神経を残す治療の費用|保険とMTA自費の違い・医療費控除まで

対象エリア:名古屋(中区・栄・名古屋駅)をはじめ、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ。

更新日:2026年8月4日監修:村井亮介(歯科医師・DDS, MSD/日本補綴歯科学会 会員)

神経を残す治療の費用は、保険の範囲で行う場合とMTAなどの材料を自費で用いる場合で大きく変わります。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)でも、同じ「深い虫歯の処置」で数百円のこともあれば、数万円の見積もりが出ることもあり、その差がどこから生まれるのか分かりにくいという声をよくいただきます。差の正体は、使う材料、かける時間、そして拡大視野や防湿といった精度を上げるための設備です。このページでは、保険と自費それぞれの費用の目安、最終的な被せ物まで含めた総額の考え方、医療費控除の扱い、そして「神経を取る場合と比べてどちらが安いのか」という長い目で見た比較までを整理します。処置そのものの内容は<a href="/treatment/mta/">歯の神経を残す治療(MTA・覆髄)の効果と適応</a>をご覧ください。

歯のイラストと積み重ねた硬貨で神経を残す治療の費用を表した図
処置ごとの費用の目安を先に示します。金額は3割負担の場合の概算と、自費の一般的な幅です。医院や地域、歯の状態によって変わりますので、必ず事前に見積もりをご確認ください。
処置保険(3割)自費の目安通院
深い虫歯の除去と保護約1,000〜2,500円1〜2回
神経の露出部を直接封鎖約1,500〜3,000円1〜5万円1〜2回
神経の一部を残す断髄約2,000〜4,000円3〜8万円1〜3回
経過確認のレントゲン約400〜1,200円0〜5千円都度
詰め物・被せ物(別途)約2,000〜1万円3〜15万円2〜3回

同じ処置でも費用が変わる三つの理由

見積もりの差は、次の三点から生まれます。 一つ目は材料です。保険で使える覆髄材と、自費で用いるMTAでは、性質も価格も異なります。MTAは封鎖性が高く、歯髄を刺激しにくい材料として位置づけられていますが、材料そのものが高価で、保険適用の範囲は限られています。材料の性質と価格の内訳はMTAセメントとは?神経を守る虫歯治療の仕組みと費用の目安で詳しく扱っています。 二つ目は時間です。神経を残す処置では、感染した部分だけを慎重に除去し、健康な象牙質を残す作業が中心になります。急いで削れば神経を露出させてしまい、慎重にやれば時間がかかります。1本に30分から60分をかける前提の予約枠を取るかどうかで、費用の設計は変わってきます。 三つ目は設備です。唾液の侵入を防ぐ防湿と、拡大視野での確認は、成功率に関わる要素です。ラバーダム防湿とは|根管治療の成功率を上げる理由マイクロスコープを使う根管治療|精密治療の意味と費用で、それぞれが何を防いでいるのかを説明しています。 つまり、金額の差は「同じことを高く請求している」のではなく、材料・時間・設備という条件の差です。見積もりを比べるときは、金額だけでなくこの三点がどうなっているかを聞いてみてください。

保険で受けられる範囲

まず前提として、深い虫歯に対して神経を守る処置は、保険診療の中にも組み込まれています。虫歯を取り除き、歯髄に近い部分を保護する材料でふたをして、詰め物や被せ物へ進む流れは、保険の範囲で完結できます。 保険での自己負担は、3割負担の方で1回あたり数百円から3千円程度です。これに初診料・再診料、レントゲン、最終的な詰め物の費用が加わります。 保険と自費の考え方の全体像は歯科の保険治療と自費治療の違いにまとめています。 保険の枠内で受ける場合に知っておいていただきたいのは、材料と時間の選択肢が定められた範囲になるという点です。「MTAを使ってほしい」という希望が保険の枠内では通らないことがあるのは、このためです。ただし、保険の材料で神経を残せないわけではありません。虫歯の深さや感染の程度によっては、保険の範囲で十分に良い結果が得られます。どちらを選ぶかは、歯の状態を見てから相談する話になります。

自費で行う場合の費用と内訳

自費でMTAを用いた神経温存処置を行う場合、1本あたりおおむね1万円から5万円が目安です。断髄まで含む場合は3万円から8万円程度になることもあります。この幅は、医院ごとの方針、処置の難易度、拡大視野や防湿の有無、保証期間の設定などで決まります。 内訳としては、材料費が数千円から1万円台、残りが処置の時間と技術に対する費用と考えていただくと分かりやすいです。 自費を選ぶ判断で大切なのは、金額そのものより「その歯にとって効果が見込めるか」です。すでに炎症が深く不可逆性の段階に入っていれば、高価な材料を使っても結果は変わりません。可逆性と不可逆性の境目については歯髄炎の可逆性・不可逆性とは|神経を残せる境目と痛みの見分け方で整理しました。適応の判断が先で、材料の選択は後です。 自費で治療を受けたのに神経を取ることになった場合の扱い(返金や振替の有無)は、医院ごとに規定が異なります。契約前に確認しておくと安心です。この点は神経を残す治療は失敗することがある?成功率と再治療になる場合でも触れています。
保険治療と自費治療の費用の高さを硬貨の積み上げで比較したイラスト

処置の費用だけでは総額は分かりません

見落とされやすいのが、神経を残す処置は「その歯の治療の一部」でしかないという点です。 処置の後には、必ず詰め物か被せ物が入ります。保険のレジンで済む場合もあれば、噛む力が強くかかる奥歯では被せ物が必要になることもあります。ここで数千円から十数万円の幅が生まれます。詰め物の種類ごとの費用は詰め物の種類別の費用比較、虫歯治療全体の費用感は虫歯治療の費用と保険適用|詰め物の種類別の相場を解説をご覧ください。 さらに、経過を確認するための通院とレントゲンが数回加わります。1回あたりは小さな金額ですが、数年にわたるとそれなりになります。確認の頻度は神経を残す治療のあとの経過観察|しみる期間の目安と通院の流れにまとめました。 見積もりを見るときは、「今日の処置」ではなく「この歯が完成するまで」の合計で比べてください。処置が安くても被せ物で差が出ることもありますし、逆もあります。虫歯が複数ある場合の総額の考え方は虫歯治療の総額はいくらかかるかが参考になります。

どの時点で費用が発生するのか

見積もりが分かりにくく感じられるのは、費用が一度にではなく、通院のたびに少しずつ発生するためです。流れに沿って整理します。 初回は、診察・レントゲン・必要に応じた歯髄の反応検査です。保険の3割負担で1,500円から4,000円程度が目安になります。この段階で、神経を残せる見込みと選択肢が示されます。 次が処置の日です。虫歯を除去し、歯髄に近い部分を保護材で封鎖します。保険なら数百円から3,000円程度、自費のMTAを選べばここでまとまった費用が発生します。処置後は仮の詰め物で数週間から数か月ようすを見ることがあり、その間に痛みが出ないかを確認します。 三段階目が、最終的な詰め物や被せ物です。ここが総額に最も影響します。保険のレジンなら数千円、セラミックを選べば1本4万円から15万円程度になります。奥歯で噛む力が強くかかる歯は、覆う範囲が広くなる分だけ費用も上がります。 そして四段階目が、経過観察です。半年後、1年後、その後は年に1回程度の確認とレントゲンで、1回あたり数百円から1,500円程度。数年続きますので、合計すると数千円になります。 「処置代だけ聞いていたら、被せ物で予想より高くなった」という行き違いは、この四段階のどこまでが見積もりに含まれているかを確認しないまま進んだときに起こります。

歯の場所と状態で費用感は変わります

同じ「神経を残す処置」でも、対象の歯によって最終的な負担はかなり違います。 前歯で、虫歯の範囲が小さい場合。処置後はレジンで詰めて終わることが多く、保険なら総額で3,000円から6,000円程度に収まります。見た目を重視して自費のレジンやセラミックを選ぶと、ここに数万円が加わります。 奥歯で、虫歯が大きく歯の壁が薄い場合。処置後に被せ物が必要になる可能性が高く、保険でも総額7,000円から1万5,000円程度、自費のセラミックなら10万円を超えることもあります。噛む力が集中する場所ですので、材料の選択が寿命に直結します。 外傷で歯が折れ、神経が露出した場合。処置は急ぎで行いますが、その後の形の回復に費用がかかります。お子さんであれば医療費助成の対象となることが多く、実質負担が小さくなります。 このように、費用は「処置の名前」ではなく「その歯がこれからどう作り直されるか」で決まります。見積もりを受け取ったら、最終的な形まで含めて説明を求めてください。

神経を取る場合と比べてどちらが安いか

短期で見れば、保険で神経を取る根管治療のほうが、自費で神経を残す処置より安く済みます。根管治療は保険の範囲で行え、3割負担で数千円から1万円台に収まることが多いためです。費用の内訳は根管治療とは|流れ・回数・費用を歯科医が解説をご覧ください。 しかし長い目で見ると、比較の景色が変わります。 神経を取った歯は、栄養と水分の供給が絶たれてもろくなります。土台を立てて被せ物を作る必要があり、その費用が加わります。将来的に根の先に病巣ができれば再治療となり、再根管治療とは|やり直しになる原因と成功率の費用が発生します。それでも治らなければ外科処置、最終的には抜歯とその後の補綴(入れ歯・ブリッジ・インプラント)が視野に入ります。 神経を失った歯がどうなるかは神経を抜いた歯はどうなる?寿命と長持ちさせるコツで整理しています。歯を1本失った後にかかる費用は、被せ物1本の比ではありません。 ですから、「今いくらか」と「この歯を何年使えるか」の両方で考える必要があります。ただし、神経を残す処置に高い費用をかければ必ず長持ちするわけでもありません。適応を外れた歯に費用をかけるほうが、結果的に無駄になります。この見極めが最も重要で、費用の話はその後です。

処置の種類によっても金額は変わります

「神経を残す治療」とひとことで言っても、実際には内容の異なる複数の処置があり、費用も別々です。 虫歯を取り除いた結果、薄い象牙質が残って神経が露出していない場合は、その上から保護材でふたをします。処置としては最も簡便で、費用も低く収まります。神経が露出した場合は、露出面を直接封鎖する処置になり、材料の性能がより重要になるため費用は上がります。この二つの違いは覆髄(直接・間接)とは?神経を残すための処置をわかりやすくで説明しています。 さらに、炎症を起こした歯髄の入口側だけを切り取り、根の中の健康な部分を残す処置になると、根管治療に近い手間がかかります。防湿と拡大視野が前提になり、時間も長くなるため、費用はこの中で最も高くなります。内容は生活歯髄切断(断髄)とは?神経の一部を残す治療をご覧ください。 つまり、同じ「神経を残す」目的でも、どこまで踏み込むかで金額が段階的に変わります。見積もりを受け取ったときは、どの処置を想定した金額なのかを確認してください。削ってみて神経が露出すれば、当初の想定より上の段階の処置に切り替わることもあります。その可能性と、その場合の費用も先に聞いておくと安心です。

医療費控除の対象になります

自費で支払った歯科治療費は、医療費控除の対象になります。1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告により所得税の一部が戻る制度です。 対象となるのは、治療のために通常必要と認められる費用です。MTAを用いた神経温存処置や、セラミックの被せ物は、治療目的であれば対象として扱われるのが一般的です。通院のための公共交通機関の交通費も含められます。一方、美容目的の処置は対象外です。 領収書は保管しておいてください。家族分を合算できますので、世帯でまとめて申告すると超えやすくなります。手続きの詳細は歯科治療と医療費控除にまとめています。 高額な自費治療を一度に支払うのが難しい場合、分割払いを扱う医院もあります。手数料の考え方はデンタルローンと分割払いを参考にしてください。なお、保険診療で自己負担が高額になった場合の制度については高額療養費制度と歯科治療で扱っています。

費用で後悔しないための三つの確認

見積もりを受け取ったときに、確認していただきたい点があります。 一つ目は、その金額に何が含まれているかです。処置だけなのか、経過観察のレントゲンや、最終的な詰め物まで含むのか。医院によって区切り方が違います。 二つ目は、うまくいかなかった場合の扱いです。神経を残す処置は必ず成功する処置ではありません。数か月後に根管治療へ移行した場合、費用がどうなるかを先に聞いておくことをおすすめします。 三つ目は、保険での選択肢も示されているかです。自費だけを提示されて比較ができない状況では、判断のしようがありません。「保険で行う場合はどうなりますか」と聞いていただいて構いません。説明を聞いたうえで判断が難しいときは歯科でのセカンドオピニオンという方法もあります。 なお、自費治療になる場面の考え方全般は虫歯治療が自費になるのはどんなときかにまとめています。費用を抑える工夫は虫歯治療の費用を抑える方法をご覧ください。

名古屋の診療現場で費用をどう説明しているか

名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)は勤務先の近くで受診される方が多く、限られた通院回数の中で判断していただく場面が多くなります。私が費用を説明するときに心がけているのは、二つです。 一つは、選択肢を必ず二つ以上示すことです。保険で進める場合の流れと費用、自費を選んだ場合の流れと費用、そして今回の歯ではどちらがどう有利なのかを並べます。片方しか示されないと、患者さんは比較ができません。 もう一つは、「この歯には自費をかける価値が薄い」と判断したときに、そう伝えることです。すでに神経の炎症が深い歯や、噛み合わせの力が強くかかり将来的に被せ物が必要になる歯では、高価な材料を使っても得られる差が小さいことがあります。その場合は保険の範囲で確実に進めて、費用は別の場面に取っておくほうが合理的です。 愛知・東海では転勤や異動で通院先が変わる方も多くいらっしゃいます。数年単位の経過観察が前提となる処置ですので、転居の予定がある方には、記録をお渡しして引き継げるようにしています。費用をかけた処置ほど、その後の確認まで含めて設計しておく必要があります。 お子さんの歯で神経を残す処置を検討される場合は、子ども医療費助成の対象になるかどうかで負担が変わります。保険診療であれば助成の範囲に入りますが、自費の材料を選んだ場合は対象外となり全額が自己負担になります。子どもの歯の神経を残す治療|乳歯と生えたての永久歯で扱っています。 もう一点、費用の話で申し添えておきたいことがあります。神経を残せるかどうかは、そもそも虫歯がどこまで進む前に受診できたかで決まります。しみる段階で来ていただければ、保険の範囲の処置で済み、費用も数千円に収まることが少なくありません。逆に、痛みを我慢して数か月経ってから来られると、選択肢は根管治療と被せ物になり、費用は一桁上がります。最も費用を抑える方法は、材料を選ぶことではなく、早い段階で受診することです。初期虫歯(C0)は削らずに治せる?再石灰化と経過観察の考え方もあわせてご覧ください。
電卓と領収書と歯のイラストで医療費控除の手続きを表した図

よくある質問

神経を残す治療は保険でできますか

深い虫歯を保護する処置は保険の範囲にあります。MTAなど一部の材料を用いる場合は自費になることがあります。

自費のMTAはいくらぐらいですか

1本あたり1万円から5万円程度が目安です。断髄を含む場合はさらに上がることがあります。

保険と自費で成功率は変わりますか

材料と精度の差はありますが、最も影響するのは歯の状態です。適応を外れれば材料では補えません。

治療がうまくいかなかったら費用は戻りますか

医院ごとに規定が異なります。契約の前に振替や保証の有無を確認してください。

医療費控除の対象になりますか

治療目的であれば対象として扱われるのが一般的です。領収書と交通費の記録を保管してください。

見積もりに被せ物は含まれますか

含まない場合が多いです。最終的な詰め物や被せ物まで含めた総額で確認してください。

神経を取るほうが安く済みますか

その日の費用は安く済みますが、土台・被せ物・再治療まで含めた長期の費用は逆転することがあります。

名古屋で費用を相談するときは何を聞けばよいですか

保険で行う場合の選択肢と、うまくいかなかったときの扱いです。中区・栄エリアでも確認事項は同じです。

まとめ

神経を残す治療の費用は、保険の範囲であれば3割負担で1回あたり数百円から3千円程度、MTAなどを自費で用いる場合は1本あたり1万円から5万円、断髄を含めば3万円から8万円程度が目安です。この差は材料・処置時間・防湿や拡大視野といった設備の条件から生まれるもので、同じ処置を高く請求しているわけではありません。ただし費用を判断する順番は、材料選びが先ではなく、その歯が神経を残せる状態かどうかの見極めが先です。すでに炎症が深い歯に高価な材料を使っても、得られる差は小さくなります。また、処置単体の金額ではなく、最終的な詰め物・被せ物と数年分の経過観察まで含めた総額で比べてください。神経を取る根管治療はその日の費用こそ安く収まりますが、土台と被せ物、将来の再治療や抜歯後の費用まで含めると、長期では逆転することがあります。自費分は医療費控除の対象となり、家族分を合算して申告できます。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)や愛知・東海で見積もりに迷ったら、含まれる範囲・うまくいかなかったときの扱い・保険での選択肢の三点を確認してください。処置の内容は歯の神経を残す治療(MTA・覆髄)の効果と適応、残せるかどうかの判断は「歯の神経を抜きたくない」あなたへ|残せるケースと見極め方、進め方の全体像は深い虫歯で神経に達しそうなときの歯髄保存療法をご覧ください。

参考・出典

監修:村井 亮介(DDS, MSD/米国インディアナ大学大学院 補綴科修了)
Indiana University 大学院 補綴科修了/ACP・ITI・AO・日本補綴歯科学会 会員。名古屋(中区・栄・名古屋駅エリア)を拠点に、愛知・東海地方で歯のお悩みを抱える方へ向けて情報を発信しています。理念は「10年後も削り直さない治療」。

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