきたいこと

高血圧や糖尿病ほど話題になりませんが、確認が必要な状態はほかにもあります。気管支喘息をお持ちの方では、発作の頻度や直近の状態、使用している吸入薬を伝えてください。歯科で使う一部の薬や、粉塵の出る処置が刺激になる場合があるため、状況に応じて内容を調整します。発作時に使う薬は、当日持参していただくと安心です。 アレルギーについては、「何に対して」「どんな症状が出たか」をできるだけ具体的に伝えてください。発疹が出た程度なのか、息苦しさや血圧低下をともなったのかで、注意の度合いが変わります。薬だけでなく、ラテックス(ゴム)や消毒薬、金属で症状が出た経験も対象です。金属によるアレルギーが疑われる場合、詰め物や被せ物の材料選びにも関わってきます。 甲状腺の病気、腎臓や肝臓の病気、てんかん、睡眠時無呼吸などをお持ちの方も、病名と治療状況をお知らせください。使用できる薬や処置の進め方に影響することがあります。これらは「歯とは関係がなさそう」と思われがちですが、全身状態を踏まえて判断するために必要な情報です。判断に迷う場合は、思いつく情報をすべて伝えていただければ、必要なものを歯科側で拾い上げます。 なお、感染症をお持ちの方について、治療を断られるのではと心配される声もあります。歯科では、すべての患者さんに対して同じ感染対策を行うことが基本であり、特定の病気を理由に一律に治療を制限するものではありません。むしろ、体調に応じた配慮を行うために情報が必要になります。

治療当日の進め方と、体調が優れないときの判断

持病がある方の治療では、当日の体調確認から始めます。血圧の測定、体調の聞き取り、服薬の確認を行い、必要に応じて処置の範囲や時間を調整します。長時間の処置は体への負担が大きくなるため、あえて一度の治療時間を短くし、回数を分ける方針を取ることもあります。「早く終わらせたい」という希望と安全性が両立しない場合は、安全側に寄せた判断が優先されます。 姿勢の調整も配慮の一つです。心臓や呼吸に関わる持病がある方では、あお向けに深く倒した姿勢が苦しく感じられることがあります。その場合は背もたれを起こし気味にして処置を行います。無理な姿勢を我慢すると血圧や呼吸に影響することがあるため、つらいと感じたら早めにお伝えください。 治療中は、患者さんからの合図が最も確かな情報になります。気分が悪い、動悸がする、汗が出る、息苦しいといった変化を感じたら、我慢せずすぐに手を挙げてください。処置を中断して体勢を整えるだけで落ち着くことも多く、早めに知らせていただくほうが安全です。麻酔中は口が開いた状態で話しにくいため、あらかじめ合図の方法を決めておくと安心です。 予約の時間帯にも工夫の余地があります。血圧が高めの方は、起床直後より少し時間が経ってからのほうが落ち着いていることが多く、糖尿病の薬を使用中の方は食事と服薬のタイミングから大きく外れない時間帯が安心です。通院に時間がかかる方は、移動の疲れも考慮して余裕のある時間を選んでください。こうした調整は予約の際に相談していただければ対応できます。当院では、持病のある方には初回に希望と条件をうかがい、無理のない通院間隔を一緒に決めるようにしています。 体調が優れない日は、無理に治療を受けない選択も大切です。風邪をひいている、血圧が普段よりかなり高い、寝不足で体調が不安定といった場合は、予約を変更したほうがよいことがあります。特に痛みや腫れがない定期的な処置であれば、日を改めても不利益はほとんどありません。逆に、強い痛みや腫れがある場合は、体調と天秤にかけて応急処置だけを行う判断もあります。腫れや痛みが強いときの緊急度の目安は歯が痛いときの原因と対処法を参考にしてください。 ご高齢の方の治療では、持病や薬に加えて、通院の負担や姿勢の保ちやすさ、飲み込みの状態なども考慮します。長時間あお向けの姿勢を保つのがつらい場合は、背もたれの角度を調整し、こまめに休憩を入れます。誤嚥(ごえん:飲食物や唾液が気管に入ること)が心配な場合は、水の使い方や吸引の仕方を工夫します。口の機能の低下が全身の健康に及ぼす影響についてはオーラルフレイル(口の機能の衰え)とはで解説しています。

主治医との連携と、聞かれることの多い疑問

持病の程度によっては、歯科から主治医へ問い合わせを行い、処置の可否や注意点を確認することがあります。この手続きには数日かかることもあるため、時間に余裕を持った受診をおすすめします。急ぐあまり情報が不十分なまま処置を進めるより、確認してから行うほうが結果的に安全で確実です。名古屋・愛知エリアでも、歯科と医科の連携は日常的に行われています。 連携をスムーズにするために、患者さんにご協力いただきたいのは、主治医の医療機関名と診療科、直近の受診時期を伝えていただくことです。検査結果の写しや診療情報提供書をお持ちであれば、それも判断材料になります。ご自身で内容を理解している必要はありません。書面をそのままお見せいただければ十分です。 よくいただく疑問の一つが、「持病があると治療を断られるのではないか」というものです。実際には、多くの処置は配慮のうえで実施できます。ただし、全身状態によっては、設備の整った病院歯科や口腔外科での対応が望ましいと判断されることがあります。これは断られたということではなく、より安全な場所を選ぶための紹介です。判断に迷うときの相談の仕方は歯科のセカンドオピニオンも参考になります。 「治療のたびに同じことを聞かれる」という戸惑いの声もいただきます。これは記録がないからではなく、状態が変わっていないかを確かめるための確認です。薬の変更、入院や手術の有無、検査値の変化は、数か月で大きく動くことがあります。特に、前回の受診から半年以上空いている場合は、あらためて確認させていただくのが原則です。煩わしく感じられるかもしれませんが、安全のための手順としてご協力をお願いします。 もう一つ多いのが、「薬が多いと言いにくい」という声です。服用している薬の数が多いこと自体は、歯科にとって珍しいことではありません。お薬手帳をお持ちいただければ、それだけで必要な情報はほぼそろいます。むしろ伝えていただけないことのほうがリスクになります。長く歯科から遠ざかっていた方が受診を再開するときの流れは久しぶりの歯医者に行くときの流れにまとめていますので、あわせてご覧ください。
お薬手帳を持参して歯科で持病や服薬を伝える場面のイメージ

数値で確認する持病別の管理の目安

歯科では、病名そのものよりも「いまどの程度に管理されているか」を手がかりに、その日の処置内容を決めていきます。ここでは、目安として用いられている数値を紹介します。いずれも一般的な考え方であり、実際の可否は主治医と歯科医師が個々の状態をみて判断します。同じ数値でも体調や処置の大きさによって扱いは変わるため、当てはめて自己判断はしないようにしてください。 血圧については、来院時に測ることで、その日の緊張の度合いと普段との差を確認します。一般に、収縮期がおよそ180、拡張期がおよそ110を上回るような場合は、出血をともなう処置を見送り、主治医への相談を勧める目安とされることがあります。この場合も痛みを抑える応急的な対応は行えることが多く、放置していただく必要はありません。糖尿病では、過去1〜2か月の血糖の状態を映すHbA1cが手がかりになります。おおよそ7%未満が管理の目安として語られることが多く、抜歯や歯ぐきの外科処置ではこの範囲に近いかどうかを確認しながら時期を選びます。当日は、食事を抜かずに来院していただくことが大切です。薬やインスリンを使用したまま空腹で処置に臨むと、治療中に低血糖を起こす危険があるためです。ブドウ糖など、低血糖時に使うものを携帯していただくとより安心です。抗凝固薬を服用中の方では、血液の固まりやすさを示すPT-INRという値が目安になります。管理の範囲内(おおむね2.0〜3.0程度)に収まっていれば、服薬を続けたまま抜歯を行い、局所の止血で対応できると考えられています。

局所麻酔薬に含まれる血管収縮薬の量をどう考えるか

歯科の局所麻酔薬には、効きを長く保ち出血を抑える目的で、アドレナリンという血管収縮薬が微量に配合されているものがあります。一般に用いられるカートリッジ1本(1.8ミリリットル)に含まれる量はおよそ0.02ミリグラムで、心臓や血圧に配慮が必要な場合は、1回の処置で用いる本数の上限を意識し、必要に応じて処置を複数回に分けます。血管収縮薬を含まない麻酔薬を選ぶこともできますが、その場合は効いている時間が短くなるため、処置の内容と合わせて選びます。量を減らすことが常に安全とは限らず、痛みを取り切ることも同じくらい重要という考え方が土台にあります。

骨に関わる薬で抜歯前に確認する項目

骨粗しょう症やがんの治療で使われる骨吸収抑制薬を使用している方では、抜歯などの外科処置のあとに、あごの骨の治りが妨げられる合併症が起こる可能性が知られています。そのため、薬の分類(飲み薬か注射か)、使い始めた時期と使用期間、治療の目的(骨密度の維持か、がんに伴う骨の治療か)を確認します。使用期間が長い場合や注射で高用量を用いている場合は、より慎重な検討が必要とされます。頻度は高くないと報告されていますが、口の中を清潔に保ち、抜歯が必要になる前の段階で歯科の管理を受けておくことが、備えとして役立ちます。自己判断での中止は骨折の危険を高めるため避け、休薬の可否は処方している医師の判断に委ねます。

主治医への対診はどのような流れで進むのか

状態によっては、歯科から主治医へ書面で問い合わせる「対診」を行います。歯科からは、予定している処置の内容、出血の見込み、使用する麻酔薬と量、希望する日程などを記載した依頼書をお渡しするか郵送します。患者さんにお願いしたいのは、医療機関名と診療科、直近の受診時期をお伝えいただくことです。返答が届くまでには数日から2週間程度かかることがあり、その間は痛みへの応急的な対応や、出血の少ない処置を先に進める形をとることが多くなります。急いで情報が不十分なまま進めるより、確認してから行うほうが結果的に早く落ち着くことが少なくありません。時間に余裕をもってご相談ください。

よくある質問

高血圧でも歯科の麻酔は使えますか

血圧が普段どおり管理されていれば一般的に可能です。当日は服薬を続け、来院時に血圧を測って状態を確認したうえで進めます。

血をさらさらにする薬は治療前に止めるべきですか

自己判断での中止は避けてください。現在は服薬を続けたまま止血を工夫する対応が一般的で、必要な場合は主治医と相談して決めます。

糖尿病だと歯を抜けないことがありますか

血糖の管理状況によって時期を調整することはありますが、抜けないと決まっているわけではありません。主治医と連携して判断します。

お薬手帳は毎回持っていく必要がありますか

薬は変更されることがあるため、毎回お持ちいただくのが確実です。名古屋市内でも初診時だけでなく治療の節目で確認しています。 持病があること自体は、歯科治療をあきらめる理由にはなりません。むしろ、全身の状態を把握している方ほど、必要な配慮を組み立てやすいという側面があります。情報を共有し、無理のない計画で進めることが、結果的に治療の質と安全性の両方を高めます。

まとめ

持病や服用中の薬がある方でも、多くの場合は歯科の局所麻酔を用いた治療を受けられます。鍵になるのは事前の情報です。高血圧では血圧の管理状態と緊張への配慮、糖尿病では血糖の管理と低血糖への備え、抗血栓薬では自己判断で中止せず止血を工夫する対応、骨に関わる薬では外科処置前の検討というように、条件ごとに配慮すべき点が異なります。お薬手帳を持参し、病名・薬・過去の治療での体調変化を伝えることが、最も確実な準備になります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で持病をお持ちの方も、時間に余裕を持って相談すれば、必要な治療を安全に進められます。痛みを抑える治療の考え方はなるべく削らない・痛くない虫歯治療を、麻酔が切れるまでの過ごし方は歯科の麻酔はいつ切れる?をご覧ください。

参考・出典

  • e-ヘルスネット厚生労働省)「歯・口の健康」「生活習慣病」
  • 日本歯科麻酔学会「歯科麻酔に関する一般向け情報」
  • 日本有病者歯科医療学会「有病者の歯科治療に関する情報」

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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