対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。
大人の過蓋咬合(かがいこうごう:かみ合わせが深く、上の前歯が下の前歯を大きく覆う状態)の矯正相談は、名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも「歯並び自体はきれいなのに、噛むと下の前歯がほとんど見えない」「上の前歯の裏側に下の前歯が当たって傷ができる」「被せ物を作るたびにすぐ欠ける」という形で持ち込まれることが多い不正咬合です。出っ歯やガタガタに比べて見た目で気づかれにくく、そのぶん放置されやすい一方で、歯のすり減り、前歯の歯ぐきの傷、被せ物の破損、顎関節への負担といった形で40代以降に問題が表面化しやすいという特徴があります。このページでは、大人の過蓋咬合がどんな状態か、放置すると何が起こるか、矯正でかみ合わせを「起こす」仕組みと装置の選び方、被せ物や歯周病がある場合の考え方、そして治療後に深いかみ合わせへ戻らないための保定まで整理します。
大人の矯正全体の年齢の目安や注意点は大人の歯列矯正は何歳まで?年齢の目安・注意点・始めどきを歯科医が解説にまとめています。このページは、その中でも「かみ合わせが深い」悩みに絞った解説です。
受診の目安:こんなサインがあれば矯正相談を
過蓋咬合は「深いこと」自体が問題というより、深さが原因で起きている二次的な症状が受診のきっかけになります。次のうち当てはまるものがあれば、矯正歯科での相談を考える時期です。- 噛んだときに下の前歯が上の前歯にほとんど隠れて見えない(覆い方が3分の2以上)
- 上の前歯の裏側の歯ぐきに、下の前歯が当たってできた傷やへこみがある
- 下の前歯の先端が平らにすり減っている、または上の前歯の裏側が削れて薄くなっている
- 前歯の被せ物やレジンが繰り返し欠ける・外れる
- 口を閉じると下唇が上の前歯の裏に入り込む、あごの先に梅干し状のしわができる
- 朝起きるとあごがだるい、こめかみが張る、口が開けにくい日がある
過蓋咬合とはどんな状態か:3つのタイプ
正常なかみ合わせでは、上の前歯が下の前歯を2〜3mm(下の前歯の高さの4分の1から3分の1程度)覆っています。過蓋咬合はこの覆い(オーバーバイト)が深すぎる状態で、原因によっておおむね3つのタイプに分かれます。どのタイプかで治療の方法が変わるため、最初の診断で見極めることが重要です。| タイプ | 何が起きているか | 治療の主な方向 |
|---|---|---|
| 歯性(前歯の伸びすぎ) | 上下の前歯が伸びすぎて深く重なる。奥歯の高さは正常。歯並びはきれいなことが多い | 前歯を圧下(歯ぐき側へ沈める)する矯正 |
| 歯性(奥歯の低さ) | 奥歯のすり減り・喪失・低い被せ物で奥歯の高さが足りず、相対的に前歯が深くなる | 奥歯の挺出(引き出す)や被せ物で高さを回復 |
| 骨格性 | 下あごが小さい・後ろに下がっている、上あごの前歯部の骨が長いなど、骨格の不調和が原因 | 矯正で代償するか、程度が大きければ外科矯正 |
放置するとどうなるか:40代以降に出やすい4つの問題
過蓋咬合は痛みがないため「見た目の問題がないなら放っておいてよい」と思われがちですが、深いかみ合わせは前歯と顎関節に長年にわたって偏った力をかけ続けます。代表的な問題は次の4つです。 1つ目は前歯のすり減りと破折です。深く噛み込むほど、下の前歯の先端が上の前歯の裏側にこすれ、エナメル質が削れていきます。前歯の裏が薄くなると、冷たいものがしみる、前歯の縁が欠ける、被せ物が割れるといった症状につながります。すり減りの仕組みそのものは食いしばり・歯ぎしりで歯がすり減る(咬耗)|削れた歯の影響と対処で扱っています。 2つ目は歯ぐきの外傷です。覆いがきわめて深いと、下の前歯の先端が上の前歯の裏側の歯ぐき(口蓋側歯肉)に直接当たり、傷や退縮を起こします。逆に、上の前歯が下の前歯の唇側の歯ぐきに当たって下の前歯の歯ぐきが下がることもあります。歯ぐき下がりの一般的な原因と対処は歯茎が下がる原因と治療|歯肉退縮のセルフケアを参考にしてください。 3つ目は顎関節と筋肉への負担です。深いかみ合わせでは下あごが後方に押し込まれた位置で噛むことになり、下あごを前後左右に動かす余地が小さくなります。朝のあごのだるさ、口の開けにくさ、関節の音といった顎関節症の症状が出やすいとされています。ただし、顎関節症の原因は多因子で、過蓋咬合だけで決まるわけではありません。あごの症状が強い場合の考え方は顎が痛い・口が開きにくい原因(顎関節症)と対処も参考にしてください。 4つ目は奥歯の負担増です。奥歯がすり減る、または失われて過蓋咬合になっている場合、残った奥歯に過剰な力がかかり、さらに摩耗や破折が進む悪循環に入ります。奥歯の被せ物が繰り返し壊れる人の中には、かみ合わせの深さが背景にあるケースが少なくありません。
矯正でかみ合わせを「起こす」仕組み
過蓋咬合の矯正は、上下の前歯の重なりを浅くすることが目的です。方法は大きく「前歯を沈める(圧下)」と「奥歯を引き出す(挺出)」の2つで、どちらを主体にするかは、笑ったときの前歯の見え方と顔の高さで決めます。| 方法 | 仕組みと向く人 | 使う装置・注意点 |
|---|---|---|
| 前歯の圧下 | 上または下の前歯を歯ぐき側へ沈めて重なりを浅くする。笑うと歯ぐきが見える人、顔が長めの人に向く | ワイヤー矯正(ユーティリティアーチ等)、アンカースクリュー、マウスピース。根が短くなるリスクに注意 |
| 奥歯の挺出 | 奥歯を引き出してかみ合わせの高さを上げ、相対的に前歯の重なりを浅くする。顔が短めで奥歯の高さが足りない人に向く | 咬合斜面板やバイトプレート、ワイヤー矯正。顔が長くなる方向に変化する |
| 前歯の前方傾斜の修正 | 上の前歯が内側に倒れて深くなっている場合、前歯を起こして重なりを浅くする | ワイヤー・マウスピースとも可。口元が少し前に出ることがある |
| 外科矯正 | 下あごの位置や骨格の差が大きい場合に、あごの骨の手術と矯正を組み合わせる | 顎変形症の診断があれば保険適用。入院を伴う |
被せ物・すり減った歯・歯周病がある場合の順番
大人の過蓋咬合では、矯正だけで完結しないことが珍しくありません。奥歯のすり減りや欠損で高さを失っているタイプでは、矯正でかみ合わせを起こした後に、奥歯の被せ物や入れ歯・インプラントで高さを固定する「補綴(ほてつ:被せ物や入れ歯で歯を補う治療)」が仕上げに必要になります。前歯の裏側が削れて薄くなっている場合も、矯正後に薄くなった部分を被せ物やレジンで補強し、再び削れないよう守ることがあります。 順番としては、虫歯と歯周病の治療を先に済ませ、次に矯正でかみ合わせの深さと歯の位置を整え、最後に被せ物で高さと形を確定させるのが基本です。矯正の前に被せ物を作り直してしまうと、歯が動いた後にかみ合わせが合わなくなって作り直しになります。すでに前歯や奥歯に被せ物がある場合、矯正中はそのまま使い、矯正後に最終的な被せ物へ替える計画を立てます。歯周病や被せ物、抜けた歯がある人の矯正の組み立て方は歯周病・被せ物・抜けた歯がある大人でも矯正はできる?治療前に整える順番・動かせる歯と動かせない歯の見分け方で、被せ物の種類と選び方は詰め物・被せ物の種類と費用|保険と自費の違いで解説しています。 食いしばりや歯ぎしりの習慣がある人は、矯正中も矯正後もすり減りが進みやすいため、ナイトガード(就寝時のマウスピース)を併用することがあります。習慣そのものへの対処は歯ぎしり・食いしばりの原因と治療|マウスピース・ボトックスは効く?を参考にしてください。期間と費用の目安
過蓋咬合の矯正期間は、前歯の圧下や奥歯の挺出が主体なら1年半〜2年半、抜歯や外科矯正を伴う場合は2〜3年が目安です。歯並びの重なりが少なく深さだけを治す場合は、部分的な装置で1年前後で終わることもあります。費用は全体矯正で、ワイヤー矯正が70〜110万円、マウスピース矯正が80〜120万円程度が一般的な幅で、アンカースクリューを使う場合は1本2〜4万円程度が加わります。矯正後に奥歯や前歯の被せ物が必要になる場合、その費用は矯正とは別に、保険か自費かによって数千円から1本10万円以上まで幅があります。外科矯正で顎変形症の保険適用を受ける場合は、矯正・手術とも保険の負担割合で受けられます。 過蓋咬合の矯正では、治療の途中で奥歯が一時的に噛まなくなる時期があります。前歯を沈めたり奥歯を引き出したりする過程で、かみ合わせの高さが変わるためで、食事がしにくいと感じることがあります。数週間から数か月で安定しますが、事前に説明を受けておくと不安が減ります。矯正中の痛みの一般的な経過は歯列矯正は痛い?痛みのピーク・いつまで続くかと和らげ方で確認できます。
後戻りを防ぐ:過蓋咬合は「深く戻りやすい」
過蓋咬合の矯正で特に注意したいのが後戻りです。沈めた前歯は、矯正の力がなくなると元の位置へ伸びようとする性質が強く、かみ合わせが再び深くなる傾向があります。奥歯を引き出して高さを作った場合も、噛む力で沈み込んで元へ戻ることがあります。そのため、過蓋咬合の保定(動かした歯を固定する期間)では、前歯の裏側にワイヤーを接着する固定式リテーナーに加え、前歯の裏にかみ合わせを支える突起(バイトプレーン)を付けた取り外し式リテーナーを組み合わせることが多く、装着期間も他の不正咬合より長めに設定されます。 さらに、矯正後に奥歯の高さを被せ物で確定させておくことが、深さの後戻りを防ぐ最も確実な方法の一つです。奥歯がしっかり噛んでいれば前歯が伸びる余地がなくなるためです。保定の一般的な考え方はマウスピース矯正後の保定(リテーナー)と後戻り|いつまで付けるか・種類と装着時間を、後戻りしてしまったときの再治療は矯正後に前歯が後戻りした|部分矯正で治し直せる条件・再治療の費用と期間を参考にしてください。 被せ物の相談で来院される方の中に、「前歯の被せ物が3回目」「奥歯のセラミックが2年で割れた」という方がいます。口の中を拝見すると、深いかみ合わせが背景にあることが少なくありません。どんなに良い材料で被せ物を作っても、噛むたびに前歯の裏へ強い力が集中する状態では、材料のほうが先に負けます。私はこうした場合、被せ物を作り直す前に「かみ合わせの深さを変えるか、変えないなら被せ物の形と材料でどこまで耐えられるか」を先に話し合います。 矯正でかみ合わせを起こす選択は、費用も期間もかかります。しかし、40代・50代で前歯の被せ物を何度も作り直す費用と、歯を削るたびに減っていく歯の寿命を考えると、一度深さを整えておく価値は小さくありません。逆に、矯正まではしないと決めた場合も、深さを前提に被せ物の裏側を厚くする、奥歯の高さを少し上げるといった補綴側の工夫で壊れにくくすることはできます。どちらを選ぶにしても、「なぜ壊れるのか」を深さの視点で一度確認してもらうことをおすすめします。よくある質問
過蓋咬合はどの程度から治療が必要ですか
上の前歯が下の前歯を3分の2以上覆っている、下の前歯が上の前歯の裏側の歯ぐきに当たっている、前歯のすり減りや被せ物の破損が繰り返されている場合は、治療を検討する目安です。覆いが深くても、歯ぐきの傷やすり減りがなく、あごの症状もない場合は経過観察でよいこともあります。深さのmm数だけでなく、深さが原因で起きている問題があるかで判断します。大人の過蓋咬合はマウスピース矯正で治せますか
軽度から中等度の歯性の過蓋咬合であれば、マウスピース矯正で治療できることが多いです。前歯を沈めやすいようにアタッチメントを付け、奥歯を浮かせるバイトランプを設計して重なりを浅くします。重度の過蓋咬合や骨格性の要素が強い場合、前歯の圧下量が大きい場合は、ワイヤー矯正やアンカースクリューの併用、または外科矯正が必要になることがあります。適応は精密検査で判断します。過蓋咬合を放置すると何が起こりますか
前歯のすり減りと欠け、上の前歯の裏側の歯ぐきの傷や退縮、被せ物の繰り返しの破損、顎関節や筋肉への負担が起こりやすくなります。奥歯のすり減りや喪失で深くなっているタイプでは、残った奥歯にも過剰な力がかかり、摩耗や破折が進む悪循環になります。痛みがないまま進むため、40代以降に被せ物の破損や顎の不調として表面化することが多いです。過蓋咬合の矯正にかかる期間と費用はどのくらいですか
前歯の圧下や奥歯の挺出が主体の全体矯正で1年半〜2年半、抜歯や外科矯正を伴う場合は2〜3年が目安です。費用はワイヤー矯正で70〜110万円、マウスピース矯正で80〜120万円程度が一般的な幅で、アンカースクリューは1本2〜4万円程度が加わります。矯正後に奥歯や前歯の被せ物が必要な場合はその費用が別にかかり、顎変形症の診断で外科矯正を行う場合は保険が適用されます。過蓋咬合の矯正は顎関節症に効きますか
深いかみ合わせが下あごの動きを制限している場合、かみ合わせを起こすことであごの症状が軽くなることはありますが、顎関節症の原因は多因子のため、矯正で必ず改善するとは言えません。あごの痛みや開口障害が強い場合は、まず顎関節症そのものの治療(マウスピース、生活指導、リハビリ)で症状を落ち着かせてから、矯正の必要性を判断するのが一般的です。過蓋咬合の矯正は後戻りしやすいですか
沈めた前歯は元の位置へ伸びようとする性質が強く、深さは他の不正咬合より後戻りしやすい傾向があります。そのため、前歯の裏側の固定式リテーナーに加え、かみ合わせを支える突起の付いた取り外し式リテーナーを組み合わせ、保定期間を長めに設定します。矯正後に奥歯の高さを被せ物で確定させておくことも、前歯が伸びる余地をなくす有効な方法です。前歯の被せ物がよく壊れるのは過蓋咬合が原因ですか
深いかみ合わせでは、噛むたびに上の前歯の裏側へ強い力が集中するため、前歯の被せ物やレジンが繰り返し欠ける・外れる原因になりえます。被せ物を作り直す前に、かみ合わせの深さを矯正で整えるか、深さを前提に被せ物の裏側を厚くする・材料を選ぶ・奥歯の高さを調整するといった補綴側の工夫で対応するかを、歯科医と相談することをおすすめします。名古屋で大人の過蓋咬合を相談するときは何科に行けばよいですか
名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)では、矯正歯科または矯正と補綴(被せ物)の両方を扱う歯科医院で相談するのが適しています。過蓋咬合は矯正後に被せ物で高さを固定する必要があることが多いため、矯正だけでなく最終的な被せ物まで含めた計画を提示してもらえるかが選ぶ目安になります。顎の症状が強い場合は、顎関節症の診療も行う口腔外科のある医院が候補になります。まとめ
大人の過蓋咬合は、上の前歯が下の前歯を深く覆う状態で、歯並び自体はきれいに見えることも多いため放置されやすい不正咬合です。しかし、前歯のすり減りと破折、歯ぐきの傷、被せ物の繰り返しの破損、顎関節への負担という形で40代以降に問題が表面化しやすく、矯正でかみ合わせを起こす治療には前歯の圧下と奥歯の挺出という2つの方向があります。軽度から中等度ならマウスピース矯正でも対応でき、重度や骨格性ではワイヤー・アンカースクリュー・外科矯正が選択肢です。すり減った歯や被せ物がある場合は、虫歯と歯周病の治療、矯正、被せ物の順で進め、深さの後戻りを防ぐために保定を長めにし、奥歯の高さを被せ物で確定させることが大切です。大人の矯正全般の年齢や注意点は大人の歯列矯正は何歳まで?年齢の目安・注意点・始めどきで確認できます。参考・出典
- 日本矯正歯科学会「矯正歯科治療に関する一般向け情報」(不正咬合の種類、治療のリスク) https://www.jos.gr.jp/
- 日本成人矯正歯科学会「成人矯正に関する情報」 https://www.jaao.jp/
- 日本顎関節学会「顎関節症の一般向け情報」 https://kokuhoken.net/jstmj/
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「不正咬合の種類と実態」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
- 日本補綴歯科学会「補綴歯科治療に関する一般向け情報」 https://www.hotetsu.com/