舌が痛い・赤い・白いときに考えられる原因と受診の目安

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年6月28日監修:村井亮介(DDS, MSD(米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)/日本補綴歯科学会 会員)

舌が痛い・赤い・白いといった症状には、様子を見てよいものと受診が必要なものがあります。名古屋(中区・栄)でも、しみる・ヒリヒリするというご相談は珍しくありません。

舌がピリピリする、見ると赤くつるつるしている、白い苔のようなものがついている。鏡を見て不安になり、検索された方も多いと思います。 舌は粘膜のなかでも刺激を受けやすく、体調や栄養状態、薬、口のなかの細菌バランスの乱れなどが、見た目や痛みとして現れます。多くは生活の見直しと簡単な治療で落ち着く一方、長引く潰瘍(かいよう=粘膜がえぐれた状態)やしこりは、口腔がんの早期サインのこともあります。
舌の構造と痛みの部位
このページでは、厚生労働省 e-ヘルスネット日本口腔外科学会の解説をもとに、舌の構造から「赤い・白い・斑点・しこり」の見分け方、自宅での対処、何科を受診すべきかを整理します。最終的な診断には歯科または口腔外科での診査が必要です。セルフチェックの参考としてお読みください。

先に結論:こんなときは早めに受診を

舌の症状は、軽い炎症のように見えても、なかには見逃すと進行してしまう病気が隠れていることがあります。次のいずれかに当てはまる場合は、できるだけ早く歯科口腔外科または耳鼻咽喉科を受診してください。
  • 舌の同じ場所にできた潰瘍(口内炎のようなもの)が2週間以上治らない
  • 舌の縁や裏側に、押すと硬いしこり(硬結)を触れる
  • こすっても取れない白い斑、または赤い斑が舌や口腔内に持続している
  • 原因のはっきりしない出血、しびれ、味覚の変化が続いている
  • 左右どちらか片側だけに、慢性的な痛みや違和感がある
  • 飲み込みづらさ、ろれつの回り方の変化を伴っている
これらは口腔がんを念頭に置いた「赤旗症状(レッドフラッグ)」の代表例です。日本の口腔がんは年間の罹患数が増加傾向にあり、口腔・咽頭がんの罹患は男女合わせて年間約2万3000人、年間の死亡数も約8000人と報告されています(出典:国立がん研究センター がん統計、2020年代の概数)。一方で、ピリピリ感のみで見た目に異常がない、食事のときだけ痛む、白い苔が広がるが拭うと取れる、といった症状は、舌痛症や口腔カンジダ、貧血など、適切に対処すれば改善するものが多くを占めます。まずは「2週間」「片側」「硬い」「治らない」というキーワードを目安に、慌てず、しかし放置せずに進めましょう。

舌の構造と痛みの仕組み

舌は、表面が粘膜で覆われた筋肉のかたまりで、味を感じる受容器(味蕾=みらい)と、表面のざらつきをつくる「舌乳頭(ぜつにゅうとう)」が並んでいます。舌乳頭は形によって4種類に分けられ、糸状(しじょう)乳頭、茸状(じじょう)乳頭、葉状(ようじょう)乳頭、有郭(ゆうかく)乳頭と呼ばれます。このうち味蕾を多く含むのは茸状・葉状・有郭乳頭で、ヒトの口腔内にある味蕾は数千個といわれます。糸状乳頭は味覚というよりも、食べ物をとらえたり食感を感じたりする役割を担い、舌の表面のうっすらとした白さ(生理的な舌苔)にも関わっています。 舌の表面の粘膜は薄く、口のなかは常に唾液で湿り、温度や食べ物の刺激、細菌や真菌(カビの仲間)にさらされています。そのため、
  • 歯のとがった部分や被せ物の縁が当たる物理的な刺激
  • 熱いお茶や辛いもの、アルコールなどの化学的・温度的な刺激
  • ビタミンや鉄分など栄養素の不足による粘膜のもろさ
  • カンジダなど常在菌のバランスの乱れ
  • 口の乾燥(ドライマウス)による防御力の低下
  • 神経の感じ方そのものの異常(舌痛症)
といった要因が重なると、見た目の変化や痛みとして現れます。痛みには、刺すような表在性の痛み、ピリピリ・ヒリヒリと焼けるような痛み、押すと響くような深い痛みなど種類があり、見た目と痛みの組み合わせで原因を絞っていきます。

原因の分類と見分け方(症状別)

ここからは、「痛い」「赤い」「白い」「斑点・まだら」「しこり」という見た目と感覚の手がかりごとに、よくある原因と注意すべきものを整理します。あくまで目安で、似た症状でも背景が異なることは少なくありません。

痛いとき:舌炎、外傷性潰瘍、アフタ性口内炎、舌痛症

舌全体や一部がヒリヒリ痛むときにまず考えられるのが、広い意味での「舌炎(ぜつえん)」です。代表的なのは次の二つです。
  • 外傷性潰瘍(がいしょうせいかいよう):歯のとがった部分や合っていない入れ歯の縁が、いつも同じ場所をこすって粘膜がえぐれる。原因を取り除けば数日〜2週間で治ることが多い
  • アフタ性口内炎(こうないえん):ストレスや疲労、ビタミン不足を背景に、中央が白く周りが赤い円形の潰瘍ができる。通常1〜2週間で自然に治る
これに対し、舌の表面に明らかな見た目の異常がないのに、毎日ヒリヒリ・ピリピリと焼けるような痛みが続くものは「舌痛症(ぜっつうしょう/バーニングマウス症候群)」と呼ばれます。中高年の女性に多く、有病率は一般人口の0.7〜4.6%、閉経後の女性ではより高頻度との報告があります(出典:国際頭痛分類、口腔顔面痛に関する総説)。原因は単一ではなく、神経の感じ方の変化、唾液の減少、心理的要因などが重なって起こると考えられています。

赤いとき:地図状舌、平滑舌、紅板症(要注意)

舌が部分的に赤くつるつるして見えるとき、よくみられるのが「地図状舌(良性移動性舌炎)」です。糸状乳頭が一時的に消えて赤い領域が地図のように現れ、形が日ごとに変わるのが特徴です。一般人口の約1〜2%にみられ、痛みを伴うこともありますが、悪性化することはなく、多くは経過観察で問題ありません。一方、舌全体がのっぺりとつるつるし、ひりつき・赤み・味覚の異常をともなう「平滑舌(ハンター舌炎)」は、鉄欠乏性貧血やビタミンB12欠乏、葉酸欠乏など全身性の栄養不足のサインのことがあります。鉄欠乏は世界的に最も多い栄養障害で、日本でも月経のある女性の有病率が高いと報告されています。注意したいのが「紅板症(こうばんしょう)」で、こすっても取れない鮮やかな赤い斑として現れ、口腔内の赤い病変のなかでも悪性化のリスクが比較的高いとされ、生検が勧められます。

白いとき:口腔カンジダ、白板症(要注意)、舌苔

舌が白いときの代表は3つあります。一つ目は「口腔カンジダ症」で、ガーゼで拭うと取れる白い苔状の付着(偽膜性)や、こすっても取れずヒリヒリする赤み(萎縮性)として現れます。免疫が落ちているとき、抗菌薬や吸入ステロイドの使用後、義歯の不適合、唾液の減少などで起こりやすく、抗真菌薬で改善します。二つ目は「白板症(はくばんしょう)」で、こすっても取れない白い板状の病変が長期に存在し、口腔粘膜疾患のなかで悪性化のリスクが知られているグループ(口腔潜在的悪性疾患)に含まれます。世界的な有病率はおおむね2〜4%程度、年間の悪性転化率は1%前後と報告され、診断には生検が必要です。三つ目は単純な「舌苔」で、糸状乳頭のすき間に細菌や食べかすがたまった生理的な白さです。口臭の原因の一つにもなりますが、強くこすって取ろうとすると粘膜を傷つけるため、やわらかい舌ブラシで軽く一日1回ふれる程度にとどめます。口臭の対処は 口臭の原因 も参考にしてください。

斑点・まだら:地図状舌、毛舌、ヘルペスなどのウイルス性

舌の表面がまだらに見える原因は、すでに触れた地図状舌のほか、糸状乳頭が長く伸びて茶色や黒っぽく見える「黒毛舌(こくもうぜつ)」があります。抗菌薬の長期使用、喫煙、口腔衛生の悪化などが関連します。色は強いものの多くは無害で、原因の除去と舌ブラシによるケアで改善します。また、ウイルスによる口内炎(ヘルペス性歯肉口内炎、ヘルパンギーナなど)では、舌や歯ぐきに小さな水ぶくれや潰瘍が多発し、発熱を伴うことがあります。

しこり・潰瘍が続く:口腔がんを念頭に

口腔がんは口のなかにできるがんの総称で、なかでも舌がんは最も多く、口腔がん全体の約60%を占めると報告されています。日本では男性にやや多く、好発年齢は50〜70歳代ですが、40歳代以下でもみられます。喫煙、過度の飲酒、合わない被せ物や義歯による慢性的な刺激、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染などが危険因子とされます。特徴は、舌の側縁(横の縁)にできやすく、押すと硬く、潰瘍の周りに土手のような盛り上がりがあり、痛みが軽いまま大きくなることもあるという点です。2週間以上治らない潰瘍、こすって取れない赤い斑・白い斑、原因のはっきりしないしこりは、放置せず歯科口腔外科の診察を受けてください。

治療法と対処(軽症からがんの疑いまで)

舌の症状に対する治療は、原因の見立てによって組み立てが変わります。共通するのは、まず刺激の原因を取り除き、必要なら薬で痛みや感染をおさえ、そのうえで全身状態を整える、という流れです。

軽い炎症・外傷性潰瘍のとき

歯のとがった縁、合わない被せ物や入れ歯の鋭利な部分が原因のときは、その部分を歯科で丸めたり調整するだけで、数日〜2週間ほどで粘膜が落ち着くことが多くあります。アフタ性口内炎には、ステロイドを含む口腔用軟膏や貼付薬、含嗽(うがい)薬が用いられます。痛みが強くて食事がとれないときは、表面麻酔のジェルを処方されることもあります。

口腔カンジダ症のとき

診察で口腔カンジダが疑われると、白い付着部分の擦過検査や培養で確認のうえ、抗真菌薬(ミコナゾール経口ゲル、アムホテリシンB含嗽など)が用いられます。義歯の清掃を徹底し、就寝時は外す、ステロイド吸入後はうがいを行う、唾液の分泌を保つ、といった環境調整を並行して行うことが、再発予防のうえでも重要です。

舌痛症のとき

見た目に異常がないのに焼けるような痛みが続く舌痛症は、口の刺激への過敏さや神経の感じ方の変化が背景にあると考えられ、生活指導とともに、口腔内の保湿、必要に応じて低用量の抗うつ薬(クロナゼパム、三環系抗うつ薬など)、認知行動療法などが用いられます。検査で異常が出ないことが多いため、複数の医療機関で「異常なし」と言われて困っている方は、舌痛症を専門的に診ている口腔外科や口腔粘膜外来への相談が選択肢になります。

栄養不足が疑われるとき

平滑舌や口角炎を伴うようなときは、血液検査で鉄、ビタミンB12、葉酸、亜鉛などをチェックします。鉄欠乏が判明すれば内服での補充、ビタミンB12欠乏では原因(萎縮性胃炎や偏食、菜食など)に応じて経口または注射で補います。基礎疾患が見つかれば、内科との連携で全身の治療を行います。

がんが疑われるとき

2週間以上治らない潰瘍やしこり、こすって取れない赤い・白い斑が認められたときは、生検(局所麻酔下に病変の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)が標準的な方法です。診断が確定した場合、舌がんは部位や進行度(ステージ)に応じて、手術、放射線治療、薬物療法(化学療法・分子標的薬・免疫療法)を組み合わせて治療されます。早期に発見されたI〜II期の舌がんの5年相対生存率はおおむね80%以上と報告される一方、進行例では大きく下がるため、早期受診の意味は非常に大きいといえます。

最新の考え方:口腔がん検診と「2週間ルール」

舌の見た目別の異常パターン比較
口腔がんは、見える場所にできるがんでありながら、痛みが少なく、口内炎と見分けがつきにくいまま進行してしまうことがあります。世界的にも、歯科を受診したついでに口腔粘膜を視診・触診で確認する「オポチュニスティック・スクリーニング(受診機会を利用した検診)」が推奨され、日本でも自治体や歯科医師会が口腔がん検診を整備する動きが広がっています。覚えやすい目安として、米国の歯科関連学会や日本の口腔外科領域でも「2週間以上治らない口の中の傷は専門医へ」という考え方が共有されています。歯のクリーニングや定期検診のときに、舌の側縁・裏側、頬の内側、口の底(舌の下)まで含めて見てもらう習慣をつけると、早期発見の機会が増えます。

今すぐできる対処:やって良いこと/NG行動

舌の症状でつらいときに、自宅で安全にできる工夫と、避けたほうがよい行動を整理します。受診までのつなぎとして役立てつつ、症状が続くようなら医療機関で確認してください。

やって良いこと

  • 刺激物(熱いもの、辛いもの、酸味の強いもの、アルコール、たばこ)を一時的に控える
  • 水やお茶で口の中をうるおし、唾液の分泌を保つ(こまめに少量ずつ飲む)
  • やわらかい歯ブラシでていねいに歯みがきを行い、舌は舌ブラシで奥から手前に「軽く一日1回」だけなでる
  • 義歯を使っている方は、夜間は外し、毎日清掃する
  • 市販の口内炎用パッチや軟膏で痛みをやわらげる(数日で改善しなければ受診)
  • 合わない被せ物や入れ歯がこすれるときは早めに歯科で調整してもらう
  • 禁煙、節度ある飲酒、バランスのとれた食事(鉄、ビタミンB群を含む食品)を心がける

NG行動

  • 白い苔を強くこすり取ろうとする(粘膜を傷つけ悪化させます)
  • 痛い部分を歯やフォークで「確かめる」「触り続ける」
  • うがい薬や歯みがき粉を高濃度・長時間使い続ける(粘膜への刺激になります)
  • 「口内炎が2週間以上治らないけれど、また様子を見よう」と先延ばしにする
  • 市販のステロイド軟膏を、原因がわからないまま何週間も使い続ける(カンジダや感染を悪化させることがあります)
  • SNSやネット情報だけで自己診断し、しこりや潰瘍を放置する

放置するとどうなるか

軽い口内炎や地図状舌の多くは、放置しても自然に治りますが、すべての症状が時間で解決するわけではありません。原因によって、その後の経過は大きく変わります。 外傷性潰瘍の原因(鋭利な歯の縁、合わない補綴物)を放置すると、同じ場所に慢性的な刺激が加わり続け、慢性潰瘍へと進むことがあります。口腔カンジダ症は、免疫が落ちている方では食道カンジダなど消化管へ広がる例もあります。鉄欠乏性貧血やビタミンB12欠乏では、舌の症状の背後で全身倦怠感や神経症状が進むことがあります。 そしてもっとも避けたいのが、口腔がんの発見の遅れです。早期(I・II期)に発見できれば、手術範囲は小さく、機能(話す・食べる・味わう)も比較的保たれますが、進行(III・IV期)すると舌の広範囲切除や頸部リンパ節郭清、再建手術、放射線・化学療法の併用が必要となり、生活への影響が格段に大きくなります。「ただの口内炎」と「がんの初期」は見た目だけでは区別できないことがあるため、2週間という時間軸を一つの基準にすることが、ご自身を守る現実的な方法です。

受診の目安と何科にかかるか

舌の症状で迷ったとき、どの診療科にかかればよいかを整理します。
  • 2週間以上治らない潰瘍、こすって取れない白い・赤い斑、しこり:歯科口腔外科を最優先で受診
  • 義歯や被せ物の縁が当たって痛い、舌が荒れる:かかりつけの歯科で調整
  • 口の中全体が白っぽく、ヒリヒリする(カンジダ疑い):歯科または歯科口腔外科
  • 見た目に異常はないが舌のヒリヒリが3か月以上続く(舌痛症疑い):口腔外科、口腔粘膜外来、ペインクリニック
  • 味覚の異常、神経のしびれ、全身倦怠感を伴う:歯科口腔外科に加えて内科でも血液検査を
  • のどの違和感、飲み込みづらさ、声の変化を伴う:耳鼻咽喉科の併診
受診時には、症状が出はじめた時期、悪くなる・楽になるきっかけ、内服中の薬、義歯や被せ物の有無、喫煙・飲酒の習慣、これまでの大きな病気をメモして持参すると、診察がスムーズです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 舌が部分的に赤く、地図のように形が変わります。病気ですか。 A. 地図状舌(良性移動性舌炎)の可能性が高い症状です。糸状乳頭が一時的になくなって赤く見え、形が日ごとに動きます。一般人口の約1〜2%にみられ、悪性化はしません。しみる感じがあるときは刺激物を控えれば落ち着きますが、形が変わらず同じ場所に2週間以上続く赤みは、別の病気の可能性があるため受診してください。 Q2. 舌が真っ赤でツルツルしているのは栄養不足のサインですか。 A. 全体に平滑で赤く、ヒリヒリ・味覚の鈍さを伴うときは、鉄・ビタミンB12・葉酸の不足を背景にする平滑舌(ハンター舌炎)のことがあります。月経のある女性、偏食の方、菜食の方、胃の手術を受けた方などはリスクが上がります。歯科口腔外科または内科で血液検査を受けると、原因の特定と補充治療につながります。 Q3. 白い苔がべったりついています。こすって取った方がいいですか。 A. 強くこするのは禁物です。糸状乳頭のすき間にたまる生理的な舌苔は、やわらかい舌ブラシで奥から手前に軽く一日1回なでる程度でじゅうぶんです。拭うと取れる白い膜のような付着がヒリヒリを伴うときは口腔カンジダ症の可能性があり、抗真菌薬での治療が必要です。歯科口腔外科で確認してもらいましょう。 Q4. 「舌痛症」と言われましたが、本当に治りますか。 A. 舌痛症は、見た目に異常がないのに焼けるような痛みが続く状態で、神経の感じ方の変化、唾液の減少、心理的要因などが関わると考えられています。多くは数か月〜数年単位での経過のなかで軽快しますが、低用量の抗うつ薬(クロナゼパム、三環系抗うつ薬)や認知行動療法、口腔保湿の徹底などで、痛みを大きく減らせる方が少なくありません。気長に、専門外来とともに進めることが大切です。 Q5. 口内炎と口腔がんは、どう見分ければよいですか。 A. 一般的な口内炎(アフタ)は中央が白くくぼみ、周りが赤い円形で、1〜2週間で自然に治ります。一方、口腔がんが疑われるのは、2週間以上治らない、押すと硬い、表面がでこぼこしている、出血しやすい、こすっても取れない赤・白の斑がある、片側にしか出ない、痛みが軽いまま広がっている、などのサインです。見分けに自信がもてないときは、自己判断せず歯科口腔外科で診てもらうのが安全です。 Q6. 子どもの舌が赤く、ブツブツしています。受診すべきですか。 A. 発熱を伴い、舌がイチゴのように赤くブツブツしている(イチゴ舌)ときは、溶連菌感染症や川崎病など全身の病気のサインのことがあり、小児科の受診が必要です。発熱がなく、口の中だけに小さな水ぶくれや潰瘍が多発しているときはヘルペス性歯肉口内炎やヘルパンギーナなどのウイルス感染を疑い、こちらも小児科または小児歯科で相談してください。 Q7. 喫煙者ですが、舌の状態が気になります。何に注意すればよいですか。 A. 喫煙は口腔がん・白板症・紅板症の重要な危険因子です。鏡で舌の側縁、裏側、口の底まで自分で観察する習慣に加え、半年〜1年に1回は歯科で口腔粘膜の検診を受けることをおすすめします。禁煙でリスクは年単位で低下するとされ、禁煙外来も選択肢です。

まとめ

舌の痛みや見た目の変化は、原因の幅が広く、放置してよいものから、早期発見が予後を左右するものまで含まれます。整理すると、
  • 舌乳頭・味蕾を含む薄い粘膜が、刺激・栄養・常在菌・神経の影響で症状を出す場所であること
  • 「赤い」「白い」「斑点」「しこり」と、痛みの感じ方の組み合わせから、ある程度原因を絞れること
  • 地図状舌、生理的舌苔、軽いアフタ性口内炎などは多くが経過観察と生活の工夫で改善すること
  • 口腔カンジダや栄養不足、舌痛症は、適切な薬と環境調整で大きく楽になりうること
  • 2週間以上治らない潰瘍、こすって取れない赤・白の斑、片側のしこりは、口腔がんを念頭に歯科口腔外科を受診すべきこと
の5点が要点です。「気にしすぎ」と「放っておく」のどちらにも傾かず、2週間という時間軸を一つの目安に、迷ったら歯科口腔外科に相談する。これが、舌の症状とつきあううえでもっとも現実的で安全な指針です。当院の診療方針や監修体制については 監修者・編集方針について もあわせてご覧ください。 関連する疑問については、口内炎が治らない原因と受診の目安口角炎味覚がおかしい・味がしない原因もあわせてご覧ください。

参考・出典

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「口腔の健康」「歯と口の健康」関連項目
  • 日本口腔外科学会「口腔外科で扱う主な疾患」舌痛症・口腔カンジダ症・白板症・口腔がんの解説
  • 国立がん研究センター がん情報サービス「口腔・咽頭がん」統計(2020年代の概数)
  • 国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)バーニングマウス症候群(舌痛症)の定義
  • WHO Collaborating Centre 口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)に関する報告
  • MSDマニュアル 家庭版・プロフェッショナル版「舌の異常」「口腔粘膜の異常」項
歯科で舌の診察を受ける様子

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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