味覚がおかしい・味がしない原因|歯科で相談できるケース

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年7月5日監修:村井亮介(DDS, MSD(米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)/日本補綴歯科学会 会員)

食事をしても味を感じにくい、何を食べても同じような味がする、いつもと違う変な味がする——こうした「味覚の異常」に気づくと、「病気ではないか」「元に戻るのか」と不安になるものです。味覚は毎日の食事の楽しみに直結するため、その変化は生活の質にも大きく関わります。

味覚の異常には、実にさまざまな原因があります。亜鉛(あえん)などの栄養の不足、飲んでいる薬の影響、口の乾き(ドライマウス)、舌の汚れ(舌苔)、風邪や新型コロナウイルス感染症のあと、加齢による変化など、原因は口の中だけにとどまりません。だからこそ「どこに相談すればよいか分からない」と迷いやすい症状でもあります。
味覚がおかしい・味がしない原因のイメージイラスト
このページでは、味覚がおかしくなるときに体や口の中で何が起きているのか、どんな原因が考えられるのか、そして歯科で相談できるケースと、耳鼻咽喉科や内科などほかの科を検討すべきケースを、厚生労働省 e-ヘルスネットや学会・公的機関の情報をもとに、できるだけ公平に整理します。味の感じ方には個人差があり、原因の特定には医療機関での診査が必要です。あくまで判断の目安としてお読みください。

先に結論:こんなときは相談を

味覚の異常は、原因によってかかる科が変わります。まずは次のような場合に当てはまるかを確認してみてください。当てはまるときは、早めに相談することをおすすめします。
  • 数週間たっても味を感じにくい状態が続く、または急に強くなった
  • 口がいつも乾く、水をよく飲む、舌がヒリヒリする
  • 薬を新しく飲み始めてから、または種類が増えてから味が変わった
  • 舌の上が白っぽく厚くなっている、口の中が汚れやすい
  • 風邪や新型コロナウイルス感染症のあとから味やにおいがおかしい
  • 片側だけ味を感じない、しびれや麻痺(まひ)を伴う
臨床の現場では、味覚の異常を訴えて来院された方の背景に、亜鉛不足・薬剤の影響・ドライマウス・舌苔といった、歯科や身近な生活で対応できる要因が隠れていることが少なくありません。一方で、においの障害や神経・全身の病気が関わることもあり、原因の見極めが大切にされています。「何が原因か」を知ることが、対策の第一歩になります。

【セルフチェック】あなたの味覚異常はどのタイプ?

味覚の異常は原因によって対応先も対処法も変わります。下の早見表で当てはまるタイプの見当をつけてから、続く解説を読み進めてください。あくまで目安であり、自己判断は禁物です。
タイプ特徴主な原因主な相談先主な対処
A全体に味が薄い・感じにくい。爪や肌の不調も亜鉛不足など栄養の偏り内科・歯科食事の見直し・検査・補充
B薬を変えてから味が変わった薬剤性味覚障害処方した主治医・薬剤師自己中断せず主治医に相談
C口が乾く・舌がヒリヒリ・舌が痛いドライマウス(口の乾き)歯科唾液を保つケア・原因の確認
D舌の上が白く厚い、口が汚れやすい舌苔(ぜったい)歯科やさしい舌のケア・清掃指導
E感染症のあと味とにおいが同時におかしいウイルス感染後の嗅覚・味覚障害耳鼻咽喉科経過観察・専門的な評価
F片側だけ・しびれや麻痺を伴う神経や全身の病気の可能性耳鼻咽喉科・内科・神経内科速やかな受診・精査

味を感じる仕組みと「味覚がおかしい」の正体

私たちが味を感じるのは、舌の表面などにある味蕾(みらい=味を感じ取る小さなセンサーの集まり)が、食べ物にとけ出した味の成分をとらえ、その情報が神経を通って脳に伝わるからです。基本の味は、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の五つとされています。 「味覚がおかしい」と感じる状態には、いくつかのパターンがあります。あくまで整理のための目安ですが、次のように分けて考えると分かりやすくなります。
  • 味が薄く感じる・感じにくい(味覚減退):全体にぼんやりする、濃い味を求めるようになる
  • まったく味がしない(味覚消失):食べても味を感じない
  • 変な味がする(異味症):本来と違う味に感じる、金属のような味がする
  • 何もないのに味を感じる(自発性異常味覚):口の中に苦味や塩味が居座る
  • 特定の味だけ分からない(解離性味覚障害):たとえば甘味だけ分かりにくい
ここで大切なのが、「味」と「におい」の関係です。食事の「風味」は、舌で感じる味だけでなく、鼻から抜けるにおい(風味を感じる嗅覚)と一体になって生まれます。風邪や鼻づまりのときに食事の味が分かりにくくなるのは、味覚そのものよりも、においが感じにくくなっていることが大きいと考えられています。「味がしない」と感じても、実際にはにおいの障害であることも多く、両者を分けて考えることが原因を見極める手がかりになります。

なぜ味覚がおかしくなるのか(主な原因)

味覚の異常には多くの原因があります。ここでは代表的なものを、どれか一つに偏らないよう公平に整理します。複数の原因が重なることも少なくありません。

亜鉛など栄養の不足

味蕾は新陳代謝(しんちんたいしゃ=細胞が新しく入れ替わること)が活発な組織で、その入れ替わりには亜鉛というミネラルが欠かせないとされています。亜鉛が不足すると味蕾がうまく作り替えられず、味を感じにくくなることがあります。極端なダイエットや偏った食事、加齢による食事量の低下、一部の薬による影響などで亜鉛が不足しやすくなると考えられています。ただし、味覚異常のすべてが亜鉛不足というわけではなく、検査で不足が確認された場合に補充が検討されます。自己判断でサプリメントを大量にとるのは避け、まずは食事の見直しと検査が基本です。

薬剤の影響

味覚の異常は、飲んでいる薬の影響で起こることがあります。血圧の薬、一部の抗菌薬、抗がん剤、精神科の薬、利尿薬など、さまざまな薬が関わりうるとされています。薬によって亜鉛の働きが妨げられたり、唾液が減ったり、味の伝わり方が変わったりすることが背景にあると考えられています。心当たりがあっても、薬を自己判断で中止するのは危険です。必ず処方した主治医や薬剤師に相談し、必要に応じて調整してもらうことが大切です。

口の乾き(ドライマウス)

味の成分は、唾液にとけ出して初めて味蕾に届きます。そのため唾液が減って口が乾くと、味が伝わりにくくなり、味覚の異常につながることがあります。加齢、薬の影響、ストレス、口呼吸などが背景になります。口の乾きが続く方は、口が乾く原因とドライマウスの対策|唾液を増やす方法 で、その仕組みと対処を詳しく確認できます。

舌の汚れ(舌苔)

舌の表面には舌乳頭(ぜつにゅうとう)という細かい突起があり、その隙間に細菌やはがれた粘膜、食べかすが溜まって白〜黄白色の付着物になります。これが舌苔です。舌苔が厚くなると味蕾がおおわれ、味を感じにくくなることがあると考えられています。ただし、舌苔を無理にこすり取ると逆効果になるため、正しいケアが大切です。舌のケアの方法は、舌磨きの正しいやり方|舌苔と口臭ケアのポイント で詳しく解説しています。
味覚がおかしい・味がしない原因の解説イラスト
感染症のあとの味覚・嗅覚の障害 風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などのあとに、味やにおいがおかしくなることがあります。とくに新型コロナウイルス感染症では、においの障害(嗅覚障害)や味覚の異常が後遺症として知られ、多くは時間の経過とともに改善するとされますが、長引く場合もあります。この場合、実際にはにおいの障害が中心のこともあるため、耳鼻咽喉科での評価が役立ちます。あわてず、まずは経過をみながら適切な科に相談することが大切です。

加齢による変化・その他

加齢とともに味蕾の数や唾液の量が変化し、味を感じにくくなることがあります。また、鉄分の不足や貧血、糖尿病・腎臓や肝臓の病気、口の中や神経の病気、まれに脳の病気が関わることもあります。片側だけ味を感じない、しびれや麻痺を伴うといった場合は、神経や全身の病気の可能性を考え、速やかな受診が必要です。

歯科で相談できるケース・ほかの科が向くケース

味覚の異常は原因が多岐にわたるため、「どこに相談すればよいか」が分かりにくい症状です。おおまかな目安を整理します。

歯科で相談できるケース

口の乾き(ドライマウス)、舌苔、舌の痛みやヒリヒリ感、合わない詰め物・かぶせ物・入れ歯による違和感、口の中の衛生状態など、口の中に関わる要因は歯科の得意分野です。とくに、口が乾く・舌が痛い・舌が汚れているといった症状を伴う場合は、まず歯科で口の中を確認してもらうと、原因の切り分けがスムーズです。金属の詰め物による「金属の味」が気になる場合も、歯科で状態を確認できます。舌の痛みや色の変化を伴う場合は、舌が痛い・赤い・白いときに考えられる原因と受診の目安 もあわせてご確認ください。

耳鼻咽喉科が向くケース

においの障害を伴う場合、風邪や新型コロナウイルス感染症のあとの味覚・嗅覚の異常、鼻づまりや副鼻腔炎を伴う場合は、耳鼻咽喉科が専門です。味覚と嗅覚をあわせて評価してもらえます。

内科などが向くケース

亜鉛や鉄などの栄養状態、糖尿病・腎臓や肝臓の病気、全身の体調が関わると考えられる場合は内科が向きます。薬の影響が疑われる場合は、その薬を処方した主治医に相談します。片側の麻痺やしびれ、ろれつが回らないなどを伴う場合は、脳や神経の病気の可能性があるため、速やかに受診してください。

味覚障害を専門的に診る外来

大きな病院や大学病院には、味覚障害を専門的に扱う外来があることもあります。原因がはっきりしない場合や長引く場合は、こうした専門外来を紹介してもらう選択肢もあります。名古屋市内(中区・栄・名古屋駅周辺など)や愛知・東海エリアにも、口腔内科や口腔外科、耳鼻咽喉科で味覚の相談に対応する医療機関があります。一人で抱え込まず、まずは身近な歯科や医科で相談してみてください。

歯科・医療機関ではどうやって調べるのか

味覚の異常の原因を見極めるため、複数の方法を組み合わせて総合的に判断します。実施できる検査は医療機関によって異なります。
  • 問診:いつから、どんなふうにおかしいか、飲んでいる薬、食事の内容、全身の病気、感染症のあとかどうかなどを確認します。
  • 口の中の診査:舌苔や舌の状態、唾液の量、詰め物・入れ歯の状態、口の乾きの程度などを確認します。
  • 血液検査:亜鉛や鉄、全身状態を調べます(内科などで実施)。
  • 味覚検査:味の成分を用いて、どの味をどの程度感じるかを調べる検査があります(専門的に行う施設)。
  • 嗅覚の評価:においの障害が疑われる場合、においの検査を行うことがあります(耳鼻咽喉科など)。
味の感じ方には個人差があり、複数の原因が重なることも多いため、これらの結果を合わせて「何が主な原因か」を見極めることが重視されます。

自分でできる対策(やって良いこと)

原因に応じたセルフケアで、味覚の改善を助けられることがあります。まずは無理のない範囲でできることから始めましょう。
  • バランスのよい食事を心がけ、亜鉛を含む食品(魚介類・肉・大豆製品・ナッツなど)も適度にとる。
  • 唾液を保つ:こまめに水分をとる、よく噛んで食べる、無糖のガムを噛む、鼻で呼吸することを意識する。
  • 舌のケアはやさしく:舌苔が気になっても、こすりすぎない。1日1回、奥から手前へ軽くなでる程度が目安。
  • 口の中を清潔に保ち、詰め物・入れ歯の不具合があれば歯科で調整する。
  • 禁煙する・刺激物や熱すぎるものを控える。
  • 薬が気になる場合は、自己中断せず主治医・薬剤師に相談する。
亜鉛はとりすぎるとかえって体調に影響することがあるため、サプリメントを自己判断で大量にとるのは避けてください。まずは食事の見直しと、必要に応じた検査が基本です。

避けたほうがよいこと(NG行動)

よかれと思った対処が、かえって回復を遠ざけることもあります。次の行動には注意してください。
  • 薬の影響を疑って、主治医に相談せず自己判断で薬をやめる(もとの病気が悪化する危険がある)
  • 亜鉛サプリメントを説明書以上に大量にとる(過剰摂取は体調に影響することがある)
  • 舌苔を気にして舌を強くこする・何度も磨く(味蕾を傷つけ逆効果になる)
  • 味が薄いからと塩分や糖分を強くとりすぎる(全身の健康に影響する)
  • 数週間続くのに「そのうち治る」と放置し、原因の確認を先延ばしにする

放置したときに起こりうること

味覚の異常そのものは、多くの場合すぐ命に関わるものではありませんが、放っておくと問題が広がることがあります。味が分かりにくいと食事の楽しみが減り、食欲が落ちて低栄養につながることがあります。味を補おうと塩分や糖分をとりすぎ、血圧や血糖に影響することもあります。また、背景に全身の病気や神経の病気が隠れている場合は、その発見が遅れる可能性もあります。多くの味覚異常は原因に対応すれば改善が期待できるとされており、早めに原因を確かめることが、回復だけでなく全身の健康を守るうえでも大切です。

よくある質問

味覚がおかしいのは何科に行けばよいですか

原因によって変わります。口の乾き・舌苔・舌の痛み・詰め物や入れ歯の違和感を伴う場合は歯科、においの障害や感染症のあとの場合は耳鼻咽喉科、栄養や全身の病気が気になる場合は内科が向きます。どこか迷うときは、まず身近な歯科か内科で相談し、必要に応じて紹介してもらうとよいでしょう。

亜鉛をとれば味覚は戻りますか

亜鉛不足が原因と検査で確認された場合には、補充で改善が期待できるとされています。ただし、味覚異常のすべてが亜鉛不足によるものではないため、自己判断でサプリメントを大量にとるのではなく、まず食事の見直しと検査を受けることをおすすめします。

薬のせいで味が変わった気がします。やめてもよいですか

自己判断で薬をやめるのは危険です。もとの病気が悪化することがあります。心当たりがある場合は、その薬を処方した主治医や薬剤師に相談してください。必要に応じて種類や量の調整を検討してもらえます。

新型コロナウイルス感染症のあとの味覚の異常は治りますか

感染症のあとの味覚・嗅覚の異常は、多くが時間の経過とともに改善するとされていますが、長引く場合もあります。実際にはにおいの障害が中心のこともあるため、続く場合は耳鼻咽喉科での評価をおすすめします。あわてず経過をみながら相談することが大切です。

口の乾きと味覚は関係ありますか

関係があります。味の成分は唾液にとけて味蕾に届くため、口が乾くと味を感じにくくなることがあります。唾液を保つケアや、乾きの原因の確認が役立ちます。詳しくは口が乾く原因とドライマウスの対策|唾液を増やす方法 をご確認ください。

舌の白い汚れをとれば味は戻りますか

舌苔が厚い場合、やさしいケアで改善することがあります。ただし強くこすると味蕾を傷つけて逆効果になるため、奥から手前へ軽くなでる程度にとどめてください。正しい方法は舌磨きの正しいやり方|舌苔と口臭ケアのポイント で確認できます。

まとめ

味覚がおかしい・味がしないという症状には、亜鉛など栄養の不足、薬の影響、口の乾き(ドライマウス)、舌の汚れ(舌苔)、風邪や新型コロナウイルス感染症のあとの障害、加齢による変化など、実にさまざまな原因があります。「味」と「におい」は一体で風味を作るため、味覚の問題に見えて、実はにおいの障害であることも少なくありません。原因によって相談先が変わり、口の乾き・舌苔・舌の痛みなど口の中に関わるものは歯科、においや感染症のあとは耳鼻咽喉科、栄養や全身の病気は内科が向きます。多くの味覚異常は原因に対応すれば改善が期待できるとされています。数週間続く、急に強くなった、しびれや麻痺を伴うといった場合は、自己判断せず、原因に応じた相談・受診を検討してください。

参考・出典

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット(味覚・口腔の健康・ドライマウスに関する解説)
  • 日本口腔外科学会・日本口腔内科学会(味覚障害・口腔粘膜に関する情報)
  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(味覚障害・嗅覚障害に関する解説)
  • MSDマニュアル(家庭版・プロフェッショナル版)「味覚障害」「嗅覚障害」
  • 亜鉛と味覚障害に関する総説・診療の手引き(亜鉛欠乏と味覚異常の関連)
  • 薬剤性味覚障害に関する総説
  • 新型コロナウイルス感染症後の嗅覚・味覚障害に関する報告・総説
(注:本文中の内容は研究や状況により幅があり、一般的な目安としてお示ししています。具体的な内容や最新版の確認は監修医が行っています。自己判断せず、続く症状は必ず相談・受診してください。)
味覚がおかしい・味がしない原因に関する予防・ケアのイメージイラスト

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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